
夜、バットの姿が見えないことに不安を感じたリンは、ケンにそのことを報告。だがケンは、そんな心配など不要である事は、リン自身が一番わかっているはずだと笑って応えるのだった。
アインが連れてこられたのは、あのベロンの郡都であった。バットは、今から行おうとしていた郡都襲撃にアインの拳を使わせようと考えたのである。嫌がるアインと共に高いハシゴに乗ったバットは、見張りを倒し、一気に城壁の上まで侵入。しかし見張りが死ぬ前に叫んだ敵襲の叫びによって、2人は直ぐに帝都兵達によって取り囲まれてしまった。もはや後戻りの聞かなくなったアインは、腹を決め、兵達に攻撃を開始。そしてバットもまたその華麗な体術で兵達をなぎ倒していく。だが、アインにはバット達の行動が理解できなかった。この郡都を落としてもまた次の郡都の部隊が駆けつけ、いずれは中央の兵も動く。キリのない戦いを続ける事に、アインは意味を見出せなかったのだ。だが、バットにはもはや恐れるものなどなかった。それは、誰よりも心強いあの男がついていてくれること、そして自らが愛する女のため戦うという意思が、バットの背を押してくれているからであった。
かつて勇敢な戦士として戦っていたアインは、大きな傷を負い、追われる身となったことがあった。その時、アインに一杯の水と温かい寝床を与えた女、それがアスカの母親だったのである。彼女の看護により日増しにアインの傷は癒えていったが、ある日その女はアインの目の前で刺殺された。アインを追ってやってきた悪党達が、無防備に立っていた彼女に理由もなく剣を突き立てたのだ。母の死を察して泣き続けるアスカを抱えながら、アインは怒りを乗せた拳で悪党達を撲殺。こうしてアインは、アスカの父親として生きることとなったのであった。
ケンは、アスカに突きつけていたナイフをレンの額に押しあて、助かりたいかと問う。しかし、どう答えようともケンが非道なその男を許すはずはなかった。深々と頭にナイフと突き入れられ絶命したレンの手から、アスカはケンの腕の中へと助け出されたのであった。後ろ盾がなにも無くなってしまったベロンは、アインに言われるがままに棍棒を譲渡。アインの怒りを乗せた渾身の一振りは、ベロンの頭蓋骨を粉砕した。| [漫画版との違い] ・ベロンの立場が、A級反逆者収容所所長から、バットとアインで落とした郡都の長に変更。 ・原作では「最後の郡都」だが、アニメでは「西の砂漠最後の郡都」に変更 ・原作では郡都を落とした後、バットを探しにリンが郡都まで来るが、アニメでは来ず。 ・原作でアスカを拐おうとした賞金首が、ベロンに雇われた賞金稼ぎに変更。原作では失敗するが、アニメでは成功する。 ・アスカが捕われた理由が、レンの裏切りから、アインに復讐するためにベロンがレンに拉致させたに変更 ・アスカが人質とされた場所が、A級反逆者収容所から、砂漠の野営地に変更 ・アスカを守っていた者達が、アインの仲間の若い男達から、ジョセフ一人に変更 ・原作ではレンも棍棒を借りてアインを殴るが、アニメではベロンだけ。 ・ケンがアインを救った理由が、死ぬには惜しいと思ったというものから、愛する者のために闘う気持ちを教えるために変更。 |
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