
広間へとやってきたシュウ達に、かくまわれている子供の一人、リョウが食糧を運んできた。しかし、シュウはそれを断った。心を読むことができるシュウは、リョウ達が何も食べていないことを見抜いていたのだ。シュウの優しき心遣いに感謝し、早速その食料にありつく子供達。レジスタンス達の食糧問題は、日増しに深刻化していた。しかしその時、思わぬ吉報がシュウたちのもとへ飛び込んできた。リョウの父が属するレジスタンスの第三部隊が、大量の食糧を持って帰ってきたのである。彼等の襲った聖帝の小隊が、偶然にも食糧運搬車だったのだ。早速その食糧を手にとり、口へと運ぼうとする人々。だがその食糧を一口食べたシュウは、突如全員に食糧を捨てるよう呼びかけた。食べ物の中には毒が入っていた。全ては聖帝部隊の罠だったのである。しぶしぶ手にとった食料を捨ててゆく子供達であったが、ただ一人、リョウだけは既にその食糧を喉に通らせてしまっていた。吐き出せとの父親の呼びかけも虚しく、みるみるうちに顔色を変え、吐血するリョウ。痙攣するその手が力を失い、誰もがリョウの死を確信したその時、ケンの指先が再び奇跡を起こした。脇の下にある秘孔を突かれ、リョウは再び意識を取り戻したのだ。ただ強いだけではなく、人を救える力を持つケン。彼こそが聖帝を倒しうる人物であることを、この時シバも悟ったのだった。
聖帝が行進する道路の脇で土下座させられる村人達。行進の先頭を行く聖帝正規兵は、勝手な動きをした者を火炎放射器で焼き殺すという非道なやり方で人々を平伏させてゆく。しかし気がついたときには、その放射口は自分の顔へと向けられていた。何時の間にか火炎放射器を奪い、男へ向けて構えていたその男は、ケンシロウであった。おまえが一番邪魔なんだよ。そう言って男を火達磨にし、遂に聖帝サウザーの前へと立つケン。だがそのケンシロウの登場に対し、サウザーは眉一つ動かすことは無かった。それは、まるでケンが己の行進を止めに来ることを予知していたかのようであった。
岩壁に囲まれた巨大な城。そこで傷の療養にあたっていたラオウに、ある報がもたらされた。ケンシロウがサウザーに戦いを・・・。その部下の報告に、ラオウは怒りとも焦りとも取れる表情を浮かべた。今のケンシロウではサウザーには勝てない。ラオウにそう確信させるある謎が、サウザーには隠されていた・・・
ケンの見切り宣言を戯言と受け止め、再び素早い踏み込みからの極星十字拳を仕掛けるサウザー。その踏み込みに対してケンが出した攻略法は、自らも前に出て、タイミングを狂わせることであった。自らの呼吸で飛び込んだケンにとって、もはやサウザーの拳を交わすことは造作もなかった。下方から首を押し上げられ、体勢を崩したサウザーに、ケンの拳が炸裂する。Z、大佐、シン・・・数々の敵を葬ってきたケンの連撃が、今もまた、サウザーの体にある秘孔を突いてゆく。秘孔人中極。秘孔の中で最も破壊力をもつ必殺の秘孔を突かれたサウザーの命は、残り3秒となった。だが、死を宣告されたはずのサウザーの顔には、笑みが浮かんでいた。まるで楽しむかのように、自らの命のカウントダウンを行うサウザー。しかし、3つ数え終わったその時、体から血を吹いたのはケンシロウの方であった。秘孔が通じないサウザーの帝王の体。それが、ラオウをも退けたサウザーの謎であった。| [漫画版との違い] ・アジトでケン達がシバと顔を合わせ、一緒に食事を取るシーン追加 ・原作では間に合わなかった解毒の秘孔がアニメでは間に合い、リョウが息を取り戻す。 ・原作ではシュウは死んだリョウに涙を流すが、アニメでは殺された子供達の墓を前に涙を流す ・サウザーを悪の帝王と罵った村人が、火炎放射器で焼かれるシーン追加 ・アニメではベジとキジの南斗双斬拳に、多少苦戦し、傷を受ける ・原作では児鳩胸を突かれた後、すぐに自滅するが、アニメでは多少ハイハイ続けた後、少しずつ体に剣を刺していく |
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