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[第115話]
天帝怒る!ファルコ、北斗を
地上より根絶やしにせよ!!


 勢いに乗った北斗の軍の攻撃により、また一つ郡都が陥落。這々の体で逃げ出した郡都の隊長は、数名の兵と共に近くの岩場にまで避難していた。捨てた郡都の事など意にも介さず、己が逃げ出せた事に胸をなでおろす隊長。しかし、そんな彼らの前に現れたのは、若き帝都の猛将軍、金色のファルコであった。ファルコは天帝の名のもと、郡都を捨てて逃亡したその隊長を元斗皇拳で抹殺。その拳が次に狙う獲物は、勿論天帝に歯向かうバット率いる北斗の軍であった。

 天帝が本格的に動きだしたことを知ったリハクは、元斗が敵にまわったことに脅威を感じていた。闘気を刃とし一瞬にしてを滅殺する、かつては北斗神拳をも上回ると言われた拳、元斗皇拳。また一つ、ケンの前に強大な敵が現れたことに、リハクは不安を覚えずにはいられなかった。

 天帝が動いたということは、リンやバットのもとにも元斗の将軍が現れる。そう直感したケンは、マミヤの村を早々に発ち、2人のもとへと急ぐ。そして、しつこくケンの首を狙い続けるアインもまた、己のブルドーザーを発進させ、その後を追う・・・

 荒野を行く北斗の軍は、渓谷の中に陣を張るファルコの天帝軍を発見した。今の勢いなら勝てる、そう踏んだバット達は、一斉に崖を駆け下り天帝軍に襲撃を決行。予想通り勢いで勝る北斗軍は、次々と帝都兵をなぎ倒して行く。しかし、戦況はたった一人の男によって逆転させられた。大将・ファルコの首を獲らんと飛びかかったバットは、謎の金色の光によって吹き飛ばされてしまった。更にファルコはその両手から放たれる金色の光によって次々と北斗軍の兵士を滅殺。あまりにも強いそのファルコの元斗皇拳の前では、北斗軍の勢いなど無に等しいものであった。

 バット達の元へ駆けるケンの行く手を阻んだのは、元斗皇拳、赤光将軍の大部隊であった。赤い鎧、赤い闘気を纏ったその将軍は、天帝の名においてケンを抹殺すると宣言し、攻撃を開始。元斗赤光烈弾にて先手を取り、その後も次々とケンに攻撃を繰り出ていく。だがその戦いの最中、ケンは異変に気が付いた。その赤光の将軍が繰り出す拳には、全く殺気が込められていなかったのである。強烈な足払いで将軍に膝を付かせたケンは、その顔を覆う兜を破壊。兜の下から現れたのは、ケン、そしてユリアにとっての恩人、ショウキであった。


 拳王との戦いの後、旅に出たケンとユリアは、黒王号の背に乗って雨の中を彷徨っていた。そんな二人の前に現れたのは、村が盗賊に襲われ、助けを求めて叫び続ける一人の男であった。

 力任せに村人を虐殺し、ありったけの食料を運び出そうとする盗賊達。彼らの前に現れたのは、村人が呼んで来た最強の助っ人、ケンシロウであった。邪魔しようとするケンに一斉に襲い掛かる盗賊達であったが、結果は火を見るよりも明らかであった。一斉に吹き飛んだ悪党達の死に様に、村人達はただ唖然とするのだった。

 バイクにのって村まで戻ってきたのは、その村の長であるショウキであった。村が賊に襲われていることを聞きつけ、急いで戻ってきたのである。しかし、村は既に一人の男の手によって救われた後であった。事のあらましを聞いたショウキは、ケンに対して感謝の意を述べる。そして安住の地を求めて旅している二人に対し、ショウキはこの村で暮らすよう勧めた。命が長くないユリアにとって、緑も水も豊富なこの村は最適な場所であると判断したのだ。しかし、ショウキは村を救ったその男、ケンの名を聞こうとはしなかった。立場上敵が多いショウキにとって、あまりにも強いその男の名を知る事は、二人が戦わねばならない事に繋がるかもしれないと考えたのである。残りの命、存分にケンに甘えるようユリアに告げ、ショウキは早々に退散。ケン達はそのショウキの恩義に応え、その村に暮らす事を決め、そしてユリアはその村でその生を終えたのだった。ショウキは、ユリアに最後の安らぎを与えてくれたケンの恩人なのであった。


 戦いに負けたショウキは、自らを殺すようケンに指示。しかし、ケンにショウキの命を奪うことは出来なかった。戸惑うケンにショウキは再び闘気を放つが、ケンは片手でそれを防御。己とケンとの大きな力の差を悟ったショウキは、ある希望を胸に、天帝への忠誠よりもケンとの恩義を選択することを決めた。数百に及ぶ部下達に道を空けるよう指示したショウキは、その責を全て己が被ることも厭わず、ケンを送り出したのだった。

 進退窮まった北斗の軍に事実上の敗北を言い渡したファルコは、リーダーに前に出てくるよう指示した。兵の子はいずれ天帝の歴史を語り継ぐ。しかし戒めとしてリーダーは殺さねばならない。それが逆賊北斗に対してファルコが下した裁定であった。自分ひとりの命で皆が助かるなら本望。そうリンに告げ、単身ファルコの前へ立つバット。袖に仕込んだ暗器攻撃での最後の抵抗も簡単に防がれ、バットはその首を捕らえられた。覚悟を決めたバットに、闘気を纏ったファルコの手刀が迫る。だが、寸前でファルコの手は止められた。死を覚悟したバットの目が、他の者のために殉ずる目であることを、ファルコは見抜いたのだ。バットはリーダーではない。そのことを確信したファルコは、ゆっくりと残る北斗の軍をメンバー観察。その眼がリンを捕らえたとき、ファルコの中に衝撃が走った。若き日の自分、そしてその腕の中に抱かれる赤子・・・。ファルコの中に、過去のとある一場面がフラッシュバックしていた。仲間やバットが止めるのも聞かず、覚悟を決めたリンはファルコの前へと歩み出る。どんな理由があろうとも、天帝の命令を無視することは出来ない。自らの迷いを振り払うかのように、ファルコはその拳をリンへと振りおろす・・・
放映日:87年4月23日


[漫画版との違い]
・市都が、いち郡都に変更。伴い、市都の長官も郡都の隊長に変更。
・北斗の軍vsファルコの軍は、原作では落とした市都にファルコ部隊が援軍として訪れるが、アニメでは峡谷で休憩しているファルコ軍を北斗の軍が襲撃する。
・バット&北斗の軍が、ファルコに蹴散らされるシーンが追加。
・リンとバットのもとに向かうケンに立ちはだかるのが、ソリアの部隊からショウキの部隊に変更。それに伴いケンとショウキの再会が原作より早まり、二人が出合ったエピソードも今回登場。
・ショウキの村が襲われている事を知らせに走った男は、原作では追っ手に真っ二つにされるが、アニメでは存命。
・リーダーを探すファルコが、リンを見つけて驚愕し、過去(赤子のリンを殺せといわれた時)を思い出すシーン追加。


・ショウキ戦
今回のアニメオリジナルといえば、やはりケンシロウvsショウキだろう。アニメの帝都編ではこういうのをもっとガンガン入れてほしかった。ショウキみたいなオトコマエキャラはもっと出番があってもいいのだが、まあこれくらいが限度だろう。
 今回はケンシロウをスルーするという義を見せたショウキだが、この話はそんな単純なものではない。実力を考えるとファルコがケンシロウ、ショウキが北斗の軍鎮圧に向かうべきところである。おそらくそう命令も下されていただろう。だが、
ショウキはおそらく自らがケンシロウのところにいくとファルコに進言したのだ。やっぱり赤はいつの時代もアツい男だ。
原作では元斗皇拳の使い手かどうかも微妙なショウキが立派に赤い闘気を飛ばし、ケンのパンチを分身で交わしていた。そういえばショウキの代わりに北斗の拳2(FC)で赤光将軍に選ばれたブロンザは、無想転生を使っていた。
どうも赤光の闘気の使い手は、プチ無想転生を使えるようだ。
・リハク・・・
原作のように、ファルコの軍の増援が来たというのなら仕方ないのだが、アニメでは北斗の軍が自らファルコの軍に襲い掛かっている。つまりはファルコが元斗皇拳の使い手という事を知らないのだ。
ならば恐るべきは元斗皇拳!!じゃねえよジイサンよ・・・。恐るべきなんなら事前にその情報をバット達にも伝えとけよー。ファルコなんて一番危険な存在だし、これでもかっていうくらい特徴的じゃねえか。
きっと直前に思い出したんだな、このボケ老人。


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