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天帝編
(137話〜160話)

-帰還編-


 かつて男達は闘い、この世に一時の平安を残し、天に地に散っていった。
 だがその男達の闘いも砂の中に埋もれ、そして数年後・・・
 平安は時と共に貧富階層の差を生み、世は再び混迷の時代に向かっていた。

 各地の都市を「郡都(エリア)」として支配する司刑隊。彼らが運ぶ護送車から囚人たちを解放せんと、武装した集団が襲い掛かる。彼ら「北斗の軍」を率いる若き男女。それは、成長したバットとリンであった。しかし二人の奮闘空しく、司刑隊は囚人たちを護送車ごと炎に包み、逃走してしまう。ケンさえいれば・・・。その言葉を飲み込みながら、二人は闘い続けていたのだった。

 偵察のため、民衆に紛れて巨大郡都へと潜入したリンとバット。だがその時、自分たち2人が捕らえられたとの報せが入る。郡都の郡司令であるバスクが、"逆賊の長・リン"として処刑台へと引きずり出したのは、全くの別人であった。反逆者を処刑することで、民衆に逆賊の無意味さを知らしめる。そのためには、処刑される者の正体など関係なかったのであった。だがその時、処刑場の中に、漆黒の悍馬に跨った一人の男が現れた。それは、リンとバットが待ち望んだ救世主の帰還であった。華山獄握爪で襲い掛かってきたバスクを圧倒的な力で打ち倒し、リンとバットの前に再び現れたケンシロウは、逞しく成長した二人の肩を優しく抱きとめるのであった。


・空白期間
ラオウ没からケンシロウが帰ってくるまでの期間は作中で明らかにされていないが、2014年に公開されたスペシャルエピソードに関しての武論尊氏のコメントの中では「10年」と明言されておられます。ちょっと長過ぎる気もするけど・・・
・やりたい放題
今までも結構ありましたが、この帝都編に入って原先生は全く自重しなくなります。ハルク・ホーガンをモデルとしたバスク、ミスターTをモデルとしたバロナを登場させたのを皮切りに、ファルコ=ドルフ・ラングレン、アイン=ミッキー・ローク、ゲイラ=ジャバ・ザ・ハット(スターウォーズ)、ハーン兄弟=ザ・ロード・ウォリアーズ、特別獄舎の囚人たち=KISS、とやりたい放題。ラオウ様逝去で終わらせてもらえなかった事に対するささやかな鬱憤晴らしだったのかもしれませんね。

【TVアニメ版での主な変更点】
ジャコウが帝都編開始と同時に登場(原作ではファルコが北斗の軍と戦った後)
帝都が、ケンシロウは死んだとの噂を広める為に墓を作り、そこに訪れた者達をゾルバ・ザルジの二人が抹殺するというエピソードが追加。後に墓に訪れたケンシロウ本人により二人は殺される。
バスクの郡都に現れるより前にケンシロウが別の町に現れるオリジナルエピソードが追加。行き倒れていたところをハルなる少年に救われ、その後村に現れた郡将ゲルドの天帝部隊を壊滅させる。



-郡都侵攻編-


 ケンシロウが加わり、勢いを増した北斗の軍の反撃が始まる。次なる標的と目される郡都の兵士たちは戦々恐々とするが、そこに現れたのは賞金稼ぎを生業とする男・アインであった。凶悪な賞金首を易々と捕らえるその手腕に目を付けた郡司令ゲイラは、アインを雇ってケンシロウを殺させようとする。だが彼の自慢のケンカ拳法は、ケンシロウに一切通用しなかった。しかし、ケンはアインを殺さなかった。それは、アインには帰りを待つ"女"がいたからであった。アインが己の全てを投げ打って尽くしているという女・・・。それは、まだ年端も行かぬ娘・アスカであった。

 ある夜、バットの訪問を受けたアインは、成り行きのままに郡都へと潜入し、陥落させてしまう。こんな活動を続けていてもキリがない。そう語るアインに対し、バットは言った。こんな時代に生きていても仕方ない。ならば俺は自分の好きな奴のためにこの世の中を変えてやるのだと。その言葉は、アインの心を動かした。いつかアスカが己を語るとき、胸を張れるような歴史を作ることをアインは約束するのだった。

 A級反逆者収容所。帝都に反逆した者達が捕らわれるその施設を襲撃したアインは、ケンシロウの助けを借り、地下に収容されていた二人の男を解放する。彼らの名はハーン兄弟(バス&ギル)。かつてアインが捕らえた、実力折り紙つきの賞金首であった。

 一方、バット率いる北斗の軍は、遂に帝都の大都市である市都(シティ)をも制圧。その勢いは増すばかりであったが、その行く手には金色に光る男の影が迫っていた。その男・金色のファルコこそ、かつてハーン兄弟を捕えたという帝都最強の将軍であった。


・アインとアスカの関係
作中でアインはアスカの事を「娘」と呼んでいるが、これだけでは血の繋がりがあるのかどうか判断は出来ない。TVアニメ版では自分の命の恩人である女性が連れていた娘として、真北斗無双ではバーを経営する未亡人が育てていた娘として登場していることからも、実の娘であるという可能性は低いのかもしれない。
・バットが自力で郡都を落とした理由
アインを味方に引き入れたかったという理由もあるかもしれないけど、あれはやっぱり北斗の軍の士気を今一度高めたかったというのが一番の理由だと思うんですよね。ケンシロウという圧倒的戦力の加入で雰囲気こそ最高だけど、ケンへの依存で気が抜けてしまった部分もあったり、中には途中参加のケンが先頭に立つことを快く思わない人物もいたかもしれない。そんなメンバー達にあらためて緊張感を持たせる為、バットはあえて自分たちだけで郡都を落としたんじゃないだろうか。陥落させた後の歓喜に沸くメンバー達の盛り上がり具合が、何よりもそれを証明してると思うんですよね。
・水滴拷問
想像するだけでも鳥肌がたつ程の恐ろしい、あのハーン兄弟が受けていた水滴の拷問。あれは実際に存在して、視界を覆って恐怖感を倍増させると更に効果的だったらしい。人間は不意の衝撃を受けると思考能力が失われるので、それを連続して繰り返すこの拷問を受けるとすぐに発狂してなんでも喋ってしまうそうな。

【TVアニメ版での主な変更点】
ゲイラの容姿が、髪の毛があるなど大きく変化。
ケンシロウがマミヤの村に訪れるタイミングや理由などが原作と異なる。原作ではA反逆者収容所を攻めた後にアスカを預ける為に赴くが、アニメではゲイラの郡都侵攻後に偶然側を通りがかった際に村から火の手が上がるのを見て駆けつける。
マミヤの村の長老を殺す役目がファルコからソリアに変更。また、天帝部隊が村を襲うのはケンシロウをおびき出す為であり、村でケンとソリアが対決するという展開に変更されている。
ハーン兄弟が捕らわれているのが、A球反逆者収容所でなく、郡都のひとつに変更。助けに赴くのもケンとアインではなくバットになっており、コンクリートを割らずに固められたままひきずっていく。
バットとアインが郡都を落とすのが、北斗の軍とファルコの闘いの後に変更。
A級反逆者収容所は登場せず。そこの所長はバットとアインがおとした郡都のボス・ベロンとして登場。アインへの復讐の為にレンに命じてアスカをさらい、人質にとる。
アインとアスカの出会いが描かれている。また、アスカが実の娘ではないということになっている。



-元斗皇拳編-


 アインからアスカの安全を頼まれたケンシロウは、マミヤの村へと訪れる。しかしそこにも帝都の牙は及んでいた。北斗南斗に組した者として、長老がファルコに抹殺されていたのである。北斗南斗は天帝の一戦士に過ぎない。にも関わらず反旗を翻した罪は万死に値する。帝都を統括する天帝から下された勅命は、北斗南斗に組する者達の抹殺であった。

 その頃、北斗の軍は、ファルコの大軍の前に進退窮まっていた。己一人の命で皆を救わんと、リーダーとして名乗り出るバット。しかしファルコは、真のリーダーがリンであることを見抜き、彼女をその手にかけようとする。だがその時、復讐に燃えるハーン兄弟がファルコの前に立ち塞がった。彼らは、南斗聖拳の一派、南斗双鷹拳の伝承者であった。北斗南斗が一体となって天帝を止める・・・・。その宿命のため、彼らは天帝の使者である元斗皇拳のファルコに闘いを挑むのであった。

 リンとバットの危機を察し、黒王を駆るケンシロウ。だがその行く手に、元斗皇拳のソリアが立ちはだかる。元斗皇拳―――。体内に満ちた闘気を刃と化し、敵の体、細胞を滅殺するその拳は、かつて北斗神拳をも凌駕すると言われた拳であった。

 ファルコの圧倒的な拳力の前になす術無く敗北するバズとギル。だが二人は不発弾という奥の手を用意していた。ファルコを道連れにせんと、自爆を計るバス。しかし爆炎に包まれたファルコには傷一つなかった。兵士たちが、身を挺して将の盾となったのである。一方、苦戦しながらもソリアを倒したケンシロウであったが、そのソリアもまた自らの命をファルコに捧げると言い残した。彼らに「心を震わせる光」と言わしめる、ファルコという男の正体とは・・・



・マミヤにアスカを預けに
かつて自分に思いを寄せてくれていた未婚のアラサー女性のところに誰の娘ともしらぬ子を平然と預けに行くって人間としてどうよ。そんなんだから最終章で「どうして女の心がわからないの!!」って罵られるんだよ。

・長老の石壁彫刻
村のはずれにある洞穴に、北斗、南斗の拳士達の石壁彫刻を彫っていた長老。しかし、ラオウ、トキ、レイ、ユダはともかく、他の人物の顔をどうして彼は知っていたのか。しかもあんなに正確に・・・。おそらく彼は、この彫刻を彫るにあたって各地を巡り、拳士達の顔を知る者達から話を聞き、警察の鑑識課のように似顔絵を仕上げていったのだろう。長い年月をかけてようやく全てを調べ上げ、満を持して彫刻作業を開始し、あとはユダだけ・・・となったところで殺されてしまったのだ。可哀想すぎる・・・

・北斗は天帝の一戦士に過ぎない
リンが天帝の血を引くものだということは、原作第一話のケンとリンの出会いは偶然ではなく、宿命によって引き合ったのだと考えるほかない。
時折リンが危機に直面してケンシロウの名を呼んだ際、遠く離れた場所にいるケンが感じ取ったりするのは、主である天帝の危機を、ケンに流れる北斗宗家の血が鋭敏に感じ取っていたからなのだろう。2000年も主従関係を続けると第六感で主人のピンチをかぎつけられるようになるんですねえ。

【TVアニメ版での主な変更点】
北斗の軍にもとに向かうケンの前に現れるのが、ソリアの軍からショウキの軍に変更(ソリアはその前にマミヤの村で撃破している)。そのため、中央帝都直前で明らかになるケンとショウキのエピソードがこの時点で登場する。
ハーン兄弟とジャンケンするのがアインから北斗の軍のいち兵士に変更。また、峡谷に来た時点でまだコンクリ詰め状態なので、それをダイナマイトで爆破して脱出するシーンも追加。
原作ではギルは生き残るがアニメではハーン兄弟二人とも爆死する



-中央帝都編-


 ファルコの右脚は義足であった。かつてラオウの軍勢が天帝の村を侵攻しようとした際、ファルコは己の片足と引き換えに、村を素通りして欲しいとラオウに談判したのである。ファルコにとって天帝は、命を捨ててでも守護らねばならない存在なのであった。だが今、その天帝は、総督ジャコウの手に落ちていた。帝都の非道なる行いは、全てジャコウが天帝の名を騙って下していたものだったのである。かつてラオウは、ジャコウの邪な心を見抜き、殺すべきだとファルコに忠告した。それに従わなかったが事が今の悲劇を招いてしまったことに、ファルコは強い自責を感じていたのだった。同時にジャコウは、その時に植えつけられた強いトラウマによって、北斗抹殺を推し進めていたのであった。

 北斗軍を壊滅させなかったとして、ファルコに鞭を打ち付けるジャコウ。その様子を見た将軍ショウキは、ジャコウが全ての元凶だとして亡き者にしようとする。だが、それを止めたのはファルコであった。ジャコウが死ねば幽閉されている天帝もまた殺される。故にファルコは、ジャコウの傀儡として生きるほかになかったのであった。

 天帝軍の本拠地である中央帝都へと進軍する北斗の軍。その道中、ケンシロウは、帝都から流れてくる死体袋の中からショウキの姿を見つける。彼はかつてケンシロウとユリアに安住の地を提供してくれた恩人であった。彼に刺さっていた槍から、犯人がジャコウの次男・シーノであることを知ったケンシロウは、監視塔の上にいたシーノに向けて槍を投擲し、見事に命中させる。そしてそれは、帝都と北斗の軍の最終決戦の開戦を告げる合図となった。

 帝都の大軍、防壁、そして兵器を持ってしてもケンシロウを止めることはできなかった。北斗への恐怖に怯えるジャコウは、ファルコにケンシロウ抹殺を命ずる。己が負けることは天帝の死を意味する。そう考えたファルコは、帝都に仕掛けた爆弾の起爆装置を恋人のミュウに託し、ケンシロウとの闘いへと臨む。元斗皇拳最強を自負するその男の強さは、片足義足とは思えぬほどであった。だがケンは北斗神拳伝承者として、同条件で闘わねばならないと、秘孔で己の右脚の自由を奪うのであった。

 そんな中、リンは己を呼ぶ天帝の声を感じ取っていた。その真相を確かめんと、リン、バット、アインの三人は帝都へと攻め込むが、ジャコウの罠にかかり、ミュウ達と共に地下の空洞へと落とされてしまう。しかし、その洞窟こそが、ジャコウが天帝を幽閉していた場所であった。一同の前に姿を現した天帝。その姿は、リンの生き写しであった。かつて先代の天帝が産み落とした双子の女児・・・それが、ルイとリンだったのである。天帝が二人いれば天は二つに割れる。それを防ぐため、片方を殺すことが元斗皇拳伝承者の掟であった。しかしファルコには、無垢な赤子を殺すことなど出来なかった。故に彼は、人知れずリンを己の叔父夫婦に預けたのであった。

 生き別れた姉妹との再会に涙するリンとルイ。だがジャコウは、そんな彼らを一網打尽にせんと洞穴を崩落させる。巨大な落石から一同を守ったのは、アインであった。瀕死の重傷を負ったアインは、己の命をかけて皆を脱出させる手段を模索する・・・

 ファルコの片足邪法拳を見切り、必殺の秘孔を捉えるケンシロウ。だがファルコは、その箇所に指を突き入れ、細胞を滅殺するという手段で秘孔を封じた。熾烈を極める闘いは佳境を迎え、もはや二人には闘う力は残されていなかった。そんな二人を纏めて亡き者にせんと、爆弾付きの巨大矢を装填するジャコウ。しかしその時、巨大な水柱が立ち上った。地下空洞が水脈を掘る作業場である事に目を付けたアインは、己の全てをかけた拳を杭に叩き付け、分厚い岩盤を砕き割ったのである。全ての力を使い切ったアインは、アスカの事をバットに託し、力尽きた。それは、好きな女のために時代を変えた男の、カッコよすぎる死に様であった。

 兵も、そして天帝という人質も失ったジャコウを、怒りの闘気で滅殺するファルコ。永き悪夢から解き放たれたファルコ、そして天帝ルイ。この二人の奇跡の再会は、永きに渡る哀しき闘いの終結を意味していた。だが、まだ悪の火種は消えていなかった。残された者達を探しに戻ったリンは、ジャコウの長男・ジャスクに捕らわれてしまう。奪った起爆装置で帝都を爆破したジャスクは、リンを連れて何処かへ消えた。それは、ケンシロウとファルコの新たな戦いの始まりであった。アインの弔いを済ませ、アスカより形見の手袋を受け取ったケンシロウは、その英雄の死を必ず無駄にしないことを誓うのであった。



・ジャコウの邪心を見抜いたラオウ
拳王として覇道を進む中では、敵味方の中で相当数の悪人を目にして来ただろう。自分の子供達を流砂に投げたヒルカなんかその典型だ。そんな奴等ですら(渋々ながら)配下にしていたラオウが、あのジャコウに対してはその邪心を鋭敏に感じ取り、すぐに殺すようファルコに忠告していた。しかも結構大事そうな話をしている最中に、わざわざ壁を破壊して捕えているのだから、余程の事だ。それだけジャコウの持つ邪な心が大きく、彼を生き長らえさせることがいかに危険かということだろう。そこまで解りやすく道を示してもらっておきながら、オカンの目の前だから・・・とかいう理由で保留にしたファルコの甘さは、本当にどうしようもない。なんというか、悪い意味で日本人ぽいといいますか・・・
・自分が負けたら帝都爆破
自分がケンシロウに負けたらジャコウは天帝を殺して逃げるだろうから全部爆破しろといきなり過激な事を言いだすファルコさん。いやいや、それはあくまで推測でしょ・・・・今まで何の為に命がけで天帝守ってきたの。可能性がある限り投げやりになっちゃ駄目でしょ。負けると思ったら駄目もとでケンシロウに救出を依頼してみるとか方法あるでしょ。暗殺拳である北斗神拳なら潜入とか自白とか思いのままなんだから案外直ぐ助けられるかもしれんし。おまけにその爆破云々の話を思いっきり聞かれてミュウ折檻されるしね。いち兵士の気配くらい気付けなかったのかい。そんで最後は自分がしかけた爆弾を逆に利用されてリンを浚われるというね。ファルコさんは良いキャラなんだけどねぇ・・・どう考えても行動がおそまつ過ぎるんですよね・・・・
・天帝姉妹の片方を殺すよう命じるジャコウ
かつてのジャコウは、赤子のルイとリンのどちらかを殺すようファルコに命じれるほど、天帝一族の中でかなりの権力を持っていた。しかしラオウが村に攻めてきたときは、自らのことを「村の一員」と語るほどにまで落ちぶれていた。これは一体何故なのだろうか。考えられるのは、やはり文明が崩壊したことによって組織形態が変化したという可能性だろう。持ち前の悪知恵でのし上がったジャコウの小賢しさも、拳力第一となった文明崩壊後の世界では意味を成さず、平民へと成り下がるしかなかったのだ。村人たちもみな良い人たちっぽいので、普通にしていれば元の立場をキープできたかもしれないが、あのジャコウの事である。文明崩壊後もかわらず威張りちらしいびりまくりしていたから、村八分にされちゃったんじゃないかな。
・カッコ良すぎる最期
アインの最期は、自分が選ぶ北斗の拳のベストシーン候補の一つと言っても過言ではない。バットとアインが郡都を落としたとき、バットが言うんですよ。「俺たちはいずれ死ぬ。だったら自分の好きな奴のために世の中を変えてやる」ってね。この会話があったからこそ、アインは最期こう言うんです。「へっ・・・コレのために死ぬってのはなかなかのもんだぜ・・・」。どうだ見たかと。お前が言ってたことを俺がやってやったぜと。(ケン達に比べると)たいした実力もない男が、天帝姉妹の命を救い、そしてケンとファルコをも救ったことで、文字通り「世の中を変えた」んですよ。勿論それは愛するアスカのためなんですけど、バットへの対抗心もあったと思うんですよね。バットが語った生き様を心底「カッコ良い」と思ってしまったアインは、ジェラシーを感じたんですよ。実力も近くて、女のために死ねるという同じ志を持つバットには、絶対にカッコ良さで負けるわけにはいかなかったんです。だからアインは最期に言ったんです。「フッ……少し… カッコよすぎるな………」と。

【TVアニメ版での主な変更点】
ジャスクとシーノは登場せず。かわりにジャスクをタイガ、シーノをボルツという元斗皇拳の拳士が担当する。ボルツはケンシロウと、タイガはバット&アインらの戦闘シーンがある。
アニメではアスカがマミヤの村に預けられていないため、中央帝都の戦いに同行している。
サイヤの容姿が原作よりかなり青年ぽくなっている
中央帝都に入ったリン達は原作では別行動になるが、アニメでは3人ともジャコウの元へ。
アインの葬儀に参列する面子から、マミヤとアイリがいなくなり(アスカを預かっていないため)、かわりにファルコやミュウが追加されている。

≪SPエピソード 修羅の国編