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[第75話]
許せ妹よ!
北斗を襲うはわが星の宿命!!
食糧を売る店が建ち並ぶ活気のある町。そこの廃屋の窓辺に腰掛け、食べ物を口へと運ぶケン。とその時、ケンの目は、不信な男達の動きをとらえた。町の路地裏を走る、顔を布で覆った若者達。彼らは、ジノムをリーダーとした8人の若者グループであった。彼らの顔は、何かに追い詰められているかのようだった。そして次の瞬間、彼らは合図とともに、略奪行為に走った。武器を持って店という店に襲い掛かるジノム達。だが、そんな行為をケンが見逃すはずが無かった。リンゴの種を飛ばして彼らを挑発したケンは、飛び掛ってくる若者達を簡単にあしらい、そしてジノムを叩き伏せた。敵わない事を悟り、どうにでもしろと開き直るジノム。しかし、ケンの目は、彼らが真の悪党ではないことを見抜いていた。
ジノム達の行動は、村の仲間のためであった。村を支配する拳王軍のサバト。食べることが何よりも好きな彼にとって、ジノムの村の食べ物は少なすぎた。そこでサバトが出した命令、それは、他の村から食糧を盗んでくることであった。逆らうものは死。反抗してきた老人にサバトが与えたのは、飢えたカラスの中にその身を吊るすというあまりにも残忍な極刑であった。そして、次の餌として選ばれたのは、ジノムの恋人であるマミであった。仲間を連れて食糧を奪ってこなければ、同じやり方でこの女を殺す。日没まで、それが彼らに残された時間であった。
一度食べ物を持って帰れば、奴等は何度でも同じ事を繰り返す。そして繰り返される野盗の真似事は、いつか男たちを本当の悪党に変える。そんなことはジノム達もわかっていた。しかし、彼らには他に選択肢は無かったのだ。だがケンは、そんな彼らに、忘れていた一つの武器を思い出させた。戦うという意思。今こうして、自分の前で死を覚悟した男達。その死ぬ気があれば、必ず勝利は得られるはず。それを証明せんがため、ケンは彼らと共に村へ行くことを決めた。そして、そのケンの行動を見守る天狼もまた、その背を追って村へ・・・
日が半分沈んでも帰ってこないジノム達を、逃亡者とみなしたサバトは、マミの処刑の準備を始めていた。もう少し待ってくれ。そう言って駆け寄ってきたマミの母親を無慈悲に叩き伏せ、更にキレて飛び掛ってきた若者を己の肉厚で窒息死させるサバト。彼の暴虐を止められるものはもはや誰もいなかった。今度生まれてくるときは、こんな争いの無い時代に生まれたい。死を覚悟したマミの涙が、村人達にも涙を誘う。しかしその時、遂にジノム達を乗せたトラックが戻ってきた。作戦の成功の是非を問う拳王部隊に、深く頷きをかえすジノム。しかし、荷台の中を覗き込んだ兵士は、何者かの手によってその中へと引きずり込まれてしまった。状況を理解できず、呆気に取られるサバト。そして数秒後、彼らは宙を舞い、サバトの脂肪の中へと帰ってきた。どうしたんだ。そのサバトの問いかけに答える間もなく、二人はその身を破裂させた。荷台の中にあったもの、それは奪われた食糧ではなく、怒れる北斗神拳の拳であった。
襲いかかる兵士達を身動き一つ見せずに葬っていくケン。お前はいいものを食べてないから愚かなことを考えるんだ。そのサバトの台詞に、ケンも負けじと言葉を返す。他人の食糧を奪う奴はロクな死に方をせん、と。怒れるサバトは、早速自らの必殺技、フライングボディプレスを敢行。だが、その腹の下敷きになったはずの男は、目の前でサバトを見下ろしていた。無様に顔面を蹴り飛ばされ、もがくサバト。そしてそれを皮切りに、ジノム達もまた動いた。不意をついて拳王部隊へと襲い掛かり、彼らの支配から村を解き放ったのである。吊るされたマミも無事助け出され、残るはサバト一人。追い詰められたサバトは、隠し持っていた槍で最後の攻撃に転じるが、その高速の連突もケンには通じなかった。秘孔水承。ケンが突いたその秘孔が、サバトの体から血の臭いを立ち昇らせる。そしてその臭いは、空を舞うカラス達の食欲を誘った。自らがその身をついばまれる事になったサバトは、絶叫の中、その身を肉片へと変えたのであった。
夜。ジノム達の村では、歓喜の宴が開かれていた。その様子を遠くから眺めるリュウガとガロウ。リュウガが思うこと、それは人々の笑顔であった。リュウガは世の統治の為に多くの町を平定した。しかし、その町の人々にあったのは、拳王に恐怖する死人のような顔であった。それに比べ、今、ケンが救ったこの村にあるのは、生きる喜びに満ちた顔。二人の巨木が生む差について、リュウガは思案していたのだった。しかし、やはりその真実を見極めるには、戦うより他にない。天狼の牙が、遂にケンシロウへと向けられる・・・
朽ちた船の残骸が為す森。村を出たケンがそこへ差し掛かったとき、その行く手を遮るように槍が飛来した。それは、リュウガからの挑戦状であった。戦えケンシロウ!白馬を駆け、ケンシロウへの突撃するリュウガ。しかし、ケンは戦わなかった。凍てついたリュウガの瞳。その冷たさの中にある輝きを見たケンは、リュウガを戦う相手として選ばなかったのである。決して反撃することなく、逃げ続け、そして拳をかわし続けるケン。そして遂にリュウガの足は止まった。戦う意思の無いケンシロウと戦っても意味がないと踏んだのだ。ケンが去った後、リュウガは懐のロケットを取り出し、中を開けた。その中にあったのは、あのユリアの写真であった。天狼星の男リュウガは、ユリアの実の兄だったのである。自らの妹が愛した男、ケンシロウ。その男といつか雌雄を決する日が来ることを、リュウガは今は亡き妹に詫びるのであった。
放映日:86年5月29日
[漫画版との違い]
・アニメオリジナルストーリー
・気分次第で責めないで
今回はサバトという濃いアニオリキャラを登場させた点で賞賛できるけど、最後のケンvsリュウガの所はなんか微妙。なんか決着のつき方もグダグダだったし。小さい時分にみてたら何が何か理解できなかったと思う。だいたいなんで
ケンがリュウガに反撃をしないのかわからない。
相手が極悪人でないとわかっていても、止めを刺さずに実力で叩き伏せるってのでいいんじゃないの?実際シュウの時とかそうしてたじゃん。なんで拳王軍のいち武将にここまで優しくするのか理解不能だ。
「リュウガが弱すぎて、本気出したら哀れだから」
という理由なら納得ですが。
・サバト様ぁ〜
近くにあれだけ活気のある街があるんならさ、ちょっと遠征して
自分でそこ支配しちゃえば良いんじゃないの?
あんたならできるよ一人で。もしそれが面倒くさいっていうのならさ、
村人食え村人
。カラスなんかにあげないでさ、パクっと食べちゃいなよ。あんたならできるよマジで。
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