北斗が如くの不満なとこ
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2019年7月14日 |
データベースの作品紹介に
『北斗が如く』を追加しました。
いやぁ…大変だった…
ついでにゲームの感想でも書こうかと思ったんですが、良かったポイントは殆ど日記で書いちゃったので、あえて
ダメだったとこを挙げてみました。10点ほど。
あんだけ日記頑張ったんだから、ちょっとくらい愚痴ってもいいでしょ。
●ケンシロウが淡白
普段はクールな男だが、弱きを虐げる悪には全力で怒り、強敵の死には深き哀しみに涙を流す。それがケンシロウという男。
だが、
今作のケンシロウにはその「熱さ」が無かった…。
原因は、主要キャラが死なないというストーリー展開にある。
「ケンシロウが決着をつけるのはあくまで原作で、本作の中では明確な決着は描かない」というのが製作陣の意向だという。その趣旨は理解できる。ただ、同時に
それが「北斗の拳」としての魅力を半減させてしまった点は否めない。相手を殺さないということは、言い換えれば殺すほどの理由がないということ。故にケンシロウが感情を爆発させるシーンが無く、全編通して淡白なストーリーとなってしまっているのだ。これじゃあ盛り上がらないよね……
●原作要素が少ない
開発者インタビューによると、本作の製作陣の中には、
北斗の拳に詳しいスタッフが殆どいなかったという。それでも脚本家さえちゃんとしていれば問題ないように思えるが、どうやら細かい部分に関しては、各スタッフがアイデアを出していたらしい。結果、
原作『北斗の拳』の要素が薄いゲームになってしまった。
その最たるものが『サイドミッション』。全80話に及ぶエピソードがありながら、その中に原作要素を含む内容のものは殆ど無かった。
ちょっとしたことでいいんですよ。例えば、
子供を誘拐する悪党を「聖帝軍」とするだけで多少原作との関連性は出るじゃないですか。でもそうしなかったってことは、そもそも案を出した者の中に
「子供を浚う=聖帝軍」と連想するだけの知識すらなかったってことだと思うんですよ。
逆に原作要素がふんだんに盛り込まれているのが『アクセサリ』。マザーの写真とか、コウリュウの彫った像とか、リュウガが差し出したヘアバンドとか、原作好きなら解るっていうアイテムが結構用意されているのだ。ただね、これね、ゲーム内で装備する事とか殆ど無いんですよ。どれもこれも性能微妙だから。なので即倉庫にナイナイしておしまいなんですよ。それはあまりに勿体ないじゃないですか。だからもっと別の所で力を入れて欲しかったなぁ。キャバ嬢の肩にこっそりUDマークが刻まれてたりしたほうが儂ゃ何倍も嬉しいよ。
●奥義に性能差が無い
ケンシロウの奥義アクションはかなり良く出来ていて、オリジナル奥義もいい発想の技が多く、これまでピックアップされてこなかったマイナー奥義も多種使用できるなど、褒めるべき点は多い。ただ
奥義の種類が豊富でも、それを使い分ける必要性があまり無かったのが残念だった。
このゲームの奥義って対象人数が少ないんですよ。護符奥義である天将奔烈を除くと、北斗破陣擲の4〜5人が最大で、あとは
2人までが限界なんですね。だから
別にどの奥義を使ったところで大差がないというか……。
例えば北斗無双では、相手が直線上に並んでる時、周囲を取り囲まれた時、タイマン時、といった様な状況に応じて、よりベストな奥義を選ぶという所に面白さがあった。しかし如くにはそれがなかった。
「千変万化する戦いの中で活路を見出す」という北斗神拳奥義の特性を出せていなかったわけです。二指真空把や五指烈弾といったカウンター技はその要素を含んではいたが、ちょっと少なすぎる。
まあ確かに北斗神拳奥義って、原作に限定するなら、多人数を攻撃する技って意外と少ないんですよね。だから忠実っちゃ忠実なんだけど、別にそこは遵守しなくて良かったんじゃないかなぁ。ていうか龍が如くのヒートアクション同様、技演出の時間が長いんですよね。そのくせ1〜2人しか倒せないとなると、使わない方が早く倒せたじゃんって事も多々あってね…。
●ジャスト秘孔が便利すぎる
秘孔を突くと同時に表示された円が収縮を始め、タイミングよく○ボタンを押す事で敵をひでぶさせられるという
『ジャスト秘孔』。これまでの北斗ゲーでは成し得なかった「経絡秘孔による一撃必殺」を見事に表現した画期的な新システムだと言える。
ただその……
いささか便利すぎたのではないかと……
先述の通り、奥義は殆どが1〜2人しか攻撃できない技ばかり。そして演出が長い。一方のジャスト秘孔は1人のみだが、テンポ良くサクサク敵を倒すことができるので、ストレスも溜まらないのだ。
更にジャスト秘孔には、倒した敵から「炎」が出現し、七星ゲージが溜まっていくというメリットがある。他にも体力の回復する緑炎や、アホみたいに強い「ひで武器」も出現するし、タイミングがジャストだと更に恩恵があるので、ゲーム性もあって楽しいのだ。こうなってくるともう
奥義を使う意味がほとんど無くなっちゃうわけですよ。
ゲームクリアだけが目的なら別にいいんだけどさ…ファンとしては皆さんに色々奥義を使って欲しいんですよ。でもこんだけ格差があると、殆どのプレイヤーがジャスト秘孔一辺倒になっちゃって、
ブスッ……ズッポン(爆死)
ブスッ……ズッポン(爆死)
ブスッ……ズッポン(爆死)
という、
なんかすごく味気ないバトルになっちゃうんですよ。だからもう少し奥義も使い勝手良くして、プレイヤーに選択肢を与えて欲しかったんだ。
●原作キャラの扱い方
これに関しては明確に指摘できるわけではなく、「モヤモヤする」ってだけなのだが……なんかこう、
原作キャラを上手く話に絡められてない感じがするんですよね。
第五章がレイ、第八章がジャギ、という風に、原作キャラが章のメインを張っているケースは沢山ある。ただそれらのエピソードって、『北斗が如く』のお話の中心にある『ユリア』『核ミサイル』『凶王』といった要素に殆ど絡んでこないんですよ。よく連ドラであるでしょ?第1話に大きな問題が起こるけど、最終話近くになるまで話が進展せず、間の2話〜9話が『繋ぎ回』みたくなってるケース。如くでも、原作キャラが登場する回がそんな感じなんですよ。
サウザークラスのキャラクターが「一話ゲスト」みたいな扱いになっちゃってるんですよ。最近の佐藤隆太ポジションですよ。
「それが何か問題でも?」と言われると困るのだが、強いて言うなら
各章に1人ずつだから、原作キャラ同士の共演が無いってことですかね。折角出てきてもケンシロウとしか絡まないから、あまり目新しさがないというか。オリジナルストーリーなんだから、もっと夢の共演を見せて欲しかったですね。
●BGMでテンションが上がらない
北斗の拳を映像化するにおいてBGMが如何に重要なのかは、アニメ版を見れば解る通り。これからケンシロウが悪い奴をボコボコにしますよ!っていう勧善懲悪の幕開けを告げるかのように、
かっけぇBGMが流れ始めてボルテージは最高潮!それと共に我々のドーパミンがドクドク溢れ出てくるわけじゃないですか。しかし『北斗が如く』には、そういった
曲調の変化による興奮は一切無かった。
そういった演出は、いわゆる「ヒーローもの」の定番であり、任侠道である「龍が如く」とはテイストや対象年齢が異なるため、採用しなかったのかもしれない。だが北斗の冠をつけるなら、音楽面も少しくらい寄せてほしかった。セガはその良さを知ってるよね?
知ってるからこそ過去にアーケード版で「テーレッテー」を採用して大ウケしたわけでしょ?なのに何故今回それをしなかったのよ…
●マップがクソ
龍が如くの舞台である『神室町』は、現実の歌舞伎町をほぼそのまま再現したような町並みで、縦横に何本も道の通った碁盤の目に近い形になっている。かつ、町の各所からタクシーにのって別地点に運んでもらえるため、移動に関してのストレスは少ない。
それに比べると、『エデン』は……なんか
根性の悪いマップですよね。
ゲームをしてるとね、
「ここに道作っとけよ!」みたいな事が沢山あるわけですよ。なんかイビツだから店の場所とかも覚えにくいし。タクシーのようなワープ機能もないから、とにかく移動に時間がかかる。荒野に出るのにいちいちバットのところまで行かなきゃならないのも面倒だし、セーブポイントも少ないし、アジトも辺鄙な場所にあるし、色々面倒くさい配置だったわぁ。
●ミニゲームがつまらない
これは龍が如くシリーズをプレイしている人なら皆感じたと思うのだが、龍が如くに比べて、
北斗が如くのミニゲームは面白くない。というかスケールダウンしている。
『デス・バッティング』、『ケンシロウ・クリニック』『黒服ケンシロウ』等は、それぞれ龍が如くの「バッセン」「カラオケ」「キャバクラ経営」を北斗風にアレンジした内容だが、
どれもこれもゲームとしてはつまらなくなっている。特にキャバクラの劣化がひどい。「龍が如く0」で超面白いシステムが完成していたのに、何故改変してつまらなくしたのか。中でもキャストの育成方法が「物で釣って機嫌を取る」以外に無いのが辛い。出勤することで経験値アップをメインにしたほうが絶対良いよ。全キャストに愛着も沸くしさ。
カジノがあるのに
賭場(花札・チンチロ・丁半)や麻雀を無くしたのも謎。エデンは様々な文化が入り混じった無国籍風の街並みとのことなのに、なんでここだけアジアンを省いてしまったのか。ケンシロウに牌を握らせたくないという原作側からの要望があったのかもしれんが…。
ケンシロウにコスプレさせてさ、豪快にカクテル作らせてさ、サタデーナイトフィーバーとかキメさせたりしたらさ、そりゃ面白いよ。けどそこでひと笑いとったからって満足して、内容の方を手抜きしてないかい?
●オリジナルの拳法がほぼゼロ
北斗が如くには
『冥斗鬼影拳』という、メインストーリーにも絡んでくる拳法が登場するが、
本作に登場するオリジナル拳法はこれだけなんですよね。正直、個人的に一番ガッカリだったのはこれかもしれない。
別に南斗諸派や天斗級の新作を出せってわけじゃないのよ。
怪しげな拳法を使う怪しげな奴でいいんですよ。烈闘破鋼棍とか泰山妖拳蛇咬帯とか修羅忍道破魔砂蜘蛛とか、その辺のレベルでいいの。そんなんでも結構強いじゃん?人間の域は超えてる強さじゃん?
それらを「北斗神拳の前では赤子同然!」って蹴散らすことで、よりケンシロウの強さが引き立つわけですよ。なのにこのゲームに登場する「ちょい強」の敵は、ガタイがでかいだけのデクの坊ばかり。そんな奴らいくら倒した所で北斗神拳の偉大さは伝わりはしないんですよ。
唯一である『冥斗鬼影拳』のほうも、なんだかなぁという感じ。結局は「電気を出す」「精神を破壊させる」という拳の性質が語られたのみで、どれくらい強いのか、強さの源は何か、発祥はどこか、どうやって伝承されて来たのか等、
細かい説明が全くされていないんですよね。バトル中にいくつか奥義っぽいのは使ってくるけど、一つも奥義名とか言わないしさ。
技を出して、技名を言う。これがなきゃ『北斗の拳』じゃないよねえ。
●ラスボスのガッカリ感
未プレイの人に全く配慮することなく言っちゃいますけど、
このゲームのラスボスは凶王軍No.2のタルーガさんなんですね。彼とは最終戦以前にも2度対戦することになり、いずれもケンシロウに完敗を喫している。そんな奴をラスボスにもってくるというのは、これまでの北斗の拳ではありえない展開だし、面白い発想だと思う。ただ、そんな
ヘボい戦績の奴をラスボスに据えても違和感の無い理由付けは欲しかった。
具体的に言うと、
過去2戦からちゃんとパワーアップしてることを明確にして欲しかった。前のは本気じゃなかった!とかね。そうじゃないと、
過去にボコボコに負けてんのに最終戦で自信満々な意味がわからないのよ。初戦は銃、2戦目は脚技、最終戦はその両方をミックスさせた戦法という風に変化はつけているが、そんなもんで戦力差をひっくり返せそうな気配は全然感じなかったもの。ものすごい狡猾なキャラなのに、なんで戦力分析だけポンコツなの?って思っちゃう。サイボーグだけに。
あと、単純に
ラスボス戦としての見栄えが悪かった。先述の通り、過去2戦の戦闘スタイルをミックスしただけなんだもの。最後なんだからもっとこう……派手にできなかったか?と思ってしまうのよね。折角直前にサイボーグであることを明かしたんだから、その設定もっと活かせばよかったじゃん。スフィア・シティの防衛システムを乗っ取って四方八方から銃撃させたり、クレーン操作して上から鉄骨降らせたりとかさ。レーザー撃ったり火炎放射したり、なんなら核エネルギー吸収して暴走モードに入ってもいいよ。とりあえずもうちょっとラスボスに相応しいバトル内容にしてもらいたかった。
ちなみにタルーガの開発当初のデザイン案は、もっとゴリゴリの筋肉体型だったらしい。しかし原先生のチェックによって、スマートで厭らしい性格のキャラに変更されたとのこと。
正直、当初のデザインの方がラスボス感はありますよね。ただそれだと「こいつがラスボス?」という意外性は無くなるかな。北斗のラスボスに意外性が要るのかはわからんが。
以上になります。
スッキリした……