
メディスンシティーの広場では、ガルフの犬を傷つけたマミヤの処刑が始まろうとしていた。そして、そこに連れて来られたのは、首輪をされた一人の村人であった。彼が命じられたのは、棘付の投げ輪を、貼り付けにされたマミヤに向かって投げることであった。強烈な脅しにまけ、しぶしぶその輪を放る村人。輪はマミヤの腕をかすめ、流血を誘ったが、その程度でガルフ部下達を満足させられるはずはなかった。おまえ、わざと外しただろう、そう言って無慈悲に男の顔面をナイフで切り刻んだ彼らは、今度は見本とばかりに自分達で投げ輪を開始。見事なコントロールで、ひとつ、ふたつとマミヤの体を軸に輪をはめていく。棘が食い込む痛みの中、マミヤは自分がいたぶられる理由をガルフに問うた。理由はガルフの異常なまでの犬信仰にあった。犬はウソをつかない、唯一信用できる友。犬の痛みは自分の痛み。故に犬を殺したマミヤは死を持ってその痛みを知らねばならぬとガルフは判断を下したのである。愛犬セキの吠えをまたも死刑判決と勝手に解釈したガルフは、いよいよマミヤの処刑を開始。用意されたのは、無数の針が立ち並ぶ板であった。このレバーを引いた瞬間に御前は串刺しだ。そう言って汚く笑うガルフの部下。しかしマミヤが悶え死ぬはずのその板の上に蹴り倒されたのは、その男自身であった。ケンとレイが遂に到着したのである。レイの手によって解放されるマミヤ。しかし再びレイの発作が始まったのを見たマミヤは、今度こそと薬品倉庫に向けて走り出してしまう。その場をケンに任せてマミヤの後を追うレイであったが、当然その体は思い通りに動いてはくれなかった。
立ちはだかる犬を倒しながら、薬品倉庫へと走るマミヤ。倉庫の前で待っていたのは、二人の見張りであった。ハイキックを受け止められたマミヤは、もう片方の足を使って首をひねり、一人を撃退。残った一人には鎖でがんじからめにされるも、接近を許した一瞬の隙に娥媚刺を突き刺し、勝利を収めた。なんとか倉庫内へと入ることが出来たマミヤは、早速目的の薬の捜索を開始。しかし直ぐに次なる刺客・ゾリゲが登場。謎の球体をお手玉しながらマミヤを追い詰めるゾリゲ。しかしゾリゲは倉庫の入り口にいる何者かの気配を察した。それは、愛するものを傷つけようとしているゾリゲへの、レイの怒りの闘気であった。その女に傷一つでもつければ殺す。そう言ってゾリゲに脅しをかけるレイ。しかし、その言葉を嘲笑うかのように、ゾリゲは構わず持っていた玉をマミヤへ向けて投球。間一髪で交わすことが出来たマミヤであつたが、玉がぶつかった後ろの棚は音を立てて溶け始めた。ゾリゲの玉は衝撃を与えると硫酸が飛び散る硫酸球だったのだ。
取り囲むガルフの犬を眼光イッパツで怯えさせるケン。怒れるガルフは棘付投げ輪を持ってケンとの戦いに挑むが、逆にその武器を奪われ、しこたまその体に傷を作られてしまう。だが、武器を捨てて去ろうとしたケンを見て、ガルフは再び奮起。武器を手に、再びケンに襲いかかるガルフであったが、未だ目の前の男の正体を見抜けなかったのが彼の不運であった。強烈な連続蹴りで、その巨体を吹き飛ばされるガルフ。そのガルフに哀れみの言葉をかけたのは、戻ってきたレイであった。その拳こそが北斗神拳。御前が相手にしていた男こそが、拳王と五分の戦いをしたケンシロウだと教えたのだ。己が既に死んでいることを悟り、死の恐怖に怯えるガルフ。しかし、助けを求めた親友セキが彼に与えたのは、惜別の小便であった。
。傷を見て驚いたのはレイだけではなかった。UDとはユダの事を表す傷。つまりUDの紋章がある女は、ユダという男に地獄を見せられた女の証だったのである。村人達の同情の声の中、レイはマミヤにその傷の由来を尋ねるが、思い出したくもないその過去がマミヤの口から語られることは無かった。マミヤが見た死兆星。その鍵を握るの男が、かのユダであることを、ケンは直感していた。| [漫画版との違い] ・黒人の男も輪を投げてマミヤにワッカをはめるシーン追加 ・助け出されたマミヤが、苦しむレイを見て薬品倉庫へと行き、そこでレイとゾリゲと戦ったりするシーン追加 ・ケンの投げ輪攻撃を喰らった後、原作では再び輪を拾おうとしたガルフが手を踏まれてそのまま連続蹴りを喰らったが、アニメでは去ろうとしたケンを、武器を拾って襲い掛かかろうとして返り討ちにあう。 ・セキが小便をかけたのは、原作では顔だがアニメでは左手 |
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