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[第44話]
死兆星輝く! 
拳王お前は死をもつかさどるのか!!


 カサンドラを後にした一行。ケンとレイは、トキの介護をマミヤを託し、食料や車を探すために別行動を取っていた。敵は神と言い切り、確実に覇天へと近づきつつある男・ラオウ。ケンは、その世紀末覇者とかつて伝承者争いをしていた頃の事を振り返る・・・

 先代北斗神拳伝承者リュウケンは、次期伝承者を決めるため、巨大な野生の虎を使っての試験を始めた。北斗神拳を使い暗殺者として虎を仕留めてみよとの課題を受けたケンシロウとラオウは、武器一つ持たずに虎の前へ立ちはだかる。最初に虎が反応したのはケンシロウの方であった。虎は、無抵抗に己を見つめ続けるケンに執拗に威嚇を繰り返す。だがケンの一睨みによって虎は戦意を失い、その頭を撫でさせてしまった。生まれながらにして暗殺者の資格を持つケンの眼差しは、獰猛な虎に死を覚悟させたである。次に虎はラオウの方へと歩み寄り、再び威嚇を開始。ラオウを自らの敵だと判断した虎はその巨体を起こし、ラオウへと飛びかかろうとする。しかし次の瞬間、虎は完全に動きを封じられていた。ラオウの放つ凄まじい闘気の前に虎は死を恐怖し、身を硬直させてしまったのである。もはやただの大きな置物と化したその虎の首を、ラオウは力任せに切断。虎に相手にもされなかった愚弟・ケンシロウを一笑に伏し、ラオウはその場を後にしたが、リュウケンは既にケンの暗殺者としての恐ろしき才能に気がついていたのだった・・・

 小さな村へとたどり着いたケン達。だがそこは、拳王侵攻隊の攻撃を受け、惨たらしい死体の散乱する廃村であった。しかし、唯一の生存者であった老人は、更なる衝撃をケン達に与えた。侵攻隊が向かったのは此処から西の方角・・・それはつまりリンやアイリ達のいる村の事を指していた。妹・アイリの身を案じるレイは、ケンと別れ、一人村へと向けて走り出す・・・

 トキは、北斗七星の脇に輝く補星を見つめていた。死兆星と呼ばれるその星が見える者は、その年の内に死が訪れるという伝説が合ったのだ。死の灰によって蝕まれたトキの体は、もはや一年と持たないほどに病んでいたのである。星を見ながら物思いにふけるトキは、薪を拾って戻ってきたマミヤ見て、ユリアのことを思い出した。自分達の青春であったユリア。トキは、自分やケン、そしてラオウでさえも惚れていたユリアとの思い出をマミヤに語り始めた。

 折り鶴を折って子供達と遊ぶユリア。だがその和んだ空気を破壊するかのように現れたのは、ラオウだった。その美しさを我が物にせんと、強引にユリアを連れていこうとするラオウ。しかしその凶行を見かねたトキは、背後からそれを制止した。女に目がくらんだ男の背後を取ることなどたやすい。そのトキの言葉に一瞬怒りを走らせたラオウだが、その場は一旦引くことを選択。だがいずれオレは必ず握る人間になる。その野望の果てにユリアをも手中に収めんことを予告し、ラオウは2人のもとを後にしたのだった

 皆の視線を集めるユリアに劣等感を感じ、自らを北斗七星の横にひっそりと輝く蒼星に例えるマミヤ。だが、その言葉を聞いたトキは驚愕した。マミヤが己に例えたその星、その蒼星こそが、見た者の年内の死を司る死兆星であった。

 ケン達を迎えるため、薄暗い峡谷へと足を運ぶマミヤ。道中何者かの気配を感じるが、人影はみえない。気のせいかと再び歩き出すが、背後の岩壁には不気味な人影がうごめいていた。岩壁をヤモリが如く移動し、マミヤの前に現れたその男は、拳王偵察隊のシーカーであった。女がケンシロウ一味のマミヤだと感づいたシーカーは、マミヤを殺し、首を持って帰ろうと考えたのである。襲い掛かろうとするシーカーに娥媚刺を投げつけたマミヤは、隙を突いて自らもシーカーを飛び越え、逃走。病人のトキから悪党達を出来るだけ遠ざけようと考えたのだ。しかし既に逃路には、シーカーの部下である偵察隊達の手が回っていた。道を切り開かんと、マミヤは得意のヨーヨーを使って偵察隊と戦闘。なんとか勝利したものの、その戦いは、シーカーが追いつくまでの十分な時間を与えてしまった。偵察隊には通じたヨーヨー攻撃も、シーカーには全く通じず、大ピンチ。長い舌を蠢かせながらマミヤを岩壁へと追い詰めるシーカー。しかし突如頭上から降ってきた蹴りがシーカーの脳天に炸裂した。犯人は、村から戻ってきたケンシロウであった。頭を踏まれた衝撃で自らの舌を噛みきってしまったシーカーは、怒ってケンシロウに襲撃。だが簡単に自らの武器の鉄パイプを奪われてしまったシーカーは、己の武器でしこたま横っ面を連打され、絶命したのだった。敵は倒したものの、既にラオウの手が此処まで伸びてきている事に危機感を覚えるケン。そして次の瞬間、突如ケンの肩当てに謎のヒビが入った。それは、まるで誰かの身に危機が迫っていることを暗示させるかのようであった。

 その頃マミヤの村には、もうすぐケン達が帰ってくるとの手紙が届いていた。リンは歓喜して自らの作った花畑へ。そしてバットは門で見張りを続ける者達の所へ報告に走る。だがバットが門番達と談笑していたその時、門の上にいた見張りが何者かに射落とされた。続けざまにバットの横にいた門番も、門の外から突き出された槍にて死亡。バットはその敵襲を知らせるために村の中へと走るが、門をぶち破って入ってきた拳王侵攻隊の凶弾は、逃げるバットの背を容赦なく射抜いた。そして、侵攻隊による深夜の侵略劇が幕を上げたのだった。

 敵襲を知らせる警鐘を聞いたリンは、急いでアイリの元へと戻り、共に逃げようとする。だが既にアイリの心は絶望感で満たされていた。他人に流されて生きることしか出来ないアイリは、戦うという意志を忘れ、希望をもてなくなっていたのである。小屋の中へ身を隠しても後ろ向きな発言を繰り返すアイリに、リンは掛ける言葉が見付からなかった。

 村へと向けて疾走するレイに、突如地面の中から拳王の部隊が襲い掛かってきた。だが空中で交錯した一瞬の攻防で、拳王部隊は全滅。相変わらずの強さを見せるレイであったが、天はその強さが間もなく失われようとしていることを暗示していた。満天の夜空を見上げるレイ。その瞳に映るのは、きらめく北斗七星の蒼星・死兆星であった。
放映日:85年9月19日


[漫画版との違い]
・マミヤがユリアの事を聞いたりトキが補星を見たりする場面の前後が多少逆
・マミヤがシーカーから逃走し、その後偵察隊の隊員と戦い、倒すシーン追加
・マミヤがシーカーに弾き飛ばされたのが娥媚刺からヨーヨーに
・原作ではヒビが入るのは左の肩当てだが、アニメでは右
・ケンがシーカーの鉄パイプを受け止めるのが、背を向けたままに
・マミヤの村にケンからの手紙が届き、その直後に拳王侵攻隊が村に来るシーン追加。



・緊迫感
マミヤのテーマソングみたいな、そんな音楽があるんですね。ジャズっぽい、なんかマミヤの色気を現したような明るい曲。(音楽編持ってないのでタイトル不明)。それ流すのは別にいんですけども、マミヤが死兆星を見ているって判明したときは止めようや。ドギャーンっていう効果音入れて音楽止めようや。緊迫感がつたわらん・・・
・偵察隊
シーカーとおんなじ姿をしている拳王偵察隊の隊員のみなさん。ガタイもシーカーに負けず劣らずデカイのだが、何故ここまでシーカーと実力差がある?左右からとびかかった二人がマミヤの肘と蹴りでドーンと蹴り飛ばされる姿はあまりにもなさけない。・・・いや、違う。マミヤが強すぎるのだ。だってぶっ飛ばされた奴等がぶつかった岩壁にヒビ入ってるもん。こんなに強かったっけこの人。


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