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[第8話]
経絡秘孔を突け!
悪党どもに鎮魂歌はない
狂信集団・ゴッドアーミー。数々の悪事を働くその愚かな組織を壊滅させるため、ケンは首領カーネルの待つ搭へと入っていった。
最初にケンを待っていたのは、巨大な石像が立ち並ぶ不気味な部屋であった。自らの足音だけが響くその道を突き進むケン。とその時、突如ケンは、側にあった石像に向けて蹴りを放った。崩れ去ったその石像の中にいたのは、ケンの蹴りで絶命したゴッドアーミーの姿であった。石像の中から襲い掛かろうとしていたその男は、ケンに殺気を感づかれてしまったのだ。そしてそれに皮切られたかのように、その側にあった二体のまたケンへと向けて襲撃。だが、彼等に待ち受けていたのもまた、前者と同じ哀れな末路であった。
ケンは必ずゴッドアーミーを全滅させて帰ってくる。そう力説するバットであったが、ジョニーもまた、カーネルという男の恐ろしさを知っていた。その昔、ジョニーは、プロレスラーくずれの男達を10人ほど雇い、カーネルを襲ったことがあった。しかしその猛者達は、カーネルのブーメラン攻撃によって一瞬にやられてしまったのだという。あらゆる殺人技を体得し、超能力まで使うカーネルには、さすがのケンでも勝てない。そう確信していたジョニーは、既にあるものを用意していた。それは、仲間に頼んで作ってもらった、ケンのための棺桶であった。だが、そのジョニーの無神経な行動に、リンとバットは激怒。椅子でその棺桶を破壊し始めたリンの姿に、呆れ顔を浮かべるジョニーだったが・・・
次なる部屋でケンを待っていたのは二匹の獰猛な巨大虎であった。しかし襲い掛かってきた彼らをいとも簡単に眠らせ、ケンは順調に先へ。が、次の扉を開けた瞬間、何かがケンの胸に突き刺さった。それは、待ち伏せていた最高警備隊の放ったニードルナイフと呼ばれる武器であった。たちまち床が鮮血に染まってゆく様に、薄ら笑いを浮かべる最高警備隊。その筒状のナイフは、突き刺さった場所から地を噴射させ、出血多量に追いやる効果を持っていたのだ。しかし、ケンの超人的な肉体には通用しなかった。筋肉の緊張だけでニードルナイフを抜き飛ばしたケンは、襲いかかってきた兵士達をあっという間に殲滅。隊長バッカムをも交手破頭拳にて撃破し、ケンはいよいよカーネルの待つ所へ・・・
長い螺旋階段を上り、遂にケンはカーネルの部屋へとたどり着いた。暗く静まり返った部屋の中でケンが見た物、それはシンの肖像画であった。ゴッドアーミーたちが神とあがめる男とは、シンの事だったのである。闇の中から姿を現したカーネルは、その神からの勅命を遂行せんがため、ケンシロウとの戦いに挑む。
その頃、自らの不安を抑え切れなくなったリンは、遂に決起した。バットのバギーを拝借し、ゴッドランドへと向かってしまったのだ。どうしていいか解らず、焦ることしかできないバット。だがジョニーは、そんなバットに対し、何か諦めた表情で店の裏へと来るよう伝えた。そこにあったのは、軽トラに積まれた大量の手榴弾であった。それはジョニーが、自らがゴッドアーミーと闘うことを決断したことの証だった。腹を決めた二人の男は、リンを助けるため、一路ゴッドランドへ・・・
跳躍でかわしたはずのカーネルのブーメランは、着地したケンの足を的確に切り裂いた。超能力者であるカーネルは、ケンの動きを読み、あらかじめその軌道上にブーメランを投げていたのだ。しかし、北斗神拳には二度同じ手は通じなかった。空気の流れを読んだケンは、身をかすめる寸前でブーメンをかわし、跳躍。北斗神拳奥義、空極流舞によって、ブーメランは粉々に打ち砕かれたのだった。しかしその武器も、カーネルにとってはほんの小手調べに過ぎなかった。世界最強の殺人拳、南斗無音拳。その拳こそが、カーネルの真の力であった。ケンの攻撃を超能力で全てかわし、鋭い爪での反撃に転じるカーネル。自らの攻撃が通じない相手に対し、ケンは・・・
リンは、カーネルの塔の前で、見張り達に捕らわれようとしていた。だが、その危機を救ったのは、バットの放った手榴弾であった。兵士を全滅させ、リンに戻ってくるよう呼びかけるバット。しかし、一度決断したリンはもう止まらなかった。棍棒を手に搭の中へと入っていったリンを追い、バットとジョニーも中へ・・・
ケンがとった戦法、それは動かないことであった。カーネルが目と筋肉の動きで相手の攻撃を読んでいることを察したケンは、自らの動きを一切封じ、読ませないようにしたのだ。だが、ただの置物と化したそのケンに、カーネルが臆するはずは無かった。自らの気配を消し去り、ケンを深い闇の中へと叩き込むカーネル。しかし、攻撃に転じたカーネルの拳は、ケンの心の目に捕らえられていた。カーネルの腕を捕らえ、そのままその体に北斗百裂拳を炸裂させるケン。二人の勝敗を分けたもの、それは、ただ拳を真似ただけの男と、生まれながらにして戦いの巧者であった男との差であった。
ケンの勝利で幕を閉じたかと思われた戦いであったが、その時、予期せぬ事態が起こった。リンがカーネルの部屋へと駆けつけたのである。私も戦う!手に武器を抱え、ケンの力になろうとするリン。だがそれは、カーネルに勝機をもたらしたに過ぎなかった。カーネルは供えてあった槍を、リンへと向けて投擲。槍は真っ直ぐにリンへと飛来するが、間一髪、その矛先はケンの手に止められていた。しかし次の瞬間、ケンの左腕を激しい痛みが襲った。そこには、カーネルが投げた二本目の槍が突き刺さっていた。カーネルは、リンを助けさせることによって、ケンの隙を生み出したのだ。その傷では闘えまい!戦況をひっくり返したと思い込み、高笑いを上げるカーネル。しかし、この時既に勝負は決していた。突如訪れた目の痛みに、カーネルは身を悶えさせた。ケンは既に秘孔 瞳明を突き、カーネルの視力を奪っていたのだ。暗闇に怯えるカーネルに対し、ケンは渾身の北斗壊骨拳を炸裂。その凄まじき力を覇権へと利用しないケンを理解できぬまま、カーネルはその身を飛び散らせたのであった。
ジョーカーよりゴッドランド壊滅の報を入れられたシンであったが、その顔には余裕の笑みが漂っていた。シンには、いくらケンが成長しようとも、必ず地獄へと叩き落せる自信があった・・・
放映日:84年11月29日
[漫画版との違い]
・カーネル戦以外はほぼアニメオリジナル
・原作ではカーネルは、腐った豚への復讐や狂った思想等で動いているが、アニメでは神(シン)への忠誠心で。
・カーネルが腐ったブタ共に酒をかけられたりして馬鹿にされるシーンは無し。
・ヒロイン
この回のリンはなかなかのウザさ。原作にもある
カーネル戦の時に登場する絶妙のタイミング
も非道いが、それ以前のアニメオリジナルの行動も相当なもの。バギーをパクるし、自分の想像の中でケンを殺しておいて、おまけにその想像の中のケンシロウに叫ばせた断末魔が
「リ、リン〜!!!」
・・・呼ばねえよ、死ぬ前にてめえの名前なんかよ。
・ジョニーの謎
ジョニーがカーネルを襲ったという行動に注目したい。ジョニーは何故か必要以上にゴッドアーミーを評価している。何かある度に止めておけだの殺されるだのと、出来るだけゴッドランドと関わらないようにしている。なのに何故カーネルに喧嘩を売ったのだろうか・・・?もしかしたらジョニーも、女房か誰かをゴッドランドに奪われたのかも知れない。それで女房を救うためにカーネルを襲ったが失敗してしまい、その時のあまりのカーネルの強さに戦意喪失。そしてゴッドランドへの復讐諦めた・・・なんてエピソードがあるんじゃないかしら。それくらいのことがなけりゃ、赤の他人のリンを助けるためだけにゴッドランドに特攻しないよねえ。
・天帝の血がもつ運
バットとジョニーがリンを助けるシーン。あの時リンはレッドベレー4人に囲まれていたのだが、バットの投げた手榴弾は見事レッドベレー達だけを消滅させた。ぶっちゃけた話、手榴弾で人は消滅しない。いや、したとしても
レッドベレーと1mも離れていなかったリンが無傷で何故レッドベレーは消滅する?
。むしろ手榴弾はリンのほうに近かったような気がするぞ…?もうこれは運だけでは済まされない気もするけど・・・
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