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[第87話]
危うし五車星! 
遂にラオウが炎をも突き破った!!


 渓谷に差し掛かった拳王の本隊を、強烈な突風が襲う。死しても尚自らに歯向かおうとするヒューイの執念に苛立つ拳王であったが、本当の反撃はその直ぐ後に待っていた。風がやんだその時、既にその山全体が炎に覆われていたのである。それに驚く暇も無く、今度は猛烈な数の火矢が、彼等へと降り注いだ。南斗五車星の一人、炎のシュレン率いる朱の軍団が、遂に拳王の前へと現れたのである。南斗最後の将のため、そして弟星ヒューイの仇を獲るため、死を賭して拳王に立ち向かうことを宣言するシュレン。だが、動き出した五車星はシュレンだけではなかった。五車の星、風、雲、炎、山、海。その中のひとつ、"山"が、ケンシロウの下に向かったと、シュレンは告げた。

 旅を続けるケンシロウ達一行。バギーを失い、徒歩での旅になったことに弱音を吐きまくるバット。廃墟ながらも小さな村を見つけた一行は、水を求めて町へと向かうが・・・

 その廃墟には、本隊から少し遅れた拳王部隊が屯していた。僅かな食糧を野良犬に奪われた彼等は、犬を追って一軒の古小屋の中へ。しかし、その中で彼等を待っていたのは、想像を絶するほどの巨人であった。古小屋を破壊しながら眠りから覚めたその巨人に対し、勇気を振り絞って立ち向かう拳王部隊。巨人にしてみれば爪楊枝ほどの鉄パイプによる攻撃であったが、意外にも巨人の体はゆっくりと崩れ落ちた。相手が極度の弱虫だと認識した彼等は、一斉に攻撃を開始するが・・・

 廃墟へと辿り付いたケンシロウ達の下へ、先ほどの巨人と拳王部隊が駆けて来た。相変わらずなんの反撃もせず、ただうずくまって攻撃に耐えるだけの巨人に対し、いよいよ刃物を取り出す拳王部隊。しかし、振り下ろしたはずのナイフは、何処からか伸びてきた手によって自らの頭へと突き刺さっていた。しゃしゃり出てきたケンシロウを倒さんと一斉に飛び掛る拳王部隊であったが、結果は当然全滅。助けられた大男は面目なさそうに笑い、ケン達に礼を述べた。しかし、その目はケンの凄まじい北斗神拳の威力をしかと目にしていた・・・

 拳王軍団に向かい更に矢を射ろうとする朱の軍団を、シュレンは制した。拳王軍団は所詮恐怖と言う名の鎖に繋がれた野盗の集まり。拳王さえ倒せば彼等は霧散することを、シュレンは見抜いていたのだ。しかし拳王は、その恐怖を背負った背水の男たちの強さを買っていた。絶対的な死を背負った選りすぐりの部下二人を、シュレンへと嗾ける拳王。しかし、その背水の力をもってしても、シュレンの実力には遠く及ばなかった。左右からの攻撃を仕掛けてきた両者を簡単に受け止めたシュレンは、得意の発火で二人の身体を炎上。五車炎情拳。炎とともに二人を切り裂いたその拳が次に狙うは、拳王とその邪な野望であった。

 宿命と仇討ちに燃えるシュレンの紅蓮の炎が、拳王を襲う。だが、炎を囮にしての背後からの攻撃も、拳王には全く通用しなかった。一瞬にして右手、右足を破壊されるシュレン。もはや勝負はついたかに見えた。しかしシュレンの心はまだ折れてはいなかった。最後の力で全身に炎を纏ったシュレンは、そのまま拳王に目掛け跳躍。正面から拳王を捕らえたシュレンは、見事拳王の身体を炎で包むことに成功したのだった。相打ちになってまでも己を倒そうとする、その執念のもとを訪ねる拳王。その答えは、シュレンのただ一途な将への忠義心であった。自らにとって永遠の光である将。もし拳王が将の前に立てば、その光が涙にくれる。それだけはさせないという一心で、拳王に立ち向かったのだ。だが、その命を賭した執念ですら拳王を燃え尽くすことは出来なかった。シュレンの首の骨を折り、その身から引き剥がした拳王の身体には、傷一つついてはいなかった。将を守る五車の星が又一つ、夜空から姿を消したのであった。

 ケン達に助けられたあの巨人は、いつのまにかケン達の旅に同行するようになっていた。バットとリンを肩に乗せ、楽しげに歩く大男。しかし、袖から見え隠れするその大男の肩には、ヒューイ達と同じ五つの星が刻まれていた・・・
放映日:86年9月4日


[漫画版との違い]
・シュレン登場前に、突風(ヒューイの呪?)が拳王軍を襲うシーン追加
・拳王部隊がフドウを見つけてイジめるまでの過程のシーン追加
・原作のなにをぱらの奴が、アニメではアゴを曲げられるほうのキャラに変更
・将が拳王でなくケンシロウを選んだという内容の会話が削除


・それが普通
原作では火矢にもシュレンの炎にも微動だにしなかった黒王号だったが、アニメではバヒヒンバヒヒンと大慌て。つうかそれが普通なんだけどね、獣なんだから。原作黒王号は恐怖という感情を秘孔か何かで消し去られてるんではないか?
・おまえな・・・
前話で、「炎のシュレンなら必ず・・・!」と理由もなくシュレンの勝利を断定したリハク。で、今回あっさりと流れ落ちた赤い星を見て一言
「ほのーがもえつきました」
。御前な、あのな、それだけか?自分の策がこうも簡単に失敗したことに対してのコメントはないのか?なんか予想してたで〜みたいな言い方してるやん。もう少し采配ミスを認めたらどうですかこのジジイ。


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