
修羅でもない。ボロでもない。ヒョウの城に現れたその素性不明の老人は、修羅達にとってただの不法侵入者であった。羅将ヒョウに会いに来た。己達の将を呼び捨てにするその老人の言葉は、彼を処刑するには十分な理由であった。刀を振り上げ、老人へと襲い掛かる修羅。しかし次の瞬間、男の身体はこの世から消え失せていた。老人が只者ではないことを悟った修羅達は、門を閉め。入り口を封鎖。しかし、ジュウケイの前では扉など無に等しいものであった。手をかざし、呪文を唱え始めるジュウケイ。その両手に宿りし高熱は、鋼鉄の扉をいとも簡単に溶かしてしまった。仕上げに閂を吹き飛ばし、開かれた正門から、ジュウケイは堂々と入城を果たしたのであった。
リンとシャチがやってきたのは、修羅と村人達の死体が散乱する村であった。それは、戦場と化した現在の修羅の国を象徴する、凄惨な現場であった。そしてその時、二人の下へ近付く巨大な黒い影があった。馬の蹄の音と共に現れた、全身に黒い鎧を纏った巨人。それは、魔神と称されるこの国の王、第一の羅将カイオウであった。シャチは、天帝の血を引くリンを差し出すため、カイオウを呼び出したのである。シャチの言葉が真実であることを、カイオウは直ぐに確信した。リンの目に宿る光。それは、まさしくこの世の全てを背負いし宿命を持つ者の証であった。リンを気絶させたカイオウは、後で城に来るようシャチに告げ、再び荒野の彼方へと消えていった。全ては自分の思い通り。そう思い、笑みを浮かべるシャチであったが・・・
ジュウケイとヒョウ。生死を賭けた師弟対決の幕は切って落とされた。しかし打って出るヒョウに対し、ジュウケイは全く反撃しようとはしなかった。ジュウケイの狙いは、ヒョウの記憶を呼び覚ます破孔ただ一つ。そして、その偽りの仮面を剥がすための準備は、既に成されていた。ジュウケイが呪文を詠唱しはじめた瞬間、ヒョウの身体は完全にその自由を奪われていた。記憶を奪われる際、ヒョウはその身体に呪醒文を埋め込まれていたのである。ジュウケイがそれ程までに拘る、ヒョウの記憶。そこに隠されているのは、真の北斗を呼び覚ます封印。それこそが、ケンシロウがカイオウを倒すための唯一の道なのだと、ジュウケイは語った。
だが、あと少しというところでケンはその歩を止めた。姿は消えても、その強い殺気は、明確にガメレオの位置を示していたのである。やぶれかぶれで襲い掛かるガメレオであったが、もはや勝ち目などあるはずもなかった。| [漫画版との違い] ・ジュウケイが、レイアにシャチのもとへ行くよう言う台詞削除 ・ジュウケイに襲い掛かった門番は、原作では顔と四股は残るが、アニメでは全部ふっとぶ。 ・原作ではジュウケイは玉座のヒョウまで進むが、アニメでは外出中だったため、入り口のところでヒョウと会う。 ・アニメのヒョウはジュウケイに会った時跪く。 ・原作ではリンはいきなり連れ去られるが、アニメでは滅んだ村に訪れた際にシャチに差し出される。 ・ヒョウに術をかけるジュウケイに、飛び掛った修羅が吹き飛ばされるシーン追加。 ・ケンvsガメレオ追加 ・原作ではリンが連れ去られた事をレイアとタオが伝えるが、アニメではシャチ |
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