第十章 凶王の陣
ユリアがスフィア・シティ内にいることはわかったものの、どうせ中に入ることはできないし、サウザーやジャギの相手したり、借金返済などで忙しかったんだと自分に言い訳をしながら、問題を放置し続けてきたケンシロウ。
だがこれ以上先送りにすることはできない。
人類滅亡へのカウントダウンは既に始まっている……
核ミサイルの発射を止める方法は、ただひとつ。
スフィア・シティの扉を開くことのできる唯一の男、
ナダイ。
彼を探し出すことが、ケンシロウに課せられた急務であった。
そんなナダイに関する重要な報告をするため、関係者(2名)を集めたケンシロウは、推理ドラマの解決編が如く、導き出した名推理を披露する。
かつて凶王がジャグレに使ったのは
冥斗鬼影拳。
そしてラオウによると、ナダイが使う拳法もまた
冥斗鬼影拳。
つまりエデンを脅かす
凶王なる男の正体。
それは―――――
エデンの創始者にしてキサナの父、
ナダイ!
それが、ケンシロウのたどり着いた答えであった。
え〜? う〜ん……
ちょっと根拠が弱くない?
これ犯人のミスリードに引っかかったパターンじゃない?
ダメ刑事(演:生瀬勝久)によるお粗末な推理っぽくない?
確かに拳法は一致しているけど、冥斗鬼影拳の使い手が一人とは限らないよね。同門の拳士や弟子という可能性も考えられるし、そんな奴が暴走して凶王となったので、ナダイはそれを止めようとしてる、なんて事情があるのかもしれないじゃん。
それに山頂で戦ったとき、ナダイは
例のあの手の形を作っていなかった。つまり同じ冥斗鬼影拳と言えど、ナダイと凶王のそれは別物……。ナダイは電撃に、凶王は精神崩壊に、それぞれの拳を特化させたとは考えられないだろうか。
と、私は私なりに推測し、凶王=ナダイ説を疑問視していたのだが……
ふと、メニューから見られる
登場人物紹介をのぞいてみたところ
「凶王の正体はエデンの創始者であるナダイ」
との一文が、いつの間にか追記されていた。
生瀬勝久は……ワイのほうやったわ……
しかしこれで捜査は一歩前進。
ナダイが凶王だというなら、
凶王軍を探せばいい。
そこに必ずナダイはいるはず……
だが、これまで何度もエデンに攻撃をしかけてきたにもかかわらず、凶王軍という組織は未だ謎多き集団……。奴等のアジトの場所について、キサナもジャグレも、全く見当がつかないのだという。
捕まえた凶王軍を無罪放免で逃がすからだろ。
仕方ないので、ジャギ編に続き、再び聞き込みで情報を集めることとなったケンシロウは、
かつて凶王軍にいた男との接触に成功。
男の話によると、凶王軍という組織は、
根城を持たずに常に移動しているという。そして荒野の真ん中に駐留して陣を張り、暫くしたらまた移動を繰り返すという渡り鳥のような軍団であるため、彼らが今どこに居るのかはわからないらしい。
しかし話によると、凶王軍の移動ルートは、
「荒野の賢者」と呼ばれる老人の助言によって決められているという。
「荒野の賢者」……
ここにきて凄い仰々しい綽名のキャラが登場してきたな……
まさかこいつが真の黒幕なのか?北斗初のジジイラスボスあるか?
その者は、普段は
岩山に暮らしているとのこと。
もしかしてまた山登り?とウンザリしながら現地へ赴くと……
なんか見えてきたぞ?
バグみてーな岩が。
まさかこれ登るんじゃないよな・・・?
※登りませんでした
今回は車で行けるとの事で一安心するも、やはり一筋縄ではいかない模様。
山道の入口は、
明らかに人為的に置かれた岩に遮られていた。
「岩ぁ?そんなもんケンなら一撃だろ!」
と思われる方もいるかもしれない。
しかし、とある世界線においては
ケンシロウが岩に潰されて死ぬというケースも確認されているので油断は出来ない。ここは念には念をいれて、別の解決方法を探すのが良いだろう。
というわけで、今回も
バギーをカスタムして何とかするぞ!
以前のトゲトゲ路面は、
「トゲトゲホイール」によって攻略することができた。
では今回の「岩石」はどのような方法で攻略するべきか…?
答はもちろん
トゲトゲだ!!
トゲトゲバンパーで岩を粉砕するのだ!
この世界ではトゲさえ生やせば大抵の事は解決するのだ!
思い出してほしい。拳王様がレイを圧倒し、ケンシロウを一蹴したときの兜はどんな形状だったか?そう、
トゲトゲ兜だった。あれを脱いでしまったが故に、その後のトキ、ケンシロウ戦で苦戦を強いられたのだ。
そして
フドウの肩当もトゲトゲだった。彼が拳王様に二度も恐怖を感じさせることが出来たのは、鬼の闘気や哀しみの瞳ではなく、トゲがあったが故なのだ。
そしてケンシロウがヒョウと闘った時、彼の肩当はいきなり
トゲトゲにモデルチェンジされていた。その甲斐あって、彼は難攻不落の奥義・暗琉天破を打ち破ることができた。無重力空間だの、遠心力で位置を確保だのは全く関係ない。全ては肩当からトゲが生えていたからこそ、彼は宿命の兄弟対決を制することができたのである。
嘘が止まらないので
ドーンと先に進むことにする。
いた!お前が
「荒野の賢者」だな!
荒野の果てで孤独に暮らすフードの老人……
まさにオビ=ワンが如きキーパーソンの臭いがするぜ!!
早速話を聞いてみたところ、どうやらこの老人は、ナダイがエデンにいた頃から臣下として仕えていた人物であるらしい。
しかし、彼が凶王軍の移動先を決めているというのは
真っ赤な嘘。
老人の仕事は、エデンの状況をナダイに報告することだけ……。
彼が凶王の陣に赴くのも、ナダイから呼び出されて行っているだけ。
故に、
凶王軍が今どこにいるのかは全くわからないという。
お、おう……そうか……
ただまあ、これはアレだ。
本命の情報を持ってない代わりに超重要な情報をくれるパターンだ。
なんたって
「賢者」なんだから、
賢い者と書いて賢者なんだから。
いっぱいモノ知ってんですよ。ねー!
スフィア・シティに裏口があるとか、冥斗鬼影拳の弱点とかいったような、ストーリーの根幹に関わるような特ダネ情報をいただけるんですよね?
あ、無いの? 全く?
ホントに?
山奥にテントを張ってひっそり暮らしてる
かつて王の側近だった「賢者」に
バギーを改造して必死で会いにきたのに
有益な情報ゼロ?
そんなことある?
あまりにも意外な大空振りに心身ともに疲れ果て、無念の帰宅をはたすケン。
だがその頃エデンでは、
既にライラがナイトクラブの情報網を使って凶王軍が陣を張る場所をつきとめてくれていた。
マジで何だったんだ賢者……
マジで何だったんだ賢者!!