南斗列車砲
なんとれっしゃほう
流派: |
南斗聖拳の一派 |
使用: |
トウダ (対 ケンシロウ) |
登場: |
アニメ版北斗の拳(20話) |
「ジョーカー・バルコム」と呼ばれる武装列車を用いた
南斗聖拳の一派(?)。先頭車両に搭載された砲筒で敵を砲撃する。その威力は砂漠に巨大な砂波を起こす程強力だが、一度発射すると最装填に時間がかかるのが難点。
TVアニメ版北斗の拳に登場した
トウダと
その部下達が操縦する。
ケンシロウ一味を迎え撃つために出動させたが、
ジェニファーの捨て身の囮作戦によって最装填までの時間を稼がれ、ケンシロウに列車に乗り込まれた。その後、スタッフを全滅させられ、列車を乗っ取られている。
南斗人間砲弾と並んでお茶の間に笑いを、ファンには絶望を、そして武論尊御大に怒りを齎したと言われる南斗列車砲。確かにこれを拳法と呼ぶのは無理があるだろう。しかし別に劇中で誰もこれを拳法とは呼んではいない。そう、南斗列車砲は南斗108派のひとつなどではなく、単に南斗一派が所有している兵器なのだ。流石に「南斗列車拳」なんてネーミングだったらフォローの仕様もないが。
そしてその破壊力も決して馬鹿にできるものではない。だって砲撃ですよ80口径の砲身から放たれる砲弾ですよ。戦車ですら一撃ですよ。ケンシロウですら戦車一台破壊するのに歴代最長のあたたたたを要したと言うのに(アニメ18話)。まあ、だからこそ限界肉体バトルの北斗の拳にそんなもん持ち込むなよってことなのかもしれませんけどね。野暮ですよね。
この列車の設定で気になるのは「ジョーカー・バルコム」という名前だ。ジョーカー、そしてバルコムと言えば、御存じの通りKING軍の名参謀と大将軍の名前である。偶然の一致で片づけられるものではない。もし関連があるとしたら・・・
ジョーカー談
「これがかつてジョーカー・バルコムと呼ばれた南斗列車砲・・・!!」
この発言から考えると、少なくともジョーカーがKING軍に入る前からこのジョーカー・バルコムは存在していたことになる。ということは、ジョーカー、そしてバルコムの2人の名前をとって「ジョーカー・バルコム」が出来たと言うことでは無さそうだ。「ジョーカー・バルコム」の名を2つに割って、ジョーカー、そしてバルコムの両者の名前がついた、と考えた方が自然である。つまりジョーカー、バルコム両者の名はコードネームのようなものなのだろう。
〜実在の列車砲〜
列車砲の主たる使用法は、今で言う「遠距離用ミサイル」である。沿岸まで部品を運び、列車、砲台、線路を組み立て、他国へと向けて巨大な砲弾を発射するのだ。
列車砲で有名なのはなんと言ってもドイツ。第1次・第2次欧州大戦で連合軍兵士の度肝を抜いた必殺兵器で、第1次欧州大戦ではパリ砲なる列車砲がパリの市民を恐怖のどん底にたたき落としたことで有名。あのベルサイユ条約で潜水艦と同様にドイツの列車砲の保有を禁じたほどであるらしい。
そして第一次世界大戦終了後、航空機規制法という物が出来た為に飛行機を飛ばす事が出来なった。そう言った環境の中で独自の兵器が進化して行き、更なる強力な列車砲が生まれたのだ。
第2次欧州大戦では、イタリア戦線で「レオポルド」という列車砲が猛威を振るい、「アンツィオ・エクスプレス」と連合軍兵士が恐れたという。しかし、実際の南斗列車砲のモデルとなったのは、ソ連邦の黒海沿岸にあるセバストポリ要塞攻略に使った「800mm砲ドーラ・グスタフ」であろう。「ドーラ砲」と「カール・グスタフ砲」という2つの兵器の名前を足して合わせたのが由来だ。なんとなく「ジョーカー・バルコム」に聞こえないか?聞こえないか。8日間に48発の砲弾を発射、要塞の装甲を突破して地下弾薬庫を直撃したと記録されている。しかしこれが実際のグスタフの唯一の運用の場であった。結局この作戦により、巨砲主義の非実用性が露呈することとなったからだ。グスタフの運用には2本の平行な線路と更にその両外側に作業車用の線路、即ち計4本の平行に敷設された線路が必要とされていたことが挙げられる。列車砲は発射時の反動による横転を防ぐため、砲身の旋回にはカーブした線路を必要とするが、4本の平行な線路をカーブさせるには広大な敷地を必要とする。更にグスタフは一応1030馬力のディーゼルエンジンを2基搭載していたものの、その巨体ゆえに単体での長距離移動が出来ず、5つに分解した上で輸送することになる。そのために必要とされる貨車は60両に及び、分解したグスタフの組み立てと陣地の設置には1420人の人員と3週間が費やされなければならなかったという。この辺りはジョーカー・バルコムと少し異なっている。ジョーカー・バルコムが使う線路は1本だし、人員も流石に1000を越えているとは思えない。おそらくこれは用途の問題だ。南斗列車砲の場合は目的が「サザンクロス防衛」に限られている(というか部品をあっちこっちに運ぶという手段がない)つまりカーブさせる必要がない(出来ない)から線路も一本だし、部品を運ぶこともないから人員も少ないのである。またグスタフの砲弾の装填の殆どは人力によるところが大きく、連続した発射は極めて困難であったという。連発にかかる時間はなんと15分。ケンシロウなら砲筒に到着しているどころかそのまま城に入ってシン倒せるぞ(笑)まあ第二次の頃に比べても、199Xっていうことは50年くらい経ってるわけだし、技術も進歩しているだろう。
ちなみに以下のがグスタフのデータである。
口径 800mm
砲身長 32.480mm
重量 約1.350.000kg
上下射角 0〜+65度
水平射角 0度
初速 秒速700m
発射速度 1発/15分
最大射程 47.000m
砲弾重量 4.800kg
砲員 約500名(射撃時)1.420名(運用時)
砲の組み立て 約3週間
終戦後ドイツ軍はグスタフを徹底的に分解、破壊したらしい。これは後日物笑いの種になることを恐れたためとしか思えない。ドイツ軍が大戦中全期間を通じて編成した師団はおよそ400個。その中の地上部隊は更に58種類に分類され、列車砲(グスタフ)は大砲1門でその58部隊の1駒に数えられているほどである。要するにトウダも「列車砲のおかげ」でいち幹部となっていたということだろうな。
しっかし読めば読むほど南斗列車砲と酷似している。特に「笑いの種になる」というところが。