ジャギの捜索という建前のもと、レイとデートを重ねること2日間で4回。
結局有力な情報は得られなかったが、奴は「今夜」何かを決行するという。
それつまり、
ジャギがエデンのどこかに必ず姿を現すということ。
決戦の時は近い……。
この絶好の八つ裂きチャンスを逃すまいと意気込むケンシロウとレイは、
そこらへんにいるジャギの手下達をシバいてまわるという強引なローラー作戦で最後の追い込みをかける。
そんな魂の捜査の末、
ジャギ一味の集合場所をつきとめた二人。
ここで待ち伏せていれば、いずれジャギは現れるはず……なのだが、そういった発想の無い脳筋な二人は、真正面から一味と接触。力ずくでジャギの居場所を吐かせようとする。
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しかし一団のハゲリーダーは、
「お前はジャギ様よりは弱いと聞いているけどそれでも結構強いらしいから戦わない」というハゲらしからぬ聡明さで戦いを回避。
だが部下たちは忠告を聞かず、ケンに挑みかかって全滅。それを溜め息混じりにを見届けた男は、ジャギの潜伏場所に関する情報を話し、エデンを去っていった。
彼を心変わりさせたもの……それは
エデンに生きる人々の姿であった。
皆で手を取り合い、この時代を生き抜こうとする人々の姿を見た男は、ジャギなどという卑劣漢の下で働くことが心底馬鹿らしくなってしまったのだった。
これは…もしかしてキサナによる
エデン大改革の効果なのか?
人同士が信頼し合い、絆を持ち、力を合わせて生きて行く。
それを見て人々は暴力の不毛さを知り、それが街の平和へと繋がっていく。
これが、キサナの本当の狙いなのかもしれない。
そしてジャギは、そんな「信頼」や「絆」という存在から最も遠い男。
今回の戦いは、ケンシロウやレイだけではなく、
ジャギという大いなる「悪意」とキサナが唱える「絆」の戦いが、裏テーマになっているというわけだ。
しらんけど。
そして、間も無くその答えは出る。
得た情報を元に、更に捜査を続ける二人は、
遂にジャギの居場所を特定。
妹アイリを浚った酬いを受けさせるため。
北斗神拳伝承者としての使命を果たすため。
絶対に怒らせてはならない二人の男をここまで虚仮にした罪……
今こそお前の命をもって償ってもらう!
ジャギ!
貴様には地獄すら生ぬるい!
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!?
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!?!?
え?
いやいやいや…………
え?
ジャギが……4人!?
どういうことだこれは……
一体何が起こっているんだ……
はっ!! もしやこれは…
助っ人か!?
戦力の補強と撹乱を目的に、
自分とよく似たマスクマンを3人集めたのか!?
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北斗無明拳のジャド |
二代目 麻宮サキ |
サイレントドラゴン3面ボス |
はっ!! 違う、そうではなく……
これはジャギが描く理想の兄弟像
真・北斗四兄弟なのでは!?
鬼のように強いアニキ達と気に食わねえ弟……そんな最低最悪の環境の中で青春を過ごしたジャギが、己が理想とする兄弟像とは何かを模索した結果、辿りついたのがこの
四兄弟がみんな自分という究極の自己愛であり、それを具現化したのがこの状況なのでは!?
はっ!! まさか……
実はこれはただの
合わせなのでは!?
彼らは
「北斗の拳合わせ」で集まったレイヤーさん達であり、誰が何のコスを選ぶかを当日のサプライズにしてしまった結果、
4人がジャギかぶりするという悲惨な状況になり、呆然と立ち尽くしているだけなのでは!?
……といったような様々な可能性を挙げ連ねてはみたが、冷静にこれまでに得た情報を総合して考えたなら答えは明白。
そう、
「ジャギが三人の男を誘拐した」というあの情報だ。
つまりこの場にいるジャギの内、
三人が浚われた村人。
そして残る一人が本物のジャギ。
つまりこれはジャギプレゼンツによる
「本物は誰でしょうクイズ」
ということだ。
昔、いいとものオープニングでよくやってたやつだ。
本来ならこんな余興に付き合う必要は無いので、
マスクをスポッと脱がせば終わりなのだが、そこは空気を読める主人公。ちゃんとゲームの趣旨に沿った、無駄に面倒くさい解決法を提案してきた。
「これから4人に同じ質問をする」
うん
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「それに○か×か、動きで答えてもらう」
うん?
「……なぜそのようなことを?」
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「エデンの民は正直者だ。
そしてジャギは必ず嘘をつく。」
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「たった一人の嘘つきを見つけられれば
それがジャギだ!!」
どうした!?
いきなりどうしたケン!
しっかりしてくれ救世主!!
いや、言ってる事はわかるよ。
論理クイズってやつだろ?
嘘つきの門番がどうとか、天使と悪魔がどうとかいうやつな。
質問次第で正解が導き出せるアレだろ?知ってるよ。
だからってそれが現実で通用する訳ないだろ?
あれは問題の中に登場するキャラクターが「嘘しか言わない」って設定を遵守してくれるから成り立つわけじゃないですか。でもジャギはそうじゃないでしょ?裏をかいて正直に答られたらどうすんの?そんなことが解らないおまえじゃないだろ?何を言ってるんだ?
ケンが馬鹿になってしまった以上……
もう頼れるのはレイしかいない!
頼む!レイ!ケンにビシッとツッコんでやってくれ!!
「なるほどな」
おい!馬鹿しかいねーぞ!
どうなってんだ!
しかしその心配は杞憂に終わり、ジャギは
全ての質問に全力で嘘を回答。
敵も味方も全員が馬鹿という奇跡的な状況に助けられ、ケンシロウの作戦は大成功に終わったのであった。
ちなみに、その中でケンシロウが放った意味不明な質問が功を奏し(?)、ジャギに関するプチ情報を得ることが出来た。
どうやら彼は
「水泳が嫌い」で
「犬が好き」らしい。
確かに彼はジャギ外伝において
野良犬をバイクから庇うという愛犬精神を見せてはいるが、一方でOVAユリア伝では
ユリアの愛犬・トビーを蹴飛ばそうとするなど、情報に齟齬が見られる。今後更なる検証が必要であろう。
そんなこんなで、質問タイムは終了。
別に向こうからの指示がないのに、
あえてこちら側から質問数を限定するという謎の縛りでゲーム性を高めたケンシロウ達であったが、その限られた情報の中から、ケンの卓越した頭脳は
既に本物のジャギを特定していた。
「本物のジャギが分かったんだな?」
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「ああ」
「本当か?」
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「……見ていろ」
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ドカッ!!
「…………」
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「…………」
「……ケン」
「違ったようだな」
【Take2】
「……貴様が本物のジャギだ」
そう言って、一人を殴り飛ばすケンシロウ。
吹っ飛ばされた男が、ゆっくりと立ち上がり、マントを脱ぐ。
そこに刻まれていたのは、ケンシロウと同じ「七つの傷」。
その禍々しき痕が、彼が
本物のジャギであることを物語っていた。
ジャギの目的、それはやはり
ケンシロウへの復讐であった。
頭の傷が疼く度、ケンシロウへの憎悪を募らせていったジャギは、いまやその憎しみに突き動かされるだけの復讐者と化していたのだった。
しかし、今ジャギの目の前にいるのは
ケンシロウとレイの2人。
ケンシロウへの復讐だけが目的なら、レイの存在は邪魔なだけ。
なぜ彼は、あえて人数的に不利なこの状況を選んだのか―――――?
「バカめ!
キサマらはオレ様の罠にはまった事に
まだ気付かんのか!?」
勝つためならばどんな手段も厭わない男、ジャギ。
そんな彼が、何の打算もなく意味不明なクイズ大会を催す筈が無かった。
「フフッ。つまりはこういう事さぁ〜♪」
お、お前は……!
…………
…………だ、誰だっけ……
あ、そうだ!
タルーガ!! 凶王軍のNo2!
そしてその横には捕らわれの
アイリが!!
第3章以来の、久々の登場となったタルーガ。
エデンを手中に収めるため、ケンシロウという存在が邪魔であった彼は、利害の一致から、
密かにジャギと手を組んでいたのだった。
そんな二人による共同作戦、それがこの
「アイリ人質作戦」
意味不明なジャギの行動、そして理解不能な四択クイズも、
全てはケンとレイを誘き出し、その間にタルーガにアイリを浚わせるための時間稼ぎだったのである。
「テメェの妹が二度も同じ男の手に落ちるとは夢にも思ってなかったようだなぁ!?」
ジャギからのぐうの音も出ない煽りを浴びせられるレイ。
しかしアイリを人質にとられた今、もはやレイは怒りにその身を震わせることしかできない巨大なバイブと化していた。
そんなレイに向けてジャギが放ったのは……
秘孔 新胆中!!
な、なに―――――!!
傷を負わすでもなく、命を奪うでもなく、
あえて
動きを封じる秘孔だと――――!?
こ、これは逆に
殺されるよりも屈辱!!
しかもその相手が
ジャギという恥辱!!
ていうかこのゲーム、
レイの扱いがひどすぎないか?
勘違いでケンシロウを憎んで……
そのケンに完全敗北を喫して……
サウザーにもコテンパンにのされて……
先ほどはケンのアホな提案にツッコミもせず……
そして今、ジャギの秘孔でビリビリしている……
下げ止まらないレイの株!
は、早く彼に見せ場を!!
今ならまだ株価が反騰する可能性も!!
しかし、もはや株は完全に売り先行。
見せ場どころか
プリケツ晒してお持ち帰りされるという醜態を晒したことで、いよいよレイ株はブラックマンデーへと突入していくのだった。