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[第28話]
レイ!お前の涙は
俺の拳で受けてやる!!


 アイリを人質に取られ、手を出すことができず、ただ吠えることしかできないレイ。それを眺める牙大王は大満足だったが、牙一族を滅ぼすために雇われただけのケンにはなんの効果もなかった。ケンに身内がいないことを非情に悔しがる牙大王は、その分もアイリを痛めつけることを決めた。

 苦悶の表情を浮かべるレイを見たマミヤは、なんとかこの状況を打破するため、自分がアイリの代わりに人質になろう名乗り出た。自分はケンシロウの身内、フィアンセだと称したマミヤは、その証拠としてケンにキスをし、自ら牙大王の元へ。ケンはその危険な行為を止めようとするが、レイにはそのマミヤの作戦に賭けてみるしか方法はなかった。

 崖を登り終え、牙大王からアイリを受け取ったマミヤであったが、当然彼女がそのまますんなり人質となるはずは無かった。先制攻撃のヨーヨーを固い頭で弾かれるものの、腕の中に捕らわれたのを利用し、娥媚刺をその胸に一突き。苦しむ牙大王の表情に、勝利を確信するマミヤ。しかし、それは大王の余裕の演技であった。華山角抵戯によって鍛えられたその肉体の前に、娥媚刺はただくの字に折り曲がっただけであった。結局マミヤの作戦は状況を変えることが出来ず、逆に今度は人質が2人という最悪の状況になってしまったのだった。

 苦しむレイをよそに、牙一族は二人を的にしてのナイフ投げを始めた。ゴジバの投げるナイフが、2人の髪をかすめ、背後の壁に突き刺さってゆく。更に調子に乗ったゴジバは、目隠しをして再挑戦。顔面に向かって飛んできたナイフを、持ち前の運動神経で回避するマミヤであったが、当然、盲目のアイリにこんな芸当が出来るはずは無かった。もしナイフがアイリに突き刺さったら・・・レイには、最早牙一族に対して頭を下げることしかできなくなっていた。そんなレイの苦しむ様に、心の晴れる思いの牙大王。しかし、それでも強気の姿勢を崩さないケンに、遂に牙大王はキレた。妹の命が惜しければ、その北斗の男を殺せ!憎き用心棒二人の相打ち。それが牙大王の描く復讐の結末であった。そして、悩んだ末にレイがとったのは、妹アイリの命であった。

 ケンに向かって執拗に攻撃を繰り返すレイ。しかし、ケンは反撃しなかった。ケンにはこの戦いの虚しさが解っていた。勝利しても後に残るのは哀しみと孤独だけ。ケンは、ほんの数日前、それを自ら体験していた。ユリアの死と言う現実の果てに・・・。しかし、その話を聞いたところで、レイが他に取れる選択肢は無かった。ただアイリを守るためにと信じて、再度その拳を奮おうとするレイ。だがそのとき、牙一族達の中でざわめきが起こった。アイリが舌を噛み、自殺を謀ったのだ。自分が死ねばレイの戦う理由が亡くなる。アイリはそう考えたのである。そしてその時、マミヤもまた同じ考えを持っていた。立てられた槍の矛先に向かい、身を投じるマミヤ。人質が死んではかなわんとその身を捕える牙大王であったが、彼女達の命を懸けた叫びは、しっかりケン達に届いていた。そして、その声に答えるようにケンがとった構え、それは、北斗神拳の秘伝 聖極輪の構えであった。

 硬着したままの2人の間に牙大王が剣を投げると、剣は2人の目の前で制止して止まった。2人の間には見えない無数の突きの応酬が行われていたのだ。剣を破壊したと同時に間合いを取った2人は、互いに異様な構えを取り始めた。レイの南斗虎破龍、ケンの北斗龍撃虎。双方の凄まじい構えが対峙する。先に仕掛けたレイだった。無数に繰り出された突きを受け止めたケンは、レイの顔に拳をヒット。しかし、反転して再び繰り出したレイの突きは、深々とケンの胸に突き刺さった。力尽き、ゆっくりとその身を崩すケン。そして先程の拳のダメージが残るレイもまた、その身を地に伏した。死闘の果てに残ったもの。それは、牙大王が描いたとおりの、相討ちによって息絶えた二人の姿だった。

 2人が確実に死んでいることを確かめた牙一族達は、ケン達の死骸に向かって攻撃を開始。完全勝利に酔いしれる牙大王は、もう必要なくなったマミヤとアイリも始末するよう命じた。しかし、その時異変は起こった。マミヤに切りかかろうとした奴等が、次々とその身を破裂させていつたのだ。そして、その死骸達の後から姿を現したのは、死んだはずのレイとケンの姿であった。先程の聖極輪は、互いに仮死状態になる秘孔を突き合い、敵の目を欺くための合図だったのである。人質もなくなり、もはや恐れる物のなくなったケンは、牙大王に死の宣告を告げるのだった。
放映日:85年5月2日


[漫画版との違い]
・レイがケンにかかっていこうとするところで夜が明けるシーン追加
・牙一族(チビ)がアイリをナイフでいたぶるシーン削除
・ナイフとフォークを持った奴にマミヤが膝蹴り、牙大王に腕の関節をはずされる等のシーン削除
・アイリ達にナイフを投げるのが、牙一族(チビ)からゴジバに変更。ちなみにゴジバのナイフ投げは習いたてらしい
・ゴジバはがやられるシーンが聖極輪の後に変更
・マミヤの自殺 流血せず


・娥媚刺
なんと12秒も回していました。
あと月並みだが、刺さらなかったのは大王の凄さだが曲げたのはマミヤのパワーだと思うのだが。
・カナメプロ
誰ですか?

カナメプロはアクションはいいんだけどもなあ・・・。ケンシロウvsレイなんか、凄くいいよ、うん。
でもちょっと・・・なあ。



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