
城に着いたヒョウの目に飛び込んできたのは、カイオウの腕の中で横たわるサヤカの姿であった。変わり果てた恋人の姿に、声をあげて泣き崩れるヒョウ。彼は知らなかった。それが、カイオウの血塗られた謀略の始まりだということを。牢獄の中に閉じ込められたリンに、それを伝える術は無かった・・・
黒煙を撒き散らしながら荒野を走る列車。ハヤブサ号と名付けられたその機関車に乗っていたのは、修羅ギョウコの一味であった。運ばれてくる食事を次々と腹へと放り込むそのギョウコの肉体は、醜いまでに膨れ上がっていた。昨日より痩せているとのウソで機嫌をよくしたギョウコは、ベルトの穴をひとつ分締める事を宣言。だが勿論、部下がいくら頑張ってもベルトが締まることはなかった。そんな部下に対し、ギョウコは言った。俺の事を豚だと思ったろうと。刃を突きつけられ、仕方なく少しだけそれを肯定した瞬間、その部下の身体は車外へと吹っ飛ばされていた。
獲物を前にして、勇ましく車外へ飛び出すギョウコ。しかしその重すぎる体は、彼の下半身を地面の中へ埋没させてしまった。かわりにけしかけた部下達はアッサリと全滅。なんとか地面から脱出したギョウコも、その身体を片腕で持ち上げられてしまう。もがくギョウコをよそに、ケンは語った。俺は今まで貴様等をふりかかる火の粉だと思って払ってきた。だがこれからは、カイオウに組するものは自ら戦い葬ってやると。それは、修羅の国に対するケンからの挑戦状であった。連撃を浴び、再び車内へと戻されたギョウコの腹は、激痛に波うっていた。俺に二度の負けは無い。そうカイオウに伝えるよう告げ、ケンは苦しむギョウコ再び荒野へと送り返したのであった。
その時、会場に轟音と悲鳴が轟いた。一台の列車が、この告別の儀の中に突入してきたのである。カイオウの魔闘気によって止められたその列車は、あのハヤブサ号であった。激痛に顔をゆがませながら、ケンシロウからの言伝を伝えるギョウコ。だがその言葉に怒ったのは、ヒョウのほうであった。次の瞬間、ギョウコの身体は禍々しき闘気に吹き飛ばされていた。ヒョウの体から放たれたそれは、あのカイオウが持つものと同じ魔闘気であった。今此処に、第二の魔神が誕生したのである。その姿をカイオウは満足げに眺めていた。そしてその足の下には、ヒョウより渡された忠誠のペンダントが踏みにじられていた。ケンシロウとヒョウ。二人の北斗宗家を同時に葬るカイオウのシナリオは、もはや避けられない状況となっていた。| [漫画版との違い] ・ヒョウがサヤカの遺体と対面している間、リンが牢獄に閉じ込められるシーン追加 ・原作ではサヤカの遺体と対面してそのままケン抹殺を決意するが、アニメでは一旦安置場所に移動してから。 ・ヒョウが死んだサヤカの指に指輪をはめるシーン追加 ・シャチ達が逃げた先にいたのは原作ではレイアだが、アニメではコヨテ(前話) ・ギョウコの食事シーン、体重をはかるシーン、ケンの手配書にナイフを突き立てるシーン追加 ・ベルト締める係の修羅の容姿、台詞が若干変更 ・原作ではケン達の潜伏先までハヤブサ号がいくが、アニメでは進路上にある村に突っ込んだときにケンと出会う。 ・アニメではハヤブサ号が村につっこみ、その突進をケンが止め、その後バトルになる。。 ・ギョウコ配下の修羅とケンとの戦い追加。 ・ギョウコ対ケンシロウの内容が大幅に変更。腕も切断されず、殺されもしない。 ・原作ではギョウコの部下たちにカイオウへの伝言を伝えさせるが、アニメではギョウコ本人に。 ・葬儀の参列者が、サヤカの死を悼むシーン追加。 ・ギョウコのハヤブサ号がサヤカの葬儀につっこんでくるというシーン追加。ギョウコをぶっとばし、ヒョウ魔界に入る。 |
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