大原画展レポ(2)

2023年11月28日

大原画展レポの後編です


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第三章「愛蔵」は、アニメやゲーム、フィギュア、パチスロ等、漫画以外のジャンルにも広がった北斗の世界。






ここでの最注目は、40周年記念として寄贈された有名漫画家先生様方からのお祝いイラストギャラリー


ジャンプの歴代レジェンド先生方は勿論、高橋留美子先生、あだち充先生、青山剛昌先生、森川ジョージ先生といった他紙の巨匠や、今やゼノンの看板作家となられた新久先生、アジチカ先生など、豪華絢爛なメンバーからの直筆お宝イラストがわんさか。






どなたのも素晴らしかったが、やはりこういう一枚絵は鳥山先生が慣れてはるなって思いましたね。こんなカッコよさと可愛さを兼ね備えた4頭身ケンちゃん描ける人いないよ。なのに何故これが左下の端という一番目立たない所に飾られていたのだ。解せぬ。




他はパチンコ・パチスロシリーズの歴史を紹介する映像や、フィギュアコーナーでの歴抱くアクションフィギュアの展示など。ほぼVAFしか無かったのは、北斗フィギュアの地位を確立した立役者へのリスペクトだろう。






大サイズのフィギュアは、この章に限らず、要所要所に展示されていた。直で見るのはほぼ初めてのものばかりだったので有難い。

画像左下の超像可動レイは、ここの展示が初のデコマス(彩色見本)お披露目だったっぽい。間もなく予約開始らしいですよ奥さん。









続いての第四章「愛憎」は、トキvsラオウと五車星編。

ほぼ原画のみだったので語れることはない。





第五章「彩愛」は、ジャンプ表紙用に描かれたカラー画などの紹介。






こちらは原先生の仕事場再現

机の上にあるのは原画展のメインビジュアルの下絵と、究極版のケン&レイの生原稿か。たまんねえな。

彼女連れの人は、横にあるフランク・フラゼッタの画集についてサラリと知識を披露してカッコつけるのも良いでしょう。もう閉幕したけど。






そしてここからが大注目の新作アクリル画のお披露目。

原画展が一瞬にして美術館に変わる。







まずは、クラウドファンディングで777万7777円に設定され、最終日に入札された超大作、「七つの傷を持つ男」


独特な色彩が多い原先生のカラー画の中でも、これほどのヴァイオレットな筋肉は珍しいよねぇ。転龍呼吸法というより華山鋼鎧呼法の域だもんね。

あとこんな憮然とした表情での服やぶりも珍しい。瞬間的に気合を入れて破るよりも、こっちのほうが強者感ある。






この絵、途中経過ではこんな感じだったんですよね。

まだ輪郭もハッキリしてなかったので、まさかフォービズムのような感覚的な方向で行くのかと思ったが、結局はお得意のエネルギー迸る作品に辿り着かれた模様。おそらく作業の過程で不慣れなキャンパス画をマスターされたのだろう。やはり天才か。








二枚目は禍々しきラオウ様を描いた作品。
タイトル「青の覇者」


仁王像っぽい構えに、不動明王の如き炎という、原先生が得意とするジャンルの組み合わせ。これこそまさに闘神の化身。シン・インドラリバースですよ。

こちらもケンシロウと同じ青。ラオウ様で青は猶更珍しい。もしかしたらクラファン用の絵に取り掛かる前に、練習を兼ねて描き始められたのかも。

っていうか、クラファン用の作品以外にも描かれてたなんて聞いてないんだよなあ。サービス精神えげつねえな。ルーブルどっかスペース空いてる?









そしてこちらが「赤き救世主」


「七つの傷を持つ男」は、クラファンの運営側から予めタイトルを指定されてたと思うんですよね。なんかイメージ画みたいなのも用意されてたし。

それに対してこちらの作品は、原先生が本当に好きなようにお描きになられた。そんな印象を受けます。知らんけど。

個人的にはこの作品が一番パワーを感じるなぁ。炎の感じとか凄いやん。なんか絵具の厚みが見えるようだよ。知らんけど。



ちなみにこれらは大原画展の公式図録にも載っているのだが、そちらは8月時点のものであり、実際に展示されていたものは結構変わっていた。気になる方は是非チェック。







第六章「敬愛」は、ケンシロウとラオウの決着。そして原画展の終幕へ。






ここではラストバトルの原画を映像で見せてもらえるのだが、自分はその背景として用意されたボードの迫力に圧倒されてしまった。こんな環境で北斗を観れるって最高やん。新アニメをここで観ようよ。








最終フロアには、来場された著名人の方々のサインが。

左の右中央付近のが武論尊先生、右のラオウ様が原先生のサインですね。

これ以降もどんどんサインは増えていったみたい。有難いことです。








クラファン支援者達の名前もしっかりと確認。知った名前もちらほら。


高額支援者の方々は、ゴールドプレートケンシロウのフキダシ内に名が刻まれており、とてもよく目立っていたが、我のような凡なる支援者は、ボードの下部にひっそりと掲示されていた。

そりゃまあ金額で差をつけるのは当然だから小さいのは良いんですが、しゃがまないと見えないほど低い位置ってのはねぇ……。一応俺らも数万は出してるわけで、その支援者らにしゃがみ歩きで名前を探させるってのはどうなんだろう。このイベントで唯一マイナスを付けるとすればここかなって思った。










あと噂になっていたコレね。


原先生がお描きになられた新キャラ……だが、ドーンとリバイブのロゴがあるので、おそらくリバイブの中だけで展開される新エピソードのキャラクターなのだろう。ガルダと同様、キャラデザだけ原先生に依頼したパターンぽい。


噂ではなんらかの「伝承者」であるとの事だが、その場合は原先生が描く初の女性拳法家となる可能性が高い。肩当てもしてるし。ヘソも出てるし。しまえヘソ。


他にも、後ろの少年ボウイとか色々と考察要素はあるが、とりあえずは続報を待とう。ワンチャン新アニメとも関わってくる可能性あるしね。





そして最後に待ち受けていたのが……






ラシュモア山風の北斗三兄弟+ユリア。


いやーこれは凄い。マミヤの村の長老が彫ってた奴とは比べ物にならんクオリティよ。これならファルコも壊すの躊躇ってくれるんじゃないかな。







ちなみに北斗四兄弟のなら、私も20年近く前に3Dソフトで作ったことがある。

ただラシュモアは本来アメリカの発展に貢献した大統領への敬意を込めて作られたものなので、原画展の方の人選が正解と言えるだろう。ジャギを当てがってしまったルーズベルト元大統領には心よりお詫びを申し上げたい。







オブジェの後ろには「おまえはまだ生きている!」の文字。

元々は布袋さんの「STILL ALIVE」の歌詞であり、今回の北斗の拳40周年のコンセプトでもある言葉ですね。

ケンシロウの死の宣告をあえて逆にすることで、明日を前向きに、希望を持ってこの世界を歩めよというポジティブメッセージへと昇華させた、良い言葉だと思う。


それを表現するかのように、その下の北斗七星には死兆星が無……







……あっ







ああっ!!











もしかして……

最初にトキが死兆星見せてきたのって……




この大原画展を最後まで見届けた事で君の運命は変わり死兆星は消失しました

ってオチに繋げるためってこと!?


「おまえはまだ生きている!」ってそういうこと!?



なるほど……そんな伏線が隠されていたとは。中々面白いじゃないか。

しかしこれ、気付いた人全然いないんじゃないか?ちゃんと伝わってるか?もしかしたら千葉さんの音声ガイドで全部喋ってる可能性もあるけど。そうだったら恥ずかしいな。










最終章「超愛」は、公式グッズショップ。


自分はグッズに関しては無理をせず、本当に欲しい&お手頃価格なものに絞って購入する人間ではあるのだが、流石に今日はリミットブレイク。

潜在能力100%を引き出して手当たり次第にカゴにぶちこみ、少し冷静になって色々返却したりしながらレジにもって行ったが、お会計は普通に6万を超えていた。クラファンで出した額より全然多いんだが。

購入したものは、気が向いたらまた紹介します。








原画展の後は、コラボレーションカフェ「天空の世紀末カフェ」へ。


カフェは展示会場を出て直ぐのところにあるので、これはもう入らざるをえない。建物自体が、来場者に「会場→グッズ→カフェ」というコンボを確実に決めるための構造になっているのだ。恐ろしいぜ森アーツセンターギャラリー。



作るの面倒くさそうなメニューだし、出ててくるの遅そうだな〜と思っていたのだが、意外と直ぐに運ばれてきた。

おそらく店側にとってはコラボという異質な状態こそが平常なのだろう。流石だ。








最初に運ばれてきたのは『拳王ラオウの混ぜそば』


ラオウ様が乗っている以外は普通の混ぜそばっぽいので、サイトの説明文を読んでみると「ラオウをイメージした黒いマー油と赤いラー油をかけた混ぜそば」とのことであった。

普通のまぜそばじゃねえか


ただ、食べた中では一番美味かった。
そりゃまあ普通の混ぜそばだしな…








『ケンシロウ・シンの七つの傷サンド』

シンがケンシロウにつけた七つの傷をパンで表現し、その間に……なんかようわからんもんをサンドした一品。


通常なら七つの星型に「置く」のがセオリーだが、こんな業務用っぽいパンを使ってまで七星型に「開ける」という選択をしたのが趣深い。あえて後ろの三つの穴は未貫通にすることで、シンの指ブスを体験できるという売りを作ったわけだ。なかなか性格の悪い発想じゃないか。好きだぜ。









『シュウとサウザーの肉プレート』

イチゴ味を彷彿とさせるサフランライスの聖帝十字稜に、グリルチキン・ローストポーク・ベーコンステーキの3種肉を盛った一品。


肉の方は作中でサウザーが食ってたセレブ飯がモチーフらしいのだが、俺はこれフェイクだと睨んでんのよ。

サフランライスって味が無いでしょ。だから周りの肉と一緒に食べる必要がある。肉があって初めて完成するわけ。

一方の聖帝十字陵も、ただ石を積んだだけでは未完成。シュウを人柱とし、その血を漆喰にすることで初めて完成する。

つまり両方とも「肉」が無ければ完成しないということ。


ならばこの3種の肉が表現しているのは……おっとここまでにしておこう。









『我が生涯に一片の悔いなしソーダ』


細長いグラス自体を悔い無し破に見立て、貫いた曇天を綿菓子で表現した発想の勝利と言うべき一品。ブルーベリー味で美味しい。


単に見た目だけの映え商品かと思っていたら、綿菓子にパチパチキャンディがまぶしてあり、ソーダに浸すことで豪快にパチパチ鳴り始めて普通にビビった。









『トキの「北斗有情拳」アイス抹茶』


いやこのデザインは天才よ。大量の氷の上にホイップクリームを乗せることで雲を表現し、その上に座禅を組むトキを置き、背景には後光(レモンの輪切り)を配置することで、凄まじいまでの釈迦感を醸し出している。

元々のキリストイメージに釈迦が加わったらもうそれは絶対神なのよ。一人「聖☆おにいさん」状態よ。


ただまあ、味は、うん……
氷が多すぎたのかな……?
シャッバシャバで……うん……









『南斗五車星レモンサワー』

ベースのレモンソーダに、五車星の+ユリアのカラーをイメージしたアルコールシロップを入れた商品。

その中から「山のフドウ(緑)」「風のヒューイ(水色)」の2種をチョイス。

注文時に、店員が解りやすいようにと「レモンサワーの"風"」と言ったのだが、逆に伝わらなかった。キャラ名の方で覚えてたのね。ごめんね。


私は酒が全く飲めないので、2杯とも友人に飲んでもらった。故に味も、まぶしてある星が何なのかも判らない。というかこれから運動会なのに呑んでいいのか。

ちなみに「アルコールシロップを入れなければ通常のレモンソーダとして飲める」とあるのだが、色が付いてるのはシロップなのだから、それ普通のレモンソーダじゃんと思った。







デザートには『ハートのプリンとチョコレートデザート』


割と打撃が効きそうな顔面はアイスで、効かない体の方はプルプルのパンナコッタで分けられている所が秀逸。

跳ね返した棍棒をポッキーで、それにより惨劇と化した様子をクランベリーやキイチゴで表現している所も実に細かい。バナナは肉塊かな?


皿に彩られたハートKに気付かずアングルに納められなかった事を心より恥じる。





「レイとユダの美しいパフェ」なんかも是非賞味したかったのだが、頼んで残すわけにもいかないので、ここでギブアップ。最後もうパンパンすぎてハートの笑顔が鬱陶しかった。何ワロとんねん。


いやしかし、どれも面白い発想のメニューばかりで素晴らしかった。北斗って食事と縁の無い漫画だから、こういうコラボ飯って難しいと思うのよ。めっちゃ頭捻って考えたんだと思う。お疲れ様ですよ本当に。








1万1430円のセレブすぎるランチになってしまったが、窓の外がこれですしね。文字通りの天空カフェ。そりゃこんなところで飯食ったら万超えるだろって感じですよ。場所代も考慮すりゃむしろ安いとさえ思った。



と、ここでタイムオーバーとなり、友人を見送って解散。お疲れさまでした。






【総括】

最初にこのイベントが発表された時、正直全然テンション上がらなかったんですよね。

と言うのも、今から20年ほど前に大阪梅田で「北斗の拳 複製原画展」なるものがあり、喜んで訪れたのですが、そこで10万以上する複製原画をすごい勢いで勧められたんですよ。本物の塗りを再現したか何か知らんけど、所詮は複製に過ぎない原画のために、当時学生だった自分がそんな大金出せるわけ無いのに、もうしつこくて。だから「原画展」なるもの自体に凄い苦手意識があったんです。


だから今回の大原画展も見送ろうかと思っていたんですが、情報が公開されていくにつれ、なんか今回は様子が違うぞと。参加者の声を見ても絶賛ばかりだぞと。実際に参加してみて、その意味がよく分かりました。いや本当に凄かった。

原画をちゃんと観れてない奴に言う資格はないかと思いますが、外野からの視点でも、これは大成功と言っていいんじゃないですかね。これまでも北斗のイベントは幾つかありましたが、これほどの規模と好評を博したのは無かったと思う。来場された方々のSNS投稿を見ても、ほぼ全員が「絶賛」て感じだったしなあ。食べログなら4.6貰えるレベルよ。

昇魂式とか結魂式も良かったんですけど、あれはイベントの趣旨が面白くて話題になったとこあるじゃないですか。でも今回のはガチだからね。正真正銘、北斗の拳という作品の魅力のみで勝負したイベントであり、それで成功を収められたのは本当に素晴らしいことだと思います。

まあ成功成功と言ってますが、来場者数とか収益とかの面ではどうだったかは解らんけどね。しかしファンをこれだけ満足させられたのだから、十分成功ですよ。誇っていいっすよ。どの立場で言ってんだよ。




そんな中、今回私が一番賞賛したいポイントは、レポ中でも何度か触れていますが、やはり会場を彩ってくれた壁のボードですね。





この展示会、入場から出口まで相当長かったんですよ。その道中の壁全面に、高さ3メートル程もあるボードがミッチリ張ってあんの。凄いよ。

もちろん各章に合わせてデザインも全て違うし、レイアウトも凝ってる。設置するのだって相当な手間よ。一体これ準備するのにどれだけの時間と人員と費用をかけたのかと想像すると、凄く嬉しくなってしまうんですよね。だって最悪これ無くても成り立つじゃないですか。そんなものにこれだけ全力投球してくれた事に感動しかないわけですよ。




あと私の本来の趣味である「情報集め」の方では、汚物消毒さんの原画に添えられていた武論尊先生のコメント

「汚物は消毒だ〜!!」の兵士の名前を決めるとしたら…ケッペキかな(笑)」

が最優秀賞でした。

まあ、デカいババァ=コビトもそうですが、8割方ジョークですね。なので今後も公式として扱われることはないでしょうが、仮名であろうと呼びやすい名前が出来た事は素直に嬉しい。




北斗の拳40周年は、実質この大原画展にフルパワーを注ぎ込んだ感じがしますが(アニメは放映が来年以降だし)その役目を十二分に果たす大花火になったと思います。

本音を言えば、新アニメでの人気再燃からの原画展といった流れのほうが良かったような気もしますが、まあまた開催すればいいしね。アニメを2028年で完結させたら45周年に合わせられるから、そこでリバイバル開催やろうや。待ってるで。



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