
フドウとの戦いを終え、城に戻った拳王軍団達。だが拳王の、あのフドウへの投射に対する部下への怒りは未だ収まっていなかった。手当たり次第に周囲の部下達を殴り飛ばし、止めに入った拳王軍団の団長に対しても、秘孔を突き、その肩を破壊するラオウ。もはや、その嵐のような乱心を止められる術などあるはずもなかった。拳王の命令どおりに、軍団達はその場を後にするが・・・
部屋の中に炊かれた炎。その中に無言で手を入れたラオウは、真っ赤に燃える焼き石を手にし、そのまま粉々に砕いた。業火でさえ己の体を焼くことはできない。無類無敵の肉体。されど哀しみはその肉体をも凌駕する。哀しみ・・・。自らに足りぬその力の正体を必死で模索するラオウ。その時、ラオウの頭に、トウの言葉が響いた。ラオウ様の心はユリア様に・・・。その瞬間、ラオウの中にある答えが導き出された。ラオウが哀しみを背負う唯一の方法とは・・・
ラオウの頬を涙が伝う。それはあの日トキが予言した、ラオウが愛を知った証に他ならなかった。その時、ラオウは確信した。自らがユリアを追い求めていたのは愛ゆえにであるということを。しかし、今のラオウにはユリアとケンシロウ、二つを選ぶことはできなかった。許せユリア!我が心に哀しみとなって生きよ!ラオウが選んだのは、やはりケンシロウとの戦いであった。愛するものへと向けられたラオウの拳。叫びにも似た雷鳴轟く中、その凶拳は、無情にもユリアの背へと放たれたのであった。
黒王号がケンを運んできたのは、北斗練気闘座と呼ばれる所であった。数々の伝承者争いの闘いが行われた、北斗神拳の歴史の中で最も神聖な場所。いまは核により見る影もなくなったその廃墟こそが、ラオウが最後の戦いに選んだ場所であった。そしてラオウは、既にそこでケンシロウの到着を待っていた。黒王の背から降り、ラオウの前へと立つケンシロウ。今、北斗二千年の血の宿命は、二人の戦いへと姿を変え、終焉を迎えようとしていた。| [漫画版との違い] ・拳王軍団員がラオウに殴られ、別室へ撤退するシーン追加 ・原作では軍団長がユリアの所に赴き報告するが、アニメでは軍団達が集まる広間へとユリアが訪れ、そこで報告される。 ・広間での拳王軍団の傷をユリアが治したりするシーン追加 ・ラオウが哀しみを知る道を模索中にトウの言葉を思い出すシーン追加 ・リハクに、世界で反乱が起きているという情報がもたらされるシーン追加 ・原作でラオウが涙するのはトキとの回想の前だが、アニメでは後 ・雨が降り出し、リン達がいやな予感を感じる場面追加 ・原作で黒王が現れたのはケン達三人のときだったが、アニメではフドウの村。 ・原作で雨がやんだのは黒王が現れる直前だが、アニメではラオウの下へ駆ける途中 ・原作ではリンとバットも馬に乗ったが、アニメではケンだけ |
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