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[第103話]
悪魔の挑戦状!
フドウ、愛する者のために鬼となれ!!


 ケンシロウとの戦いで感じた恐怖。それが気の迷いに過ぎないことを確かめるためにラオウが訪れたのは、フドウの所であった。かつてラオウにただ一度恐怖を与えた鬼の血を持つ男、フドウ。その血を飲み込むことで、恐怖を拭い去ることが、ラオウの目的であった。鬼神となって我と戦え!そのラオウの申し出を断れば、拳王軍団達による子供達の殺戮が待っている。もはやフドウに選択権はなかった。覚悟を決めたフドウは、ラオウについてくるよう命じ、ある所へと向けて歩き出した。そこは、鬼としての自分の過去を封印した場所。そして、そのフドウを鬼の血から解き放ったユリアに対しての忠誠を誓った場所でもあった。

 数年前、かつて鬼と呼ばれていた頃のフドウは、北斗神拳の道場を訪れていた。従者達に勝てば金と食料を与える。リュウケンとそう約束を交わしたフドウは、分厚い筋肉の壁に全ての攻撃を跳ね返し、指一本で従者たちを撃退。逃げ出そうとした輩を一振りで粉砕し、許しを請うて土下座してきた者達をも無慈悲に踏み潰すその姿は、まさしく鬼であった。約束通りに金と食料の入った宝箱を持ち去ろうとするフドウであったが、そんな鬼の背中に怒りの視線を送る青年がいた。それは、若かりし頃のラオウであった。その殺気を感じ取り、ラオウを挑発するフドウであったが、ラオウの足は動かなかった。鬼の闘気に恐怖したその体は、完全に硬直してしまっていた。ラオウを鼻で笑い、さっさと道場を後にしようとするフドウ。事の顛末を見つめていたリュウケンは、フドウに問いかけた。ものの命をなんと心得ると。フドウは答えた。命などウジ虫の如く沸いて出るものだと。

 フドウの暴虐は続いた。南斗の者達が住む村に現れたフドウは、宝を求めて暴走。その巨体で従者たちをなぎ倒し、宝のありそうな建物へ侵入を図る。だが扉に戸を伸ばそうとしたその時、一人の少女が行く手を遮った。それは、幼き頃のユリアであった。フドウの脅しにも負けず、強い意志を持った目で扉の前から動こうとしないユリア。中には相当なものがあるに違いない。そう確信したフドウは、ユリアを押しのけて扉を開け放った。しかし、そこでフドウが見たものは、生まれたての子供に乳を与える母犬の姿であった。ユリアが命がけで守ろうとしていたもの、それは出産を目前に控えた一匹の犬と、生まれてくる新しい命だったのだ。フドウにはその行動が理解できなかった。しかし、ユリアに生まれたての子犬をそっと手渡された瞬間、フドウはただそのか弱さにたじろぐ事しかできなかった。これが命よ。そう言って無垢に微笑むユリアの言葉が、フドウの心に響いた。それは、命はウジ虫がごとく湧き出るものといったフドウの価値観が崩れ去った瞬間であった。その光景を見ていたリハクは、フドウの中の鬼が消えていく様を感じていた。


 自らに命の暖かさを教えてくれたユリア。フドウは、そんな幼きユリアに知るはずもない母の姿を重ね合わせていた。そして南斗五車星としてユリアに仕えることを誓たフドウは、その日より鬼として纏っていた武具を封印した。フドウがラオウを連れてやってきた小さな納屋は、その武具が封印された場所だったのである。そして今、フドウは長く眠らせていたその封印を解く事を決めた。全ては自らの愛する汚れなき命のために・・・

 リンとバット、そして子供達が現場へと駆けつけたとき、すでにそこには蘇った鬼の姿があった。そして、その鬼の戦いを見届けんと、リハクもまた姿を現した。リハクは、ラオウが恐怖を拭い去ろうとした時に向かう先はフドウの所しかない事を読んでいたのである。かつての鬼の闘気の復活に心躍らせるラオウは、その拳が錆付いていないかを確認するため、一人の手下を差し向けることにした。巨大な斧を手に、フドウへと切りかかる刺客。だがフドウが軽くその手を跳ね上げると、男の腕は簡単に粉砕されてしまった。更に男の首を捉え、巨大なその腕で締め上げていくフドウ。先程までとはまるで違うその鬼の姿を子供達に見せまいとするリンとバットであったが、既に走り始めた鬼の血はもう止まらなかった。男の顔を凄まじい肉厚で締め潰したその瞬間、フドウはかつて鬼神と呼ばれたその姿を完全に取り戻したのであった。

 ラオウが腕を振ると、地に亀裂が走り、一本の線が引かれた。それは、自らが恐怖に打ち勝つための死の境界線であった。線を越えた瞬間、ラオウはその背に向かって巨大なボウガンの矢を全矢打ち放つよう部下達につげた。恐怖に負けること、それは弟ケンシロウに勝てぬ愚兄の証。生き恥を晒してまで生きるくらいなら、死を選ぶ。それがラオウの、拳王としての生き方であった。

 ケンシロウの襲来に備えて城内を巡回するラオウの城の兵士達。眼が見えぬ相手に束になれば必ず勝てるといささか気楽に構えていた彼らだったが、すでにその当人は城の中へと侵入していた。予告どおり束になってかかって行った兵士達は、瞬く間に全滅。一人残された兵士から、ケンはラオウの行き先を聞き出そうとする。男は自称口の堅い男であったが、体がなん回転もするほど強烈に頬を打たれるとあっさりと情報を漏らした。拳王はフドウの村へ。そしてユリアは別の城へ・・・。先手を打たれたケンシロウは、急いでフドウの村へと向けて走り出すが・・・

 ラオウとフドウ。二人の戦力差は最初から明らかであった。パンチを放てばカウンターを取られ、体当たりを放っては逆に吹っ飛ばされ、戦況はラオウの圧倒的ペースで進んでいく。その間、ラオウは微塵の恐怖も感じてはいなかった。目の前に転がる鬼の姿が、あのときの恐怖が気の迷いであったと事をラオウに確信させていた。再度突っ込んできたフドウの胸に双拳を突き入れ、決着を図るラオウ。目的を果たした今、もはやフドウに用は無い。ラオウはそう考えていた。しかし次の瞬間、その考えは尚早であったことを思い知らされることとなった。引き抜こうとしたその腕は、フドウの筋肉に飲み込まれて抜けなくなっていた。絶命したかに思えたフドウの体は、倒れるどころか更なる強い力を得て蘇ってきたのである。そのままラオウの体を捕らえ、両腕で締め上げるフドウ。底なしで溢れてくるその力・・・、フドウの顔を見たラオウは、その源を直ぐに理解した。フドウの瞳に映っていたのは哀しみ。あの時、南斗の城でラオウを恐怖させたケンシロウの瞳と同じ、哀しみを宿した瞳であった。だがそれは、ラオウにとっても望むところであった。今こそ恐怖を飲み込むとき。哀しみを力で吹き飛ばさんとするラオウの渾身の手刀が、フドウへと振り下ろされる・・・

 何か不吉な事が起きようとしている。突如カンシロウの肩当に走ったヒビが、それを暗示していた。依然開かぬ瞼の先にフドウの危機を感じ、ケンはフドウの村へと急ぐ・・・
放映日:87年1月22日


[漫画版との違い]
・北斗の修練場へ来た際、フドウの、ラオウのとリュウケンとのやりとりの順序が逆。
・原作ではリュウケンはラオウの横だが、アニメでは二階の壇上からフドウと話す。
・ユリアを脅したフドウの手が原作では逆手だがアニメでは正拳。
・フドウが子供ユリアと対面する前に、市場を襲うシーンが追加。
・鬼が負けた瞬間を目撃したのがリュウケンからリハク(?)に変更
・アニメではリハクがフドウの村に駆けつける
・原作では既にフドウが血まみれのシーンが、アニメでは始まったばっかりでまだ流血なし。
・ケンがラオウの城に現れ、雑魚なぎ倒すシーン追加
・フドウの危機察知してケンの肩当が割れるシーン追加。
・フドウの締めでラオウが吐血するシーン追加



・ワースト
今回は最終章だけでいえば、個人的に作画、動画に関して言えば個人的にワーストかも。
まず一番ひどいのが幼女ユリア。とても慈母になられるお方とは思えない
冷酷な目をしておられます。笑顔もキモイ。
拳王様はなんか
ゴリラみたいだし、少年時もなんか不自然にモミ上げが発達。なぜかあちこちの脇役キャラが絵柄変わってるのも理由がわからない(北斗の拳士とか幼ユリアに逃げるよう言った人とか)。アクションも皆無。うおおおっていう顔の後に、既に拳が相手に当たってる静止画、という流ればっかり。動きがまるでない。
なぜかケンのクルクルびんただけは動きつきだったが、でもあんた、
殴られたほうと回転してるほうが逆向きですから!
・ファッションリーダー
上記の影響で、フドウの子供達もなんか好き勝手に作られてます。タンジ、ジロ、カンもいない(今回以外ではいる)
それよりなによりこいつ



どういうファッションセンスだよ。
でも右の娘はかわいいな。
・ちがうそうじゃない
ラオウの動き読んで村来たのはいいけど、それよか先にユリア助けに行けよ。
拳王様が城にいない今こそ奪還のチャンスやろが。


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