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対決 牙一族レビュー(2)
2014年8月10日(日)

「北斗の拳 対決牙一族」レビューの続きでゴンズ。
今回は実践編。



まずはゲーム開始前の準備から。
前回ご紹介したマイコン判定機のサイコロ機能を用いて、各コマの初期位置を決定する。
その結果、以下のような配置となった。



バット・・・最後だ
かあさんといってやれ


牙一族の8人(牙大王&マダラ&息子6匹)は、かたまって配置されるんだよね・・・・
しかも最初に行動するのは牙一族側だし。こりゃ助けようがねーわ。



【1順目】

まずは牙一族チームのターンからスタート。



牙一族チームの移動は1ターンで1マス。ナナメは不可。
とりあえず牙息子3人をトヨ抹殺へと送り込み、宿命のままに撲殺。村人への攻撃の成功確率は2/3なので生き残る可能性も無いことは無かったのだが、すんなり2撃喰らってトヨは逝った。(1撃で負傷、2撃で死亡となる)。
牙大王とマダラはケンシロウ達から距離をおくために東へ。
残りは南にいるタキを狙って進軍させてみた。
何故タキ狙いなのかというと、6人いる村人キャラの中で、タキだけが「井戸の場所を知る村人」という重要キャラだからだ。こいつをぶっ殺すと井戸が出現し、そこを占拠することで、牙一族チームは5点を獲得できるのである(村人1キルで2点)。
なんでわざわざ最年少のキャラを真っ先に殺させるルールにしたのか。




次はケンシロウ・レイのターン。
ケン達は倍の2マス進めるので、比較的近くに配置された牙一族達の抹殺へと向かおうとしたのだが・・・



この位置からではケンは牙一族×3のマスまで到達できない。
それつまり、このターンでは攻撃できない事を意味する。
しかし隣接するコマまでいってしまうと、次のターンで一挙に3匹からの先制攻撃を受けてしまう。ケンとレイの体力は8なので、もし全弾命中で3ダメ食らってしまうと、相当ヤバいことになるわけだ。



というわけで、このターンでのケンシロウの移動は、あえて1マスに留めてこの位置、
レイはタキ襲撃隊を迎え撃つべく敵陣に飛び込ませ、1人をシャオっといた。
まあこんな感じで戦略をたてていくゲームなのだろう。中々面白いかもしれん。


このケンとレイの行動後に、もうひとつやらねばならないことがある。
それはマミヤとアイリの脱出準備だ。

 

 お前ら誰やねん?


この二人は初めから牙一族に人質にとられているという設定になっており、ケン&レイチームは彼女らを解放するため、準備を進めなければならない。

ただ二人を解放するメリットがイマイチわからない。

細かい説明になるが、このゲームでケン達と敵が戦うときは例のマイコン判定機を使うのだが、その際、双方に与えられたアルファベットのボタンを押した後、格闘ボタンを押すことで、攻撃がヒットしたか否かが判定されるという仕組みになっている。例えばケンが牙息子に攻撃をする場合、ケンは通常「D」で、牙息子は「C」なので、D→C→格闘ボタン、という順番でボタンを押し、あのハイテクマシンに判定してもらうのだ。アルファベットは、おそらく各キャラクターの強さとか相性などに関わっているのだろう。この組み合わせ次第で攻撃がヒットする確率が変動するのだと思われる。
で、先程言ったようにケンとレイは通常「D」なのだが、「同じマスに村人がいる場合」と、「牙大王と闘うときにまだ人質(ケンはマミヤ、レイはアイリ)が解放されていない場合」は、「B」になってしまうのだ。つまりこの美女二人を解放させるのは、「BをDにするため」という、重要なのかそうでないのかよくわからん理由のためなのだ。

この二人の救出ってストーリー的には最重要事項な気もするんだが・・・
別に解放されなくても問題ないくらいの扱いなんだよなあ
ていうかBをDにするってむしろ弱体化してるように見えるよね。


とりあえずこのターンではマミヤだけが脱出準備成功となった。
これを6回成功させれば解放となるらしい。


【2順目】

このターンでは、まず最初に牙一族チームに仲間が一人追加される。
2〜4、6〜8、10〜13のターン開始時に、牙一族チームは好きなキャラクターを一人、マップ上に召還することができるのだ。

召還可能なのは
KING軍・・・シン、スペード、ダイヤ、クラブ、ハート
GOLAN・・・大佐、マッド軍曹、少佐
ウォリアーズ・・・ジャッカル、デビルリバース

の10名。いずれも牙一族とは無縁の者達だが、敵の敵は味方という事なのだろう。
つーか助っ人陣のほうが牙一族より遥かに豪華なんですがそれは。

特に順番などは決まっていないので、とりあえずシンをチョイス。
初期位置はバットのいるマスの右下になった。

続いてレイと同じコマにいる牙息子二人がレイに攻撃。
ここで「複数攻撃」という、一回のマイコン判定で全員分の攻撃を一括判定する機能を用いてみるが、結果は見事な「返り討ち」。自ターンだというのに相手にダメージを与えるどころか逆に2名の兵隊が自滅してしまった。
これは痛いですぞ。形勢はケン達有利か。


【3順目】

カーネル出現!
すぐさま隣のマスにいたジョニーを攻撃!

アニメじゃゴロツキ雇って殺そうとしてたからね。自業自得だね。



更に東へと歩を進めていた牙大王とマダラは、二人がかりでミスミを惨殺。
むしろ仕様とはいえこいつらの攻撃に一度は耐えたミスミを賞賛したい。
ついでにシンもバットをぶんなぐって瀕死状態に。
面白い展開になってきたゾ(ゲス顔)

しかしここでレイがバットの救援に参上!
怪我を負ったバットをレイが助けるという原作オマージュ展開に興奮を禁じえない!
しかもレイvsシンという夢の南斗対決も実現!
とはいってもシンは牙息子達と同じ体力1の雑魚なので、即死するのだった。
子供いじめた後に一撃で葬られるってモヒカンそのものやないか・・・


【4順目】

デビルリバース出現!するも、一番右下の辺境の地なので空気。
一方、大佐は瀕死のジョニーをあえて殺さず、生殺しに。何故ならもうすぐここに牙大王とマダラ、そしてそれを追ってケンシロウもやってくる・・・つまりここが決戦の場となるからだ。そうなった場合、「村人が同じコマにいるとケンシロウの戦闘力はDからBにパワーダウンする」という仕様が発動し、牙一族側に有利に働くのだ。
リンとかならともかく、村人6名の中で人質として最も価値の無さそうなおっさんジョニーがケンシロウの大きな足枷となるってのも、これ一興。


【5順目】

予定通り牙大王とマダラが大佐と合流。えらい三人に取り囲まれるジョニー。
そこに誘い込まれる形で駆けつけたケンシロウ。
ジョニーが生きている所為で戦闘力が落ちているものの、なんとか大佐の撃破に成功したケンシロウであったが、これが地獄の始まりであった。

一方、牙息子2人が最重要村人であるタキに攻撃を仕掛けるも、一人がミス。なんとか生き延びたタキのもとに、またもやレイが駆けつける!世紀末南斗救世主伝説!
しかしこの盛り上がる展開の中、レイまさかの攻撃失敗!
それどころか反撃を喰らって被ダメ!

これがD→Bの弊害か・・・牙息子に押されるレイの姿などみとうなかった。


※5順目終了時の状況


【6順目】

ジャッカルがレイのいるマスの右隣に出現。
そのままレイのもとへと特攻し、体力を削る。
ケンも牙大王とマダラのコンビネーション攻撃を受けるが、自ターンにてマダラを撃破。
これで牙大王と1対1の形になった。
だがレイのほうはまたもや牙息子にカウンターを取られる大苦戦。
どうした?アイリが解放されてないから踏み込みが甘いのか?


【7順目】

ハートが2-3に出現。近くにいる牙大王の加勢に向かう。
レイはジャッカルと牙息子の攻撃を受け、残り体力3にまで減少。死兆星落ちそう。
一方、こっそりと進撃の巨人していたデビルリバースバットのもとへと到着。
既にシンにやられて瀕死状態の少年にトドメの一撃をぶっぱなすデビルさんマジデビル。

いよいよ主人公チームがヤバくなってきたので、ここで必殺技カードを使用する。
ケンシロウとレイにはそれぞれ必殺技を使用できるカードが4枚ずつ用意されており、マイコン判定前にこれを提示することで、互いの戦力差を無視した攻撃が出来るのだ。
要約すると攻撃が当たりやすくなるのだ。
ダメージが増えたり複数人に攻撃できたりするわけではない。うーんショボイ。

北斗百裂拳で牙大王に念願の初ダメージ!
レイも南斗水鳥拳でジャッカルを撃破!
更にここでマミヤ、アイリともに脱出にリーチ!
これで風向きが変わるか。


【8順目】

マッド軍曹が5-4に出現。そのまま5-5にいるリンを惨殺。
ゲームに勝利するためとはいえ女子供や老人をガンガンぶっ殺さざるをえないこのシステムに80年代ならではのバイオレンスさが伺える。
その頃、ハートが牙大王の加勢に到着。カチカチ&ブヨブヨの夢のコンビ誕生だ。
しかしケンシロウへの攻撃はミスに終わり、その隙にケンシロウは柔破斬・・・・のカードが無かったので、北斗残悔拳でハートを返り討ちに。レイも水鳥拳カードを使用し、どうにかタキを守り抜いた。


【9順目】

ケンが牙大王に北斗壊骨拳を炸裂。これで体力はお互い3ポイントずつに。
いい勝負のようにも思えるが、牙一族チームのほうが先行であり、かつジョニーが生きている所為でケンシロウが本来の実力を出せない今の状況では、やはりケン達の圧倒的不利な流れに変わりはない。

ここで少し考え方を変えてみる。

どうせケンシロウが生きている以上、牙大王はジョニーに攻撃は出来ない。
つまり他の村人が全滅しようが、ケンが生きてさえいればジョニーは死なない。
村人(+井戸)は一人でも生き残っていればケン達の敗北条件は満たされる事は無い。
ならば優先すべきは・・・タキの命ではなくケンシロウの命!

急げレイ!強敵のもとへ!
水泥棒のガキなんて捨て置け!



人質が妹じゃないと途端に強気なレイ氏


ちなみにこのターンで、マミヤ、アイリともに脱出成功。
本来ならこれでケン達は牙大王相手に有利に戦うことが出来るようになるのだが、相変わらずジョニーが同じコマにいるため状況に変化はなし。ケンシロウ的にはジョニーに潔く自害して欲しいところだろう。


【10順目】

孤立無援となったタキに、軍曹のニードルナイフが襲い掛かる。
地獄の責め苦によって軍曹が聞き出した隠れ井戸の場所・・・・それは
ケンと牙大王が闘っている所から北に一歩の場所であった



これはケンシロウにとって大きなチャンス!
ジョニーを見捨て、守る対象を井戸へと変えれば、「同じコマに村人がいると弱体化する」という条件が無くなり、優位に闘いを進められるようになる!反撃の時間だ!
しかしその井戸の隣には、バットを殺害した後、ジワジワと北へと歩いてきていたデビルリバースが。もしケンが井戸のコマに留まった場合、次のターンでケンはデビルから先制攻撃を受けることになる。体力2の今の状況で、その1撃は致命傷だ。

ならばここでの選ぶ道は・・・・一つしかない!
ジョニーを守るでも、井戸を守るでもない、デビル退治!この一手だ!
牙大王一人ではジョニーと井戸の両方を一挙に制圧することは出来ない。ならばどちらかを捨ててでも、まずは援軍であるデビルを片付け、次のターンで生き残った方を守ればそれでいい!また2マス離れた場所までいくことで、牙大王の移動範囲外となり、次ターンの先制攻撃を回避することができる!

こ れ ぞ 神 の 一 手 !



【11順目】

もう村人の命とかどうでもいいからゲームに勝ちたいというサイテーな非情の闘気を纏いはじめた世紀末救世主ケンシロウ。

だがそんな魔道に堕ちた主人公に、神が味方するはずも無かった。

このターンで召還されたのは、スペード
その初期位置は・・・3-5!牙大王のいる場所!
「一人では二つ両方制圧は出来ない」というケンの目論み、ここで瓦解!

更にスペード、そのまま井戸の場所へと進み
成功確率1/3という井戸制圧ミッションを一発クリア!
すげえ!わずか1ターンでMVPもっていきそうな活躍ぶり!




これで牙大王がジョニーを殺せば牙一族チームの勝利だったのだが、ジョニーこれを脅威の粘りで回避。さすが原作でも生きながらえた男。
首の皮一枚繋がったケンシロウはトンボ帰りで3-5へと戻り、牙大王に岩山両斬波を炸裂。トドメにとっておいたのだがもうそんな事は言っていられない。これで体力は2-2に。


【12順目】

ケンシロウのピンチは続く。牙大王の攻撃を喰らい、遂に残り体力1に。
だがスペード、トドメの一撃を痛恨のミス!やはりスペードはスペードでしかないのか!
奥義カードは尽きたものの、ケンも執念で牙大王に攻撃をヒット!
これで体力はとうとう両者とも1!まさに死闘!
しかし牙大王ごときと互角の闘いでいいのか正当伝承者!

そして運命のレイのターン。
ここでレイが挑むのは・・・「山越え」と呼ばれるシステム。



上の図にある、ケンシロウ達のいるマスの西側に走る山脈。通常、これを飛び越えて移動することは出来ないため、レイがケンの元へ行くには北から迂回せねばねらない。だが「山越え」にチャレンジし、もしこれに成功すれば、山を跨いで平地を同じように進むことが出来るのだ。
その成功確率は1/3。この難関をくぐり抜け、山の向こうにいる牙大王にトドメの一撃を炸裂させられればケンレイチームの大逆転勝利となる。レイにはまだ必殺技カードが残っているので、攻撃成功はほぼ間違いない。つまり山さえ超えられれば勝利も同然なのだ。

うーんまさに最高の山場。山越えだけに。
まさか北斗の拳で登山が運命を分かつなんて展開になろうとは。

さあ、運命のマイコンタイム。
果たしてレイはこの山岳を攻略することはできるのか!?



















































滑   落




だめでした



【13順目】

ここで敵二人のどちらかが攻撃を失敗すれば再びレイに山越えチャンスもあったのだが
牙大王の頭突きでケンシロウ斃れ、スペードの斧でジョニーも遂に逝った。

ゲームセット!!

村人全滅&井戸制圧の17点獲得により
WINNER 牙一族チーム!!(MVP:スペード)

漫画的には絶対にあってはならない結末だが、ケンシロウ&レイのほうも大概外道だったし、まあしょうがないよね。




【総括】

思いのほか白熱した展開になった点からも、かなり良いゲームバランスに仕上がってると思う。どこに敵が出現するか全く解らないために先の展開が読めず、形勢が二転三転するのも良い。どこぞの似たようなゲームとは違い、ルールも非常に明瞭で、マイコン判定もなんだかんだで結構楽しかったりする。今回のような村人生殺し作戦になりがちになルールを少し独自に改良してやれば、何度でも楽しく遊べるだろう。
ただどっちのチームを選んでも多くの村人の命を犠牲にしないと勝利を得ることは出来ない、夢も希望も無いゲームであることは間違いない。


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