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[第51話]
明日なき運命(さだめ)!
それでも女は愛を信じる!!


 メディスンシティーの広場では、ガルフの犬を傷つけたマミヤの処刑が始まろうとしていた。そして、そこに連れて来られたのは、首輪をされた一人の村人であった。彼が命じられたのは、棘付の投げ輪を、貼り付けにされたマミヤに向かって投げることであった。強烈な脅しにまけ、しぶしぶその輪を放る村人。輪はマミヤの腕をかすめ、流血を誘ったが、その程度でガルフ部下達を満足させられるはずはなかった。おまえ、わざと外しただろう、そう言って無慈悲に男の顔面をナイフで切り刻んだ彼らは、今度は見本とばかりに自分達で投げ輪を開始。見事なコントロールで、ひとつ、ふたつとマミヤの体を軸に輪をはめていく。棘が食い込む痛みの中、マミヤは自分がいたぶられる理由をガルフに問うた。理由はガルフの異常なまでの犬信仰にあった。犬はウソをつかない、唯一信用できる友。犬の痛みは自分の痛み。故に犬を殺したマミヤは死を持ってその痛みを知らねばならぬとガルフは判断を下したのである。愛犬セキの吠えをまたも死刑判決と勝手に解釈したガルフは、いよいよマミヤの処刑を開始。用意されたのは、無数の針が立ち並ぶ板であった。このレバーを引いた瞬間に御前は串刺しだ。そう言って汚く笑うガルフの部下。しかしマミヤが悶え死ぬはずのその板の上に蹴り倒されたのは、その男自身であった。ケンとレイが遂に到着したのである。レイの手によって解放されるマミヤ。しかし再びレイの発作が始まったのを見たマミヤは、今度こそと薬品倉庫に向けて走り出してしまう。その場をケンに任せてマミヤの後を追うレイであったが、当然その体は思い通りに動いてはくれなかった。

 立ちはだかる犬を倒しながら、薬品倉庫へと走るマミヤ。倉庫の前で待っていたのは、二人の見張りであった。ハイキックを受け止められたマミヤは、もう片方の足を使って首をひねり、一人を撃退。残った一人には鎖でがんじからめにされるも、接近を許した一瞬の隙に娥媚刺を突き刺し、勝利を収めた。なんとか倉庫内へと入ることが出来たマミヤは、早速目的の薬の捜索を開始。しかし直ぐに次なる刺客・ゾリゲが登場。謎の球体をお手玉しながらマミヤを追い詰めるゾリゲ。しかしゾリゲは倉庫の入り口にいる何者かの気配を察した。それは、愛するものを傷つけようとしているゾリゲへの、レイの怒りの闘気であった。その女に傷一つでもつければ殺す。そう言ってゾリゲに脅しをかけるレイ。しかし、その言葉を嘲笑うかのように、ゾリゲは構わず持っていた玉をマミヤへ向けて投球。間一髪で交わすことが出来たマミヤであつたが、玉がぶつかった後ろの棚は音を立てて溶け始めた。ゾリゲの玉は衝撃を与えると硫酸が飛び散る硫酸球だったのだ。

 その頃マミヤの村は、惨劇を乗り越えての町の再建に励んでいた。リンはマミヤ達の身を案じながら水撒きをしていたが、ボーっとしていた所為でうっかりバットの体に水をぶっかけてしまう。おどけて追いかけっこを始める二人。だがバットは、追いかけるリンにそっと励ましの言葉をかけた。ケン達が居るからマミヤは大丈夫だと。

 ゾリゲの硫酸球を水鳥拳で次々と切り落としていくレイ。しかし球の背後に次の球が隠れるように投げるという変則技にひっかかり、右肩に被弾してしまう。その隙を逃さず、止めの硫酸球を放つゾリゲ。だがレイは、その球を破裂させることなくキャッチすると、今度は逆に球を投げ返してゾリゲの体に硫酸球を炸裂させた。立場逆転。飛び掛ってきたレイを、空中で迎え撃つゾリゲであったが、二人の力の差は明らかであった。交錯して着地した瞬間、再び跳躍したレイは、ゾリゲが振り向くよりも早く、その間合の中へ。振り下ろされたレイの拳に、ゾリゲの体は細切れにされたのだった。戦いには勝利したレイ。しかし全身の痛みは増す一方であった。再びその身を崩れ落とすレイ。だが、その時手が触れて棚から落ちてきた薬を見て、マミヤの表情がほころんだ。床に転がったその薬こそが、マミヤが探していた薬だったのだ。

 取り囲むガルフの犬を眼光イッパツで怯えさせるケン。怒れるガルフは棘付投げ輪を持ってケンとの戦いに挑むが、逆にその武器を奪われ、しこたまその体に傷を作られてしまう。だが、武器を捨てて去ろうとしたケンを見て、ガルフは再び奮起。武器を手に、再びケンに襲いかかるガルフであったが、未だ目の前の男の正体を見抜けなかったのが彼の不運であった。強烈な連続蹴りで、その巨体を吹き飛ばされるガルフ。そのガルフに哀れみの言葉をかけたのは、戻ってきたレイであった。その拳こそが北斗神拳。御前が相手にしていた男こそが、拳王と五分の戦いをしたケンシロウだと教えたのだ。己が既に死んでいることを悟り、死の恐怖に怯えるガルフ。しかし、助けを求めた親友セキが彼に与えたのは、惜別の小便であった。

 戦いの疲労からか、マミヤはその場にへたりこんでしまった。そんなマミヤに、戦いを捨て、女に戻るよう申告するレイ。しかしマミヤはそれを拒否した。マミヤには戦い続けなければならぬ理由があったのである。その原因は、マミヤの左肩にあった。偶然レイが見つけたマミヤの左肩の傷、それは「UD」と刻まれた紋章であった。傷を見て驚いたのはレイだけではなかった。UDとはユダの事を表す傷。つまりUDの紋章がある女は、ユダという男に地獄を見せられた女の証だったのである。村人達の同情の声の中、レイはマミヤにその傷の由来を尋ねるが、思い出したくもないその過去がマミヤの口から語られることは無かった。マミヤが見た死兆星。その鍵を握るの男が、かのユダであることを、ケンは直感していた。

 荒野にそびえる城。その城内には美しい女達が一人の男のために平れ伏していた。差し出された口紅とアイシャドウを巧みに塗りこんだ男は、己が美しいかどうかを女達に問う。声をそろえ、機械的に美しいと返してきたその女達に、男はあらわになった己の強靭な肉体を見せ付けていた。俺は誰よりも強く、そして美しい。満足げにそう呟くこの男こそ、マミヤに地獄を見せたユダその男であった。

放映日:85年11月14日


[漫画版との違い]
・黒人の男も輪を投げてマミヤにワッカをはめるシーン追加
・助け出されたマミヤが、苦しむレイを見て薬品倉庫へと行き、そこでレイとゾリゲと戦ったりするシーン追加

・ケンの投げ輪攻撃を喰らった後、原作では再び輪を拾おうとしたガルフが手を踏まれてそのまま連続蹴りを喰らったが、アニメでは去ろうとしたケンを、武器を拾って襲い掛かかろうとして返り討ちにあう。
・セキが小便をかけたのは、原作では顔だがアニメでは左手



・何故・・・?じゃねえよ
貼り付けにされて輪投げされるマミヤさん。
「何故・・・?私はただこの町に食料と薬を交換してもらいに来ただけなのに・・・」
いやいやいやいやいや!まったれや!アンタ一応
犬殺してますがな!ガルフほどではなくてもペット殺されたら怒られますで!それは正当防衛だとしても、アンタ明らかに薬盗み出そうとしてたやん!交換しようとしてへんやん!
・貧乳は正義
あの輪投げ、マミヤの乳がでかいからつっかえたと思うのだが。
だって肩当を通り抜けたんなら多分そのまま下まで落ちるで

自分の巨乳を呪うんだな・・・!
・投げ輪
を巧みに操るガルフさん。ちょっと失敗すれば自らも怪我しかねない武器なのに、よく頑張ってます。でも扱い方難しそうな割にそんなに攻撃力無いよね、これ。ああして簡単に取られちゃったりとかするし。あんたの体格なら剣とか持ったほうが全然いいと思うんですけど。


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