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龍斎
りゅうさい



登場:第241話
肩書:拳志郎の前世
流派:北斗神拳

 戦国時代(西暦1582年頃)の北斗神拳伝承者。霞拳志郎の前世。拳志郎が鎮魂の塔との語らいの中で見た過去のビジョンの中で登場。

 本能寺で焼き討ちに遭う織田信長の前に登場。信長が世に平和を齎す英雄になりうる存在の一人であったことを教え、北斗天帰掌にて天へと帰る信長を送った。


漫画内で名前は明らかにされていなかったが、2019年より稼動開始した「蒼天の拳 パチスロ 朋友」にて名前が明らかとなった。







 北斗神拳伝承者の宿命は、世に平和をもたらす英雄を守護すること。この時代においては織田信長が天に最も近いとして、その側で生き様を見届けていた。しかし1582年、信長は本能寺にて焼き討ちに遭う。ここが信長の最期だと悟ったこの北斗神拳伝承者は、信長は天に選ばれなかった者だとして、その死を北斗天帰掌で送った。

 ・・・ちょ、ちょっと待ってくれ。英雄を守護するんじゃないのか?アンタなら明智軍なんか楽勝で蹴散らして脱出させられたんじゃないのか?そのために側にいたんじゃないのか?

 だが彼によると「最後に覇者を決めるのは我らでなく、天!」であるらしい。つまり彼らが守護するのは「英雄になりうる者」ではなく「英雄になった者」という事なのだ。天下を目指す過程においては一切関知せず、ただ側で成り行きを見守っているだけ。そこに彼らの意思は介在しない、ということなのだろうか。北斗神拳を極めし男達が、そんな機械的な仕事ぶりで良いのか?

 いや、そうではない。北斗神拳伝承者の役目は英雄の守護だけではない。シュケンがそうしたように、平和への妨げになる者を暗に葬ることもまた彼らの仕事だ。つまり「英雄となる覇者」を選ぶのは天だが、「英雄になりえない覇者」を見極め、始末するのは彼ら北斗神拳伝承者の仕事なのだ。北斗神拳が806年に持ち込まれて以降、日本国が(太平洋戦争を除いて)特に大きな崩壊の危機に見舞われなかったのは、それを引き起こしそうな暴君を北斗神拳伝承者達が事前に始末していたからなのではないか。

 例えばこの伝承者は、信長の後は秀吉か家康が天下を取ると見抜いていたので、本能寺後は羽柴秀吉の側にいた可能性が高い。そして彼の見立てどおり、秀吉は天下を統一するが、その後徐々に狂っていく。そして1598年5月、秀吉は病に倒れ、その約3ヵ月後に死亡するのだが、これほどの実績を上げた人物のわりには彼の死因に関する文献は殆ど残っていないという。もしやそれは、最早この男が英雄にはなり得ないと判断した北斗神拳伝承者が、その手で秀吉の覇道を終わらせたからなのかもしれない。

 例え守護すべき存在であっても、世に乱をもたらすと判断すれば逆にその命を討つ。我々は、北斗神拳伝承者がそう決意した瞬間を知っているはずだ。そう、北斗の拳における天帝編である。天帝の守護星である北斗が反旗を翻したのは、決して裏切りなどではなく、この時代における天帝(の名を借りたジャコウ)が、世に害成す存在であると判断したが故の主君討ちだったのである。