ケンシロウぴあ |
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2018年9月30日(日) |
昨日、9月29日に「ぴあ」さんの方から発売されました
「ケンシロウぴあ」
以前同社から発売された
「ラオウぴあ」に続く、北斗ぴあシリーズ第2弾ということですね。シリーズっつっても、多分これが最終巻でしょうね。
ただその、読む前からすでに
薄味感がハンパないんですよね……
以前から当サイトをご覧頂いている方ならお分かりかと思いますが、私の好物は
「やっちゃってる本」です。荒唐無稽な考察とか、勘違いによるありえないミスに食いつき、そこを徹底的にイジり倒してスッキリするという最低の悪食野郎です。
そんな私にとって、前回の「ラオウぴあ」があまりテンションの上がる内容ではなかったので、今回もそれほど期待はできそうにないんですよね。
まあそれは時として「普通に良い本」であることの裏返しでもありますが。
さて……今回はどうでしょうか。
良い意味で予想を裏切ってほしい。
【北斗の拳 ケンシロウぴあ 感想】
●原先生直筆サインイラスト&メッセージ
この本を発売するにあたって
原先生から寄せられた即興描きケンシロウ。
一発描きだけあって、若干ケンの顔が変な気がする…
●ケンシロウイラストギャラリー
連載当時の
カラーイラスト。ラオウぴあの時もあったね。
しかし毎回同じようなラインナップだなこういうの。もっと珍しいのあるやろ。
●ケンシロウ名シーンセレクション
ケンシロウが様々な
感情を顕にした場面の紹介。
バットとリンの掛け合いがちょっと面白い。
●ケンシロウプロファイル
ケンシロウの基本情報紹介。性格とか、北斗神拳の成り立ちとか。
「時折見せる思慮の浅さと自信過剰ぶりが弱点なのか!?」というディスが結構大きめに書かれたのはナイスでした。
「弱きを助け
強気を挫く」というしょうもない誤字発見。
●ケンシロウファッションチェック
漫画の主人公の中でも比較的地味な方と思われる
ケンシロウのファッションについて取り扱うという無謀なコーナー。
肩当の変遷は良い着眼点だが、どうせなら全種類載せてほしかった。
●ケンシロウの歩み
ケンシロウ年表。
初っ端から
「修羅の国で生まれる」とあって腰痛が悪化した。
まあ蒼天要素を入れないなら入れないで別にいいけど、一応そこは兼ね合いを考慮して、
場所は指定しないという方法はなかったのだろうか。「生誕」だけでええやん。
あと、ここまで北斗関連の単語に誤字は見られないが、それ以外のところで度々間違いがあるなあ。「再会」がことごとく「再開」になっちょったりとか(4回)
●BATTLE
ケンシロウの戦歴を順に追っていく内容。
>飛び蹴りによって秘孔・命門を突かれたクラブ
あれは飛び「ヒザ」蹴りだし、秘孔突いたのはその後の背中への攻撃では?
>背中の筋肉をバネのように使う跳刃地背拳
そうなん!?初耳だが!?
>「牙隊長」「牙大王」「牙族長」
せめて1ページ内での呼び方くらい統一してぇ〜!!
>木偶狩り隊
ダウト
>ケンシロウはトキと再会を果たすと、レイやマミヤとともに監獄に乗り込む
まさかのお出迎え
>拳王が兄ラオウであることを悟ったケンシロウ。
>それと同時に拳王は立ち上がり、乱世に覇を唱える
多分もっと前からお唱えになられてたと思うけど……
>レンが刺殺されたことで、アインは攻勢に転じ、収容所の兵士を叩きのめす
それ兵士じゃなくて所長なんスよ
>語尾が特徴的な名もなき修羅
アルナイ修羅のことなんだが……
いや、名前くらいあるやろ。領主様やぞ。
●北斗神拳 必殺技・奥義・秘孔 そのすべて
ケンシロウが使った北斗神拳の技・秘孔を全紹介。
折角余さず紹介しているのに「ケンが使った」という部分にこだわって、トキやラオウ様が使った一部の技だけ歯抜けになっているのがなんか勿体無い。
まあ、そういうコンセプトの本なんだろうけどさぁ。
>ダイヤに追われていたミスミ
冤罪。
しかも3回も言われてるし。
こうやって事実が捻じ曲げられていくんやなぁ。
>秘孔 児鳩胸「筋力を奪う不殺の一撃」
いや、遠近感な。
ていうか鋼筋分断脚の所のをコピペしてそのままになってんな。
この文字の勢いには笑った。
●強敵たち
「BATTLE」の項で紹介されなかった、
ケンが強敵と呼ぶ者たちの紹介。
いや順番逆じゃね?なんでザコから先にいったんだ?
内容に別におかしな所はなかったんですが、それよりもまさかこの2018年にもなって
「南斗孤鷲拳」という設定を無視してくるとは思わなかった。
たとえ公式設定でも、作品中に書いてある事以外は一切取り扱いませんというスタンスね。そうですか、わかりました。残念です。
●出合った人々
ケンと協力関係にあった人々の紹介。
なぜこの場面をチョイスしたし。
ミスミ翁には悪いが笑っちゃったがね。
●THE ケンシロウ ANSWER
ケンが悪党に対して放った
煽り文句一覧。
「人間を人間以下とみなす発言」が禁止された昨今のtwitter上においては、どれもこれも一発でアカ凍結されそうな台詞だなぁと思いました。
コマクが
コクマになってた所にすこしほっこりした。
ローソンのポイントでお皿もらえそう。
●ケンシロウ名言集
アカが凍結されないほうの
普通の名言集。普通(普通)
●ケンシロウに向けられた言葉
ケンシロウが受動側の名言集。ポジティブ編とネガティブ編がある。
ネガのほうが殆ど悪者からの悪態ばかりの中、マミヤの「どうして女の心がわからないの!」が入ってるのは好き。
●ケンシロウはなぜ、あそこまで無表情なのか?
怒りや哀しみが強さの根源であるはずなのに、ケンシロウが感情をあまり表に出さないのは何故なのか?という考察。
まず最初にケンシロウが涙を流した場面を羅列し、全部で10回であることを受けて「多いとは言えない」と言ってるんですが、正直
十分多いと思った。
実質これが最後のコーナーであり、本としてもイチオシの部分なのかもしれないので、一応内容は控えますが、個人的には悪くない解釈だと思いました。武論尊先生が「喧嘩になるときは悪者のほうから因縁をふっかけてくるのでケンシロウは喋らせる必要が無くて楽」みたいな事を仰っていましたが、それを上手く利用したって感じがしましたね。
……ていうか
もっとこういうのをやれよ。
【総評】
読む前から
薄味感がするという決めつけをしてしまったわけですが……
実際に読んでみると、
予想を上回る味の薄さで驚きました。
最近出た「ラオウぴあ」「北斗最強無頼」「北斗の拳大解剖」「世紀末ザコ伝説」といった方々も中々の薄味具合でしたが、これはそれより頭二つくらい抜けて薄かったですね。
「北斗の拳 うすしお味」ですね。そう書くとなんか面白そうになるから不思議。
ラオウぴあの場合は、ラオウ様に限定した内容という事で若干のネタ不足に陥り、それが逆に良い方向に働いていた部分がありました。拳王軍武将の謎レーダーチャートとか、名前の無い技にまで言及した解説、あと原作者インタビューや外伝等の紹介もあったのが好印象でした。
比べて今回は「ケンシロウぴあ」ということで、取り扱う範囲が北斗の拳全体にまで拡大され、それに伴ってネタ過多に。結果、
作品全体の上澄みを掬っただけの実にしょうもない内容となってしまいました。まあそんな事は本のタイトルを見た時点でおおよそ察しはついてたんですが、それでも何か裏切ってくれるんじゃないかという期待してたんですけどね。
この本を薦めるとすれば、それはもう
北斗の拳を殆ど読んだことのない層くらいだと思うんですよ。けどこの本、文字量は可也のもので、画像一つ一つに小っこい文字でキャプションまで添えられてて、読み込むのに結構時間がかかるんですよね。実に親切な作りだと思います。
でもね、そんな時間かけて基本情報を得るくらいなら
もう漫画読めよって感じですよね。
「孤鷲拳」ですら取り扱うのを避ける、徹底した漫画オンリーの内容なんだから、それだったらもう漫画でいいじゃんって話なわけですよ。ムック本の醍醐味ってのは漫画読むだけじゃ知りえない情報を得る事にあるんじゃないんですか?
あとまあ
普通に誤字脱字多かったしね。35周年に合わせてなんとか9月中に発売したいという思惑の下でギリギリ間に合わせた感がひしひしと伝わってくる、あらゆる面で出来の悪い本でした。