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オグル



登場:パチスロ北斗の拳 新伝説創造
肩書:帝都の将軍 バットの師
流派:元斗皇拳

 『パチスロ北斗の拳 新伝説創造』に登場したオリジナルキャラクター。帝都の将軍。先代元斗皇拳伝承者の一人。通称「翠光のオグル」。老いてなお豪放磊落な性格であり、情に厚い男。

 かつて暴政を振るうジャコウに反目して帝都を離脱し、身分を隠したまま放浪の旅へ。各地で出会った仲間達と共に自らの領地を治めていた。そんな中、自らの非力さを嘆くバットと遭逢。大切なものを守るために強くなりたいと願うバットの心意気を認め、彼を鍛えることを決意。正体を明かさぬまま、拳法や兵法を叩き込み、やがて親子にも近い絆が生まれた。

 数年後、蜂起した北斗の軍なる組織の討伐命令を受けるが、その組織のリーダーがバットである事を知り驚愕。お互いの守るべきもののため、バットとの非情なる戦いに臨み、その成長を実感した。そんな中、背後から総督直轄軍が巨大な鉄矢を発射した事を察知し、身を挺してバットの盾に。最後の力をふりしぼり、背に刺さった矢を総督直轄軍に投げ返し、全滅させた。庇った理由を問われたオグルは、かつてバットが言った「大切なものを守りたい」という想いだと答え、自分にとってバットは息子同然だと告げながら絶命した。

 オグルとバットとの対決は、時系列的にはケンシロウが北斗の軍と合流する前の出来事となる。




 ラオウ様が御帰天なされたあと、わりと適当に荒野へと置き去りにされたバットとリン。そこからの数年間、北斗の軍を結成するまで彼らが何をしていたのかは不明となっているが、おそらくはある時期からリハクの加護の下にあり、その中でバットはリハクから戦いの指導を受けていたものと思われていた。特に北斗の軍が「神出鬼没」と評されるほどに戦が上手かったのは、リハクより叩き込まれた兵法がモノをいっているのだと信じていたのだ。

 しかしここに至り、事態は急変。2017年9月。北斗の拳のパチスロの中に新たなキャラクターが追加され、彼を紹介する一文にはこう記されていた。
『かつてバットを鍛えた男』と…。


 い、いや待て。確かに拳法はこの男が教えたかもしれないが、兵法はリハク発信に違いない。だって天才軍師ですよ?こんな脳筋ぽい奴よりは絶対にリハクのほうが・・・と思っていたら、解説の中にはしっかりと「拳法や兵法など様々な事を叩き込み〜」の文字が。結審は出た。もう既に無かったも同然だが、これにてリハクという男の存在価値は完全に消滅した。トドメをさしたのは、元斗皇拳 翠光の将 オグル。一つだけ彼に言わせて欲しい。「よくやった」と。


 演出やナレーションを見る限りでは、どうやら酒場で出会ったバットから悩みを聞くうち、大切な者(リン)を護りたいというその思いに共感し、鍛えることを承諾したらしい。出会った時点で既にバットが第二部開始時と大差ない年齢まで成長している点を考えると、育成期間はそれほど長くはないようだ。それを考慮するなら、短期間であそこまで鍛え上げたオグルの手腕は中々のものだと言える。
 それに比べてバットのほうは情けない。何故ならオグルと出会うまでバットは「非力な若者」とナレーションされる程度の実力しかなかったのだ。本気でリンを護りたいと考えていたなら、自己流でもいいからもっと早くから鍛えておけよと。ユダ編のときから自分の非力さを嘆いていたけど、嘆くばっかりであんまり自分からは行動しないタイプなのかしら?


 戦闘スタイルは、見た目通りの完全なるパワータイプのようだ。演出の中で使用する羅鬼剛雷も、自らの持つ闘気を一気に引き出して凄まじいパワーで敵を圧倒する短期決戦向きの奥義だと思われる。原作にも出てきた巨大な鉄の矢をぶんなげて総督直轄軍の装甲車を破壊する様は、まさに剛力の化身だ。
 だがその分、スピード面には難があるのだろう。本気ではなかったとはいえ、バットに攻撃をかわされて一撃を喰らわされているのがその証だ。総合的には元斗皇拳の中では下位の方だと思われる。まあ肩書きがまず「先代元斗皇拳伝承者の一人」ですしね。年齢的に拳士としてのピークは過ぎているのだろう。


 ジャコウのやり方が気に食わなかったオグルは、軍から離れ、素性を隠したまま各地を放浪。その中でバットと出会ったわけだが、その他にも各地で気の合う仲間達と出会い、彼らと独自のチームを作ったらしい。フリーの愚連隊のようなものだろう。
 しかし演出の中では、彼らはジャコウからの命令を受けて北斗の軍討伐へと乗り出している。つまりチームオグルが、いつの間にか天帝軍の所属になっているのだ。おそらくそれは、オグルという人間に惹かれた彼らが、オグルが軍務に戻る際、一緒に天帝軍入りしたからだと思われる。
 しかしオグルは、どうして一度離れた天帝軍に戻る気になったのか。おそらくそれは、旅で出会った仲間達と共に天帝軍を内から破壊し、改革するつもりだったからではないだろうか。無論そんな事をすれば天帝の命が危険に晒されることは必定。だがおそらくオグルは、天帝幽閉の事実を知らされていなかったのだろう。つまりはショウキと同じ・・・理由は不明ながら、ファルコがジャコウに言いなりになっている以上、部下である自分も従わねばならない状況にあったのだと考えられる。

 唾棄すべき状況を変える為に、オグルは軍に復帰し、クーデターに向けて爪を研ぎ続けていた。しかしそこに発令された、バット率いる北斗の軍の殲滅命令。命令無視して反逆の意思を悟られる訳に行かないオグルは、非情の戦いへと赴き、そこで"息子"のバットに己の夢を託して死を選んだのであろう。そしてもう一つ、オグルは己の大切な仲間達をもバットに託したのではないだろうか。つまり戦いの後、オグルの仲間達は、北斗の軍に入った可能性が高いと考えられるのだ。自分が犠牲になる事で、息子同然であるバット、そして大切な仲間達の命を両方救い、かつジャコウ率いる天帝軍を打ち倒す大きな勢力を作り上げる・・・。それこそが、豪快なるオグルが最期に描いた、繊細なるシナリオだったのではないかと私は思う。