TOP
※当サイトはJavaScriptを有効にしていないと正しく表示されません。メニューを表示するにはJavaScriptの設定を変更していただくか、上記ボタンからトップページへとお戻りください。
▲話数選択へ▲
[第72話]
さらばトキ!
男の涙は一度だけ!!
万人のために生きた男トキ。その男が、今初めてその男を己の願望のために戦っていた。
兄ラオウの拳を封じねばならぬという宿命のために・・・。
兄と同じ剛の拳を会得させた、トキの拳士としての才能。その天賦の才は、己が剛拳を最大限に引き出す呼法、闘勁呼法までもを身につけさせていた。動と動。全能力、全闘力をかけた二人の拳が、大地を割る・・・
地をえぐるほどの二人の剛拳が、真正面からぶつかり合う。そんな戦いの流れを変えたのは、トキの蹴りだった。天をも切り裂かんトキの強烈な蹴りに、思わずその身を宙へと逃がしてしまうラオウ。それは、トキに訪れた最大の勝機だった。北斗二千年の歴史の中で、もっとも華麗な技を持つ男トキ。その真髄が発揮される時、それがこの空中戦だったのだ。軽やかに舞うトキの体が、ラオウの間合いへと入る。天翔百裂拳。繰り出された無数の拳がラオウの体をとらえ、そしてその剛拳は、あの拳王を地に両手をつかせるまでのダメージを与えた。
ケンシロウが伝承者に決まったあの日、天を握るための第一歩を踏み出さんとしていたラオウに、トキは言った。あの日の約束・・・。兄ラオウが道を誤ったとき、その拳を封じるのは他の誰でもない。トキ自身の拳であること。もちろんその誓いは、未だラオウの中にも強く残っていた。いつでもこの拳を封じに来るがいい。それが、覇天へと旅立ったラオウの最後の言葉だった。拳と共に、強くなりすぎてしまったラオウの野望。その野望さえ無ければ自らもケンも喜んで伝承者の座を譲ったであろう男が、こうして自らとの戦いの宿命を生んでしまった悲劇に、トキは涙を流すのであった。
訪れた約束の時。天翔百裂拳のダメージで未だ動けずにいたラオウの体に、トキは止めの一撃を突き入れる。しかし、天が選んだ勝者は、トキではなかった。その突き入れられた腕を掴み、事も無げに体から引き抜くラオウ。ならばと再度拳を放つトキであったが、やはりその指先が秘孔をとらえることはなかった。兄に並んだと思われていたトキの剛拳。だがラオウは、その全てが己に効いてはいない事を告げた。そして、その瞳にはなぜか涙が溢れていた。トキに柔の拳を捨てさせた病。伝承者の座、残された命、そしてこの拳の威力さえも病に奪われた哀しきトキの運命に、ラオウは涙したのだった。さらばトキ!宿命に終止符を打つ剛拳を、トキの体へと叩き込むラオウ。闇夜に舞ったトキの体を、死兆星が照らしていた。
うつ伏せたまま動かなくなったトキに駆け寄ろうとするリン。しかし、トキは生きていた。そして立つことも困難であろうその体で、再び構えをとったのだ。だが、もはや半死の体で放たれる拳が、ラオウに当たるはずも無かった。背後を取り、トキの体を捕えるラオウ。おまえの剛拳の秘密はこれだ!
そう言ってラオウは、トキの太股に突かれた秘孔の跡を顕わにした。刹活孔。戦いの前にトキが突いたその秘孔は、一瞬の剛力と共に、自らの命さえ奪う非情の秘孔であった。しかし、そこまでして得た剛拳でも、ラオウの体には通用しないことは、トキ自身が一番よく解っていた。有り余る才能をもちながら、病にすべてを奪われた男トキ。その哀しき男への涙は、かつて、ラオウが剛拳と野望に変えたはずの涙であった。
幼き日、自らとの修行で涙したトキに、ラオウは言った。涙を捨てろ。涙を己の拳と望みに変えるのだ、と。そしてその時既にラオウは、己が拳と野望のために、涙を捨てていたのであった。
しかし、今こうして死を覚悟してまで兄を目指そうとしたトキの哀しき心が、再びラオウの枯れた涙を呼び戻したのであった。
哀しき宿命に幕を下ろす一撃。トキが目指した兄ラオウの剛拳が、トキに向かって振り下ろされる。しかし、血を吹いたのはラオウの体であった。ラオウはその拳を大地へと突き立てていたのだ。それは、哀しきトキの宿命に対するラオウの恨みの一撃であった。兄を目指した拳士トキから、病と戦う男トキへ。トキの目から溢れ出た涙を、もはやラオウは責めなかった。
トキとの思い出である道着をその手に、ラオウは再び覇天へと旅立つ。自らとトキの墓を破壊したラオウの行動は、トキ、そしてラオウという男が死に、今此処に世紀末覇者拳王が復活したことを表していた。拳王恐怖の伝説は今より始まる。この命奪いたくばいつでも来るがいい。トキの宿命の次に待つもの。それは、北斗の歴史をかけたケンとラオウの宿命の戦いであった。
放映日:86年4月17日
[漫画版との違い]
・闘勁呼法で走った地割れを、原作ではラオウは踏み潰す感じだが、アニメでは後ろへ逃げる
・闘勁呼法後の剛拳での殴り合いでのトキの手が、右拳から左拳に。あとパンチでなく点穴を突く形に
・トキとラオウの墓を、ラオウが黒王号に破壊させるシーン追加
・ラオウが去り際にケンに挑発するのは、黒王号で歩き出して直ぐだが、アニメでは少し離れた岩壁の上から
・それ強いの?
トキって、
両手の掌を合わせての突き
が好きだよねえ。マミヤの村でも最後の一撃に使ってたし、この戦いでも二回。PS北斗でもコマンド技としてあったね。なんでだろう。そんな強いとは思えないのだが・・・。拳王様もダブルパンチをよく使ってる事から考えると、
この血筋は両手同時での攻撃が好きなのかもしれない。
カイオウもアニメ版では最後の攻撃がダブルエルボーだったなぁそういや。うんやっぱそうだ。
・鋼筋分断脚だった?
拳王様が自爆した「哀しきトキの宿命への兄の恨みの一撃」。あれちょっと不満です。
あまりにも威力がない
(上図参照)。腕から血ぃ吹いてるってことはそれなりの反発力でのダメージがあったという事だから、寸止めというわけでもない。
拳王様のパワーがほぼ全部伝わっているのにアレだけしか地面がえぐられなかった
のだ。何故だろうか?あっ!まてよ!?もしかして
前話でトキが拳王様の腕に軽く放った蹴りが、実は北斗鋼筋分断脚で、拳王様の
左手の力
が大きくダウンさせられていた
んじゃないだろうか!?よく見るとあの蹴りを受けたあと、拳王様は左手での攻撃は一度もしていない!最後のパンチ連打で使ってはいるけど、ダメージを与えたのは右手のパンチだけと考えればいいしね。ヤッター謎は解けたぞー!!と思っていたら、トキの蹴りは拳王様の
右手に当たっていました。
・タイムパラドックス
お墓壊しちゃった!しかも2つも!
最終話で使うのに!!
第71話へ≪
≫第73話へ