
ケン達の策略によって人質を取り返されてしまった牙一族。しかし彼等にはまだ最後の手段が残されていた。牙一族達は、あらかじめケン達の足下に爆薬を埋め、いざというときに起爆できるようにしていたのである。爆発した衝撃で起こった地割れは、敵をケン、レイ、そしてマミヤとアイリの3隊に分ける事に成功。マミヤだけではアイリを守りきれないと考えたレイは、溶岩を飛び越え、岩から岩へと飛び移り、アイリの元へと急ぐ。
遂に自ら出陣することを決めた牙大王は、まず華山鋼鎧呼法によって自らの肉体を変態させた。鋼鉄の鎧。自らの体をそう称した牙大王の言葉は嘘ではなかった。ケンが思い切り鉄柱で殴打しても、牙大王には傷一つ無く、逆に鉄柱のほうがひん曲がってしまったのだ。だが、そんな奥義を前にしても、ケンには何一つ焦りの色はなかった。左右のこめかみと、鼻に一撃を与えたケンは、再度鉄柱で牙大王を攻撃。すると今度は、鉄柱は大王の横腹に深々とめり込んでしまった。先ほど顔を殴った際、ケンは秘孔大胸筋を突き、鋼鉄の鎧をブヨブヨの脂肪へと変えていたのだ。
残るは自分だけとなった牙大王は、ケンに頭を下げながら、背からクラッカーを取り出した。ケンシロウが油断した隙に、クラッカーで爆殺してやろうと考えたのである。だが、クラッカーが大王の手から放れることはなかった。大胸筋の効果により、ブヨブヨの脂肪が今度は逆に硬直し始めていたのだ。自ら着火したクラッカーを持ったまま爆発させてしまった牙大王は、右手を丸々紛失。しかし大王の体に痛みはなかった。大王の肉体はすでに秘孔によって死に始めていたのだ。残りの命をあと5秒と宣告された牙大王に、ケンのカウントダウンが始まる。せめて一傷と思い、大王は最後の頭突きを放ったが、その硬い頭も岩山両斬波に真っ二つにされてしまった。絶命した牙大王の肉体は、ゆっくりと溶岩の中へと消えていったのだった。
その頃、とある街では、一人の女が図体の大きい男に追いかけられていた。女が側にいたメットを被った男に助けを求めると、男はおもむろにバイクから降り、暴漢の前に立ちはだかり一言「おいお前、俺の名を言ってみろ」。訳が解らずにつかみかかってきた暴漢に対し、メットの男は華麗に飛び膝蹴りをかまし秘孔を突いた。正しくそれは、ケンと同じ北斗神拳の動きであった。秘孔で動けなくなった暴漢に銃を向けたメットの男は、再び自分の名を男に問う。知っている、と苦し紛れの嘘を言った暴漢に腹を立てメットの男は容赦なく発砲。運良く銃は不発だったが、暴漢はその恐怖でショック死してしまっていた。| [漫画版との違い] ・爆薬で地割れを起こし、ケン、レイ、マミヤ達を引き離し、マミヤがアイリを守るために戦ったりするイベント追加 ・ゴジバをしこたま殴った後、もう一回ボコボコにするシーン追加 ・牙大王が岩山両斬波の後、溶岩に墜落するシーン追加 ・ゴジバが殺されるのは、原作ではまだアイリ達が人質の時だが、アニメでは後。 |
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