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[第46話]
地獄からの呼び声!
レイお前は死兆星を見たか!!

 湧き上がる怒りを拳に乗せ、次々と拳王侵攻隊を葬っていくレイ。その鬼神が如き強さに完全に身をすくませてしまう侵攻隊であったが、隊長ガロンの顔には未だ余裕の笑みがうかんでいた。彼は、対レイ戦の秘策を、そう、レイの弱点を握っていたのである。ガロンの口から告げられたレイ自身にも身に覚えの無い己の弱点。その正体とは・・・

 巨大な馬の足跡をたどり、荒野を行くケン、トキ、マミヤ。回復しないトキの容態を案ずるケンは、傍にあった小屋の中で休ませてもらうことを提案した。薄暗い店内に入ると、中にいたのは客と思われる老人三人。マミヤは彼等に店の人はいないのかと訪ねるが、老人達はただ薄気味悪い笑みを浮かべるばかり。やがてマミヤの呼び声を聞き、店の奥から一人の老婆が現れた。ゆっくり休んでくれと丁重にケン達をもてなした老婆は、ケン達が注文した水をとりに店の奥へ。3人はただ無言でソファーに腰掛けて待っていたが、ケンとトキ、そしてマミヤも、この店内に充満したただならぬ雰囲気に気がつき始めていた。

 水を持ってきた老婆に、マミヤは外の蹄の跡の事をたずねた。象のような馬、そしてそれに勝るとも劣らぬ精悍な男が乗っていたとの老婆の返答に、足跡の主が拳王であることを確信するマミヤ。しかし、ケンとトキは意に関せぬ様子で、別の事に緊張を走らせていた。そしてケンは、突如持ってきた水を老婆に飲むよう指示してきた。先程飲んだからいらないと断る老婆だが、ケンは執拗に飲むことを強要。ケンは、その水に毒が入っていること、そしてこの老婆が拳王軍の手先であることを見抜いていたのである。ケンに全てを暴露されたのを合図に、屋根裏に潜んでいた刺客は天井を突き破ってケンに襲撃。素早く傍にあった帽子掛けの先端でケンが男を刺殺すると、今度は奥のテーブルの老人三人組が立ち上がった。彼等は特殊メイクを施して姿を変え、隙を突いて相手を襲うという拳王特殊部隊だったのだ。老婆の剣を、テーブルをひっくり返してガードするトキ。だが病に冒されたトキの体では、ニセ老婆の攻撃を押し返し続けることは出来なかった。テーブルの押し合いに負け、ピンチに陥るトキとマミヤ。しかし、その時、丁度ケンが老人三人組を撃破。ニセ老婆と対峙したケンは、剣の間を上手くすり抜ける蹴りで、老婆の顔面を一蹴し、勝負は決した。しかし、彼等の存在は、ケン達にあることを確信させるには十分であった。拳王の勢力は、もう既にマミヤの村にまで及んでいる・・・いよいよ村のことが心配になってきたマミヤは、ケンに急いで村に戻るよう頼んだ。レイ一人では村を守れない。レイにはアイリという弱点があることをマミヤは知っていたのである。

 レイの妹・アイリを探し出して捕らえよ。ガロンのその命令に、レイの顔は青ざめた。世の波に流されて生きることしかできないアイリ。レイにとって、アイリは守らねばならぬ存在であり、アイリを守ることこそがレイの使命だったのである。命令どおり建物をくまなく調べ始めた侵攻隊だったが、直ぐにその必要は無くなった。アイリは自分から広場へと出てきてしまったのだ。手間が省けたとアイリに駆け寄る侵攻隊。だがその時、アイリは背後からボウガンを取り出し、彼等に向けて構えた。リンから勇気を教わったアイリは、もはや逃げ回るだけの自分を捨て、闘うことを選んだのである。見事に侵攻隊の男を射抜いたアイリの姿に、もはや先ほどまでの弱々しさは無かった。そしてそれは、レイの手からアイリが自立した瞬間であった。更に、そのアイリの戦う姿は、村人達をも動かした。力の前に屈していた村人達が、再び武器を取り、侵攻隊たちに戦いを挑み始めたのだ。無事生還したバットと共に、その村人達の勇敢な姿を見つめるリン。そんなリンをみて、長老は思った。戦争によって弱者に悲惨な試練を与えた神が、この世に残した唯一の光が、リンなのではないかと。

 作戦を台無しにされ怒り心頭のガロンは、自ら出陣することを決めた。ドラム缶いっぱいのガソリンを飲み、自らが剣で起こした火花にそれを吹き付けることで炎を吐くという技・竜吐火焔術にてレイに戦いを挑むガロン。しかしレイの華麗な跳躍は、炎を交わすと同時に、ガロンの腹に切れ目を入れた。転倒したガロンの腹から漏れ出したガソリンは、すぐに自らの炎に引火。轟音と共にガロンは爆死したが、それは新たに訪れる悲劇の幕明け音でもあった。

 ガロンの爆発の向こうから、巨大な黒い馬に跨った一人の男が現れた。その瞬間、周りにいた拳王軍達は一斉に額を地に付け、平伏した。その男こそ、世紀末覇者を目指す拳王、ケンシロウの兄・ラオウであった。南斗水鳥拳、愉しませてもらった。そう感想を述べた拳王に対し、ならば貴様にもその真髄を見せてやろうと挑戦状をたたきつけるレイ。だがリンは、拳王の間合いに入ろうとしたレイを制止した。その人、拳王とは戦ってはいけない。リンの中の何かがそう叫んでいた。しかしレイは、拳王との戦いを止めるわけにはいかなかった。ケン、リン、バット、マミヤ・・・自分に数々の恩恵を与えてくれた者達に、レイがカリを返す方法は、彼等のために己が死を賭して戦うことだけであった。
放映日:85年10月10日


[漫画版との違い]
・ババアの店に3人の老人客(拳王特殊部隊)が追加
・正体バレた後、ケンが老人3人と戦闘したため、ババアとの戦闘も原作と若干異なる。
・ババアがデカくない
・ババア、剃り忘れた髭をケンに指摘されるシーン追加
・原作ではケンは帽子かけを移動させただけだったが、アニメでは手でもって天井から襲ってきた奴を一突き。
・原作でバットが村に帰ってきたのはアイリ登場前だが、アニメでは村人が奮起した後。
・原作ではアイリはいつの間にか戦闘中だった、アニメではまず無造作に出てきて、捕らえようとした男を射抜く。
・レイとガロンの戦闘は、原作では村人も燃えたが、アニメではいきなり炎を飛び越えて腹切って終わり。
・火闘術が竜吐火焔術に変更
・ラオウの登場は、原作ではガロンとの戦闘時だが、アニメではガロン死亡後
・ガロンの死亡時は、原作では走り回っていたが、アニメではダウンして起き上がれないまま爆死


・タマ

恒例アニメスタッフの悪ふざけ。今回はあの「三丁目のタマ うちのタマ知りませんか?」シリーズで80年代を一世風靡したあのタマが登場です。ババアの店にいたジジイ3人組が大事そうに抱えております。ぬいぐるみですが。これも北斗の舞台が日本であることの証明か?




・カナメプロ
おなじみとなったカナメプロですが、今回の絵柄はかなり気に入ってます。相変わらずリンとかは少女漫画してるところもありますが、とにかく拳王様の描き方が上手かった。なんでだろう?どうも筋肉がかくれているほうがいいみたい。
・ガロン
あと3日で死ぬ奴にボコられてた大男(ヘイスタック)とかナガトの息子(ヨムとテツ)とかに名前があるのに何故彼に名前が無い!!と哀しんでいたら、天の覇王にて名前をもらえました。よかったね!


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