
救出したリンを抱え、ケン達のもとへと急ぐヒョウと黒夜叉。しかしその時、彼らの前に数百もの修羅の軍団が現れた。カイオウ陸戦隊。一騎当千の修羅達で構成されたその軍団は、ヒョウ達を葬るために送られた最強の刺客であった。リンを連れて逃げろ。そう言ってきたヒョウに対し、黒夜叉は、ある提案を掲げた。ヒョウが時間を稼いだところで、自分が逃げおおせられるとは思えない。ならば己とヒョウの二人が命を捨てて戦い、リンを守りきってみせようと。その大博打ともいえる黒夜叉の言葉に、ヒョウは覚悟を決めた。2人対300人。死を賭した二人の最後の戦いが、今幕を挙げた。
女人像が伝えた打倒カイオウの切り札とは、まさにその北斗宗家の拳の受け技だったのである。だからこそ北斗宗家には、無敵の暗殺拳が必要だった。そして生み出されたのが、戦いの中で進化する拳、北斗神拳なのであった。北斗神拳奥義 拳盗捨断。防御したカイオウの腕を透過した手刀が、カイオウの腕に激痛を走らせる。打ち出される拳そのものを破壊するこの技も、戦場の拳である北斗神拳ならではの奥義であった。カイオウに足りなかったもの。それは、己より強い男達との闘いであった。シン、レイ、シュウ、サウザー、ファルコ、トキ、そしてラオウ・・・。数多き強敵との戦いの中で、ケンに勝利をもたらして来たもの。それはまさしく、その闘いの中で進化してきた北斗神拳の力なのであった。
鬼神と化したヒョウと黒夜叉の前に、カイオウ陸戦隊は残り4人にまで追い詰められていた。しかし、彼らにも引くことは出来なかった。ヒョウを殺すまで帰るなと、カイオウに命じられていたからである。だがヒョウは知っていた。カイオウのその激しき性情が、彼自身の栄光への道を閉ざしたのであるという事を。才能のあるカイオウが北斗神拳の伝承者候補に選ばれなかったのは、彼のその性格があまりにも激しすぎたからだったのである。これ以上カイオウに哀しみを背負わせるわけにはいかない。そのためにもヒョウは、どうしてもリンを守らねばならなかったのだった。残る四人を闘気で吹き飛ばし、激闘はヒョウ達は勝利に終わった。しかし、黒夜叉の受けた傷はもはや致命傷に達してした。最後に貴方と共に闘えてよかった。そう言い残し、黒夜叉は自らの役目を終えたのであった。しかし、ヒョウにはその死を哀しむ時間は与えられなかった。既に彼の背後には、新たな修羅の軍勢が駆けつけていたのである。満身創痍の身体を起こし、なんとか立ち上がったヒョウであったが・・・
動くことすらできないヒョウに向け、修羅の刃が振り下ろされる。しかしその時、嘶きと共に現れた一匹の馬が、修羅達を吹き飛ばした。その背に跨る男を仕留めんと、一斉に襲い掛かる修羅達。しかしそれは男が仕掛けた罠であった。周囲の岩陰に潜んでいた者達の一斉射撃により、修羅達はあっという間に全滅したのだった。俺の名はバット。覆面をとり、男はそう名乗った。ケンシロウとリンを追い、彼等北斗の軍は海を渡ってきたのである。ヒョウを一団に加えた北斗の軍は、ケンの待つ最後の戦いの場へと進軍を開始するのだった。| [漫画版との違い] ・カイオウ陸戦隊が、手ぶらで帰ればカイオウに殺されるという命令を下されているというエピソード追加 ・カイオウ陸戦隊を全滅させた時、原作の黒夜叉は修羅の死体の下に埋もれているが、アニメではまだ立っている ・黒夜叉が死ぬのは原作では陸戦隊を全滅させてすぐだが、アニメではリンの無事を確認した後 ・新手の修羅は、原作では太った修羅一人だが、アニメでは数十人。 ・拳盗捨断後、全ての魔闘気でケンを攻撃する(暗琉獣撃破)シーン追加(次話) ・原作では海を渡ってきたのはバット一人だが、アニメでは北斗の軍(リハク含む)もついてくる。 |
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