日本に渡った三兄弟
登場:第239〜240話
肩書:拳志郎の前世達
流派:北斗神拳
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唐の時代(西暦806年)に
北斗神拳を伝承していた若き三兄弟。三男(左)は
拳志郎の前世であり、同じ
北斗七星の型の痣を持つ。
恵果和尚に命じられ、
空海阿闍梨と共に
日本へ。北斗神拳を伝来させ、以降は日本で北斗神拳が伝承されていくこととなった。
遣唐船で
寧波を去る際、三男は、見送りにきた
母親に号泣しながら手を振って最期の別れを悲しんだ。
御覧の通り、この三人の見た目はラオウ、トキ、ケンシロウにそっくりである。おそらくジュウケイによってこの三人が送り出された事にひっかけたのだろう。しかしこの三人が、それぞれ顔の似ている者たちの祖先であるとは言いがたい。だが大事なのはそこではない。血の繋がりがあろうがなかろうが、北斗神拳を学ぶ兄弟達は、得てして「こういう顔」なのだ。才能ある三兄弟がそろった時には、まず間違いなくガタイの良い長兄と、ロンゲの次兄と、眉毛の太い三男になるのが北斗神拳1800年の伝統なのである。そこに才能の無い三男が入る余地はない。ジャギはハブられているのではない。そもそもがイレギュラーな存在なのだ。
ただ顔が似ているだけではない。その才能も、史上最強世代と言われたケンシロウの世代に匹敵・・・いやそれ以上かもしれない。彼らは、あの若さで北斗神拳を日本へと運び、以降日本で伝承させていく事に成功した。つまりこの三人は、あの若さで北斗神拳の「全て」を修得していたという事だ。しかし北斗神拳は一子相伝。三人が三人とも奥義を極めていたとは考えられない。かといって、一人だけというのもまた理屈に合わない。長兄は「我らが北斗神拳」と口にしている。つまり彼らは全員北斗神拳を身につけているということ。もし既に伝承者が一人に決まっていたのなら、残り二人は拳を封じられているはずなのだ。それに彼らはまだ子供。あの年で全ての北斗神拳奥義を修得していたとは考えにくい。
ではどうやって彼らは北斗神拳の全てを運んだのか。考えられるのは「分担制」だ。北斗神拳の奥義を三分割し、各々が全奥義の三分の一ずつを修得したのだ。逆に言えば、若き彼らが修得できるのはそのくらいの分量が限界だったということだろう。これこそが「三人の少年」が伝道者として選ばれた理由だと思われる。
このケースの場合、正統伝承者を決める際に色々と揉めそうだが、若くしてあれだけ悟りきった三人なのだから、どこぞの四兄弟のように揉めたりはすまいて。
しかし何故そんな面倒くさい方法を選択したのか。それは、タイミングの問題であろう。恵果和尚は、日本から来た空海を一目見て、彼が素晴らしい僧であることを見抜き、全ての密教を授けることを決めたという。無論、そこには浮屠教徒(仏教徒)を守護する北斗神拳の伝来も含まれていた。しかしこの時代の北斗神拳伝承者は、何らかの理由で日本に渡ることが出来なかった。残す北斗神拳の使い手は、伝承者候補の三兄弟だが、まだ拳を伝承するには若すぎる。だが彼らの成長を待つわけにもいかない。何故なら恵果には、空海と出会ったその半年後に死期が迫っていたからだ。空海が日本に帰るまでのその半年間の間に、なんとかして北斗神拳を海の向こうへ運ぶ準備を整えねばならない。その為に考えられた苦肉の策が、三兄弟による北斗神拳の「分担修得」だったのではないかと思われる。