
自らをケンシロウと名乗り、非人道的な行動を繰り返すジャギ。彼を歪ませたのは、一子相伝の北斗神拳の伝承者を巡って起こった兄弟間の争いであった。宿命の北斗の争いに終止符を打つため、レイにリン達の世話を頼み、たった一人で荒野へと旅立つケン。その背を、マミヤは遠くから見つめていたが、彼を負うことはできなかった。ケンの心の中にユリアの面影があるかぎり、自らの出番など無いことをマミヤは悟っていたのだった。
彼等の策略どおり着実にケンの名は悪魔として広まりつつあった。7つの傷の男は弱い者の味方などではない、悪魔だ!ジャギの思惑にまんまとはまり、そう叫ぶ老人。ジャギの部隊はその言葉に大きく肯定したが、結局老人は次のノコ引き役に選ばれてしまったのだった。だがその時、突如ジャギ部隊の1人が、地に顔面を突っ込んだ。背後から現れた旅人が、男の背を蹴り飛ばしたのだ。いきり立つジャギ一味は、その旅人にもノコ引きを強要。旅人は言われるままにそのノコを手にするが、彼が突き刺したのは埋められた男ではなく、ジャギ一味の男の頭であった。はぎとられたマントの下から現れた、旅人の正体。それは、目の前にある胸像と同じ7つの傷をもつ男・ケンシロウであった。
お互いの秘孔の位置に印を付け、実践さながらの組み手を行うケンシロウとジャギ。2人が交錯した瞬間、ジャギはケンシロウの目蓋に含みバリを吹き付けた。何を使ってでも勝てばいい。それがジャギの信念だったのだ。視界を奪われたケンに対し、北斗千手殺を炸裂させるジャギ。血反吐を吐いてダウンしたケンの姿を見て、ジャギは己の勝ちを確信していた。しかし、現実は違った。ジャギの体に記してあった秘孔の位置には、何時の間にかアザが出来ていた。最初の交錯の時、既にケンは寸分違わずジャギの秘孔を突いていたのである。ケンシロウを見習うがいい。そのリュウケンの言葉が、プライドの高いジャギを更に苛立たせる。兄を越える弟など存在しない!自らの負けを認めずに、ジャギは高笑いと共にその場を後にした。しかし、リュウケンが危惧していたのはそのジャギではなく、ケンの甘さであった。兄だからという理由だけでワザと負けたケン。その甘さがいずれ悲劇を招くであろう事を、この時既にリュウケンは感じていた。
手柄を立てるため、我先にとケンシロウに襲いかかるジャギの部下達。しかしあらゆる手段を尽くしても、ケンの相手にはならなかった。最後に残ったのは、あらゆる格闘技を身につけ、さらにジャギから北斗神拳を盗んだと自称する男であった。自らを無視して埋められた男を助け出すケンシロウに怒ったその男は、自慢の北斗神拳をケンシロウに炸裂!ケンの命をあと10秒だと告げ、何故か勝利を確信する男であったが、自ら行ったカウントダウンの先に待っていたのは己の死であった。そばに隠れていた男からジャギの居場所を聞き出したケンは、その男を先程の穴に埋め、再びジャギのもとへと歩き出した。残された男に待っていたのは、恨み募る村人達の復讐の宴であった。| [漫画版との違い] ・旅立とうとするケンを、原作では物陰から見ているだけのリンとバットが、アニメでは引き留めようとする。 ・ノコがひけなかった男は、原作では殺されたが、アニメでは存命 ・ケンがジャギとの組手を思い出すのは原作ではマコと対峙しているときだが、アニメではジャギ部下と戦う前 ・ジャギから北斗神拳を盗んだ男は、髭の男でなく、メットを被った男に変更。埋められる奴は髭。 ・エセ北斗神拳使いの男と戦う前の、ジャギ部下とケンシロウのバトル追加 ・エセ北斗神拳遣いの男がケンシロウに秘孔を突くシーン追加 ・ジャギにケンシロウ出現の報を入れた男が、ジャギの勝利を疑ったが為に両腕を破壊されて殺されるシーン追加 |
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