
夜。キャンプを張る北斗の軍の男たちの話題は、伝説の男・ケンシロウの事一色になっていた。志気あがる北斗の軍の進撃が始まろうとしていた。
ゲイラの部屋へと呼ばれたのは、特別獄舎に幽閉されていた囚人4名であった。彼等に与えられた使命は、ケンシロウの抹殺。成功した暁には自由の身になれるだけでなく、郡都をひとつ与えるという報酬をぶら下げることによって彼等をケンシロウへぶつけようと考えたのだ。だがその桁違いの報酬は、側で話を聞いていたアインの興味をも引いてしまった。自らの女にその郡都を手に入れることを決めたアインは、その囚人達に失せろと命令。更にアインは、お前等に女はいるのかとの問いを彼らに投げかけた。チャンスを奪おうとするどころか、ケンカまで売ってきたその男に対して、囚人達は激怒。自慢の拳や武器を使ってアインを潰そうとする。だが、賞金稼ぎとして鍛えられたアインの喧嘩術の前に、4人は為す統べなくぶちのめされていった。この男ならケンシロウに勝てるかもしれない。ゲイラにそう思わせるほどのアインの強さであったが、すぐにそれを確かめる機会はおとずれた。あわてて駆けて来た帝都兵がもたらしたのは、ケン率いる北斗の軍が攻めてきたとの報告であった。
たった1人でケンシロウの前へと立ちはだかったアインは、自らの女のためケンシロウを倒すことを宣言。先程の者達と同じく女の有無を問い、ケンシロウも気兼ねなくぶちのめすことが出来る存在であることを確認したアインは、得意のケンカ拳法で早速攻撃を開始する。だが表情一つ変えるずにその拳をいなしたケンは、そのままアインに強烈なビンタを炸裂。自らの拳に絶対の自信を持つアインは次々と拳を繰り出すが、結果は全て同じであった。ダウンしたアインに止めをささんと、渾身の拳を振り下ろすケン。だがケンの拳は、アインの顔の数センチ前で止められた。女のいる男がやられれば、その女は悲しむ、女を持つ男としてそれを熟知しているからこそ、アインは戦う前にその男に女がいるかどうか尋ねていたのである。そして、女を哀しませる事をしたくないという気持ちは、ケンシロウにとっても同じであった。
城内に入ってきたケンシロウを前に、帝都兵は完全に戦意を喪失。司令官ゲイラを残し、全員逃亡してしまった。しかし、たった一人ケンシロウの前へと残されたゲイラであったが、その顔に敗色の様子はなかった。息をするのも面倒だとのたまりながらそのぶくぶくに太った体を起こしたゲイラは、突如ヒモのついた蒼い玉を取り出し、高速回転させはじめた。更に悪臭漂う口臭を吐き出し、ケンの嗅覚を攻撃するゲイラ。これらは視覚、嗅覚を利用したゲイラの催眠術攻撃だったのである。ケンシロウの動きが止まったことで術が成功したと考えたゲイラは、早速自らの靴を舐めるようケンシロウに指示。ゆっくりとゲイラに近づいたケンシロウは、その靴に目がけて唇・・・ではなく、己の足を踏みおろした。こけおどしのようなそんな術など、ケンには全く通じてはいたかったのである。郡都内に響き渡るゲイラの悲鳴。それを聞いたアインは、この郡都が墜ちるのはもはや時間の問題である事を確信した。再びブルドーザーの運転手を足蹴に命令し、豪快に退散するアイン。あまりにも派手な振る舞いに、バットとリンはただ彼を見送ることしかできなかった。| [漫画版との違い] ・キャンプする北斗の軍がケンの復活を喜ぶ場面追加 ・ユリアが死んだ事をケンが語るとき、ショウキの村につく直前の雨のシーンのワンカット追加 ・バット等について来いという前、原作では何も無いが、アニメっでは「第二砦の近くを天帝軍の護送車が接近中」との知らせが入る。 ・ケンシロウが復活したことを知り、ジャコウが抹殺命令を出すシーン追加。 ・ケンにやられた郡都のボスの名がザクからゾングに変更。 ・アインが手袋をしていない。今後もずっとしない。 ・ゲイラに髪の毛が追加。体型、容姿も原作より若干人間っぽく変化。 ・催眠術時、原作では葉巻を吸っているが、アニメでは吸わない。 ・アインがゲイラ郡都を去った後、賞金首がアスカをねらってくるというシーン削除。 ・アインがバット達に挨拶して帰るシーン追加。 |
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