世紀末覇者レビュー(3) |
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2015年7月31日(金) |
世紀末覇者レビュー、ラストです。
いよいよ拳王様とレイの戦いの火蓋が切って落とされます。
戦闘が始まると、まずバトル専用ステージである
「間合ボード」へと舞台が移される。
これがそれ。
先程まで使用していたヘックスボードの端の方にある、白いマスのステージだ。
今までのも相当なショボさだったが、まさかバトルに入って更にショボくさいステージになるとは夢にも思わなんだ。こんなんもうショボい通り越して乱丁だよ乱丁。一昔前ならお詫びにテレホンカードもらえるやつだよ。
ちなみにバトルが終ったらまた先程のヘックスボードに戻るので、元いた場所にはマーキングを残しておきます。
バトルは左図のように、2人の間に1マス空けた位置からスタートとなる。この1マスを詰めないと攻撃が当たらないので、先攻であるラオウ様はまず前進して相手に隣接せねばならない。
攻撃側は、手持ちの中から
間合チットを2枚、攻撃チットを1枚を用意する。そしてそれを、、間合→攻撃→間合の順番で出すのがセオリーとなる。
まず1枚目の間合。間合チットの中にも色々と種類があるが、ここは距離を詰めねば始まらないので、裏面に「前進」と書かれた間合チットを提示し、懐へと踏み込む。そして次に、攻撃チットを提示して攻撃へと移ったところで一旦ターン終了。
それを受けて防御側のターン。こちらは最初に
間合、防御のいずれかを1〜2枚選んでおき、相手の攻撃が来たらそのどちらかのチットを提示することになる。
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基本となるのは「後退」。先程ラオウ様が1マス詰めた分、レイも1マス下がってディスタンスを保つという方法だ。これで敵の攻撃を無効化できる。 |
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もう一つ攻撃を無効化できるのが「左右」。文字通り左右に動いて攻撃を避けることができる。ただ、このバトルでの移動は、前進か後退しかないので、左右に移動するというよりは身体を横に振って躱すというイメージなのだろう。左右に動けないのに何故白マスを3列作ったのかは謎だ。 |
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リスクがあるのが防御チットの「受け」。ガードですね。これは、急所である頭部、胴体へのダメージを防ぐことが出来るかわりに、左右いずれかの腕にダメージを負う。 |
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防御側にとって一番いいのは「カウンター」。相手の攻撃を完全に無効化し、かつ自分に攻撃権をもってくることができる。というかこのバトルにおいて防御側が攻撃に転じるには、このカウンターか、攻撃に必要なチットを相手が全て使い切るかのいずれかしかないため、非常に重要なチットなのだ。 |
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そして、防御どころかバトルそのものを終了させる「離脱」。これを提示すれば、敵の攻撃を無かった事にして、再び先程の移動ステージへと戻ることが出来る。つまり先程時間をかけて行った戦闘準備も全ておじゃんになるわけだ。果たしてそんな勇気ある選択を出来る者はいるのだろうか。最初のターンでこれを出されたら間違いなく俺はキレるだろう。 |
・・・・と言う風に、防御側は様々な方法の中から一つを選んで相手の攻撃を凌ぐことになる。凌げなかった場合は被弾してダメージを負うということだ。
ここで「後退」か「左右」で攻撃を無効化した場合、攻撃側は残るもう一つの「間合」チットで前進を行えば、追撃を行うことができる。しかし防御側も2枚目の防御or間合チットを用意していれば、またもや攻撃は無効化されてしまうのだ。つまり
チットが十分にあるバトル前半戦は、豊富な防御チットのおかげでまず攻撃は受けないし、それ以前にカウンターでの攻撃権取得合戦になるので、ほぼ攻撃は当たらないという展開になりがちなのである。一刻も早くこのゲームを終らせたいと考えている我々にとってはあまりにも辛い仕様である。死にたいのに死ねない・・・・。それは、辛い現実から逃れる為に安易に命を絶とうとする現代の若者達へと向けられたツクダホビーからのメッセージなのかもしれない。
しかし、このバトルシステムは中々面白い。運と戦略性が問われる絶妙なバランスだ。攻撃をヒットさせるには「前進」のチットが多く必要となるが、防御のターンが多くなった場合は逆にゴミと化してしまう。またチットの中には白紙のハズレカードもあり、これを後に残すのか、それとも先に処理して後半の巻き返しにかけるか、といった風に、色々な戦略も練れる。普通にカイジに登場してもおかしくない程の心理戦が期待できるわけだ。
ただそれは、バトルシステムが「ここまで」だった場合の話である。
ここで終らない、終らせないのがツクダスタイル。
思いついた要素は全部盛り込んでしまう性質なんだよね・・・わかるよ・・・
ゲームの方は、ほぼ想像通りの展開。カウンターの応酬のあとは回避の応酬となり、なかなか攻撃が当たらなかったが、互いに持ち札が少なくなってきたところでようやく
ラオウ様の攻撃がレイにヒットした。
前回少し触れたが、攻撃で狙える箇所は
頭部、胴体、右腕、左腕、左脚、右脚と、
それぞれに装備している防具の
12箇所も存在する。その中からどこを狙うのかを事前に宣言していなければならない。
今回ラオウ様が狙ったのは、
レイの頭部であった。
理由は、
相手の頭部か胴体を破壊することがこのゲームの勝利条件だからだ。
なら原作遵守で胴体を狙えよと思われるかもしれないが、基本的に頭部は胴体に比べて耐久力も防御力も低いので、絶対にコッチを狙ったほうがお得なのである。一応、両腕を破壊すればガードや突き攻撃を封じれるし、両脚を破壊すれば移動や蹴り攻撃を封じれるので、こちらを狙うメリットもあるのだが、そんな遠回りは御免だ。俺は早く寝たいのだ。
ちなみに、通常は頭部を狙っても「受け」によってダメージを腕へと逸らされてしまう事が多いのだが、このシナリオには
「ラオウはマントによりレイの受けによる防御を1回だけ無効にすることが出来る」という特殊ルールがあるため、それを見事に利用することができた。ツクダのこういうとこ僕好きよ。
というわけで、今回ラオウ様がレイの頭部をぶんなぐったダメージ値は一体いくらだったのか、頑張って求めていこう。さあ
別紙表祭りの開幕です。
まずは
レイの頭部の耐久力(ヒットポイント)を求めよう。
レイの体格はM。これを
別紙表(1回目)に照らすと、頭部の耐久値は
9。
この後も頭部を集中攻撃するなら、これが実質レイのヒットポイントとなる。
次はラオウ様の
攻撃の威力。
技一覧表を見て、事前に宣言した技の「威力レベル」を確認。
ラオウ様が選んだのは北斗断骨拳なので、威力レベルは3だ。
これを
別紙表(2回目)に照らし合わせると、威力は
7となる。
(威力レベルってなんだよ・・・最初から威力値かいときゃいいだろ・・・・)
えー、技の威力の次はキャラの威力。
ラオウ様のパワーは6で、これを
別紙表(3回目)に当てはめると
+5になる。
先程の技威力の7に、この+5を合わせた
12が、今回の
攻撃の総合威力となる。
次は・・・えと・・・
レイの防御力の計算ね。
レイの「鍛え方」はC。これを
別紙表(4回目)に当てはめると、頭部の防御力は4。
更に、レイの頭部の防具ランクはN。これを
別紙表(5回目)に当てはめると、0。
その合計値,4+0=
4が、レイの頭部の
総合防御力です。
次にサイコロね。当然だけど高い目が出たほうが威力は増します。
出た目は・・・
3でした。まあ無難なところね。
通常ならここで終わりだが、北斗神拳の拳士の場合は特別待遇がある。
このサイコロの目に、
秘孔ポイントがプラスされるのだ。
北斗断骨拳の秘孔レベルは3。これを
別紙表(6回目)に当てはめると2。
更にラオウ様の秘孔レベルは4。これを
別紙表(7回目)に当てはめると+1。
2+1=3となるので、この枚数の秘孔チットを引き、裏面に書いてある数字の合計値が、サイコロの目にプラスされる。結果は0+1+2=
3でございました。
これで・・・・ようやく・・・・全ての数値が揃った・・・・・
この計算を攻撃の度にやるのかよ・・・・マジかよ・・・・
前作での耐性ついてなかったらここでもう机ひっくり返してるぞ・・・・
ま、後の事は後で考えよう。
とりあえず今は出揃った数値を元に、念願のダメージ値を弾き出そうじゃないか。
まずは攻撃の威力の12から、防御力の4を引いた、
8。
そしてサイの目の3に秘孔ポイントの3を足した、
6。
これを、最後の
別紙表(8回目)に照らしてみると・・・
でました!
今回のダメージ値は
9です!!!
・・・ん? 9?
ちょっとまて、確か・・・・
まずはレイの頭部の耐久力(ヒットポイント)を求めよう。
レイの体格はM。これを別紙表に照らすと、頭部の耐久値は9。
この後も頭部を集中攻撃するなら、これが実質レイのヒットポイントとなる。 |
レイの頭部の耐久力が・・・9・・・
・・・・ってことは・・・・・・
えっ?レイ死んだの?
おわり?
これで?
ワンパンでおわり?
えっ?
なっ・・・・・・なっ・・・・・・
確かに言ったよ、早くゲームを終わらせたいって言ったよ
言ったけどさ
確かに原作でもこの勝負は一撃で勝負はついたよ
ついたけどさ
こちとらルール把握とゲームの準備に
6時間以上かけてんねんぞ
それをオマエ・・・・一瞬で・・・・なぁおい・・・・・おいぃ?
しかも今出したサイの目、
3やぞ
中間より下の数字だしてんのに一撃ってどういうことだよ
あの
別紙表8つも用いてまで組み立てられた計算式は何だったんだよ
いや、いや、まてまて 落ち着け
もしかしたらこのゲームはそういうゲームなのかもしれないぞ
あのヘックスボードでの好位置取り狙いや、面倒臭いイニシアチブ判定、なかなか攻撃が当たらないチット合戦なんかも、この
「一撃の重さ」を考慮した上での事なのだとしたら合点がいく。ペチペチ殴りあう泥仕合ではなく、渾身の一撃をいかにして先に叩き込むかという所に重点を置いた画期的なシステムなのではないか。
ということは、もしレイが先に攻撃を当てれていたならば、状況は変わっていた可能性がある。流石に一撃とまでは言わないまでも、2〜3発でラオウ様が沈んでいたならば、十分勝負としては成り立つじゃないか。よし、ここは検証あるのみだ。
えーと、ラオウ様の頭部の耐久力は
10か。
レイの攻撃の総合威力は
9で、ラオウ様の頭部の防御力は
12。
その差は・・・
マ、マイナス3・・・?
南斗には秘孔ポイントによる修正は無いので、サイの目は
1〜6のままだね。
その場合のダメージは、えーと・・・・
どう足掻いても
ダメージゼロじゃねーか!!!
残り1%の勝機も無いし残り1個のリンゴもねーよ!みかんもねえよ!!
あー・・・・そうか、もしかしたらこのシナリオは選んじゃ駄目なヤツだったのかも。
よく見たら他のシナリオは結構二人のレベルが均衡してるもんなぁ。
これとジャギ戦とアミバ戦の3つだけがかなり戦力差大きい感じだわ。
つまりこれらは、製作者が洒落でねじこんだお遊びイベントであり、ハナからバランスなど考慮していないのかもしれない。それでも流石にワンパンは無いけど。
ちゃんとしたレビューを書くならば、もっとゲームとして成り立つシナリオを選びなおして最初からやるべきだろうが、当然そんな事はしません。
絶対にしません。
ま、どのみち途中で投げるつもりだったし。そう考えたら、FATAL KOとはいえ、ちゃんとゲームセットまでできた分だけマシかもしれんね。うん、そういう事にしておこう。
はい、というわけで御疲れ様でした。
マジで御疲れ様でした俺。
友人もありがとうございました。焼肉奢らせてください。
★おまけ
先程、ラオウ様の攻撃値を求める際に「秘孔の威力」がプラスされたが、このゲームにはそれとはまた
別の秘孔システムが存在する。
北斗神拳の拳士で攻撃を行う際、事前に特定の秘孔を指定しておくと、そこを狙った攻撃を行えるのだという。以前紹介した秘孔表↓に載っているのが攻撃可能な秘孔だ。そういえばさっきの攻撃の時にはこれ使わなかったもんな・・・
秘孔の位置は、頭部や胴体などといった場所に分類されているため、当然そこに攻撃をヒットさせないと突くことはできない。また、秘孔によって「突き」で突けるものと「蹴り」で突けるものに分かれているので、そこも合わせていかなければならない。
さらにもう一つ。狙った箇所に攻撃をヒットさせることができても、
「必要秘孔ダメージ量」に達していなければ効果は表れない。先程算出した攻撃の威力から、その箇所の防御力の数値を引いた数値を・・・・・・・・うん、もういいわ。とにかく威力の高い秘孔を突くにはそれなりのダメージも必要ってことね。
ちなみにこの秘孔突きを行うと、
相手にダメージは与えられないらしい。
え・・・・・? じゃあ一体どんなメリットがあるってんだよ・・・・?
なになに?
「秘孔による効果は「秘孔表」を参考してください」?
どれどれ・・・・?
は? これ?
いやこれは・・・あれでしょ?
各秘孔が作品内でどういう効果を持ってたかの補足説明でしょ?
あ、違うの?これなんだ?
じゃあその・・・例えば・・・
頭維を突いたら
3秒後に死ぬんだ?
まあでも、死ぬのはいいわ。相手を倒したって解釈できるしね。
問題なのはその他の対応不明の秘孔よ。
「精神が落ち着く」とか
「苦痛を味わう」とか
「遠近感を失う」とかいう効果よ。
どうすればいいのこれ?
定神突かれたら、プレイヤーが落ち着いたフリすればいいの?
頸中下扶突突かれたら、ダガールみたいにゴロゴロのた打ち回ればいいの?
児鳩胸突かれたら、顔に投剣刺さったままでシャカシャカやり続ければいいのか?
もうわかんない。アタシわかんない。ツクダ怖い。
◆総括
うーん、やはり一番の問題は、プレイヤーに何度も計算を求めてくるこの仕様だと思うんですよね。面倒臭いわ時間かかるわテンポは悪くなるわ、いいこと一つもありゃしません。まあウォーゲーム愛好家の方々に言わせればそれが魅力なんでしょうが、一般人にはちょっと敷居が高すぎます。昭和生まれの私がそうなんですから平成生まれの子たちにはもっとでしょう。
ではどうすれば良いのか。答えは簡単。計算を全てコンピューターが自動で行ってくれればいいのだ。さすれば良作とまでは言わないまでも、普通に遊べるゲームにはなっていただろう。それがつまりファミコンに代表される「コンピューターゲーム」なのである。RPGゲーム等で一瞬で行われるダメージ計算を、もし自分たちでやったらどうなるのか。そしてこの数十年でゲームがいかに進化してきたか。それらを肌で感じることが出来るのがこのゲームなのだ。
まあ結果レビューのほうはツッコミどころが多すぎた為にこんな感じになってしまいましたが、実は褒めたい点も沢山あるんですよね。プレイしていくと「この製作者は本当に北斗の拳を愛してるなぁ」ってのは随所から感じるんです。
例えば、技の中には突きでも蹴りでも繰り出せるものがあるのだが、蹴りを選択した場合、威力が上がる代わりに秘孔ポイントが減少するんです。これはつまり、
手技より脚技のほうが威力は高いけど、蹴りで秘孔を突くのは難しいっていうのを表現しているのですよ。こんな作中で一切触れられていない設定を、普通盛り込みます?ただ作品を読むだけでなく、色々と自分で考え、妄想しないと出てこない発想ですよね。
他にも、ユダの伝衝裂波は、全奥義の中で唯一移動ステージでも使うことが出来るという特別枠で、離れた位置から一方的に相手を攻撃できるという特性をそのままゲームに持ち込まれているんですね。また、各種シナリオでは、リュウケンはサイの目1が出れば心臓発作を起こして死ぬし、ラオウ様が剣を脚に刺したら二人とも後退できなくなるし、サウザー戦で闘気が発生したら雹が降ります。凄いでしょ?ここだけ読むと本当に面白そうでしょ?
これらの設定を生かしたまま、もう少しシンプルなゲームを作れていたら・・・。余りある北斗愛を全部ぶちこみたい衝動は解るけど、少し妥協して、遊びやすいルールに変更できていれば、本当に名作が生まれていたんじゃないか。そんな気がするんですよねえ・・・・・
・・・などと思ってはみたが、それは無理な話であった。
このゲームのデザインをされた方の後書にはこんな一文が。
このゲームををデザインするにあたって考えたことは、
「楽しいゲーム」「単純なシステム」「プレイしやすさ」と
今までの私のデザインポリシーとはかなり異なるものでした。 |
これで「単純なシステム」なのかよ!
「プレイしやすさ」を念頭に置いた結果がこれなのかよ!
ってことは、他のはもっと凄いってことかよ・・・
やっぱツクダ怖いわ。