
ジャコウは、夢の中で北斗の幻影に脅かされていた。かつて命を奪われかけた、恐怖の暴凶星ラオウ。そしてそのラオウよりも大きな謎の影。目覚めたときはその正体を理解できなかったジャコウであったが、それはもはや現実のものとなってジャコウの直ぐ側にまで近づいていた。息咳かけて部屋へと飛び込んできた兵達が伝えたのは、ケンシロウが中央帝都へと現れたとの報であった。ラオウをも倒した伝説の男、ケンシロウ。先程の大きな影がケンシロウであることを確信したジャコウは、総力を挙げてその男を抹殺するよう命令を飛ばす・・・
高圧の電流が走る第二の門も、ケンシロウをとめることは出来なかった。何事もなかったかのように柵を力でこじ開け、更に内部へと侵攻するケン。その報告を受けたジャコウは、悪夢が現実のものとなろうとしていることを知るのだった。とその時、部屋の明かりが一斉にシャットダウン。闇の中に浮かび上がる北斗七星の幻影は、ジャコウを乱心させてしまう。刃を抜いたジャコウは、己の部下達を次々と切り裂き始めた。
自らを呼ぶケンの眼に意を決したファルコは、己の部下のサイヤを呼び寄せた。ファルコがサイヤへと託したもの、それは中央帝都の中心部に仕掛けられた爆弾の起爆装置であった。自分が負ければ、ジャコウは北斗を恐れるあまり、すべてを天帝の責任にして逃亡する。そうなるくらいなら、天帝、ジャコウをも巻き込んですべてを破壊してしまった方がいいとファルコは考えたのである。しかし、ただひとつファルコには心残りがあった。心あらずもジャコウに仕え、天帝の居場所を探ってくれた恋人ミュウ。彼女をもその爆発に巻き込んでしまうであろうことを、ファルコは憂いていたのである。だがその悩みに始末をつけたのは、他ならぬミュウ本人であった。2人の会話を聞いていたミュウは、自らに爆破装置のボタンを押させてほしいと進言してきたのである。愛するファルコの死は、自らの死。一人残されるくらいなら死を選ぶ、そのミュウの言葉により、ファルコの迷いは全て消え去った。纏っていた天帝のマントを脱ぎ捨てたファルコは、かわりに元斗の紋章の刻まれたマントをその身へ巻きつけた。それは、帝都の将軍としてではなく、元斗皇拳二千年の歴史を背負う伝承者として戦うという意思の表れであった。天帝の生死、元斗の歴史、そして己自信の愛を賭け、ファルコは宿命の闘いへと向かう・・・
ケンシロウとファルコ。帝都へと続く主門がゆっくりと開かれたとき、遂に両名が顔を合わせた。部下達から信任厚きそのファルコが悪党ではないことを知るケンは、戦わずしてこの場を引くよう打診する。しかし、天帝の命、そして元斗の歴史をも背負ったファルコには退路などなかった。開戦を告げるかのように放たれた金色の闘気が、ヌンチャクを破壊し、ケンの左肩をかすめる。対してケンの放った闘気もまた、元斗のマントを破り裂き、ファルコの左肩に血を誘った。ファルコに一片の気の迷いもないことを悟ったケンは、全力で己の拳を振ることを誓う。そしてファルコもまた、死を賭けて闘うことを近い、闘気を爆発させた。本来なら歩を揃え、天帝のために同じ道を進む北斗と元斗。その二人の凄まじき拳の衝突は天をも割った。と、その瞬間、リンの中にある声が走り抜けた。それは、姿すら知らぬ天帝が、涙と共に己を呼ぶ声であった。| [漫画版との違い] ・ケンシロウvsボルツが追加 ・シーノがやられて第一の門が破られたという報告が、第一の門の守備隊と交戦中というものに変更 ・原作でミュウに天帝の居場所が特定できたか尋ねるのは第二の門のやり取りの後だが、アニメでは第一の門の後。 ・原作でファルコの母の涙のエピソードが語られるのはサイヤを呼んだ後だが、アニメではこの時のミュウとの会話の中。 ・第二の門の時、リーダー格の兵が塀越しに棒で殴られるシーン削除 ・原作で帝都の光がおちるのは、総督直轄軍が敗れた報の時ときだが、アニメでは第2の門の守備隊がやられたと言う報の後。また、総督直轄軍はアニメでは登場せず。 ・原作では第二の門を通過してすぐにヌンチャクを使い始めたが、アニメでは最後の門の前にきてからに変更。 ・ケンの足を掴むのが、ヌンチャクでこかされた兵から、普通にヌンチャクでぶっとばされた兵に変更。 ・サイヤの容姿が原作に比べて青年っぽく変更。 ・元斗のマントをとめるためのマント留めを、ミュウから受け取るシーンが追加 ・原作でリンが天帝の声を聞くのは戦いが始まって暫く経ってからだが、アニメでは始まってすぐ。 |
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