
苦悶の表情を浮かべるレイを見たマミヤは、なんとかこの状況を打破するため、自分がアイリの代わりに人質になろう名乗り出た。自分はケンシロウの身内、フィアンセだと称したマミヤは、その証拠としてケンにキスをし、自ら牙大王の元へ。ケンはその危険な行為を止めようとするが、レイにはそのマミヤの作戦に賭けてみるしか方法はなかった。
苦しむレイをよそに、牙一族は二人を的にしてのナイフ投げを始めた。ゴジバの投げるナイフが、2人の髪をかすめ、背後の壁に突き刺さってゆく。更に調子に乗ったゴジバは、目隠しをして再挑戦。顔面に向かって飛んできたナイフを、持ち前の運動神経で回避するマミヤであったが、当然、盲目のアイリにこんな芸当が出来るはずは無かった。もしナイフがアイリに突き刺さったら・・・レイには、最早牙一族に対して頭を下げることしかできなくなっていた。そんなレイの苦しむ様に、心の晴れる思いの牙大王。しかし、それでも強気の姿勢を崩さないケンに、遂に牙大王はキレた。妹の命が惜しければ、その北斗の男を殺せ!憎き用心棒二人の相打ち。それが牙大王の描く復讐の結末であった。そして、悩んだ末にレイがとったのは、妹アイリの命であった。
ケンに向かって執拗に攻撃を繰り返すレイ。しかし、ケンは反撃しなかった。ケンにはこの戦いの虚しさが解っていた。勝利しても後に残るのは哀しみと孤独だけ。ケンは、ほんの数日前、それを自ら体験していた。ユリアの死と言う現実の果てに・・・。しかし、その話を聞いたところで、レイが他に取れる選択肢は無かった。ただアイリを守るためにと信じて、再度その拳を奮おうとするレイ。だがそのとき、牙一族達の中でざわめきが起こった。アイリが舌を噛み、自殺を謀ったのだ。自分が死ねばレイの戦う理由が亡くなる。アイリはそう考えたのである。そしてその時、マミヤもまた同じ考えを持っていた。立てられた槍の矛先に向かい、身を投じるマミヤ。人質が死んではかなわんとその身を捕える牙大王であったが、彼女達の命を懸けた叫びは、しっかりケン達に届いていた。そして、その声に答えるようにケンがとった構え、それは、北斗神拳の秘伝
聖極輪の構えであった。
無数に繰り出された突きを受け止めたケンは、レイの顔に拳をヒット。しかし、反転して再び繰り出したレイの突きは、深々とケンの胸に突き刺さった。力尽き、ゆっくりとその身を崩すケン。そして先程の拳のダメージが残るレイもまた、その身を地に伏した。死闘の果てに残ったもの。それは、牙大王が描いたとおりの、相討ちによって息絶えた二人の姿だった。| [漫画版との違い] ・レイがケンにかかっていこうとするところで夜が明けるシーン追加 ・牙一族(チビ)がアイリをナイフでいたぶるシーン削除 ・ナイフとフォークを持った奴にマミヤが膝蹴り、牙大王に腕の関節をはずされる等のシーン削除 ・アイリ達にナイフを投げるのが、牙一族(チビ)からゴジバに変更。ちなみにゴジバのナイフ投げは習いたてらしい ・ゴジバはがやられるシーンが聖極輪の後に変更 ・マミヤの自殺 流血せず |
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