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FLゲームレビュー
2015年4月12日(日)

やっと10個目か・・・。15周年終了(4/30)までにとても15弾までいけそうにありませんが、全く臆することなく引き続きやっていきましょう。

第10弾
北斗の拳 北斗VS南斗 対決5





見よ!この80年代ならではのフォルム!

まるで欧米のお菓子のようなドギつい原色!
触れるだけでカロリー摂取できそうな毒々しさだぜ!



えー、こいつは1985年にバンダイから発売された、北斗の拳の「FLゲーム」です。
ゲームウォッチが液晶画面なのに対し、こいつは発光管で画面を映しているのが特徴。

ゲーム画面はこんな感じ。




上記のようなややこしい技術を用いているため、見ての通り本体はクソでかい。
でもその分豪華に見えるので、それはそれでアリ。
ただこれが発売された頃は既にファミコンがゲーム市場の覇権を握っていたので、全くといっていいほど売れなかったらしい。そりゃそうだろう。





人気が出なかった理由として個人的に大きいと思うのは、画面の見難さだと思う。
FLゲーム世代の方には理解していただけると思うが、画面はこのプラスチックの表面ではなく、その遥か奥にある。プラがカバーになってるとかそういうのじゃなくて、本当に「奥の方」にあるのだ。これだけでも十分見辛いのだが、決定的なのは、発光画面が垂直になっているという点。見ての通り、プラスチック部は奥に30度ほど傾いており、斜め上から見るプレイヤーにとっては適切な画面角度になっているのだが、肝心の発光画面はそれと全く平行でない垂直面。カイジの沼編を髣髴とさせる、二重の角度差を用いた視覚トリックが施されているのだ。
この形状上、プレイヤーは常に画面を上方から見下ろす感じでプレイすることを強いられることになる。例えるなら、床に置いたTVを至近距離で立って見さされているようなものだ。そら廃れますわ。



ま、そんなFLあるあるを今更言ってもしゃーないのでレビューしましょう。

ゲームの内容は、タイトル通り北斗vs南斗・・・というか、ケンシロウシンが色々なミニゲームで対決していくというもの。「対決5」という名前通り、ゲームは全部で5種類。これを、対人戦とCPU戦のいずれかを選んで遊ぶことが出来る。

嬉しいのは、1P側のケンシロウだけでなく2P側のシンでもCPU対戦ができるという点。
この時代にシンを操作できるゲームが出ていたというのは驚きだ。相当レアだと思う。



それではプレイできる5つのゲームモードを紹介していくことにしよう。


GAME1 『北斗百裂拳』



ボタンを連打して敵に拳を叩き込むゲーム。
3回命中で1ポイント。計9ポイントを先にとったほうが勝利となる。

・・・って言われてもこの画面じゃ何が何かわからんと思うので説明しましょうね。

左のまっかっかなチ○コみたいなのがシン。右がケンシロウ。
それぞれ向こう側を向いてると思っていただければわかりやすいかな。

双方の上にいるのが、それぞれの相手。
ケンシロウの相手はスペードだろう。
シンの相手は多分飛び蹴りで胴に風穴を開けられたハゲだと思われる。



あと、回りにワカメみたいなのが落ちているが何なのかは不明。



敵はこんな感じで↓



デンプシーロール風に上体を揺らしてパンチを躱してくるので、真ん中にきたタイミングを狙って攻撃を叩き込まねばならない。闇雲に連打するよりも、真ん中にきた瞬間に連打したほうがヒット数が稼げるので、そこそこゲーム性はある。ケンシロウがパンチで、シンが貫手になっている点にもこだわりを感じる。



GAME2 『北斗七死星点』



画面中央の人体図に現れる秘孔に狙いを定めて攻撃していくゲーム。
この秘孔は両者共通で、先に命中させたほうがポイント獲得となる。
3回命中で1ポイント。先に計9ポイントをとった方が勝利となる。


秘孔は、胸(中央)を中心に、頭部(上)、左肩(右)、右肩(左)、腹部(下)の、十字の形に5箇所、ランダムに現れる。点灯した秘孔の方向にレバーを倒しながら攻撃ボタンを押せばヒット(胸はニュートラル状態でOK)。秘孔は可也な速度で次々と位置が変わっていくため、そこそこの反射神経が求められる。


こういう「狙って秘孔を突く」というシステムは、他の北斗ゲーにはない独特のシステムなので、高評価しても良いと思う。つーか何で無いんだろうね。あってもよさそうなもんなのに。強いて言うなら初代PC版とパンチマニアがちょっと取り入れてるくらいか。

ただ先のゲーム1と比べると、決着までが凄まじく長いのでダレる。3発×9回の計27回も秘孔を突かねばならず、またどちらかが一回突く毎に仕切りなおしになるため、白熱した戦いになると3分以上も秘孔を追い続けなければならない。七死星点なら7発でええんちゃうんか。ていうか秘孔位置がブラッディークロス型なんだから、七死星点より北斗十字斬のほうが適切ちゃうんか。



GAME3 『交首破顔拳』



例のの動きをする敵が中央に来た瞬間に連打を叩き込むゲーム。

・・・とこれだけだとゲーム1の百裂拳と全く同じだが、大きく異る点が2つある。

1つは、相手を無理やり中央に引っ張ってこれる点。
任意の方向に十字レバーを倒してやることで、横に逃げている相手をまるで胸倉を掴むかのように間合内へと手繰り寄せることができるのだ。ただしスペード、風穴ハゲともにその動きは連動しているため、例え自分が中央に持ってきたくても、相手が横を押していると引っ張れなかったりもする。というかどっちの入力が優先されるのかイマイチよくわからん。




2つめが、敵が攻撃してくる点。
上図のように、このモードでは敵もパンチを撃ってくる。3回喰らうと上のシンのように惨めなノックダウンを喫することになる。
だがよく見て欲しい。この時、右のケンも同時にスペードを撃破し、脳髄を撒き散らしているのが解って貰えると思う。これは偶然タイミングが一致したわけではない。実はこの闘いは、ケンとシンがそれぞれ別の相手と戦っているように見えて、本当は二人の直接対決なのだ。ケンの前にいるスペードが実はシンで、シンの前にいるハゲが実はケンシロウなのである。だからケンがパンチを撃つと同時にハゲもパンチを撃ち、スペードがやられると同時にシンもダウンしているのだ。

まさか80年代に既にアバターという概念を確立していたとは・・・
恐るべしバンダイ。



GAME4 『ブラッティークロス』

なんかタイトルがいきなり奥義名じゃなくなったぞ。
しかもブラッィーだし。



今回は先程のようなアバターではなく、ちゃんとしたケンシロウとシンの直接対決。
真正面から向き合って足を止めてのドツキ合いだ。

上半身への攻撃はパンチ、下半身への攻撃はキックとなっており、レバーの上下によって攻撃する部位を決定する。ただし相手も上下いずれかの部位を防御することができるため、ガードのない方を狙っていかないと攻撃を当てることは出来ない。
一瞬、飛龍の拳を髣髴とさせる優良バトルシステムのようにも思えるが、よくよく考えると自動的に攻撃の方向も防御の方向も一緒になるので、防御なんてあって無いようなもの。結局のところ、相手と違う方向にレバーを倒したその瞬間に、どっちが速く攻撃ボタンを押せるかという連打ゲーに過ぎない。ある意味そっちのほうが北斗の拳っぽい気もするけど。





どちらかが9発攻撃を当てると、上のような第2ラウンドに移行。
1ラウンド目に勝利したほうが相手を奥の陣地へと押し込み、一方的に攻撃を与えるという嬲りモードに突入する。

ここでは上下三方向に移動できるため、攻撃側は相手が逃げた先まで追っていって攻撃を当てねばならない。6発攻撃を当てると、中央の人体図からマークが一つ消え、これで秘孔を一つ突いたということになる。それを繰り返して5つの秘孔を全て消失・・・つまり5×6=30発の攻撃を当てれば勝利となる。ただし制限時間(27秒くらい)内に秘孔を突ききれないと失敗となり、再び第1ラウンドからの仕切りなおしとなる。
ん〜、原作のケンvsシンが二回戦だった事を踏まえての仕様なのだろうか。面白い趣向ではあるが、下手すりゃ永遠に決着がつかないよなぁ・・・・。ハッ!永遠に決着がつかないって、それこそユリアの居ないケンとシンの戦いの再現ではないか!?こ、このゲーム、中々あなどれんかもしれん・・・!!




GAME5 『対決5』

最後の対決は・・・・今までの4ゲームを連続して行うというもの。

・・・これを5ゲーム目と言い張るのは若干苦しい気もするが、まあ当時の容量だし、この総合戦を含めて「対決5」というゲームタイトルなのは良しとしよう。
でもこの5ゲーム目のタイトルが「対決5」なのはおかしいだろ。
だってこの5ゲーム目を含めてやっと通算5ゲームになるわけだから、この5ゲーム目のタイトルが「対決5」なのはおかしいじゃん!今までの4ゲームの連戦なんだから「5」じゃないじゃん!「対決4」じゃん!5ゲーム目の「対決4」を加えて「対決5」にしなきゃおかしいじゃん!ああもう自分でも何言ってるのかわかんねえ!!

ちなみにCPU戦の場合は、4つ全てのゲームに勝利すると再びゲーム1からスタートするという無限ループ仕様。ただし周を重ねる毎に難易度は上がっていく。この場合、原作遵守でいくならシンでプレイしたほうがいいね。



【総括】

(めちゃくちゃ音が大きいので)長時間プレイしようという気は起きないが、それなりにバラエティにも富んでおり、難易度も適度であるため、気軽にプレイできる。個人的には常に神経すり減らすゲームウォッチの方よりは合っているかもしれない。対戦もなんだかんだで愉しめる。

全体的にぼんやりとした光しか見えないにも関わらず、見るべきものが見れば一目で北斗だと判別できる表現力はなかなかの仕事。これより相当クリアであるにもかかわらず、ケンシロウが全身タイツを着ていたり、シンが何故かタンクトップを着ていたりする初代FC北斗の拳よりはよっぽど上手く表現できている。

個人的には、1P側のケンシロウと2P側のシンの扱いが全く同じというのが一番評価したい点だ。ボードゲームを始めとした当時の北斗ゲーではシンはかなり優遇されているほうだが、その中でも随一の扱いだと言えるだろう。

とまあこれだけ優秀であっても、ゲームとしての面白さで言えばFC北斗のほうが遥かに上であり、やはりファミコンていうのはバケモンだったんだなというのを痛感させられる一品でもある。(個人の感想です)


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