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[第152話]
さらば ケンシロウ!!
さらば 北斗神拳!!


 ヒョウを加えた北斗の軍は、遂に最終決戦の地、魔瘴の沼へと辿り着いていた。決着の時は近い。今彼らの出来る事は、拳に命をかけた男と男の勝負を見守る事だけであった。

 母の死、リュウオウの無念、そしてカイオウの怒り。全ての魔闘気を込めた最終奥義 暗流宙激破が放たれる。だが、もはやケンに魔闘気は通用しなかった。ケンの闘気断想の前に、魔闘気を霧散し、消滅したのだった。北斗琉拳も、北斗宗家の拳も破られた今、カイオウに勝機はなかった。しかしそれでもカイオウは認めるわけにはいかなかった。第一の羅将としての誇り、そして新世紀創造主を目指した意地が、カイオウを突き動かしていた。

 その時、沼の中に突如道が現れた。母の墓標へと続くその道は、まるでカイオウを誘っているかのようであった。地を這い進み、墓標へと辿り着いたカイオウは、母の霊に願う。最後に今一撃の力を!それは、魔神とまで呼ばれた男の最後の意地であった。次の瞬間、カイオウの身体は噴き出した間欠泉によって空高く舞い上がっていた。宙からの肘打ち。全ての拳とプライドを捨て去った最後の攻撃が、ケンへと頭上に襲い掛かる。しかし、ケンはそれを全力で迎え撃った。カイオウの胸を撃ち抜いたその拳は、2000年にも渡る長き北斗の悲劇に終止符を打つ一撃となったのであった。

 史上最強の拳、北斗神拳。その創始者がリュウオウだったなら、二人の立場は逆転していたかもしれない。そう語るケンシロウであったが、カイオウはそれを否定した。敗者である自分にまで情をかけるそのケンの心が、自分にはないものである事を、カイオウは理解していた。そして天はやはり悪ではなく、愛を持つ者に微笑むのだという事を。全てを悟った今、カイオウに残るのは後悔の念だけであった・・・

 カイオウの残した悔いのひとつ、リンの貞操。その無事を知らせたのは、黒王に跨って表れたバットであった。そしてその背には、リンを命がけで守り抜いたヒョウの姿もあった。止めを刺せ。そう命じるカイオウに向かい、強く拳を握り締めるヒョウ。だがヒョウは、その拳を振り下ろすことなく、ゆっくりとカイオウの上に崩れ落ちた。ヒョウは止めを刺しにきたのではなかった。カイオウを歪ませてしまった己の不甲斐なさを、謝るために来たのである。やっとサヤカに会える。その時こそ三人で・・・。そう言ってヒョウは、その愛に生きた生涯を終えたのだった。

 ヒョウの亡骸を抱え、カイオウはゆっくりと岩山を登り始めた。この沼は母の眠る聖地。カイオウにとって、己の死地は他になかった。頂上の仕掛けをカイオウが作動させると同時に、二人の身体に溶岩が降り注ぐ。熱泥が流れ落ちた後に残ったのは、岩となった二人の英雄の姿であった。飛んできた焼石の熱さを手に感じながら、ケンは彼らに最後の別れを告げるのであった。

 ヒョウより死環白の事を聞いた時から、バットは心に決めていた。リンの中にはいつもケンがいた。リンが見るべき相手はケンしかいないのだと。しかし、ケンにはその想いに応えることは出来なかった。リンの苦しみと哀しみの日々は終わった。闘いの荒野しかない己の道に、もうリンを連れて行くことは出来ない。真にリンの愛に応えられるのは自分ではなく、バットであるという事を、ケンは確信していたのである。黒王に跨り、ケンは再び荒野の彼方へと消えていった。託された使命の重さを込め、バットはその背に向かい、ケンの名を呼ぶのだった。

 様々な戦いがあり 多くの強敵がいた。
 南斗聖拳 殉星の男シン
 南斗水鳥拳 義の星の男レイ
 南斗白鷺拳 仁星の男シュウ
 南斗鳳凰拳 極星サウザー
 北斗の次兄 トキ
 北斗の長兄 世紀末覇者を目指したラオウ
 そして南斗最後の将 我が愛するユリア

 強敵が今日の俺を作った。
 強敵の心。強敵の愛。
 強敵の拳は我が拳。
 だが俺は戦い続ける。
 そこに強敵がいる限り。

放映日:88年2月18日


[漫画版との違い]
・ヒョウを加えた北斗の軍が魔瘴の沼へと向かうシーン&到着して戦いを見守るシーン追加
・カイオウが暗琉襲撃破を放ち、ケンがそれを闘気断葬で防ぐシーン追加
・母の墓標に向かうとき、カイオウの足が破裂するシーン追加
・「たとえ転地逆と鳴っても――」の台詞は、原作では間欠泉で飛んでいるときだが、アニメでは飛ぶ前。
・最後の一撃が、原作では左肘だけだが、アニメでは両肘
・ケンが数々の強敵を思い浮かべながら去っていくシーン追加



・最終回
最終話ということで、このツッコミ欄も最後となります。流石に少し感慨深いです。皆様お付き合いありがとう御座いました。正直私くらい見てると、本来ならここツッコむところだろ!というポイントですらなんか普通に思えてきて、ただしいツッコみが出来なくなってきていたような気がします。正直、北斗の軍にアミバがいたところで何も感じなくなっていました。鳴れとは恐ろしいですね・・・
・というわけで
 アミバ、今回もいます。
 しかも少し前に。




・暗琉宙激破
前話のラストで「このカイオウが持てる魔闘気の全てを放ち、貴様を葬り去ってくれるわ!」などという台詞とともに次話に引っ張られた、2話またぎの究極奥義・・・であるはずなのだが、なんか結局よくわからないまま闘気断葬によって簡単に破られてしまいました。どうも見る限り、魔闘気が身体にまとわりついていたようなので、どっちかというと暗琉天破に近いような奥義なのではないかと思われる。うーん・・・持てる全ての魔闘気を放ったのなら、もっと暗琉霏破のようなストレートな闘気波を放って欲しかったなあ。最後までなんか変化球攻めというか、真っ向勝負の出来ない人だ。
・主題歌祭り
終回だからやりたい放題。今までの主題歌総登場です。愛とり、タフボ、ラブソン、サイサバ、ドライ、ユリ永(流れた順)マニア的には嬉しい演出ですが、ちょっとやりすぎな感も。愛とり以外は全てCM明けに流れてるから、およそ12分の間に5曲も流れている事になる。せわしねぇ〜〜〜〜。
・キャラクター祭り
主題歌総登場に続いて、今度はキャラ祭りです。黒王で闊歩するケンの背後に、あんな奴からこんな奴まで、様々な奴等の顔が浮かんできます。何故かシオンやらアスカの母なんてキャラまで。
あれ?ちょっとまてよ・・・・・
あ!ヒョウがいねー!!!
最後の所でカイオウの左にいるのがそうかな、と思ったのだが、掲示板で大輔殿から寄せられた情報によると、ムサイ黒髪ではなく、綺麗なサヤカの金髪が見切れていたとの事。なんか最後まであの人、ツキがないというかなんつーか・・・不憫な奴だ・・・


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