
食糧を売る店が建ち並ぶ活気のある町。そこの廃屋の窓辺に腰掛け、食べ物を口へと運ぶケン。とその時、ケンの目は、不信な男達の動きをとらえた。町の路地裏を走る、顔を布で覆った若者達。彼らは、ジノムをリーダーとした8人の若者グループであった。彼らの顔は、何かに追い詰められているかのようだった。そして次の瞬間、彼らは合図とともに、略奪行為に走った。武器を持って店という店に襲い掛かるジノム達。だが、そんな行為をケンが見逃すはずが無かった。リンゴの種を飛ばして彼らを挑発したケンは、飛び掛ってくる若者達を簡単にあしらい、そしてジノムを叩き伏せた。敵わない事を悟り、どうにでもしろと開き直るジノム。しかし、ケンの目は、彼らが真の悪党ではないことを見抜いていた。
日が半分沈んでも帰ってこないジノム達を、逃亡者とみなしたサバトは、マミの処刑の準備を始めていた。もう少し待ってくれ。そう言って駆け寄ってきたマミの母親を無慈悲に叩き伏せ、更にキレて飛び掛ってきた若者を己の肉厚で窒息死させるサバト。彼の暴虐を止められるものはもはや誰もいなかった。今度生まれてくるときは、こんな争いの無い時代に生まれたい。死を覚悟したマミの涙が、村人達にも涙を誘う。しかしその時、遂にジノム達を乗せたトラックが戻ってきた。作戦の成功の是非を問う拳王部隊に、深く頷きをかえすジノム。しかし、荷台の中を覗き込んだ兵士は、何者かの手によってその中へと引きずり込まれてしまった。状況を理解できず、呆気に取られるサバト。そして数秒後、彼らは宙を舞い、サバトの脂肪の中へと帰ってきた。どうしたんだ。そのサバトの問いかけに答える間もなく、二人はその身を破裂させた。荷台の中にあったもの、それは奪われた食糧ではなく、怒れる北斗神拳の拳であった。
襲いかかる兵士達を身動き一つ見せずに葬っていくケン。お前はいいものを食べてないから愚かなことを考えるんだ。そのサバトの台詞に、ケンも負けじと言葉を返す。他人の食糧を奪う奴はロクな死に方をせん、と。怒れるサバトは、早速自らの必殺技、フライングボディプレスを敢行。だが、その腹の下敷きになったはずの男は、目の前でサバトを見下ろしていた。無様に顔面を蹴り飛ばされ、もがくサバト。そしてそれを皮切りに、ジノム達もまた動いた。不意をついて拳王部隊へと襲い掛かり、彼らの支配から村を解き放ったのである。吊るされたマミも無事助け出され、残るはサバト一人。追い詰められたサバトは、隠し持っていた槍で最後の攻撃に転じるが、その高速の連突もケンには通じなかった。秘孔水承。ケンが突いたその秘孔が、サバトの体から血の臭いを立ち昇らせる。そしてその臭いは、空を舞うカラス達の食欲を誘った。自らがその身をついばまれる事になったサバトは、絶叫の中、その身を肉片へと変えたのであった。
| [漫画版との違い] ・アニメオリジナルストーリー |
|
| 第74話へ≪ | ≫第76話へ |