劇場版のイメージ画を背景に、タイトルだけをドスンと置いたこの無骨感。
俺は以前、この感覚をどこかで味わったことがある。
そう、
ツクダホビーの再来である。
社名を聞いた時点でメランコリーになるあれだ。
参照:ツクダホビーSLG 北斗の拳レビュー
必殺技を一回出すために4工程ほど踏まされるといったような数々のキ○ガイルールによって激しい精神攻撃を受け、僅か1ターンプレイしただけで放り投げてしまったあの迷作。そのれっきとした続編である今作にも同様の恐怖を覚えずにいられない。
だが箱をあけた瞬間、その警戒心は緩やかに解かれた。
私の目に飛び込んできたのは、ミニマムな
メタルフィギャー。
実にツクダらしからぬこの激シブアイテムに思わず顔が綻ぶ。
ケンシロウ、トキ、ジャギの三名。中々の出来栄えだ。
おそらく盤上で使う駒なのだろうが、その程度のものにここまで拘るとは。
こちらは左から
レイ、シン、サウザー。
拳王様だけなぜか二種。
黒王号がちっちゃくてポニーみたいだ。ポニ王号。
ユダ、シュウ、リュウケン。以上十名。
高さ2cm弱のミニサイズだが、ズッシリとした重量があり、安定性は抜群。
ポーズもそれぞれ印象的なシーンのをチョイスしてるので見慣れた感がある。
ただ横から見ると
悲しくなる程にキャシャリン。
体が出来上がってない中学生くらいの厚みしかない。
足首に至っては画鋲の針くらいの太さしかなく、実際トキとシュウは届いた時点で両足とポッキリいっていた。
これを製作されたのは伊藤宏之氏なる方で、
ご自身のホームページの作品リストにも残っておりました。
お次はみんなお待ちかね!
キャラクター能力値表を見てみよう。
11名のキャラクターの各ステータスの一覧表。
この数字を眺めてるだけで十分楽しいね。
実際にゲームするより面白いんじゃないかな。
もう、やらなくていいんじゃないかな。
注目は真ん中辺りにある
CL(キャラクターレベル)。
これは
、間合・攻撃・防御・パワーを足した値であり、実質これが
ツクダホビーが採点した北斗キャラの総合力といったところだろう。
数字を大きい順に並べると
22…
ケンシロウ(後期)、ラオウ様、トキ
20…
リュウケン
19…
ケンシロウ(シン〜アミバ期)
18…
サウザー、ラオウ様(伝承者決定時)
15…
レイ
14…
シン
13…ユダ、シュウ
11…ケンシロウ(伝承者になる前)
10…ジャギ
8…アミバ、ジャギ(伝承者になる前)
となる。
割と納得の数字だが、
レベル18の2人は評価低すぎるかな。
第一話時点のケンよりサウザーが弱いってこたないわ。
最下位は仲良く
ジャギとアミバ。
各ステータスも全く一緒だ。仲いいなおまえら。
しかしこの最下位ジャギは修行時のもの。本編登場時のジャギのレベルは10あるので、
実質アミバの単独最下位である。
尚、カンの鋭い人はお気付きかもしれないが、
アミバだけメタルフィギュアが無い。
不思議に思って説明書を読んでみると
「アミバの駒は、トキのを代用して下さい」
というあまにりも非情な采配がふるわれていた。
レベル最低も合わせて、なかなかに酷い仕打ちである。
続いてこちらは前作にもあった
技一覧表。
北斗飛衛拳、南斗飛燕斬、朱雀展翔……
相変わらずアニオリ技が紛れ込んでいますね。
アニメ派としては嬉しいところ。
数字の意味はまだ解らないが、
北斗神拳奥義の中で「威力」の最高値が「5」なのに対し
断己相殺拳や天翔十字鳳の威力が「6」あるというツクダホビー独特の査定が面白い。
今回は
秘孔表もありました。
「必要秘孔ダメージ力」というのは、秘孔の破壊力を参考にした数値のようだ。
それはいいのだが「定神」や「建明」といったう
治療のための秘孔も混じってるってのは何故だ?ダメージ以外の秘孔もゲームに関わってくるのか?ちょっと楽しみになってきたぞ。
PCで漢字が出ない「新たん中」を無理矢理出そうとしてるのが涙ぐましい。
ただ、ここまで頑張ったくせに思いっきり間違ってるってどういうことやねん。
(正しくは壇の土へんを月にしたもの)
―――――はい!!
というわけで、部品紹介は以上!
楽しい時間はここまでだ!
いよいよ
ゲーム本編の紹介へ移るぞ!
お子様はベッドに入る時間だよ!
ただ勘違いしてもらいたくないんだけどぉ……
別にこのゲームで遊ぶことが嫌なんじゃないのよ。
クソシステムほどネタにしやすいし、それはむしろ大好物なのさ。
私が真に恐れているもの。
それは
説明書の不親切さにつきる。
これが世紀末覇者の説明書。
ボードゲームの取説とは思えぬ文字量である。
全く読む気が沸かない。
一方、こちらが先日レビューした
カサンドラ伝説の説明書。
2色カラーでイラストもふんだんに使用し、実に簡潔明瞭な説明がなされている。
ゲームの取説とはこれが本来あるべき姿だと私は思う。
ちなみにツクダの前作の説明書も、これと同様の文字だらけであった。
その難解さに加えて、洒落にならない箇所での誤字脱字が頻発していたため、ルールを理解するのに相当な時間を費やされる羽目になったのだ。
それでも前作の取説は
5ページに纏められていたので耐えられたが……
今回はなんと大ボリュームの
16ページ。
これはそう、苦手科目の試験前日のような感覚。
参考書のページをめくる前から、本の内容を理解する為に浪費する時間と労力を脳内で想像し、その辛さから笑いがこみ上げてくるほどの絶望感だ。
ただこの辛さは皆様には伝わらないであろう。
「難解と言ってもたかが16ページじゃないか」とか
「ゲームをしながら遊べばすぐ理解できるはずだ」と、
そう思われるに違いない。
だがコイツにはそういった常識は一切通用しない。
読んでも読んでも一向に理解できない・・・本当にこれは日本人に向けて作られたものなのか?これを一度でも誰かにテストプレイしてもらったのか?文字を追う毎に得られるのは、ルールに関する知識ではなく、製作側への怒りしかない。
実際
このゲームのレビューを書くために労した時間の9割8分は、取説とのにらめっこに費やした時間であった。
もう本当にわからなすぎて、
説明書をコピーして、読み終えたところをマジックで消していって、要点を別紙に纏めるという作業までしたくらいだ。
しかもその苦行の果てにあるのが、
このゲームをプレイする権利だからね。
これでどうやってやる気を出せと。
思えば無駄なエネルギーですよ。
それではここから、皆様にもその辛さを垣間見ていただこう。
説明書を開くと、まず目次があって、次に付属品の紹介。
そしてゲームの進行についての説明が書かれている。
ここまではいい。ここまでは普通。
まず最初に行うのは、工程@
「死兆星フェイズ」。
自キャラが
死兆星が見えるのかどうかを判定を行う。
その判定方法は、
@プレイヤー2人のキャラクターレベルを求め、
Aその差の数値を表に当てはめて「死兆星ポイント」を求め
Bサイコロを二回振って出た目の合計がその数値を下回れば死兆星が見える
という事らしい。
たった
3工程で済むとは……
ツクダにしては実に親切な仕様だ。
それでは早速判定に……
ん?ちょっとまてよ?
自分のキャラクター……って言われても
まだ何ひとつ決めて無いぞ?
まずどうやって自キャラ選ぶの?
その説明が無いと判定もクソもなくね?
どこにも書いてないんだけど?
ていうかそもそも
どういうゲームなのか説明されてないけど?
それ全部とばしていきなり「死兆星判定!」って言われても困るじゃん。
死兆星さんだって対象が誰かもわからないのに煌けるわけないじゃん。
……とは言っても今の私に出来ることは取説様の仰ることに従うことのみ。
仕方が無いので、まずはこの広大な取説文字群の中から、マイキャラの決定方法に関するヒントとなる記述を探すことに。冒頭からのとんでもない大停滞に早くも心が折れそうになる。
だがその答えはあまりにも意外なところから発見された。
その場所とは、
説明書の最後にあるゲームデザイナーの後書の中。
何故そんなとこに書いた!?
デザイナーさんのご意見によると
、「シナリオに従ってプレイするのが基本だが、カードを裏向けて抽選でキャラを選んでもいいよ」とのことらしい。
シナリオ……?確かそんなのも載ってたな。原作の各バトルを順に列記したものが。そのシナリオに準じて2人のキャラを選ぶということか。
でもそのシナリオも10以上あるんだけど、それは自由に選んでいいのかな?
どっちがどっちを担当するか決めるのはどうやんの?
……いや、もういい。
ツクダにそこまで求めるのは、甘えと言うものだ。
もうある程度自己判断でいこう。でないと終わらない。
というわけで今回のシナリオは
「死闘8 凶星炸裂」を選んだ。
マミヤの村での
ラオウ様vs
レイのバトルだ。
因みに今回は助っ人として、友人を呼んだ。京大の院まで出た男だ。
その男をもってしても全く説明書の意味が解らなかったのだから、単に私がアホで理解できないだけという推察はやめていただきたい。
というわけで私がラオウ様、友人がレイを担当して進めていくことにする。
さて……えーと何だっけ、そうそう、
死兆星の判定だったね。
まずは
「@双方のキャラクターレベルを求める」。
キャラクターレベルってのは先程キャラクター能力表の紹介の中で紹介した「CL」の事。間合・攻撃・防御・パワーを足した値の事です。ただこれも説明書の相当後ろのほうにサラッと書かれているため、実際にこの数値を求める方法を調べるまでに20分は要した。何故後ろに書くんだ。何故なんだ。
ラオウ様のレベルが22、
レイのレベルが15なのでその差
「7」。
死兆星ポイント表によると……
相手とのレベル差+7のラオウ様は、サイコロ2回振って合計2以上、
レベル差−7のレイは、合計8以上を出せば
死兆星の点灯を回避できるらしい。
つまりラオウ様は、レイ如きが相手では100%死兆星は点かないってことね。
結果、二人とも指定の数字を上回り、今回は死兆星煌かずということになった。
うん……ところで……
もし死兆星点灯ならどうなっていたのだろう?
気になって次の項目に目を通してみると
そこには信じがたい一文が記されていた。
この死兆星判定は、ゲームの開始時に1回のみ行います。
また、この判定は行わなくてもかまいません。
死兆星が見えても、見えなくとも戦闘には影響あまりせん。 |
は?
行わなくて……いいの?
影響……ないの?
じゃあなんで判定させたの?
俺が費やしたこの一時間半は何だったの?
しかし
「影響あまりせん」という誤字から判断するに、もしかしてこれは「"あまり"影響ありません」の打ち間違いであり、多少は何か影響はしてるんじゃないか、流石に全く進行に関係ないものをポイント表まで作って判定させたりする筈が無い、と思い、もう一度説明書を隅々まで目を通して見たが、
その後の文字群の中に一片たりとも「死兆星」の文字は無かった。
本当にゲームに全く関係ないでやんの。