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[第146話]
シャチ愛の戦い!
カイオウ、それを愚かと笑うのか!!


 もたらされた報せに、カイオウは驚きと怒りを覚えた。ケンとヒョウの戦いは、決着がつかず両者無事。二人の相討ちを止めたのは、戦いに割って入ったシャチだというのである。再びその身に魔闘気を纏わせるほどの怒りに、身を震わせるカイオウ。その矛先を向けられていたのは、シャチであった。部下にシャチの捜索を命じたカイオウは、リンを連れ、その愚か者を葬らんために出陣する・・・

 手配書を手に、シャチの捜索に奔走する修羅達。怪しい者を片っ端から捕まえるその強引なやり方は、直ぐにレイアの目にもとまった。シャチの命が狙われている。その事実を知ったレイアは・・・

 ケンとシャチ、そしてヒョウの三人は、荒野で野宿をとっていた。深手を負ったヒョウであったが、彼はまだ死ぬ事はできなかった。自分だけ伝えられているという北斗宗家の秘拳。それをケンシロウに伝える事こそが、己に残された最後の役目である事を、彼は今はっきりと思い出していたのである。泰聖殿。北斗宗家の聖殿と呼ばれるその地こそが、秘拳が隠されている場所なのだとヒョウは語った。しかし、ケンは動く事ができなかった。傷を負った兄をおいて、一人で泰聖殿へ向かう事は出来なかったのである。だがカイオウがどんな手を打ってくるかわからない事も事実。一刻も早く秘拳を得て、ケンを北斗宗家最強の男にせねばならない。その思いはシャチも同じであった。今動けるのは自分しかいない。そう考えたシャチは、一人ケン達のもとを離れ、泰聖殿へ向け旅立ったのであった。

 シャチは己の目を疑った。荒野の真ん中に、あのレイアが行き倒れていたのだ。助け起こされたレイアは、シャチに告げた。カイオウがあなたの命を狙っていると。その事を伝えるためだけに、レイアはこの荒野へと単身飛び出したのである。そしてもう一つ、レイアには願いがあった。もうこのままシャチを待ち続けることに耐えられない。ならばこのままシャチについてゆき、運命を共にしたいと考えたのである。もはやシャチに、その決意を変えさせることは出来なかった。レイアの命は必ず俺が守る。そう決意し、シャチは再び荒野へと歩き出す・・・

 泰聖殿。かつて北斗宗家の一族が暮らしていたといわれるその跡地に、二人は辿りついていた。だがそこにあったのは希望ではなく、絶望であった。既にそこは、カイオウによって待ち伏せられていたのである。己にとって小虫に過ぎない存在であるシャチに幾度も邪魔をされた屈辱。その憎悪は魔闘気となってカイオウを覆っていた。なんとかレイアだけでも逃がそうと、果敢にもカイオウに挑みかかるシャチ。しかし、二人の力の差は余りにも大きすぎた。蹴り飛ばされたシャチは、カイオウの馬に左腕を、更にカイオウに右足を踏み潰されてしまう。もはやシャチに、止めの一撃を交わす術はなかった。渾身の力を込めたカイオウの拳が振り上げられる。決死の覚悟で飛び掛かるレイアとリンであったが、無論二人の力でそれを止める事などは出来なかった。だが、そのレイアの悲痛な叫びは、奇跡を起こした。突如側にある床石のひとつから、眩い光が立ち昇ったのである。そしてそこから発せられる音は、カイオウを悶えさせた。その光の源こそ、秘拳の在り処に違いない。そう確信し、シャチが床石を引き上げた瞬間、床石が崩落。地下へと落下した一同を待つものとは・・・

 泰聖殿へ急ぐケンシロウとヒョウ。その前に姿を現したのは、タオであった。姉レイアがケン達と行動を共にしていないということ。それは彼女がシャチと一緒に居るということ。そしてそれは、カイオウがシャチを狙っている今、二人の身に危機が迫っているという事を意味していた。ヒョウのことをタオに任せ、ケンは二人の待つ泰聖殿へと走り出す・・・

 優しく暖かい光。シャチから一瞬激痛を忘れさせるほどの慈しみに満ちたその光は、地下に建立されていた女人像から発せられていたものだった。カイオウがその女人像に手をかざした瞬間、再びカイオウは、謎の音に身悶え始めた。それはまるで女人像が、カイオウを、北斗琉拳を拒んでいるかの如くであった。しかし同時にカイオウは、その北斗宗家の正体に底を感じていた。秘拳の象徴が女人像だったというその事実に、カイオウに何の脅威も感じていなかった。

 女が鍵だというなら女から殺すまで。そう言ってレイアへと歩み寄るカイオウであったが、シャチは再びその前に立ちはだかった。だが彼の身体は、既に朽ち果てていた。レイアの盾となり、幾度もその身を吹き飛ばされたシャチは、もはや立ち上がることすら出来なくなっていた。レイアを守るという約束を果たせず死ぬ事に、無念を覚えるシャチ。しかしその時、信じがたい出来事が起こった。女人像が涙を流し始めたのである。幻覚に過ぎない。そう言って目の前の現象を否定するカイオウであったが、その目は再び信じがたいものを映していた。それは、女人像の光と共に立ち上がってきた、既に息絶えたはずのシャチの姿であった。
放映日:88年1月7日


[漫画版との違い]
・カイオウが部下にシャチの捜索を命じるシーン&修羅がシャチ捜索を行うシーン追加
・原作でケン達のもとに差し向けられた第一陣の修羅達は登場せず。
・原作では自分が先に泰聖殿に行くとシャチが名乗り出るが、アニメではこっそり向かう。
・原作でレイアが合流するのはケン達が3人固まっているときだが、アニメではシャチ一人になったとき。また、アニメでは行き倒れているところをシャチに偶然発見されるというものに変更。
・原作では秘拳の封じられている場所までヒョウが知っていることになっているが、アニメでは泰聖殿としか知らない。
・カイオウが泰聖殿に来たとき、原作では仮面を脱いでいるが、アニメでは終始かぶったまま。
・原作のシャチは左手、右足ともに失うが、アニメでは使用不能になるだけ。
・原作ではカイオウが外した拳の威力で床が崩壊するが、アニメではレイアの声に反応した光の源を、シャチが開けたため。
・床下に落ちる際、光に包まれたシャチから一瞬痛みが消えるシーン追加。
・カイオウがシャチを狙っている情報をケンに伝えたのが、黒夜叉からタオに変更。
・ケンの行く手を阻んだのは原作では火炎放射器を持った者達だが、アニメでは普通の修羅の集団
・シャチの目に女人像が微笑んでいるように見えるシーンは削除


・見張っとったんちゃうんかい
ケンとヒョウの戦いの結末を知ってて、シャチが割り込んだ事まで判明しているということは、少なくとも誰か一人羅聖殿の中で戦いを目撃していたという事になる。ならば当然その後の彼らの所在地、動向も、カイオウの部下達は完璧に把握しているのが普通fだろう。なのに何でカイオウの部下達はあんな見当違いな街中を捜索していたのだろう。見張りの者たちは一体どうなってしまったのか。ちょっと流れとして不自然に感じます。
・ミラクルレイアはわがまま娘
シャチを探しに荒野に出て、行き倒れたのに、最初にそれを発見したのがシャチだったとかって・・・運よすぎ!!
つか荒野に出るのにあんな動きにくそうな格好してちゃだめ!
そしてそのまま自分も泰聖殿についていくとか、迷惑すぎ!

でも迷惑かけるにしても、あれだけ積極的なほうがまだいいよね。リンとかもあんな風に抱きついて懇願できるような性格だったら、ケンの気持ちも揺らいでいた可能性が・・・ないか。


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