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ラオウ×ぴあ
2017年11月22日(水)

「ぴあ」さんが、ラオウ様の特集本を出されるとの情報を頂きましたので、早速私の家から徒歩一分の本屋(11月末で閉店)で購入してきました。





「ぴあ」ってーと、チケットとかMAPくらいしか連想できないんですが、こういうムック本も出してはるんですね。

最近出版されたものだけみても、「パンダ×ぴあ」とか「シャア・アズナブル×ぴあ」等、様々なジャンルを取り扱っておられました。




ところで北斗の拳で「ぴあ」と言うと





ここの「びあ!!」を思い浮かべる人が多いですが





こちらの凄惨な死に様ベスト10に入ってもおかしくない最期を迎えたシエ様の手下の「びあ!!」も忘れないであげてください。



そんなことはどうでもいいので、例の如くレビューにいきましょう。
北斗が如くの発売が決まってから出版業界がアツいですね、最近。




【「ラオウ×ぴあ」レビュー】


●拳王イラストコレクション

原先生画のカラーイラスト集。
ただし拳王様が描かれているもの限定。
なるほど、そういうノリね。はいはいはい。


●ラオウ遠征記

ラオウ様の足跡を辿るコーナー。
簡易的なものなので、修羅の国とかは入ってないみたい。

ここで紹介されているルートでは、マミヤの村訪問後や、聖帝没後に、ラオウ様が居城に帰っていることになっている。ラオウ様が居城にお戻りになられるのはトキとの対戦後なので、間違った解釈のように思えるが、本の中ではその居城の中に「聖帝編で滞在していた隠れ家」なども含んでいるので、ミスとは言えない。そういう細かいフォローをしっかり入れてきている辺り、中々侮れんぞこの本。


●ラオウと「北斗の拳」年表

ラオウ様の生涯を、北斗の拳の史実と平行して紹介するコーナー。

これは凄く解りやすい。ラオウ様の教科書としてこれ以上のテキストは無いと言って良いだろう。まさに「10分でわかる拳王様」だ。

解説の方も結構共感できる部分が多く、「ラオウがサザンクロスから撤退したのは五車星がユリア死亡の噂を流したから」とか「ラオウもまた五車星を相手に成長していた」といった解釈も好感が持てる。マミヤの村でラオウ様がケンシロウと引き分けたのは、レイ、トキを含む3連戦だったからという理由を強調しているのもナイスだ。

気になる所としては、年表において、ラオウ様が修羅の国でカイオウに再会した後に、コセム(ボロのリーダー)がラオウの元を訪問したとなっている点。ラオウ様は修羅の国の「噂を聞いて」、真実を確かめに海を渡っている。その「噂」とは、コセムからの報告のことだと考えた方がスッキリしないですか?いや確証はないけれどもね。

あと、「トキがサウザーの謎を知ってるんだから、もうラオウにはケンシロウとサウザーの闘いを見ることに意味は無い」と書いてあるが、感情的なことを抜きにしても、ケンとの再戦のために拳を見ておく事は大事だと思います。

それと細かいこと事なんだけども、ラオウ様がコウリュウと戦ったり、トキとケンシロウの天帰掌バトルを「ウォームアップ」と呼ぶのはちょっと・・・いや間違いではないけど・・・重みが無いというか・・・。



●ラオウ伝説ダイジェスト

ラオウ様の名場面ダイジェスト。
それ以上でも以下でもない。



●世紀末覇者拳王紹介

ラオウ様のプロフィールや関係の深い人物、事柄、その思想など。

こういった所でラオウ様を紹介する場合、その身体能力をピックアップして凄いぞワッショイするのが基本だが、ここでは全くラオウ様の「強さ」には触れていない。それよりも、一軍の将としてあるべき風貌、コスチュームに対しての熱い思いが記されている。斬新な切り口だ・・・。


中でも私が名文だと思ったのはこの部分。

「拳王」に相応しい衣装とは何なのか?正解は、「機能性を超越した荘厳さを発揮する、中世風の甲冑やカブト」である。中でもカブトは、遠目に見て「あ、あの2本の反った角は拳王だ!」と、区別がつくものであることが肝心だ。その一方で、拳王自らが戦うときのために、甲冑は比較的軽装な、革鎧や肩あて程度の軽量なものにしておきたい(ただし、威厳を出すために宝石などでの装飾は忘れずに)。こうした気配りに満ちた荘厳たる拳王コーデを、場面場面で着替え、時には怒りで甲冑を吹き飛ばしてこそ、拳王という存在の偉大さが天下に響くのである。

全く持って同意。機能性だけを追うならば、あのような兜は必要ない。実際、トキと相対した時には自ら兜を脱いでいるのだから、言ってしまえば戦闘には邪魔でしかないのだ。それでもラオウ様があの装飾を施した仰々しい兜を被り続けるのは、「王」であるが故。拳王による絶対的な支配を成すためには、その名を、その恐怖を、そしてその姿を世界中に轟かせねばならない。そのためには、ただ強いだけではなく、見た目によるインパクトも必要となってくるのだ。ラオウ様にとってあの兜は、新血愁による恐怖の流布と同様に、拳王伝説の拡大のために必要不可欠な装備なのである。


その他にも、私がそのうちやろうと思っていた歴代の拳王兜デザインの紹介や、上に有るように、ちゃんと「肩パット」でなく「肩あて」表記をしている点も素晴らしい。



極めつけはココ。



拳王様にレガースを装着させている人物をしっかりと「ザク」だと表記し、しかも拳王近衛師団団長という、正式な所属、立場まで明記するというこだわりぶり。いや素晴らしい。そうよ、拳王様を語るならザク様も語れなきゃ駄目よ。拳王様が唯一身を預けるのが黒王であるように、装備の調節を任せられるのもまた側近であるザク様を置いて他にいないことを皆はもっと知るべきなのですよ。



というわけで個人的にはかなりご満悦のコーナーだったわけですが、唯一、死兆星の元ネタであるアルコルの紹介が間違ってるのが惜しかったですね。伝承の内容が死兆星と一緒になってるんですが、アルコルの正しい言い伝えは「見えなくなったら死ぬ」ので、死兆星とは逆なんですよね。



●拳王の拳 〜剛の拳〜

ラオウ様が使用した奥義の紹介。

好みによるだろうが、剛掌波、天将奔烈、無想陰殺といった「ラオウ様らしい」奥義のほうを先に紹介し、無想転生や二指真空把といった他者が先に使用した奥義を後回しにするという並べ方がとても気に入りました。わかってる。



●ラオウ名言集

タイトルまま。

そりゃ全てが名言とも言えるけれども、40個は流石に多いわ。



●佐藤大輔「ラオウ×ぴあ」スペシャルインタビュー

「北斗が如く」のゼネラルプロデューサーである佐藤大輔氏へのインタブー。

同ゲームにおけるラオウ様の動向に関する先行情報が得られるかと思ったが、大人の事情により、現在公開されているもの以外の情報は殆ど明らかにされませんでした。残念。


拳王様が奥義を使用しているSSが二枚だけ公開されてましたが・・・








なんだよこの「殺伐としたスレに〜」みたいなミスは。
画像にデカデカと文字が書いてあるのに何故間違えるのか。
そして何故気付かないのか。



製作段階の裏話としては、最初にゲームのプロットを原先生に確認していただいた時に「ケンシロウに対するラオウの態度が優しすぎる。ラオウはこんなにケンシロウに気を回さない」と指摘されたというエピソードは萌えましたね。クリア後のエンディングで、ジャッキー映画のNG集みたいな感じで見せて欲しい・・・。



●ラオウへ贈る一言

舞台「北斗の拳 -世紀末ザコ伝説-」に出演された役者さん達に、ラオウ様の印象などを聞いてみましたのコーナー。

実際に舞台を見てないので、皆さんあんまりピンとこないです。すいません。
DVDは買います。大阪公演も行きます。



●多様に分化した拳法 〜北斗と南斗〜

北斗神拳、北斗琉拳、南斗六聖拳のさわり紹介。
ほんとにさわりだけなので特に感想なし。

こないだの大解剖でもそうだったんだけど、何故か頑なに「南斗六聖拳」じゃなくて「南斗六星」という呼称を使いたがるのよね。別に間違いじゃないと思うけど、なんとなくモヤモヤする。



●ラオウグッズ紹介

北斗の拳グッズの中でも、「ラオウ様に関するもの」だけ紹介。
中々徹底してやがる。やるじゃない。

何故かコンドーム(XL)の紹介はありませんでした。
避妊、大事。








●拳王の戦い

ラオウ様の全バトル内容の詳細。
ヒューイやシュレンとのバトルも、ケンシロウ達と同様のスペースを割いて紹介しているところが好印象

ただ、既に年表とかでおおよその内容には触れているため、基本的には繰り返しの内容になってしまっている。最大のライバルはトキだったとして、今度はそのラオウ様とトキ二人の年表とかやりだしてるし。キャラ単体で一冊作るには苦しい時間帯に入ってきた。


●ラオウへかけた強敵たちの言葉

to ラオウ様 台詞集。
まさか矢印の向きを変えてもう一回名言集を出してくるとは・・・。
でもこういうのっていろんな本でやられてるけど、面白かったためしがない。


●拳王と関わった人々

ラオウ様と関わった人物に厳選したキャラ紹介。
内容的にはごく普通のキャラ紹介・・・
あともうすぐで終わりだ!伸ばせ!ひっぱれ!


●世紀末の混沌とした情勢

北斗の拳の世界観紹介。
もうラオウ様全然関係無くなったぞ!


●拳王の配下たち

ラストにきて満を持しての拳王軍団員紹介。

主だった5名にはレーダーチャートもつけられていました。


ジャギ
忠誠心…1 団結力…4 卑劣度…5 知名度…1 モヒカン度…5

モヒカン度ってなんやねん。モヒカンちゃうしなジャギ。
ていうかここでも決して強さには触れないのね。徹底してんなー。


アミバ
忠誠心…1 団結力…1 卑劣度…5 天才度…3 トキ度…3

あー、まあ団結力はそうね。無いよね。
トキ度3しかないのに見破れなかった人もいるんだからそこは忖度してあげて。


ウイグル
忠誠心…4 団結力…4 卑劣度…5 伝説度…3 ドS度…4

ウイグルって卑劣か?戦い自体はほぼ真っ向勝負だったような気がするけど。まあ人質とってライガフウガ従わせたりはしてるから卑劣か。


ユダ
忠誠心…4 団結力…4 卑劣度…3 知略…4 美意識…5

忠誠心4!?

いやいや、それは無いっしょ・・・。下手すりゃ北斗の拳の全登場人物の中で最も「忠誠」という言葉が似合わない男でしょ。アイリの腕力、シュウの視力、無抵抗村長の男気を4にするくらいありえへん採点でしょ。


リュウガ
忠誠心…5 団結力…5 卑劣度…2 兄貴度…5 精鋭感…5

僅か5つしか項目が無いのに「兄貴度」や「精鋭感」とかいう謎のステータスを組み込まなきゃ間が持たない辺りが流石のジミニキ。
「精鋭度」でなく「精鋭感」なのもいいよね。あくまでエリートっぽい"雰囲気"を持ってるだけという遠まわしなディス。



その他のメンバーも少し紹介されていましたが、ザク様はその中では一番最初に紹介されていました。なるほど、この本は相当ザク様を買っているんだな、とも思ったが、良く見たらバルガもガロンも赤鯱もいねーじゃねーか。ガバガバやな。



●生き様が伝説となった男

ラオウ様の総評。

無表情で感情が伝わり難いケンシロウより、意外と喜怒哀楽を顔に出してしまうラオウ様のほうが人間味に溢れている、という意見は成程と思った。



●スピンオフ作品紹介

たいとるまま。




以上ですキャップ。



【総評】

 まず褒めたいのは、読みやすさ。本がデカいので文字も大きいし、スペースも十分にとれるのでスッキリしている。文章が整然と並べられてるから読んでて疲れないんですよね。メインの文章の他に、欲張ってページのあっちゃこっちゃに細かい注釈を配置しちゃう本てのが意外と多くて、こうなるともう内容如何に関わらず見た目でウンザリしちゃうんですよ。もう北斗本読んでるのなんて老眼鏡が必要になってくる世代なんだから、こういう「読みやすさ」という要素も今後重要になってくると思います。多分。

 内容の方は、これまた無難な作りなのでそこまで目を見張るものではありませんでしたが、読んでて気持ちがよかった。ラオウ様に対するアプローチの仕方が素晴らしく、結構自分とシンパシーを感じる内容で、好感が持てましたね。ラオウ様を持ち上げるために他のキャラを卑下するような事も殆どないし、変に穿った見方をせず、純粋に作品の流れから原作者の意図を汲んで解説しているような印象を受けました。私には無理な芸当です。
 終始そういう空気を保っていたというのも良い。今まで真面目に考察してきたのに、「ここからは俺様が解説するぜヒャッハー!」みたいなノリをいきなりぶっこんでくるのが北斗本のお約束みたいなところがありましたが、そういうのも一切無かった。別にネタ度が強いのが嫌いな訳じゃないのだが、そういう雰囲気でキャラをいじりだすと大抵つまんなくなるんですよ。考察なんかより笑わせる方がよっぽどセンス求められますからね。だからこの判断は正解だったと思います。ただ、その所為で後半がマンネリ気味になってしまった点は否めない。ただでさえラオウ様のみにスポットをあてた本で、ネタコーナーにも頼らないとなると、まあそうなるよね。

 てなわけで、書籍としての評価は中々高得点をつけてもいい内容だったとは思います。が・・・本音で言わせてもらうなら、面白いかと言われると別に面白かないですよ。相変わらず原作以外は無視の内容だし、研究者としての観点から見れば資料価値はほぼ無いに等しい。インタビュー記事も、ゲーム制作会社の人だけってのは寂しいかなあ。誰が強いだのとか、謎なランキングとかも無いから、ライト層にもあんまり受けは良く無さそうな気はします。

 例えるなら、無添加無農薬にこだわり、栄養バランスもしっかりと考えられた食育飯を出す大戸屋さんの料理よりも、何が入ってんのかもよくわからない油ギトギトのオンボロ中華料理屋のほうが、私の貧乏舌には合うっちゅうことです。普通の北斗本ならともかく、ラオウ様本なんだから、もう少し火力強めでやってほしかったですね。



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