
ラオウと闘ってはいけない。拳王こと己の兄・ラオウの強さを知るケンは、レイがラオウには敵わぬことを知っていた。自分が着くまでにレイがやられていない事を祈るケンだが・・・
村の入り口にいた見張りを瞬殺して、遂にマミヤの村へと帰ってきたケン。だがそこでケンが見たものは、拳王に秘孔を突かれた強敵・レイの凄絶なる死に様であった。お前のように情に生きる人間は必ずこういう運命をたどる。ケンの未来の姿を暗示するかのように、ラオウはレイの遺体をケンへと放った。ケンに借りを返すために、敵わぬ勝負を挑んだレイ。義に生きる男の死にこたえるには、ラオウを倒すしかない・・・怒りを胸にラオウへと歩を踏み出そうとするケン。しかし、バットとリンはそれを制止した。あのレイが触れることも出来ずに負けた現実を目撃した2人も、流石に今度ばかりはケンの敗北を予感せずにはいられなかったのである。これが死に行く者の顔に見えるか。自信に満ちた笑顔でリンを安心させたケンは、遂に長兄・ラオウと対峙。だがそんなケンに、拳王は再び死兆星が見えるかどうかの質問を投げかけた。しかし、ケンの返答はNOであった。まだケンシロウは己に殺される運命に無い。ラオウはそう判断したのだ。全く興味を無くしてしまったかのように、クルリとケンに背を向け、村を去ろうとするラオウ。もちろんここでラオウを帰すわけにはいかないケンは、己と戦うようラオウを挑発。しかし図に乗るなとばかりにラオウが放った闘気の波動は、ケンを遥か後方にまで押し戻した。ラオウのオーラは、ケンの知る頃のラオウのそれとくらべ、遥かに巨大になっていたのである。しかし、ケンシロウもまたかつてのケンではなかった。ラオウの闘気に臆することなく、自らもオーラを爆発させるケン。その闘気は、普段は冷静な黒王号をかつてないほどに脅えさせた。死をかけた強敵達との戦いは、何時の間にかケンの体にもオーラを纏わせていたのだった。予期せぬケンシロウの成長。それは消えかけていたラオウの戦気をかきたてる結果となった。
莫大な闘気を放出しながら対峙する二人。その二人の闘気のぶつかりあいは、巨大な気流を巻き起こした。そして次の瞬間、巨大な竜巻と共に2人の姿は消失。闘気の衝突によって起きた気流が、2人の体を遥か上空にまで運んでいたのである。宙にいるとは思えぬ機敏な動きで、ラオウに高速の蹴りを放つケン。難なくそれをすべて払いのけたラオウは、攻守逆転とばかりに激しい連撃を放つ。と、その時、一筋の光がラオウの足元に飛来し、その瞬間ラオウの動きが止まった。その隙をつき、ケンは対騎兵用の奥義、北斗七死騎兵斬を発動。空中で交錯し、着地した二人の勝負の結果は、ラオウの顔に傷をつけたケンシロウの勝利と相成った。馬上では俺には勝てない。そう言って下馬を進めるケンだが、ラオウはそのケンの思い上がりを一笑に伏した。何者かがこの矢を放たなければ・・・そう言ってラオウが見せた右足には、一本の矢が深々と突き刺さっていた。宙でラオウが連撃を放っていたとき、何者かがラオウの足を射抜いていたのである。矢を投げ返し、犯人に姿を現すよう叫ぶラオウ。舞い上がる砂埃の向こうから姿を現した者、それは、先刻秘孔を突かれて死んだと思われていたレイであった。
己に逆らった武芸者達。彼等を直ぐ殺さずに数日の命を与えれば、その武芸者は死までの時間を苦しみ、脅え続ける。その恐怖がやがて伝説となり、自分の名を絶大にする・・・。それがラオウの考えた、拳王伝説のプランだったのだ。他人の命を己の野望のために弄ぶラオウに、更に怒りを増幅させるケン。だがレイはその拳を止めた。今のケンでは絶対にラオウには勝てない。レイは、ラオウとの戦いから、ケンとラオウの決定的な違い、そしてその差を見抜いていたのである。レイの言葉の意味を理解しかね困惑するケン。だが次の瞬間、その決定的な差を証明する痛みがケンの体を襲った。先ほどの攻防の際、ケンはラオウの拳を胸に喰らっていたのである。レイが矢を放たねば死んでいた・・・そのラオウの言葉を、ケンの胸に浮き上がった拳痕が証明していた。予定を変更し、今この場でケンシロウを屠ることを決めたラオウの瞳に、殺意の色が浮かぶ。だがうずくまるケンの瞳からも、まだ戦意は失われてはいなかった。| [漫画版との違い] ・ラオウが足に刺さった矢を、放った者(レイ)の方へと投げ返すシーン追加 ・ケンとラオウの闘気の衝突の後、竜巻が発生するシーン追加 ・原作ではケンが到着した後にレイがやられた経緯が判明したが、アニメでは到着するまでに全部公開 |
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