
浚ったリンを連れてジャスクが赴いた場所。それは、死の海を渡った先にあるといわれる国、「修羅の国」であった。武の掟に統治されたその国は、戦いの修羅しか生まぬという戦士の国であった。
上陸を果たしたケンシロウの目に飛び込んできたのは、一足先に上陸を果たしていたファルコの変わり果てた姿であった。彼を瀕死に追い込んだ男こそ、かつて赤鯱の部隊を全滅させた修羅であった。ファルコの仇を取らんとするケンシロウ。だがファルコは、拳士としての誇りと共に死ぬことを望み、秘孔
刹活孔によって得た一瞬の生で再び修羅に立ち向かう。死闘の末に勝利を果たしたものの、ファルコの死は、元斗皇拳が潰えることを意味していた。だがその時、彼の元に一羽の伝書鳩が舞い降りた。手紙に記されていたのは、ミュウがファルコの子を身篭ったとの報せであった。![]()
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【TVアニメ版での主な変更点】
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そのケンシロウの闘いを目撃した一人の「ボロ」がいた。ボロとは、闘いに敗れ足の腱を切られた男達・・・。だがそのマントの下に隠れていたのは、鍛え上げられた肉体を持つ若き拳士であった。彼の名はシャチ。あの海賊赤鯱の息子であり、北斗神拳と酷似した謎の拳、「北斗琉拳」の使い手であった。ケンシロウの強さに目を付けたシャチは、リンを連れ出し、ケンシロウをおびき出そうとする。だがそれを追って現れたのは、郡将カイゼルであった。カイゼル使う孟古流妖禽掌や、熟練の戦法に苦戦を強いられるシャチ。だが古傷を狙うことでカイゼルの隙を誘ったシャチは、奥義
破摩独指を炸裂させ、勝利を掴んだ。彼がボロに扮していたのは、そのカイゼルの弱点を見抜くためなのであった。![]()
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【TVアニメ版での主な変更点】
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退屈から解放してくれそうな相手の登場に歓喜しながら、ケンシロウとの闘いに臨むハン。その拳は噂通りの速さであったが、ケンシロウの拳も負けてはいなかった。そしてその互角の闘いは、シャチの目論見通りであった。シャチは、どんな手を使ってでも自身の拳を強大にせねばならないと考えていた。愛するレイアのため、この国を変えるために。かねてより、この国には「救世主伝説」があったが、シャチにはそれを待つことはできなかったのだった。いつか海を渡りこの国を救うと言われる救世主・・・。その男の名はラオウと云った。
戦いが佳境を迎える中、ケンシロウの足が止まる。必殺の破孔が突けぬと感じたハンは、代わりに徐々にケンの足の動きを封じていたのである。だがケンの心臓目掛けて放った一撃は、大きく狙いを逸れた。ケンもまた、戦いの中でハンの視神経を封じていたのである。ケンシロウの放った無数の拳がハンの身体に叩き込まれた瞬間、闘いは決着したのだった。![]()
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【TVアニメ版での主な変更点】
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その頃、ジュウケイは羅将ヒョウの居城を訪れていた。自らが撒いた種を刈り取るため、ケンシロウに代わり自らがヒョウを倒す決意を固めたのである。そしてもう一つ・・・かつて己がヒョウから奪った記憶を復元させることが、ジュウケイの目的であった。
北斗琉拳はこの世から抹殺せねばならない。それは、かつて北斗琉拳の魔に支配され、己の妻子をも死なせた過去を持つジュウケイが一番良く解っていた。そのために必要な、カイオウを倒しうる唯一の拳・北斗宗家の秘拳は、ヒョウの記憶の中にだけ隠されていたのである。死闘の末、その身を貫かれながらも、遂にヒョウの記憶復元の破孔を突くことに成功するジュウケイ。だがその命を賭した作戦は失敗に終わった。破孔は、既にカイオウによって上書きされていたのだった。![]()
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【TVアニメ版での主な変更点】
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意識のないケンシロウを抱え、なんとか逃げ延びることに成功したシャチ。だがその道中、羅将ヒョウと遭遇してしまう。ボロに似つかわしくない眼の輝きを訝しまれたシャチは、左目の眼球を掴み取り、ヒョウへと差し出した。己の背にあるこの男は、己の命を捨ててでも守るべき全て。そのシャチの言葉に心打たれたヒョウは、その場を見逃し去っていった。カイオウと同じ羅将でありながら、北斗宗家の血が流れるヒョウは、情けを知る男なのであった。
北斗琉拳発祥の地、羅聖殿。北斗琉拳伝承者たちの怨念渦巻くその地を闘いの場として選んだヒョウは、ケンシロウの従者・黒夜叉の襲撃をも退け、魔神となったその力を見せ付ける。だが既にケンシロウは、カイオウとの闘いにより、魔神の拳の正体を見切っていた。暗琉天破を破られたことで優位な状況を失い、その力の差の前に押し込まれるヒョウ。なぜこれほどの男がサヤカを殺したのか。ヒョウの中に葛藤が生まれたその時、彼の背後に哀しみの闘神が現れた。それは、ヒョウもまた北斗宗家の血に目覚めた事の証・・・・。彼が繰り出した技は、紛れも無く北斗宗家の拳であった。無限の力同士がぶつかり合った果てにあるのは勝者無き相討ち。その後に訪れるのは光無きカイオウの時代・・・。そう考えたシャチは、思わぬ行動に出た。ヒョウが最後の奥義を繰り出そうとしたその時、その身体は背後からシャチに貫かれていた。自らの罪を詫び、死を選ぼうとするシャチ。だがそれを止めたのはヒョウであった。哀しみのオーラが弾けたあの時、ヒョウの記憶は戻っていたのである。そして己の犯した罪を償うため、ヒョウは最後の攻撃で死ぬつもりでいたのだった。カイオウの手により阻まれていた弟ケンシロウとの再会に、ヒョウは穢れ無き涙を流すのであった。
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【TVアニメ版での主な変更点】
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ケンシロウやヒョウが生まれ育った地、泰聖殿。そこが、北斗宗家の秘拳の在処であった。傷で動けぬヒョウに代わり、レイアと共にその場所へ向かったシャチであったが、そこには怒れるカイオウが待ち受けていた。左腕と右脚を失いながらも、自らの命を賭してレイアを護ろうとするシャチ。その最中、一同は地下に隠されていた秘拳の在処を発見する。そこに祀られていた女人像は、カイオウの魔神の血を拒絶し、そして力尽きたはずのシャチに再び力を与えた。北斗宗家の霊の力を借り、カイオウを圧倒するシャチ。それは、レイアを護りたいと願うシャチの愛に、北斗宗家の霊が応えた証であった。北斗神拳の源である愛の力・・・それを根底から否定するカイオウは、自らの信ずる悪の力を証明するため、あえてケンシロウに秘拳の封印を解かせる事を選ぶのだった。
カイオウが最後の闘いの場として選んだのは、憎悪の瘴気渦巻く熱泥地帯であった。悪こそが愛を支配できる。その証明の手始めとして、カイオウはリンに破孔・死環白を刺突する。それは、眠りから目覚めた時に最初に目にした男に全ての情愛を捧げるという非情の技であった。外道なるカイオウのやり方に激怒するケンシロウ。だがそのカイオウの憎悪の発端となったのは、ケンシロウとヒョウの兄弟にあった。かつてカイオウの母は、火事に巻き込まれた幼いヒョウとケンシロウを救い、命を失った。だが愛を教えたかった彼女の行動は、カイオウの心に深い傷を与え、その苦しみから逃れる為にカイオウは心を悪に染める道を選んだのであった。心に傷を負う度に、自らの身体に傷をつけるという方法を用いて・・・。そしてその傷の中には、弟ラオウとの決別のために刻まれたものもあった。カイオウがこの国にラオウ伝説を広めたのは、自らが情愛と決別したという証なのでもあった。
硫摩黄煙なる毒ガスが充満する地下の空洞。更には北斗神拳伝承者が辿る動きを封じるかのように配置された石柱など、地形を利用した様々な方法でケンシロウを苦しめるカイオウ。だがケンシロウに流れる北斗宗家の血が、その全てを跳ね返す。自らが屑星ではないことを証明せんとするカイオウは、生まれついてより身につけていたという不敗の構えで決着をつけんとする。だがカイオウは気付いていなかった。その構えこそが、北斗宗家の秘伝の技であること・・・そして己が忌み嫌う宗家の血が、自らにも流れていることを。![]()
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【TVアニメ版での主な変更点】
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