
俺のために生き続けてくれというケンとの約束を守るため、哀しみを越えて生き続ける決意を固めるユリア。希望を捨てないユリアを見て安心したサキは部屋を後にする。しかしこれがユリアとサキの別れとなった。サキの存在がユリアのためにならないと判断したシンは、サキをユリアの世話係から解雇することを決めたのである。行く先を伝えられぬまま車に乗せられたサキは、そのままサザンクロスを追放されたのであった。
新設された宮殿でユリアがシンに見せられたものは、巨大な己の銅像であった。いずれ宝石や黄金でこの像を飾り立てよう。ユリアを喜ばさんと言ったシンのその言葉も、ユリアの哀しみを増させるだけであった。自分のために多くの人々の血が流れる・・・その現実に、ユリアの悲しみももはや限界を迎えようとしていた。とその時、シンは、その広間全体を覆う殺気に気が付いた。己に向かって放たれた無数の矢をはじき返し、姿を見せるよう叫ぶシン。その呼びかけに答えるように現れたのは、バルコムを含む、シンが築き上げた自らの大軍団であった。すでにバルコムの反KING精神は、軍全体にまで広がっていたのである。バルコムの合図と共に、数刻前まで首領であったシンに向かい、容赦なく襲いかかるKING軍団。だがシンも、上空から迫り来る己が部下達を南斗飛燕斬にてためらうことなく切り裂いていく。雑魚が束になってもシンを倒せないことを悟ったバルコムは、爆薬を使うように指示。部下達をも巻き込んだ激しい爆薬攻撃は、シンの姿を覆い隠し、バルコムに勝利を確信させた。
部下に頼らず自分で闘ったどうだ。そのシンのタイマンの申し込みに、マントを脱ぎ捨てて応えるバルコム。不意打ちのボウガンでの先制攻撃は通じなかったものの、その鋼鉄以上と例える肉体は凄まじかった。最強と謳われる南斗聖拳の攻撃を、正面から跳ね返し続けたのだ。しかし、その己の体に陶酔しかけたとき、その鼻からはみっともない鼻血が流れていた。どこが鋼鉄なんだ。そのシンの嘲笑う声に怒れるバルコムは、遂に最後の切り札の使用を決めた。泰山寺拳法妖鬼幻幽拳。腕を高速で上下に動かして相手を切り裂く幻幽拳の前に、流石のシンも大きな傷を受けてしまう。だがシンの顔には余裕があった。シンは1度見ただけでバルコムの拳を見切ってしまっていたのだ。バルコムの高速の拳をピタリと受け止めたシンは、その体に南斗飛竜拳を叩き込む。再び全く効かない素振りを見せるバルコムであったが、もはや既に勝負は決していた。シンの拳は、鋼鉄のバルコムの肉体にヒビを走らせていた。止めに突き入れられた拳によって、バルコムの肉体は完全消滅。その様を目撃した反乱軍は、もは完全に戦意を失い、一目散に広間から逃げ出しはじめた。KING軍完全崩壊の瞬間であった。
お前には俺がいる。ケン、そしてサキをも失ってしまったユリアに、そう慰めの言葉をかけるシン。孤独と哀しみの中でかけられたそのシンの優しい言葉は、閉ざされていたユリアの心を溶かした。唇を重ねる2人。しかし、直ぐにその唇は鋭い痛みと共に離された。戦いしか知らず、自分の心を理解してくれないシンをどうしても愛すことが出来なかったユリアは、シンの舌を噛み、その愛を拒んだのであった。| [漫画版との違い] ・アニメオリジナルストーリー |
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