いよいよ拳王様とレイの戦いの火蓋が切って落とされました。
どういわけで、まずは舞台を模様変え。
戦闘が始まると、
「間合ボード」なる場所に移動するらしい。
これがそれ。
先程まで使用していたヘックスボードの端の方にある、白いマスのステージだ。
今までのも相当なショボさだったが、
まさかバトルに入って更にショボくさいステージになるとはな。
こんなんもうショボい通り越して乱丁だよ乱丁。
一昔前ならお詫びにテレホンカードもらえるやつだよ。
ちなみにバトルが終ったらまた先程のヘックスボードに戻るので、元いた場所にはマーキングを残しておきます。
バトルの初期位置は左図。
2人の間に1マス空けた状態からスタートとなる。
この1マスを詰めないと攻撃が当たらないので、先攻であるラオウ様はまず前進して相手と隣接せねばならない。
ここで用いるのが、
「間合」「攻撃」「防御」の三種のチットだ。
まずは
攻撃側のターン
攻撃側は、まず最初に手持ちのチットの中から
最大3枚用意する。
チットの組み合わせは自由だ。
まず間合いを詰めないと始まらないので、初手は
間合チット(前進)。
次に
攻撃チットを提示して攻撃を繰り出す。
それを受けて
防御側のターン
防御側は、最初にチットを
最大2枚用意。
相手が攻撃を仕掛けてきたら、これを提示して回避せねばならない。
以下が、主な
回避方法となる。
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基本となるのは「後退」。
相手が1マス詰めた分、自身も1マス下がって間合を保つ。
これで敵の攻撃を無効化できる。 |
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ほぼ同じ効果の「左右」。
文字通り、左右に動いて攻撃を避ける。
ただし後退のように、間合いを開けることは出来ない。 |
「ん?図のようにバトルフィールドは
3列あるんだから、左右に動いたら間合いは開くんじゃないの?」と思われるかもしれない。
しかしこのバトルに左右移動という概念はなく、プレイヤーは前後にしか移動することは出来ないのだ。
じゃあ1列でいいだろ。
なぜ3列作ったんだ。
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続いては、リスクを伴う「受け」。
急所である頭部、胴体へのダメージを防ぐことが出来る。
そのかわり、左右いずれかの腕にダメージを負う。
うーん、リアル志向。 |
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最良の選択は、この「カウンター」。
攻撃を無効化し、かつ自分に攻撃権を得れる。
実はこのバトル、防御側が攻撃に転じるには、このカウンターか、相手が攻撃チットを使い切るかしかないので、ハッキリ言ってこれがないと何も始まらないのだ。 |
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禁断の術となるのが「離脱」。
これを提示した瞬間、バトルは終了。
再び移動ステージへと戻る。
つまり先程時間をかけて行った戦闘準備も全てパーになるわけだ。そしてまたあの超面倒臭い戦闘準備が始まるのである。恐ろしい・・・ |
……と言う風に、防御側は様々な方法の中から一つを選んで相手の攻撃を凌ぐことになる。凌げなかった場合は被弾してダメージを負うということだ。
防御側が「後退」「左右」で攻撃をかわした場合、攻撃側はラスト1枚の攻撃or間合チットで追撃を行うことができる。(ただし後退されていた場合は間合のみ)。
しかし防御側も2枚目の防御or間合チットを用意していれば、再度回避可能。
と、ここまでが攻撃の1ターンとなる。
実際にやってみると、
豊富な防御チットのせいでなかなか最初の一撃が当たらなくてイライラさせられるが、バトルシステム自体はは中々面白い。
攻撃をヒットさせるには「前進」チットが必要となる。
しかし防御を多く強いられる場合、その「前進」は逆にゴミと化してしまう。
またチットの中には白紙のハズレカードもあり、これを後に残すのか、それとも先に処理して後半の巻き返しにかけるか、といった風に、色々と選択肢も多い。
運と戦略性が問われる絶妙なバランスだ。
カイジ並の心理戦も期待できるだろう。
だが
ここで終わっておけば良作なのに終らせないのがツクダなのである。
思いついたことを全部盛り込んでしまう性分なんだね。
拳の応酬を繰り広げた結果、まずは
ラオウ様の攻撃がレイにヒットした。
ここからが地獄の始まりだ。
先に言ったとおり、攻撃で狙える箇所は
頭部、胴体、右腕、左腕、左脚、右脚と、
それぞれに装備している防具の
12箇所も存在する。
その中からどこを狙うのかを事前に宣言していなければならない。
今回ラオウ様が狙ったのは、
レイの頭部であった。
理由は、
相手の頭部か胴体を破壊することがこのゲームの勝利条件だからだ。
多少のメリットはあるが、
腕や脚を破壊することにほぼ意味は無い。
また、胴は頭部よりも防御力、耐久力ともに高いので、
胴を狙う意味も無い。
つまり
12箇所狙えるといっても
実質狙うべきは頭部のみ
なのだ。
一体なにがしたいんだこのゲームは。
ちなみに、通常は頭部を狙っても「受け」によってダメージを腕へと逸らされてしまう事が多いのだが、このシナリオには
「ラオウはマントによりレイの受けによる防御を1回だけ無効にすることが出来る」という特殊ルールがあるため、今回はそれを見事に利用することができた。
こういう要素はとても良いと思います。
というわけで、ラオウ様がレイの頭部をぶん殴りました。
さて、ダメージ値は一体いくらだったのでしょうか。
楽しい楽しい
別紙表祭りの開幕です。
例の如く、読み飛ばしましょう。
まずは
レイの頭部の耐久力を求めよう。
レイの体格はM。
これを
別紙表(1回目)に照らすと、頭部の耐久値は
9。
頭部を集中攻撃すると仮定すると、これがレイのライフポイントとなる。
次はラオウ様の
攻撃の威力。
技一覧表を見て、事前に宣言した技の「威力レベル」を確認。
ラオウ様が選んだのは北斗断骨拳なので、威力レベルは3だ。
これを
別紙表(2回目)に照らし合わせると、威力は
7となる。
技の威力の次はキャラの威力。
ラオウ様のパワーは6で、これを
別紙表(3回目)に当てはめると
+5になる。
先程の技威力の7に、この+5を合わせた
12が、今回の
攻撃の総合威力となる。
次は……えと……
レイの防御力の計算。
レイの「鍛え方」はC。
これを
別紙表(4回目)に当てはめると、頭部の防御力は4。
更に、レイの頭部の防具ランクはN。
これを
別紙表(5回目)に当てはめると、0。
その合計値,4+0=
4が、レイの頭部の
総合防御力です。
次にサイコロ。
当然だけど高い目が出たほうが威力は増します。
出た目は……
3でした。
通常ならここで終わりだが、北斗神拳の拳士の場合は特別待遇がある。
このサイコロの目に、
秘孔ポイントがプラスされるのだ。
北斗断骨拳の秘孔レベルは3。これを
別紙表(6回目)に当てはめると2。
更にラオウ様の秘孔レベルは4。これを
別紙表(7回目)に当てはめると+1。
2+1=3となるので、この枚数の秘孔チットを引き、裏面に書いてある数字の合計値が、サイコロの目にプラスされる。結果は0+1+2=
3でございました。
計算終了!
これにて全部の数値が出揃いました!
あとは
攻撃の度に同じ計算を繰り返すだけ!
きがくるいそう
ま……後の事は後で考えよう。
今は出揃った数値を元に、念願の
ダメージ値を弾き出そうじゃないか。
攻撃威力の
12から、防御力の
4を引いた、
8。
そしてサイの目の
3に秘孔ポイントの
3を足した、
6。
これを、最後の
別紙表(8回目)に照らしてみると……
でました!
今回のダメージ値は9です!!!
……ん? 9?
ちょっとまて、確か……
まずはレイの頭部の耐久力を求めよう。
レイの体格はM。
これを別紙表に照らすと、頭部の耐久値は9。
これが実質レイのライフポイントとなる。 |
レイの頭部の耐久力は9
そして今回のダメージ値が9
……ってことは……
えっ?
レイ死んだ?
おわり?
これで?
ワンパンでおわり?
えっ?
なっ……なっ……
確かに言ったよ。
早くゲームを終わらせたいって言ったよ
言ったけどさ
原作でもこの勝負は一撃で勝負ついたよ
ついたけどさ
こちとらルール把握とゲームの準備に
6時間以上かけてんねんぞ
それをオマエ……一瞬で……なぁおい……おい?
しかも今出したサイの目、
3やぞ
中間より下の数字だろ。なのに一撃かよ。
あの
別紙表8つも用いてまで組み立てられた計算式は何だったんだよ
いや、いや、まてまて 落ち着け
もしかしたらこのゲームはそういうゲームなのかもしれない
あのヘックスボードでの好位置取り狙いや、面倒臭いイニシアチブ判定、なかなか攻撃が当たらないチット合戦なんかも、この
「一撃の重さ」を考慮した上での事なのだとしたら合点がいく。ペチペチ殴りあう泥仕合ではなく、渾身の一撃をいかにして先に叩き込むかという所に重点を置いた画期的なシステムなのではないか。
ということは、もしレイが先に攻撃を当てれていたならば、状況は変わっていた可能性がある。流石に一撃とまでは言わないまでも、2〜3発でラオウ様が沈んでいたならば、十分勝負としては成り立つじゃないか。よし、ここは検証あるのみだ。
えーと、ラオウ様の頭部の耐久力は
10か。
レイの攻撃の総合威力は
9で、ラオウ様の頭部の防御力は
12。
その差は
……マ、マイナス3……?
南斗には秘孔ポイントによる修正は無いので、サイの目は
1〜6のままだね。
その場合のダメージは、えーと……
どう足掻いても
ゼロじゃねーか!!!
あー……そうか……
このシナリオは選んじゃ駄目なヤツだったのかも。
よく見たら、用意されたシナリオは、結構二人のレベルが均衡しているのが多い。
そのシナリオを選んでいれば、もっと熾烈なバトルになっていた可能性がある。
今回私が選んだ
レイvs拳王様や、
ケンシロウvsアミバといった「実力差の大きいシナリオ」は、
製作者が洒落でねじこんだお遊びイベントであり、ハナからバランスなど考慮していないのかもしれない。
それでも流石にワンパンは無いけど。
ちゃんとしたレビューを書くならば、もっとゲームとして成り立つシナリオを選びなおして最初からやるべきだろうが、当然そんな事はしません。
絶対に。
ま、どのみち途中で投げるつもりだったし。そう考えたら、FATAL KOとはいえ、ちゃんとゲームセットまでできた分だけマシかもしれんね。うん、そういう事にしておこう。
はい、というわけで御疲れ様でした。
マジで御疲れ様でした俺。
友人もありがとうございました。
★おまけ
先程、ラオウ様の攻撃値を求める際に
「秘孔の威力」がプラスされたが、このゲームにはそれとはまた
別の秘孔システムが存在する。
北斗神拳の拳士で攻撃を行う際、
事前に特定の秘孔を指定しておくと、そこを狙った攻撃を行えるのだという。
例の秘孔表↓に載っているのがそのリストだ。
そういえばさっきはこれ使わなかったもんな・・・
秘孔の位置は、頭部や胴体などといった場所に分類されているため、当然そこに攻撃をヒットさせないと突くことはできない。また、秘孔によって「突き」で突けるものと「蹴り」で突けるものに分かれているので、そこも合わせていかなければならない。
さらにもう一つ。狙った箇所に攻撃をヒットさせることができても、
「必要秘孔ダメージ量」に達していなければ効果は表れない。先程算出した攻撃の威力から、その箇所の防御力の数値を引いた数値を……うん、もういいわ。とにかく威力の高い秘孔を突くにはそれなりのダメージも必要ってことだ。
ちなみにこの秘孔突きを行っても
相手にダメージは与えられないらしい。
え……?
じゃあ一体どんなメリットがあるってんだよ……?
なになに?
「秘孔による効果は「秘孔表」を参考してください」?
どれどれ……?
は? これ?
いやこれは・・・あれでしょ?
作中でどういう効果だったかの補足説明でしょ?
あ、違うの?これなんだ?
じゃあその……例えば……
頭維を突いたら
3秒後に死ぬんだ?
まあでも、死ぬのはいいわ。
相手を倒したって解釈できるしね。
問題なのはそれ以外よ。
「精神が落ち着く」とか
「苦痛を味わう」とか
「遠近感を失う」とか
どうすればいいのこれ?
定神突かれたら、プレイヤーが落ち着いたフリすればいいの?
頸中下扶突突かれたら、ダガールみたいにゴロゴロのた打ち回ればいいの?
児鳩胸突かれたら、顔に投剣刺さったままでシャカシャカやり続ければいいのか?
もうわかんない。アタシわかんない。
ツクダ怖い。
【総評】
うーん、やはり一番の問題は、プレイヤーに何度も計算を求めてくるこの仕様だと思うんですよね。面倒臭いわ時間かかるわテンポは悪くなるわ、いいこと一つもありゃしません。まあウォーゲーム愛好家の方々に言わせればそれが魅力なんでしょうが、一般人にはちょっと敷居が高すぎます。昭和生まれの私がそうなんですから平成生まれの子たちにはもっとでしょう。
ではどうすれば良いのか。答えは簡単。計算を全てコンピューターが自動で行ってくれればいいのだ。さすれば良作とまでは言わないまでも、普通に遊べるゲームにはなっていただろう。それがつまりファミコンに代表される「コンピューターゲーム」なのである。RPGゲーム等で一瞬で行われるダメージ計算を、もし自分たちでやったらどうなるのか。そしてこの数十年でゲームがいかに進化してきたか。それらを肌で感じることが出来るのがこのゲームなのだ。
まあ結果レビューのほうはツッコミどころが多すぎた為にこんな感じになってしまいましたが、実は褒めたい点も沢山あるんですよね。プレイしていくと「この製作者は本当に北斗の拳を愛してるなぁ」ってのは随所から感じるんです。
例えば、技の中には突きでも蹴りでも繰り出せるものがあるのだが、蹴りを選択した場合、威力が上がる代わりに秘孔ポイントが減少するんです。これはつまり、
手技より脚技のほうが威力は高いけど、蹴りで秘孔を突くのは難しいっていうのを表現しているのですよ。こんな作中で一切触れられていない設定を、普通盛り込みます?ただ作品を読むだけでなく、色々と自分で考え、妄想しないと出てこない発想ですよね。
他にも、ユダの伝衝裂波は、全奥義の中で唯一移動ステージでも使うことが出来るという特別枠で、離れた位置から一方的に相手を攻撃できるという特性をそのままゲームに持ち込まれているんですね。また、各種シナリオでは、リュウケンはサイの目1が出れば心臓発作を起こして死ぬし、ラオウ様が剣を脚に刺したら二人とも後退できなくなるし、サウザー戦で闘気が発生したら雹が降ります。凄いでしょ?ここだけ読むと本当に面白そうでしょ?
これらの設定を生かしたまま、もう少しシンプルなゲームを作れていたら・・・。余りある北斗愛を全部ぶちこみたい衝動は解るけど、少し妥協して、遊びやすいルールに変更できていれば、本当に名作が生まれていたんじゃないか。そんな気がするんですよねえ……
……などと思ってはみたが、それは無理な話であった。
このゲームのデザインをされた方の後書にはこんな一文が。
このゲームををデザインするにあたって考えたことは、「楽しいゲーム」「単純なシステム」「プレイしやすさ」と、今までの私のデザインポリシーとはかなり異なるものでした。 |
これで「単純なシステム」なのかよ!
「プレイしやすさ」を念頭に置いた結果がこれなのかよ!
やっぱツクダ怖い。