
勢いに乗った北斗の軍の攻撃により、また一つ郡都が陥落。這々の体で逃げ出した郡都の隊長は、数名の兵と共に近くの岩場にまで避難していた。捨てた郡都の事など意にも介さず、己が逃げ出せた事に胸をなでおろす隊長。しかし、そんな彼らの前に現れたのは、若き帝都の猛将軍、金色のファルコであった。ファルコは天帝の名のもと、郡都を捨てて逃亡したその隊長を元斗皇拳で抹殺。その拳が次に狙う獲物は、勿論天帝に歯向かうバット率いる北斗の軍であった。
バット達の元へ駆けるケンの行く手を阻んだのは、元斗皇拳、赤光将軍の大部隊であった。赤い鎧、赤い闘気を纏ったその将軍は、天帝の名においてケンを抹殺すると宣言し、攻撃を開始。元斗赤光烈弾にて先手を取り、その後も次々とケンに攻撃を繰り出ていく。だがその戦いの最中、ケンは異変に気が付いた。その赤光の将軍が繰り出す拳には、全く殺気が込められていなかったのである。強烈な足払いで将軍に膝を付かせたケンは、その顔を覆う兜を破壊。兜の下から現れたのは、ケン、そしてユリアにとっての恩人、ショウキであった。
バイクにのって村まで戻ってきたのは、その村の長であるショウキであった。村が賊に襲われていることを聞きつけ、急いで戻ってきたのである。しかし、村は既に一人の男の手によって救われた後であった。事のあらましを聞いたショウキは、ケンに対して感謝の意を述べる。そして安住の地を求めて旅している二人に対し、ショウキはこの村で暮らすよう勧めた。命が長くないユリアにとって、緑も水も豊富なこの村は最適な場所であると判断したのだ。しかし、ショウキは村を救ったその男、ケンの名を聞こうとはしなかった。立場上敵が多いショウキにとって、あまりにも強いその男の名を知る事は、二人が戦わねばならない事に繋がるかもしれないと考えたのである。残りの命、存分にケンに甘えるようユリアに告げ、ショウキは早々に退散。ケン達はそのショウキの恩義に応え、その村に暮らす事を決め、そしてユリアはその村でその生を終えたのだった。ショウキは、ユリアに最後の安らぎを与えてくれたケンの恩人なのであった。
進退窮まった北斗の軍に事実上の敗北を言い渡したファルコは、リーダーに前に出てくるよう指示した。兵の子はいずれ天帝の歴史を語り継ぐ。しかし戒めとしてリーダーは殺さねばならない。それが逆賊北斗に対してファルコが下した裁定であった。自分ひとりの命で皆が助かるなら本望。そうリンに告げ、単身ファルコの前へ立つバット。袖に仕込んだ暗器攻撃での最後の抵抗も簡単に防がれ、バットはその首を捕らえられた。覚悟を決めたバットに、闘気を纏ったファルコの手刀が迫る。だが、寸前でファルコの手は止められた。死を覚悟したバットの目が、他の者のために殉ずる目であることを、ファルコは見抜いたのだ。バットはリーダーではない。そのことを確信したファルコは、ゆっくりと残る北斗の軍をメンバー観察。その眼がリンを捕らえたとき、ファルコの中に衝撃が走った。若き日の自分、そしてその腕の中に抱かれる赤子・・・。ファルコの中に、過去のとある一場面がフラッシュバックしていた。仲間やバットが止めるのも聞かず、覚悟を決めたリンはファルコの前へと歩み出る。どんな理由があろうとも、天帝の命令を無視することは出来ない。自らの迷いを振り払うかのように、ファルコはその拳をリンへと振りおろす・・・| [漫画版との違い] ・市都が、いち郡都に変更。伴い、市都の長官も郡都の隊長に変更。 ・北斗の軍vsファルコの軍は、原作では落とした市都にファルコ部隊が援軍として訪れるが、アニメでは峡谷で休憩しているファルコ軍を北斗の軍が襲撃する。 ・バット&北斗の軍が、ファルコに蹴散らされるシーンが追加。 ・リンとバットのもとに向かうケンに立ちはだかるのが、ソリアの部隊からショウキの部隊に変更。それに伴いケンとショウキの再会が原作より早まり、二人が出合ったエピソードも今回登場。 ・ショウキの村が襲われている事を知らせに走った男は、原作では追っ手に真っ二つにされるが、アニメでは存命。 ・リーダーを探すファルコが、リンを見つけて驚愕し、過去(赤子のリンを殺せといわれた時)を思い出すシーン追加。 |
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