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ブランカ編
(228話〜236話)
野獣達を操りサヴァを襲わせていたのは、やはり隣国の国・ブランカであった。サヴァを狙うブランカ兵達に遭遇したケンシロウは、北斗神拳で撃退するが、致命の秘孔を突かれたにもかかわらず、彼等はしぶとくその身を起こして攻撃してきた。狂信者の国、ブランカ。彼等が命を賭けてまで信仰する神とは・・・
通りがかったサトラにブランカの事を伝えるケンシロウ。だがサトラはその事実を信じようとはしなかった。ブランカは温厚な民が暮らす国であり、その国の王女ルセリはサトラの許嫁だったのである。だが辿り着いたケン達が目にしたのは、変わり果てたブランカの姿であった。国を、そして民達の信仰を変えたもの。それはバランという一人の男の登場であった。彼が持つ奇跡の力に、人々は心酔させられていたのである。その日もバランは、呼吸をしなくなった赤子の息を見事に吹き返らせるという奇跡を起こした。だがケンシロウは、その奇跡の正体が秘孔である事を見抜いていた。
バランがサヴァを滅ぼそうとした理由。それは王女ルセリへの愛であった。彼女の心を手に入れるためには、許嫁であるサトラの存在が邪魔だったのである。バランに国を乗っ取られ、一度は死を決意したルセリであったが、サヴァの三兄弟の諍いが終ったとの知らせが彼女に希望を与えた。サトラが考えを改めること。それがルセリがサトラと約束した婚約の条件だったのである。サトラ達を変えたという北からの流れ者。その男を遣わせたのもまた神の導きに違いない。そう言って神に祈りを捧げるルセリに、バランは激怒した。バランにとって「神」は、憎悪すべき存在なのであった。
囚われていたブランカの王族達を救ったケンたちは、そのまま地下を伝い、バランの居城へ。王の間に捕らわれたルセリを助けようとするサトラであったが、それを阻んだのは怒り狂うバランであった。ルセリが神の遣いと信ずるケンシロウを標的と定め、攻撃を仕掛けるバラン。彼の使う拳は、限りなく北斗神拳に近いものであった。
バランにはかつて、ユウカという名の妹がいた。彼女は病に伏していたが、バランが薬を手に入れてきても、決して飲もうとはしなかった。それが人を傷つけて手に入れてきたものであることを知っていたからである。祈れば必ず神様がなんとかしてくれる。そのユウカの意志を汲み、必死に祈りを捧げるバランであったが、彼女はついに帰らぬ人となった。そしてバランは悟った。神などという偶像にすがっても無駄である事。全てはまやかしである事を。そして数年後、バランはルセリと出会った。その容姿、そして神への信仰心までも妹ユウカの生き写しである彼女もまた、妹と同じ運命をたどることになる。それを防ぐには、己が神を超えた存在となり、ルセリを従わせるしかない。それが、バランが神を超えし者としてブランカに光臨した理由なのであった
バランが目指す、神を超えた存在。かつてそれを唯一実現させた男をバランは知っていた。その名は拳王。バランが身に着けた拳も、全てその拳王から学んだものであった。しかし、バランは知らなかった。彼の未熟な拳では、決して神を超えることは出来ない事を。自らの北斗剛掌波を霧散されたバランは、ケンシロウより放たれた真の剛掌波により、その身を吹き飛ばされたのであった。
最後に人を救うのは暴力ではなく、愛。その事を知っていたラオウは、自らの暴走を止めるため、俺の拳の前に倒れることを望んだ――――。ケンシロウの口から語られたその事実を、バランは信じることが出来なかった。バランにとってラオウは、まさしく神を凌駕した男だった。神に復讐がしたい。そう言ってラオウに弟子入りを求めたバランは、ラオウと行動を共にし、その拳を盗んでいった。だがある時、両親を失って立ち尽くす少女に、バランが情をかけたのを見て、ラオウは言った。その少女を殺せ。情を捨てずして神に復讐など出来るはずが無いと。こうしてラオウに切り捨てられたバランは、その教え通り、情を捨て去る生き方を選んだのであった。だからこそバランは、ラオウが己の生き方を否定したという事実を信じることが出来なかったのであった。
ルセリを人質にとり、サトラにケンを殺すよう命じるバラン。だがその愚行を制したのは、リュウであった。リュがバランに向けた哀しみの瞳。それは、かつてラオウが少女を殺すよう命じたときに一瞬見せた目と同じであった。ラオウはバランの中に、己と同じ弱さを見ていた。だからこそラオウは、バランに己と同じ運命を辿らせぬ為、彼を切り離したのである。振り上げた拳を、バランはゆっくりと降ろし、負けを認めた。リュウの哀しみの瞳に、バランの氷の心は粉々に打ち砕かれたのであった。
自らの過ちを正さねばならない。そう言ってブランカの王を解放したバランは、己の部下に対し、自らを処刑するよう命じた。磔にされたバランは、奇跡を起こすことなく、哀れに命乞いをしながらその身を矢で貫かれたのであった。光帝バランという呪縛にとらわれた民達の心を解き放つために・・・。その凄絶なる死に様を見届けたことで、リュウはまたひとつ男として成長するのであった。
・ブランカ編
時代を先駆けて妹萌えに走り、神を名乗った男、バラン。うーん、凄く痛々しい奴に聞こえるな・・・。今回はそんなアブノーマルな男の生き様を描いた物語である。
リュウの目的は父ラオウの生き様を知り、その偉大な男を超えること。しかしリュウはその伝説を目に出来なかったため、伝聞によってしか知りえる方法はなかった。バランは、そんなリュウの前で、見事に劣化版ラオウとして、その死に様を見せ付けてくれた。
しかし、劣化版といっても限度がある。彼をラオウ様と重ねるのはあまりに酷だ。お粗末な奇跡ショーで信者を増やしたり、追い詰められてルセリを盾にとってみたりと、あらゆる点で人間として小さい。本当に彼はプチラオウと成れたのだろうか。
バランの当初の目的は、ユウカを奪った神への復讐だった。結果的にバランは、自らがルセリの信ずる神に成り代わることで、それを成そうとした。しかし、これでいいのだろうか。こんな辺境の小国で、少数の国民達から光帝とか呼ばれる程度の事で、彼は満足しているのだろうか。いや、しているのだろう。結局バランにとっては、ユウカが、ルセリが全てなのだ。万人にとっての神ではない。ユウカとルセリの信ずる神に成り代わる事さえ出来れば、彼は満足だったのだ。ラオウみたくに覇を唱えようという意志など、彼は最初から持ち合わせていなかったのである。
バランが蛮族達からルセリを救ったシーンを見てみると、彼はどうやら僅かな部下と共に、あてもなく彷徨っていたようだ。特に目的も見受けられない。そう、彼は目的を失っていたのだ。ラオウより盗んだ北斗神拳はあれど、何をどうすれば神への復讐となるのか見当もつかず、ただフラフラと流れ歩くヤクザ者と化していたのである。だからこそ、彼にとってルセリとの出会いは、、まさに奇跡だった。ユウカが死んだ今、もう目的など果たせないと思っていた時に、そのユウカの生まれ変わりが、生きて目の前に現れたのだ。そりゃあバランだって必死になるというものである。目的を失っていた数年間の分も含め、全力で「ルセリの神に成り代わる」事に心血を注いだはずだ。あの民の前で見せた稚拙なショーも、彼なりにヒネりだした「神っぽさ」の演出だろう。
ラオウの野望に比べると、バランの野望は限りなく小さい。だがその想いの強さだけは、決して負けていないと私は思う。二人とも情を捨てるだのといいつつ、結局誰かを愛してしまっているというというツンデレ具合までそっくりじゃないか。誰がなんと言おうと、私だけは彼をプチラオウと認定するよ、うん。弱いけどね。
あと今回の絵は、北斗の拳全篇の中でもかなりのグロさを誇っている回だと思う。刃を頭につきたてるのでも、「とめった」や「なにをぱら」の時はギャグっぽかったのに対し、ブランカの偵察隊にやったあれは可也グロい。しぶといブランカ正規兵の描写もキツいものがあるし、極めつけは最後のほうに出てきた、ハンマーで顔面を吹っ飛ばす処刑シーンだ。幼少期の私が北斗の拳で一番トラウマになりかけたシーンでもある。次の最終章でのバット拷問シーンといい、ラストに向けて原センセが本気が見せ始めたという事なのだろうか。
・剣でぶったぎるサトラ
シュタールを追い払うときもそうだったけど、基本的に彼、剣を使ってるよね。ケンとやるときだけは、双同異太刀出してたけど。つうかあの短い薙刀みたいなの弱そうだから、もう剣だけにしたら?
・バラン様に唾する者
確かに彼の言うとおり、バランの奇跡はトリックであり、まやかしであるわけだが、一応赤子の命を助けてるんだから、そんな悪態つくことはないだろう。まあ周りの人らのイッちゃってる具合からすると、一発ガチコーンいったらんと目が覚めないと思ったんだろうね。なんにせよあのタイミングであんな事いったら村八分にされて当然です。
・ルセリという人
正直言ってルセリも人間的にどうかと思う。バランが自分を助けたのが神の導きだと解釈したとしても、とりあえず何より先にバランにお礼を言うだろう。バランじゃなくても怒るでしかし。それに蛮族達には一切抵抗しなかったのに、バランに対してはナイフぐっさーー突き刺してたのもどうかと。ユウカは人を傷つけることをあれほど嫌がっていたのに、ルセリは案外そうでもないらしい。結構刺さってたよ、根元まで。
あと、いくらサトラとの約束を守るためだとか言っても、自分の父親含む王族達が処刑されていってるんだから、とりあえずバランの求愛を受け入れて、それを条件に王族達を解放してあげればよかったのに。結構自分勝手?
・北からの流れ者
バランによると、ケンは北からの流れ者らしい。しかし、ブランカは極北の聖国。うーん、ケンは北極点から来たとでもいうのか?地球の反対側から、北極点を経由して来たって事なのか?
・バランの強さ
私はいままでバランを舐めていた。バトルの後半におけるヘタレ具合が、その主なる原因だ。北斗神拳を使えるといっても、所詮見よう見まねの拳では限度がある。「ちょとだけ拳王様につきまとっただけで幾つかの拳を盗んだ天才」といった評価が妥当であり、知識の差でアミバ・ジャギにすら及ばないだろう、というのが私の見解だった。だがそれは大きな間違いであったかもしれない。
まず彼は、幼い頃から可也の強さの片鱗を見せている。筋肉がハンパではない。明らかに何かやっている。それに、ユウカが死んだとき、彼は片手で神の像を粉々に打ち砕いた。叩き壊したのではなく、片手の握力でそれを成しているのが凄い。おそらく彼は、その頃から何かしらの拳法を学んでいたのだろう。ユウカの最期を看取った老人も、彼の師匠か何かという可能性もある。
あとよく見てみると、拳王様に弟子入りした時と、切り捨てられた時のバランを比べてみると、意外と成長している事が判る。パッと見た感じ、3つくらいは歳を重ねているのではなかろうか。いくら見よう見真似とはいえ、3年もラオウ様の真似をし続ければ、相当の実力と知識を得られていたとしてもおかしくは無い。
そして彼には、その拳王様から切り捨てられた時から、ブランカに流れ着くまで、空白の数年間がある。およそ7〜8年、といったところか。おそらくバランはその期間も、己の拳を高める事に邁進していたに違いない。いくらバランが天才でも、拳王についていた数年で剛掌波まで会得したとは考えにくい。その後も修行を続けた結果、会得したと考えるのが普通だろう。
これらを纏めて考えると、彼の北斗神拳の知識、技術は既にジャギを大きく上回っている可能性が高い。そして歪んでいるとはいえ、ルセリに対する愛の強さは尋常ではなく、拳以外の部分でも北斗神拳拳士として重要な要素を満たしているとも言える。天才だなんてとんでもない。彼はこれ以上無い努力の人だったのだ。
んでもまあ、いいとこシャチくらいじゃないかなあ・・・
・バランの腹心
ブランカ王の牢屋番を任されていた頬に傷を持つ男は、登場した兵の中でも、唯一のバラン直属の部下っぽい人物だった。だが、実はもう一人いる。バランがルセリを助けた時に側に居た、眼帯の男だ。彼は一体何処にいってしまったのか。
もしかしたらこの二人は同一人物なんじゃないか?バランがブランカの神となったのを期に眼帯を外して義眼にして・・・とかいろいろ妄想してみようとか思ったけど、そんな事する意味を全く見出せなかったし、誰も興味ないだろうからやめました。
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