短期バイトをこなしつつ、
ナイトクラブへと到着したケンシロウ。
ほう、ここがそのナイトクラブ……
キャバレーみたいなもんかな。
いや、行った事は無いけど。
ふむ……
ほう……
会員証はどこで作れますか?
危くご新規一名として来客しそうになってしまったので、理性が残っているうちに支配人である
ライラと接見。額にホチキスの跡がある彼女から
レイとの決闘許可を貰うことに。
二人の闘いは「裁判」という名のSHOW。
それは、このエデンの人々にとっての一大イベント。
当然、その勝敗は賭けの対象もなっているため、運営側の利益のためにも勝手に闘う事は許されず、イベントプロモーターであるこのライラさんへの許可が必要不可欠なのだという。
それはまあ別にいいんだけど、
賭け率が気になるよね。
みんなレイの事知らないだろうから、
ケンシロウ:1.1倍、レイ:30倍くらいの圧倒的な差がついてそう。レイが更に怒らなきゃいいけど
ともかく、ようやく許可も得られたことで、遂に対決の時が訪れた。
ケンシロウとレイ。
別の世界線では、人質をとられ、望まぬ闘いを強いられた二人。
だがケンこそが妹を浚った犯人と確信する今のレイに、逡巡はない。
今初めて、
本気の南斗水鳥拳がケンシロウに牙を剥く。
開始を待ち焦がれる観客達が二人に歓声を送る。
そんな中、キサナとリハクだけは、神妙な面持ちで二人を見守っていた。
経絡秘孔により内部からの破壊を極意とする陰の北斗神拳。
それに対し、外部から突きいれ全てを破壊する陽の南斗聖拳。
その南斗聖拳の中でも最も華麗な拳を持つという
南斗水鳥拳が相手となれば、ケンシロウとて苦戦必死。この闘いは壮絶なものになる――――。
そう言って、ご自慢の知識をひけらかしドヤるリハク。
しかし、キサナは知っていた。
この非情なる闘いを扇動したのが、誰なのかを。
キサナ
「むごいことをするものです」
リハク
「……何のことでしょう?」
キサナ
「レイさんに「胸に七つの傷がある男」がエデンにいる事を教え……彼がエデンに来るように仕向けたのは……」
な、な、な、
なんだってぇ――!!!!
貴様ァ、遂に本性を現しやがったな!!
何が目的だ!牙大王と同じく、二人の相打ちか!!
そして二人がいなくなった後でエデンを乗っ取るつもりか!!
医者に化けて潜りこんだのはそのために違いない!!
その後はユリアを幽閉して
慈母星の最も信任厚き総督リハクとして実権を握り圧政を振るうという野望を描いてやがるんだろう!!
チクショウ!許せねえぜ!
ケン!諸悪の根源はここだ!気付いてくれケ――――ン!!
そんな巨悪の存在など知る由も無く、視線をぶつけあう二人。
血染めのケープを見せ、惨劇の事を語った後、レイは改めて問うてきた。
「答えろケンシロウ……貴様がアイリをさらったのか!?」
だが身に覚えのないケンシロウは、首を横に振るばかり。
そんなケンに対し、レイは原作でマミヤをすっぽんぽんにした
南斗セクハラ拳でケンシロウの上半身を露にする。
それは女性の乳首を出せない今のコンプライアンスに負けて男で妥協したわけではなく、ケンの胸に刻まれた「傷」を確認するためであった。
両親を殺し、妹アイリを連れ去った男の証である、
七つの傷を――――。
最早どう言い繕おうが、今のレイに言葉は届かない。
闘いが不可避である事を悟ったケンシロウが、半身に構える。
「……いいだろう、かかってこい」
「だが奥義を尽くさねば、この俺は倒せんぞ!!」
……と、上から目線で言ってみたものの……
つ、強―――い!!
メチャメチャ強いぞ!
こ、これが本気の南斗水鳥拳……!!
今まで戦ったどの相手よりも強く、そして早い!
それでもなんとか半分程まで体力を削ると……
きた!!南斗水鳥拳奥義
飛翔白麗!!
最強奥義を惜しみなく出してきやがった!
対するケンシロウも北斗飛衛拳で迎え撃つ!!
交錯する両雄!!
ぬああああああああ!!
カッコよすぎる!! 死ぬ!!
ていうかQTEに失敗すると
ガチで死ぬ!
レベル20未満なら体力4/5ほどもってかれる威力!
しかし、おざなりに血を出すだけじゃなく、ちゃんと
両肩に傷のテクスチャを付けてくれてる所が素晴らしい!この1シーンのためだけにわざわざ!さすがセガ!
でも2本傷はおかしくない!? 1本でよくない!?
しかし一番厄介なのは、この
金網から超高速で斬りかかる技。
バル○グ!?バル○グなの!? フライングバルセロナアタック!?
ストIIの映画で塩沢さんが声やってたから!? 中の人繋がり!?
だがレイよ。調子に乗るのもここまでだ。
「一度見ただけで相手の技を見切ることができる」
それがケンシロウの持つ特殊能力。
おまえの技、既に見切った!
この急襲技を可能としているのは、南斗水鳥拳の強靭な脚力。
金網を蹴る際の驚異的な瞬発力が、あのスピードを生んでいるのだ。
ならば……
その瞬発力を発揮できなくすればいい!
金網全部ぶっ壊せ〜〜!!
針金一本もこの世には残さぬ!!ふはははは〜〜〜!!
※マジで有効な戦法です
その甲斐あって、勝負は
ケンシロウの完勝に終わった。
少なくともムービー上ではケンは傷ひとつ負っていなかった。
レイの持つ宿星は義星。
己ではなく、誰かの為に生きる星。
愛する者の為に拳を振るうとき、その星は最も輝きを増すという。
だが今のレイは、憎しみに支配された餓狼。
妹アイリへの強き想い、そしてそれを奪った者への憎悪によって精細を欠くレイの拳では、南斗水鳥拳の華麗さ、そして真の強さを引き出すことはできなかった。
満身創痍―――。レイの身体は、もはや戦える状態ではなかった。
だがそれでも、再びレイは立ち上がってきた。
「アイリは……アイリはどこだ!」
「貴様が吐くまで、ぜ、絶対に諦めぬ!!」
悲壮感すら漂わせながら、再びケンシロウに拳を構えるレイ。
拳を交えれば、相手が悪人かどうかなど、レイならば直ぐに判別できた筈。
だが全身が怒りで満たされた今の彼に、真実を見定める余裕は無かった。
命を捨てた、レイの最後の攻撃がケンシロウに襲い掛かる。
だが、その時――――
「そこまでだ レイ、ケンシロウさん」
ぬな―――っ!?
お、お前は……
か、か、か、
風のヒューイ!!
馬鹿野郎!公式サイトで出演予告されてない奴がこんなタイミングで登場してくるんじゃないよ!ビックリしすぎて変な声出たわ!
ていうかお前が
ケンシロウとレイの闘いを仲裁だと!
その身分不相応な大仕事に一番ビックリだわ!!
でもなんか……なんか良かったな!!
「二人が戦う理由はもうありません」
そう言って、レイの視線をリング外へと誘導するヒューイ。
そこにあったのは………
あ――――っ!!
シュレンだ!!
じゃなくて!
アイリだ!!
まさか……
五車星がアイリの居所を突き止めて保護したということか!?
すげえじゃねーか!見直したぜてめーら!やるじゃん!
まあ
原作で牙一族が簡単にやり遂げてた事ではあるけれども!
アイリを浚ったのは別の人物――――。
ヒューイより真実を告げられたレイは、ケンに慙愧の表情を向けた。
だがケンシロウは、黙ってレイを促した。彼の抱擁を待つ、妹の下へ。
多くの哀しみと血の果てに、遂に再会を果たしたレイとアイリ。
万感の思いを込め、今、兄の両腕が、妹の細い身体を抱き留める。
こんなん泣くに決まってるだろ
ケンシロウとレイ。二人の無益な戦いは終わった。
リハクが2人を戦わせた理由。それは、
ケンの力を確かめるためであった。
ケンシロウは、かつてシンに敗れ、婚約者であるユリアを奪われた。力をつけて復讐は果たしたが、再び誰かに不覚をとらぬとも限らない。今の彼に、ユリアを護りきれる器量があるのか、それを確かめるため、リハクはレイをケンシロウにぶつけたのだった。
「ユリア様が幸せである限り、我らの出番はありません」
ケンシロウの力が本物である以上、もはや五車星はお役御免。
そう言ってリハクは、静かにエデンから姿を消したのだった。
ぬぬ……くそ……
リハクのくせにチョット格好良いじゃねえか……
確かにリハクの言うとおりだ。原作でケンシロウが五車星と絡み始めたとき、既に彼は
「ラオウと引き分けた」「聖帝を倒した」といった実績を持っていた。だからこそリハクらも無条件でケンシロウを認めていたのだろう。
だがこのゲームでのケンシロウは、まだシンやウイグルを倒しただけ。
安心してユリアを託せる男なのか、見定めなければならなかっただろう。
……だけどな、
そのためにレイを利用したのはどうなんだ?
こんなタイミングよくアイリが見つかったとは思えん。
多分リハク達は、とうの昔にアイリを保護していたのだろう。
しかし二人の対決を実現させるため、今まで隠していたのだ。
つまりリハクは、
もっと早くレイとアイリを再会させてやれたのに、自分達の都合でそのタイミングを遅らせ、その分だけ永くレイを苦しめたということだ。
前言撤回!
レイの想いをオモチャにしやがってこのドグサレ軍師!
ゲザだゲザ!三つ指ついてレイに謝りやがれ!額を地面にこす……
……あれっ!もう居ねぇ!
なにがお役御免だ!テキトーこいて逃げやがったなあのヤロー!