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第三十五話
あの日の少年 |
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修羅の国から帰還したケンシロウが向かったのは
ラオウ様の御子息であらせられるリ |
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ハッ・・・・!
どうやら俺は気を失っていたらしい。
ここ数日の記憶が完全に消えてしまっている。
今、俺の目の前にあるのは、ケンシロウがユリアの墓に参る光景。
ケンシロウがカイオウを倒した後、ここにたどり着くまでになんかいろいろあったような気がするのだが、どうにも記憶がハッキリしない。
無かったといえば
無かったような気もする。
うん、きっとそうだ。そうにきまってる。
気にせずゲームを進めるとしよう。
ユリアの墓の前で待っていたマミヤからもたらされたのは、リンとバットの間に起きた哀しき報せであった。だがケンシロウは「想い出が多い」とかいう、またもやH2Oの曲みたいな言い訳をし、二人に会うことを拒否。
「ケ・・・ケン! なぜ貴方って人は女の心がわからないの!」という、読者の声を代弁したマミヤの詰りも右から左へと聞き流し、ケンは再びあてのない旅へと出るのだった。
だがその道中、相棒であった黒王が突然の死を迎え、更には女の敵であるケンシロウに向け、遂に神(ユリア)が天罰を下す。
そこは黒王のケツ!
その後―――
かつてバット、リン、そしてケンシロウが出会った村の跡地にて、三人は奇跡の再会を果たした。だが、リン、そしてケンシロウからも、その記憶は消え去っていた。
ならばふたりとも今は空白!
何が起ころうが今からの歴史!
そう考えたバットは、駆けつけたマミヤと共に、二人を残してその場から姿を消すのであった。愛するリンの幸せを願うが故に・・・
と、ここからオリジナルパートに突入。
野盗に襲われる村へと差し掛かったバットとマミヤは、そこで幼い二人の子供と出会う。かつてのリンとバットを見ているかのようなその二人を守るため、二人は暴れる野盗たちに立ち向かう―――という、お話が始まった。
何のためのエピソードか解らなかったのだが、どうやらこの章の内容が原作一話の繰り返しであることから、それを更になぞる事で
より一層プレイヤーの懐かしさを煽ってやろうという魂胆らしい。
まあその発想自体は別にいいんだけれども、この少年がなぞってる、「ケンがサザンクロスに入れるためにバットが門を開けようとするがドジって敵に見つかって危ない目に遭う」という内容は、
真無双オリジナルのエピソードであり、そんな思い入れもクソもないようなもんを再放送されてもこちとら全く何の感情も沸きあがっては来ないのであった。
そんなKTの自己満イベントが終了した後は、原作に戻り
ゾルド軍の縄張りへ。
と、ここでマミヤの口から気になる一言が。
マミヤ「この先は確か凶暴なゾルド軍の縄張りのはず」
え、凶暴なの?それは初耳なんですけど。
ていうか少なくとも私にはゾルド軍にそれほど悪しき徒党のイメージ無いんだよなあ。だってゾルドさんてそんな悪そうな人じゃないですやん。分別ありそうなお顔してはりますやん。
と思ったけど、メンバーがこれじゃ駄目だわ。
まじりっけ無い100%の暴徒集団ですわ。
あのボルゲが生きている―――。
ケンシロウに深い恨みを抱くその男の存在は、ケンとリンの幸せを願うバットにとって、最も気憂すべき存在であった。そんな彼が選んだ、全てを上手く収めるための方法・・・。それは、自らの胸に七つの傷をつけ、己が「ケンシロウ」となりてボルゲに戦いを挑む事であった。たとえその果てに死ぬこととなろうとも・・・
「俺はケンシロウだ! 出てこいボルゲ!」
たむろするボルゲの大軍勢を相手に、真・北斗無双伝説編のラストとなる無双を繰り広げるバット。そんな偽ケンシロウの声に呼応し、遂に
ボルゲがその姿を現す。
卑猥なモノに見えるのは私の心が汚れているからでしょうか。
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第三十六話
さらば愛しき者たちよ |
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ただ全力でふるうムチと化した多頭凶蛇棍を攻略し、あと一歩にまで迫ったバットであったが、憎しみに突き動かされるボルゲの執念を打ち破ることはできなかった。
やはりオレはケンになることは出来なかった。
もはや己に出来ることは、自分がケンとして死ぬことのみ―――。
磔にされた「ケンシロウ」への、凄惨な拷問を開始するボルゲ。
先端に刃をつけた電動ドリルが、バットの肉体を掘り抉る。
だがその地獄の責め苦にも、バットは声を上げようとはしなかった。
ケンならば、きっとこんな事で声を上げたりはしない・・・
せめて最期くらいは、憧れであるあの人を演じきり、死んで生きたい。
それが、ケンシロウの"弟"であるバットの、最後の意地であった。
その様子を物陰からみていたマミヤもまた、死を覚悟していた。
ボルゲを倒せぬのなら、せめてバットを楽に死なせてやりたい・・・
そう思い、バットの心臓目掛け、ボウガンを構えるマミヤ。
だがその時、起こるはずのない奇跡が起こった。
未だ記憶の戻らぬケンシロウが、この危機に駆けつけたのである。
だがそれは、バットの本意ではなかった。
未だ完全ではないケンでは、ボルゲに勝つことは難しい・・・
もしここでケンが死ねば、俺は何のために、そしてリンは―――
バットの焦慮通り、ボルゲの多彩な攻撃の前に、押され始めるケンシロウ。
ボルゲの突きたてる刃が、ケンの顔前へと迫る。
(ケン!ケン!ケン! 死んじゃだめだ、ケン!)
ケ―――――――ン ! !
ここは・・・?
あれは・・・?
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「お、お前は・・・!」 |
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「すべてを忘れろ
お前は何も思い出さなくていい・・・・・・」 |
意識の世界に現れた、もう一人の「自分」
過去を取り戻すことを阻止せんとする「自分」
今の己には持ちえぬ拳、力、技を備えた「自分」
この男は誰なのか
この拳はなんなのか
彼は思い出すことができなかった
しかし、彼の肉体は、確かに記憶していた
己よりも強い相手との「闘い」を・・・
幾多もの傷と共に身体へと刻み込まれた、強敵達の拳・・・
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「ケン、生き続けろ、死ぬなよ・・・
今の時代、お前が必要なんだ!
涙を笑顔にかえるために」 |
レイ・・・!
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「行け、ケンシロウ、そして時代を開け
私はいつでもお前を見ているぞ」 |
シュウ・・・!
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「ケンシロウ、この魂はお前に残そう
そしてこの肉体はラオウとの死闘に捨てよう」 |
トキ・・・!
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「わが生涯に一片の悔いなし!」 |
ラオウ・・・!
そうだ・・・確か俺は
かつて何人もの男と戦った・・・・・・
その男達と命をかけて戦い、
戦いの中で俺は成長した・・・・・・
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「戦わねばならぬ敵がいる・・・・・・
救わねばならぬ人間がいる・・・・・・」 |
ファルコ・・・!
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「こ・・・・・・殺させぬ!
この男だけは命にかけて殺させぬ!」 |
シャチ・・・!
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「ケンシロウ・・・・・・俺は・・・・・・・
お前が帰ってくるのを待っていた」 |
ヒョウ・・・!
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「もっと早くお前と出会っていたなら・・・・・・
俺は俺の宿命に素直に・・・・・・」 |
カイオウ・・・!
俺は・・・・・・強く哀しい男の生き様を・・・・・・
自分の中に刻みつけた・・・・・・
そして、哀しみを怒りに変え
その男たちを凌駕していった!
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「ケン! リンを再びあんたに会わせたかった!」 |
バット・・・!
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「ケ・・・・・・ケーン!」 |
リン・・・!
俺は立ち止まらぬ・・・・・・
強敵のため・・・・・・
そして愛しき者たちのために!
おおおおおおお!!!
あーたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
ほわったあああああ!!!!
復
活
!
すまぬバット!
俺のためにそこまで!
ドボワァァン
死なせはせん
お前は俺にとって弟だ!
良い
とてもいい。
カイオウ死後のストーリーに漂うどことない間延び感を打ち消し、このボルゲ編がラストであることの必然性を大幅に高められている。ラスボスがボルゲであるということの物足りなさも見事に解消した、素晴らしい演出だ
でもー・・・
こういう「精神世界での自分自身との戦い」って結構漫画とかでよく目にする演出ですけど、これって
呪い的なモノを打ち払う時によく使われる手法だと思うんですよ。それも相当な悪意や憎しみが込められた、ややこしいやつですよ。
でもケンさんの記憶喪失って、そういうんじゃないじゃないですか。
ユリアがよかれと思ってやったことじゃないですか。
だからその、なんていうか、これだと
ユリアが大悪魔になってしまうというか・・・
まああながち間違いでもないけどね。
雷落として人間の記憶を消すなんてのは完全に人外の所業やからね。
一番ラスボスに相応しいのは、拳王様でもカイオウでもボルゲでも、ましてやもう1人のケンシロウでもなく、彼女なのかもしれんな・・・
その後、蛇足感すら漂うボルゲ戦を消化。
そのまま原作の流れを最後までやって
これにて終了!
オレの墓標に名はいらぬ!
死すならば戦いの荒野で!
そしてスタッフロールへ
ED曲は、V6が歌う
「ROCK YOUR SOUL」。
年越しのジャニーズライブでも歌ってましたね。客ポカーンでしたが。
前作の北斗無双のイメージソング二曲はそれぞれマミヤ、ユリアのキャラソン的な歌詞になっておりましたが、今回はそのような演出はないぽい。
強いて言うなら
脱引きこもり応援ソングのような歌詞だと思った。
そしてエピローグ。
こんなラストのラストまでちゃんと作ってくれてるのは嬉しいね。
最初から最後まで全部やってやろうという思いがひしひしと伝わってきます。
全部・・・・やったっけ?やったよね?
「
お〜〜邪魔するヤツあ〜〜〜つぶすぞ!!」
「べへっ」
「おまえはすでに死んでいる!」
- 完 -
と思わせといて
カメラをドーン!
蛇足ぅ〜!
-終-