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蒼天の拳RE 第2話
2017年11月27日(月)

蒼天リジェ2話の感想です。





1939年、オランダ領 インドネシア。
オランダ政府軍による支配が300年以上続くその地では、現地の民が奴隷として労働を強いられ、多数の餓死者が散乱する地獄と化していた。さらには軍の圧政に反旗を翻すインドネシア民族の独立運動が激化し、混沌と化したその地に向け、拳志郎たちがいざ乗り込む―――――







もう着いてた。

しかもブルゾン的なフォーメーションで。


えらく簡単に入国しちゃったな・・・
第一話で、敵陣のド真ん中に乗り込むようなものだという台詞があったんで、上陸時に一悶着あるもんだと思ってたんですけどね。蒼天の拳って結構船上でのバトル多いし。
それに1話で奪った戦艦で来たんでしょ?あんな目立つもんできたのによくすんなり上陸できたな。結構離れたところからボート漕いできたのかしら。


あと、第一話では見逃していたんですが、拳さんの胸に結構深めの傷痕があるんですね・・・。

第一部の最後らへんでもこの傷は確認できないので、天授の儀で負った傷ってわけでもなさそう。これも後々明らかになるのでしょうか。




現地はそうとう暑いらしく、アツイアツイと弱音を吐きまくるヤサカ。そりゃ炎天下で真っ黒のトレンチコート着てりゃ暑いでしょうよ。あと髪切れロンゲ。

そんな一行の前に、ヤサカよりも遥かに"アツい"思いをする人物が現われた。両手に火傷を負ったその老人は、オランダ軍将校・デルクによって、両手を灰皿がわりにされていたのだった。




北斗のミスミといい、蒼天の李さんといい
物語開始直後は小柄な老人が酷い目に遭うのが宿命なのかね・・・


もはや葉巻を愉しむわけではなく、ただ老人の手を焼くためだけに、新しい葉巻に火をつけるデルク。逆らうことも出来ず、歯を食いしばって再び両手を差し出す老人であったが、その手を優しく握り締めたのはエリカであった。

まるで天使・・・というか本当に羽根生えてるんですけど・・・
深爪したこともシルバーリングが黒くなったことも帰ったら話してください。


可愛い灰皿が現われたと、その巨大な手を伸ばしてエリカを捕えようとするデルク。しかし次に灰皿にされたのは、デルク自身のほうであった。スモーカーというアイデンティティを奪うなとばかりに、拳志郎の突き出した葉巻がデルクの頭頂部を焦がす。


そして続けざまに、こめかみの秘孔に・・・秘孔に・・・





に、似てる・・・

やっぱりちょくちょく本家と似てるコマあるなあ
第一部読み込んでる人だけが気付ける特権ですね



「この指を抜いたらお前は死ぬ」
と告げながら即効で指を抜き、すかさずその穴に葉巻を突っ込む拳志郎。
激怒してデルクが葉巻を抜いたその瞬間・・・・





突如異形に変化し始めたデルクの頭部は、言葉にならぬ言葉を発しながら、やがて大きな破裂音と共に鮮血を撒き散らし、インドネシアの土へと還ったのであった。




ここで、北斗神拳に関する新たな事実が判明しました。

「指を抜いたら死ぬ秘孔」の場合
 何か別のものを穴に突っ込んでおけば助かる!!


要するに、秘孔を突かれて指が刺さっている状態は、その一指分の凹みが経絡に流れる信号を妨げる絶縁体のような役目を果たしているんでしょうね。で、指を抜くと同時に通行止めが解除され、流れ出した血と共に頭部破裂の号令が脳に送られてしまうのでしょう。うーむ、これは興味深い。



仲間を殺された事に怒り、拳志郎たちを取り囲むオランダ兵たち。彼らに拳法に対する畏れなど無かった。それは、自分たちが永きに渡ってこの地を支配してきたことによる傲慢の顕れであった。その権勢を示さんと、再びインドネシア人たちに鞭を打ちつけるオランダ兵。人間としての心を失ったその男達に、拳志郎の怒りが頂点に達する。



拳志郎たちに向け、一斉射撃の命令が轟いた、次の瞬間――――





うおおおお――――!!!

互いの背中を護り合う拳さんとヤサカうおおおお―――!!!


相方に自分の背中を預け、半周分の敵を任せる・・・これはつまり互いに相手の事を信頼しているという証ですよね。喧々しながらもやっぱりこの1年で大分仲良しになってたんですねえ。まあこの二人なら咄嗟にどうとでも対処できそうですけど。

おそらく二人の拳士が背中合わせで戦うのなんて、原作では牙一族編でのケンシロウとレイ以来ですよね。ここにきてそんな萌えるコンビプレイを披露してくれるとは・・・。やっぱり辻センセは、作者であると同時に、北斗・蒼天の大ファンなんでしょうね。何を描けばファンが喜ぶのか、よくツボを心得てらっしゃいます。最高です。



この場面、拳志郎とヤサカの派手な円環攻撃に見惚れがちですが、その台風の目の中でじっとしているエリカもまた良い味だしてます。

このなんともいえない表情。
銃に囲まれている状況に対する恐怖か。人が次々と死んでゆく哀しみか。二人が危険な目に合う中でただ護られているだけの無力な自分に対する歯痒さか。様々な想像を掻き立ててくれます。同時に、まだ15歳にも満たない少女の弱さも垣間見える、絶妙な描写ですね。



「お・・・お前ら・・・何者だ・・・」

という敵兵の問いかけに対し

「ただの人間だ!!」

と、これまたどこかで聞いたような台詞を返す拳志郎。
歴史は繰り返す。



その時、拳志郎達の前に一人の少年が飛び出した。彼もまた、奴隷としてオランダ軍に使われる一人・・・。父親がオランダ軍に反旗を翻し、捕えられたことで、軍のいいなりになっていたのであった。拳志郎達の強さを目にした少年は、この人たちなら父親を助けることができるのではないかと考えたのである。だがそのためには、この地を収める「ある男」を倒さねばならなかった。


その頃、先ほどの現場に居合わせた一人の兵士が、本部へと帰還していた。写真の少女を見つけた―――。そう報告を受けた上官は、その体から闘気を立ち昇らせながら、ゆっくりと立ち上がった。




彼の名は、ファン・デル・コール大佐
この辺り一帯を統括する、オランダ軍の第6師団長であった。





というけで今月は、往年の名ゴールキーパー「ファン・デル・サール」に良く似た名前の奴が出てきたところで終了。顔までソックリだったら笑うなあ。辻センセ、サッカー好きなのかな?

「神の治療」っていうのは、"神を治療する"という意味にもとれるけど、まあ普通に考えたら"神である自分が治療する"ってことだろうなあ。そうなると噛ませっぽい気もするね。自分のこと神とか言う人、だいたい弱いし。

ともかく次回からは多少骨のあるバトルが期待できそうです。





今回はストーリー的にはそれほど進展は無かったですが、その代わり、心配な点が3つ程・・・

まず作画。依然高いクオリティは誇っていますが、ところどころ「原先生本人と区別がつかない」というレベルには達してないコマがいくつかあったように思います。具体的に言うと、線が太すぎて重たい感じがしたというか・・・。
まあこれは、スタート地点があまりに高水準すぎたのが原因でしょう。なので少しでも質が落ちるとどうしても気になっちゃうんですよね。桐生くんが早い時分に10:00を出しちゃって、9秒切るまで苦しんだみたいなもんです。

次に凄惨な描写。今回のデルクの死に様なんかは、蒼天レベルでいうなら相当なグロさでした。北斗や蒼天を好んで読んでる層が今更グロさに引くようなことは殆ど無い筈ですし、むしろウェルカムな読者も多いと思いますが、グロ描写自体は原先生が蒼天で意図的に控えめにしていた部分でもあるので、これを復活させたことでどうなるのか、気になる所ではあります。

そして・・・これは杞憂かもしれませんが、今のところオランダ軍が相当なドグサレ集団として描かれているので、彼の国からクレームなり入るのではないかという一抹の不安が・・・。植民地支配自体は史実ではありますが、こうも人間のクズばっかの集団として描かれると色々問題が起きそうで少し心配です。





あと今月号のゼノンには、行徒(姉)先生による「北斗の拳 インターナショナル」も掲載されていました。

原作の中からチョイスしたいくつかの名場面を行徒センセがそのまま描き直し、台詞を河田氏(ジュニア英検3級)が英訳したショボい英語に差し替えたというものです。


うん、確かに奥義名とか無理やり英語にしたのとか面白かったけど
わざわざ原作を描き直してまでやる必要あったのかといわれるとちょっと。
作画の手間に比べると、ネタが弱い気がしました。
ショボ英語自体はアイン外道伝で一回やってるしねえ。



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