
フドウの部下である若草色の軍団の車に乗せられ、ケン達はフドウの住む村へとやって来た。まだヒルカ部隊の残党がいるかもしれないと一応警戒をするフドウであったが、その心配は無用であった。ハナ、テム、ミツ・・・フドウの愛する子供達は、全員無事に元気な姿で父の帰りを待っていたのだ。しかし、子供達がフドウへと駆け寄ろうとしたそのとき、フドウの体はゆっくりとその場へと倒れこんだ。原因は、背に突き刺さった無数の矢であった。タンジとジロを助けようと流砂の外へ投げたあの時、フドウ自身にも無数の矢が打ち込まれていたのであった。
かない背水の拳の威力こそが、ジュウザの隠していた秘拳の正体だったのだ。文字通り無防備となったジュウザは、ラオウの攻撃に全く臆することなく、真っ直ぐに間合いの中へ。そして、間合いの中に入ってもジュウザの直進は止まらなかった。あらかじめ体に油を塗ることで、その直進を止められぬよう策を施していたのだ。見事ラオウの懐の中へと飛び込んだジュウザは、掌に集中させたエネルギーを爆発させる奥義、撃壁背水掌を炸裂させる。身を擦りあわすほどの接近戦こそが、ジュウザの得意とする戦い方であったのだ。しかし、凄まじい撃掌も、ラオウに致命のダメージを与えるには至らなかった。原因は、ラオウのジュウザをも上回る格闘センスであった。一瞬にしてジュウザの秘拳の正体を見破ったラオウは、最初の攻防の時に秘孔 鏡明を突き、ジュウザの腕の力を奪っていたのである。もはやここまでだ。そのラオウの言葉どおり、ジュウザの両手は音を立てて崩れ去ったのであった。
じい執念をもたらした南斗最後の将。正体を問われたジュウザは当然答えはしなかったが、その後に吐いた台詞が、ラオウの将への興味を更に深める結果となってしまった。天を握ったラオウが最後に望むものが将。つまりそれは、将とはラオウが知る人間であることを意味していた。
フドウが今まで将の正体を語らなかった理由、それは万が一にも拳王の耳に入るのを防ぐためであった。我が将は女性に御座います!その衝撃の告白に、驚きを隠せないケンやバット達であったが、その直後に語られた将の正体は、ケンに全身を貫くほどの衝撃を走らせた。ケンの宿命の旅の終わりを告げる女。拳王が最後に求める女。そしてジュウザの失われていた魂を蘇られることの出来た女。そこから導かれる答えは一つしかなかった。南斗最後の将の正体、それはかつてケンシロウが愛した女、ユリアであった。| [漫画版との違い] ・南斗の都で人々が将に感謝するシーン追加 ・ジュウザが仲間達に、着いて来るなと告げるシーン追加 ・自分の村についたフドウが、一応周囲を警戒するシーン追加 ・原作ではフドウの傷は拳王部隊と戦ったときのものだったが、アニメではタンジとジロを投げたときに受けた傷に変更 ・原作ではケンが将の正体を問うたが、アニメではフドウから話し始める |
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