再会編
章元帥から身を隠さんと日本大使館へと向かう李秀宝は、ある店に飾られていた一枚の写真に目を奪われた。そこに写っていたのは、通師である拳崎と、その横で笑う自らの姿であった。失われた過去の記憶がこの上海にある―――。そう確信する秀宝であったが、拳崎はそんな彼女にこう告げた。
迎えた運命の日―――。目覚めた大川は、何者かによって届けられた"贈り物"の存在に気がついた。それは、彼の息子の殺した馬賊・宇占海の首と、自らの胸に残された北斗七星の血痕であった。それは、「彼女を殺すな」という、死神からの手土産に他ならなかった。
店を訪れた李秀宝は、目に飛び込むもの全てが懐かしいような感覚に襲われていた。聞き覚えのあるピアノの曲… 幼馴染である楊美玉との思い出… そして青幇の仲間達の顔ぶれ…。失われた記憶が、次々と彼女の中に蘇る。残るは今ピアノを弾く、己の"恋人"の名前だけ―――。突如現れた章の刺客が、その"恋人"に向けて刀を振り下ろした瞬間、玉玲は無意識に叫んだ。
|
| ≪張太炎編 | 章烈山編≫ |