世紀末バイオレンス大百科
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2023年12月17日 |
12/15、宝島社より
『北斗の拳 世紀末バイオレンス大百科』
なる書籍が発売されました。
ちょっと前まで
「最近、北斗の拳の本が出ねえな…」と思っていたら、ここにきて立て続けの発刊。年の瀬になって40周年の駆け込みが始まっていますね。
しかし、作ればいいというものでもない……。本を開く前から、タイトルの当たり障りの無さ、表紙に書いてある情報、作った会社などから、恒例の
「薄さ」がひしひしと伝わってくる。この予感が外れた事はない。
ただ私も大人なのでね。自分が求めている物と、ライト層向けの物とで分けて評価できる人間なわけですよ。なので、優しく、温かく、慈母の心で読み進めて行きたいと思います。これが愛…。
●イラストギャラリー
カラーイラスト9連発。
初っ端にこれをもってくる構成、
こないだの本と全く同じで変わり映えしないなあ。ラインナップもあっちのほうがレアめの多かった。
●宿命に生きた男たち
北斗四兄弟の紹介。ごく普通。
>ケンシロウの得意技は北斗百裂拳
一回しか使ってないの得意技と呼ばれても…
アニメも踏まえてなら解るけど、むしろアニメ全無視してるスタンスだし…
>黒王号は軽々にその背をジュウザに許す
結構拒絶してなかった?
少なくともケンやバットよりはイヤイヤしてた気がするけど。
>ジャギがいなければ、シンやラオウが動く一端になっていたのかもしれない
ん?意味が解らん。
「いなければ」要らなくない?
●弧羅無4連弾!ロビン地獄で待っていろ
解る人には解るコーナータイトルいいね。
「ロビン」というのは、このコラムを書いた
『赤犬』というバンドメンバーのロビン前田氏の事らしい。
これも北斗四兄弟を紹介するコラムだが、着眼点がいいね。妄想突っ走ってるのが嫌いな人には合わなそうだけど。
●死闘で辿る『北斗の拳』
作中の主なバトルや出来事を42分割して紹介。
特定の場面をピックアップせず、全工程を均等に紹介しているので、ストーリー全体の流れが掴みやすくていい。内容をうろ覚えの人への記憶喚起には丁度良い内容だと思う。
●主要登場人物相関図
超見難い
こんな読みづらい相関図初めてみたわ。
あとポジション的に浮いてるコウケツとか入れるよりも先に
ジュウザ入れたれ。
●世紀末殺人拳図鑑
大小さまざまな拳法の紹介。
特に面白い記述もないしマイナー拳の紹介はほんと雑だが、2Pに全部収めるとなると仕方ないやね。よく頑張ったと思う。
泰山
琉千条鞭くらいは見逃してあげる。
●南斗の頂点に立つ6つの拳 南斗六聖拳
南斗六聖拳の人物と拳法の紹介。
南斗弧鷲拳はもうあるあるなんだが、ここまで数回登場してた時は正解してたのよ。
なんでわざわざ拳法紹介の一番デカいフォントで間違えるのよ。
>(ユダは)強さは曖昧だが、狡猾さに長けた、理想的な中ボスキャラであった
中ボス……ユダをそのように評価したことは無かったなぁ。俺の中で中ボスってサウザーのイメージなので、結構な高評価に思える。そのくせ強さは曖昧とかディスっててどっちやねんという。
>シュウはサウザーが「自分と互角に戦える男」と評価する
時折アニメ混ぜてくるけど大丈夫?
●風!雲!炎!山!海! 南斗五車星
南斗五車星紹介。
>(五車星は)海のリハクが宿命の痣を持つ4人の子どもを集め〜
え、ジュウザ外伝のあれ公式設定なの?
●俺は魔界を見た!! 北斗琉拳の全貌
北斗琉拳メンたちの紹介。
>1800年前に北斗宗家の拳から分派して誕生。北斗宗家に仕える影の存在として〜
うーん、北斗劉家拳とイコールとすると北斗神拳からの分派だから、宗家の拳からの分派とは違う気がするなあ。むしろ「リュウオウが北斗琉拳を創始した」っていうアニメ設定に近いよね。蒼天よりアニメのほう推してる?この本。
あと北斗宗家に仕える影の存在っていうのはジュウケイとかカイオウの事を言ってるんだろうけど、あれは彼らがそういう一族ってだけで、北斗琉拳は関係ないと思うんだよな。
>魔闘気を放つ白羅滅精
ハン魔界入ってないから魔闘気ちゃうやろ。多分。
●盟友 熱き絆が世紀末を駆け抜ける
仲間ポジキャラの紹介。
紹介されてるのが
殆ど男キャラばかりなのは、後に「世紀末美女」のコーナーがあるからだろう。だとするなら、こん中に
唯一混じってるサラが不憫でならない。なんでや!カワイイやろ!世紀末美女やろ!
●交わした拳が俺を強くする
北斗・南斗以外でケンシロウが闘ってきた相手達の紹介。
そうか……なかったか……
なんか知らんがSTAP細胞思い出すな…
>(修羅忍道の解説)伸縮自在の混紡
棍棒な!
混紡は繊維混ぜた生地な!洗濯難しいやつな!
確かに伸縮自在はどっちかというと混紡の方が合ってる気もするけどな!
>(デビルリバースは)ビレニィプリズンに200年投獄されていたが
ガチのバケモンやんけ
だいだらぼっちかな?
●世紀末美女 -恋愛ドラマとしての『北斗の拳』-
女性キャラクター達の恋愛事情にスポットを当てたコーナー。
マミヤを非モテと断じて押し通すのは流石に強引すぎでは?レイにもユダにもモテてたし。まあレイの魂に縛られて永遠のオールドミスではあるけども…
●読み切り版『北斗の拳』
読み切り版北斗の第一話を掲載。
1つのページに見開きの2ページを横向きに載せるというアクロバティックな掲載方にビックリ。
ただなんか…ちょっと画質悪くない?気のせい?
●世紀末モードコレクション
グラムロック・バンド
『YOUNG PARISIAN』のTSUNEGLAM SAM氏が、世紀末のファッションをミュージシャン視点で解説。
自分が明るくないジャンルのモデルまで書いてくれてるのが嬉しい。しかもどのレコードのジャケットが元ネタであるとかまで詳しく解説してくれてるのは流石。こういうのは同じ畑の人が強いよね。ライターのチョイスが中々面白いよこの本。
●バイプレイヤーズ・ベストセレクション
脇役紹介。
カーネルんとこの将軍を
「世界を滅ぼした男」って書いててワロタ。いや間違っちゃないけど肩書に格ありすぎて。
●人体徹底崩壊!世紀末被害者地獄
主なグロ破裂シーンの紹介。
皮膚がチーズみたいに溶けながらの破裂は
「遊星からの物体X」の影響とあって、言われてみれば確かになと思った。公開年も1982年でドンピシャだし。
●残酷!悲惨!世紀末被害者地獄
悪党たちがお遊び感覚で人々を虐殺する様の紹介。
さっきのグロ場面紹介の所と同じく、
伴ジャクソンというライターさんが書いておられるのだが、ワードチョイスが中々面白くて好き。いくら作品に詳しくてもこういうのは書けるもんじゃないからね。本職は違いますわ。
●The世紀末最凶マシン伝説
作中に登場した乗り物についての特集。
こちら4ページ渡る特集で、紹介している車体も多く、専門ならではの視点でマシンの特徴が幾つもピックアップされており、かなりタメになる。こういう方向での熱量の高さ、好感が持てますね。
ただ、2018年に大阪であった「北斗伝承展」にて店内に貼られていたボードには、
モデルになった車種そのものを特定して掲載してあったので、そちらの方が凄かったな…とは思った。
●乱世の時代を象徴するアーキテクチャたち
世紀末の建物探訪。
北斗の建造物って聖帝十字陵とか中央帝都みたいな特徴的なやつ以外はあまり記憶に残らないというか、キャッチーな感じじゃないので、注目され難いんですよね。そこにあえて踏み込んだ心意気を評価したい。
序盤が廃ビルを再利用したものが多く、中盤以降は建造文化が復活し、かつての世界とは異なる建築様式が確立されていくという解説も実に的を得ていてとても良いと思いました。
●武論尊先生・原哲夫先生 40問40答
両先生へ20の質問してみましたのコーナー。
これ確か北斗の公式アカか何かが1問ずつポストしてたやつですね。この本のための企画だったのかあ。纏めるの面倒くさいと思っていたので助かる。
注目したい回答は以下
・ないアルの元ネタは堀江編集長の体験談(原)
・北斗の世界に行ったら偉い人んとこの宮廷漫画家になる(原)
・男は「最強の肉体」女は「最強の美女」を目指して描く(原)
・拳王軍の勢力は聖帝軍のおよそ倍(武)
・ジャギは目の前で赤子が捨てられていたら助ける男(武)
・世紀末は女性には過酷だから女性拳士は出す構想は無かった(武)
・2話の描き直し前の話にはミスミは居なかった(武)
・最後の将=ユリアを決めたのは五車星登場後(武)
●千葉繁と『北斗の拳』40年の軌跡
千葉繁御大へのインタビュー記事。
血管切れそうになりながら演じたお話、ザコにもザコの人生があるお話といったよく話されているエピソードから、ただ音声を伝えるのではなくキャラと作品の想いを伝えるために叫び続けているんだという熱い思い、そしてそういった演技が若手にも受け継がれていけば嬉しいという願いまで、色々語ってくださっていました。
ありがとうございます。
●ファイルーズあい、ユダ愛を語る!
声優の
ファイルーズ あいさんのインタビュー記事。
かねてより
極度のユダ推しである事を公表されておられましたが、その魅力や沼に嵌るまでの経緯などを凄い熱量で語っておられます。好きなポイントが
「もみあげを耳にかけているところ」ってのはもう本物なのよ。その他にも本当にキモさ爆発なエピソード満載なので、同じ匂いのする方々には是非読んでいただきたい。
この方は長年に渡る空条徐倫への愛を実らせ、実際に役を掴み取った経緯がある方なので、もしかしたら北斗の新アニメにも関わられる可能性はありますね。流石にユダは無理としても、
マミヤ役とか凄くありそう。戦う女性キャラをよく演じておられるし、インタビューの中でもUDの焼き印押されたいって仰られてるし。
ただこういう事言うとね、実際に決まっても決まらなくても変な憶測飛ばす奴が出てくるのでね。あまり言わない方が良いですね。言っちゃったけど。
●スマスロ『北斗の拳』チーム、熱き想いを語る!
おーん
●「北斗の拳 LEGENDS ReVIVE」開発チーム座談会
4周年を迎えたリバイブ開発陣へのインタビュー記事
>「いてえよ〜」を必殺技にしたのはうまく落とし込めた
え?昔から結構あるような…?
>携帯小説で一部明記されていた部分がありましたので、その文章をベースに、実際に動いたらどうなるだろうかっていうのを弊社で考えて、原作者様に提案し、一緒に作っていった
この原作者様って武論尊先生やろか。それとも小説書いてはった東城太郎さんかな。後者なら小説の続き書いてって言うといて。
>新たな伝承者の物語は原作終了後ではなく並行する形
大原画展で公開された女性拳士のことね。
平行ってことは、もしかしたら話にケンシロウ絡んでこないまであるな。
●コミックス最新情報
新装版と異世界アミバ、ドラマ撮影伝の紹介。
●世紀末救世グッズカタログ
最近出たグッズの一部を紹介。
なんだこの構図
●新作アニメ&原画展最新情報
来年以降の大原画展の開催予定日程と、新アニメの予告。
特に新しい情報はない。
以上、終わり。
【総評】
タイミング的にどうしても2ヵ月前に出た
「北斗の拳シリーズ大解剖」との比較になってしまうが、(おそらく)全て新たに書き下ろされた内容って時点で今回の方が好感持てるよね。大解剖のほうは半分くらい使いまわしだったし。
内容的には一長一短かなあ。大解剖の方はタイトルに偽りなしって感じで、物凄い文章量だったんですよね。なので充実度で言えばそちらなんだが、同じような記述が繰り返し出てきてしんどかったので、単純な読み物としては今回のほうが良いかもしれない。なので
ライト層や新規向けとしてはこちらかなあ。
あと解説の言い回しが結構面白くて、
良いライターさん選んでるなという印象。各コーナーに筆者の名前を記載してるところも責任感あって良いと思う。それだけ自信があるということだろう。誤字が比較的少なかったのもその影響かな。
駄目だった点としては、なんか
不自然に漢字の使用を控えてたところ。特に「〜した際」とかの「さい」が全部平仮名だったのが読みにくかった。これは全ページ統一されていたので社としての拘りなのだろう。よくわからん。
あとデザインにこだわるのは良いけど、
背景の色や絵が強くて文字が読みにくい所があった。世代の人間、もうみんな老眼差し掛かってんだから、見易さ重視でお願いしたい。円錐角膜のブレブレ具合みくびんなよ。
……といったところが俯瞰視点での感想で、私個人としてはやはり
各場面のモデルや、乗り物・建造物についての解説が資料として興味深かったですね。あとはまあ、特にどうってことも無いかな……
やはり最近は無難ブナンでいきすぎて、大声でツッコませてくれるような内容が減りましたねえ。これが令和スタイルなのかなあ。もっと意味不明なランキングとかやって欲しいんですけどね。大声で文句言うけど、別に怒ってないから。愉しんでるだけだから。勝負してくれていいんよ。
てな感じでした!