
ケンシロウとラオウ。宿命の二人が鉢合わせたのは、南斗最後の将、ユリアの待つ南斗の城の目前であった。ユリアを己の前に跪かせ、自らの覇道を完成させんがため、南斗の城の中へと黒王を駆るラオウ。遅れてはならないとすぐに後を追おうとするケンシロウであったが、その行く手は爆炎によって遮られてしまう。粉塵の中から現れたのは、拳王の影として寄り添い、影として行動する隠密集団、拳王影部隊であった。一刻の猶予もないケンシロウは彼等を蹴散らさんと飛びかかるが・・・
その頃ケンシロウは、まだ拳王影部隊を相手に戦っていた。残るはあと一人、隊長のみ。だがその時、ケンシロウの体が強烈な痙攣に襲われた。ケンの体に幾多ものかすり傷を作った影部隊の武器には、全てしびれ薬が塗られていたのである。強烈な眩暈、そして遂にはヒザをついてしまうケン。止めとばかりに、剣を振り上げる影部隊隊長。しかし、その剣を振り下ろすことはできなかったなかった。突如ケンが唸り始めたかと思うと、その体はゆっくりと起きあがり、何事もなかったかのように再び立ち上がったのである。気をもって体内の経絡を活性化し、毒を体外へと排出する。それはまさに暗殺拳、北斗神拳ならではの解毒法であった。勝機を逃した影部隊隊長は、手裏剣を投げて攻撃。二指真空把で返されたそれを自らも剣で弾くが、その一瞬の停止時間をケンは見逃さなかった。強烈な正拳で顔面を殴られ、吹き飛ぶ隊長。勝負はついた。しかし、彼らは"ケンシロウの足止め"という任務を、見事に遂行したのであった。
自らの命を救った、神と見まごうほどの暖かい光を持つ女、ユリア。その力を体感したあの瞬間こそが、ラオウがユリアを我が物にせんと決めた瞬間であった。そして目前にまで迫ったその野望へと向け、一歩、また一歩とその歩を詰めるラオウ。なんとかその歩を止めんと一斉に攻撃を仕掛ける海の兵団であったが、突き立てた斧は、槍は、ボロボロとその場に崩れ去った。そしてラオウが左手を振った瞬間、彼らの体もまた四散したのであった。仮面を取ってその顔を見せてくれ!ラオウのその呼びかけに応えることなく、その身を捩じらせる将。しかしその僅かな動きを見た瞬間、ラオウはある事に気付いた。違う・・・。目の前の鎧の中身がユリアではないことを、ラオウは瞬時に悟ったのである。怒りをこめた拳で、仮面を破壊するラオウ。仮面の下から現れたのは、リハクの娘トウであった。
やがて月日が経ち、二人もそれぞれ成長した。しかし、トウの想いは年を重ねても一向にラオウに届きはしなかった。血をぬぐおうとトウが差し出した手を、冷たく払いのけるラオウ。それでもただ一途にラオウを想い続けるトウであったが、ある日、トウはラオウが自らに魅かれぬその原因を知ることとなった。子供達と折り紙で遊ぶユリア。そのユリアを無理矢理我が物にせんとするラオウ。その凶行を止めるトキ・・・。かつてトキがマミヤに語った、皆がユリアに魅かれている事を表すワンシーン。この時、トウもまた、物陰からその一部始終を目撃していたのだった。| [漫画版との違い] ・拳王影部隊との戦闘シーン追加 ・リハクが兵団たちに指示を出したりするシーン追加 ・海の兵団が必死に城門を押さえるシーン追加 ・トウが初めてラオウとであったシーンから、その心がユリアにあることを知るまでの回想追加 ・トウが引き抜いたナイフを一時ラオウへと向けるシーン追加 ・原作ではケンとラオウが出会ったのは城の門の前だが、アニメではそれより若干門より遠い |
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