私にとって北斗の拳とは
「歴史書」なのである。
北斗の拳の中で描かれている物語は、地球とよく似た別の星、もしくはパラレルワールド等で実際に起こった出来事であり、その史実を纏め上げたのが北斗の拳なのだ。よく「北斗はラオウで終っておけば〜」などと言う者もいるが、キリがいいなどという理由で歴史書を終わらせられる筈が無いだろうというのが私の意見だ。ケンシロウがボルゲを倒したところまでの出来事が史実として残っていたからこそ、北斗の拳はあそこまで続いただけのことなのである。また、アニメや外伝等でたまに原作と矛盾が起こるのは、その世界での出来事を伝聞する過程で起こったズレによるものだ。この世界にも様々な歴史書があるが、どれもこれも解釈によって出来事のあらましや人物像が大きく変わっていることなど珍しくない。それと同じことなのである。
その事実に気がついてしまった私は、その北斗の世界で起こった歴史の全てを知りたいと思った。原作を軸に、様々な関連作品で知りえた事を肉付けし、真の歴史の姿を明らかにしていく。それはまさに、古い書物や遺跡等から真実に辿りつこうとする考古学者の如く。
そんな私が追い求め続ける世界を、創造した者がいる。
それは、私にとって紛れも無い
「神」。無から全てを作り出した創造神。
尊敬する人や恩人、偉人に対して使われるのとは違う、文字通りの「神」なのである。
そんな神の一人―――――
武論尊という神が脳内に創造した北斗の世界を
圧倒的な迫力で紙面上に創造した神。
原哲夫大先生。
彼の御方と、遂に謁見する機会が訪れた。
2015年6月27日(土)。京の都にて。
サイン会当日。
神に会える。そんな一生に一度かもしれない大事な日なのだから、それ相応の準備をしなければと数日前からソワソワしていたのだが、結局何もできぬまま当日に。実際サイン会の準備って何だよと言われても困るのだが、無為にこの日を迎えていいのかという焦りが止まらなかったのだ。なんていうんですか焦燥感。
午後12時6分、京都駅に到着し、駅構内で盟友の
ベーダック殿と合流。2年前の「ラオウ伝説」の協力費を愛忍者に渡しに行った際に開いたプチ総会以来の顔合わせだ。だが出会った瞬間、一瞬その顔が引きつったかのように見えた。原因が私の格好であることは容易に想像がつく。私が纏っていたのが
真っ黒な甚平だったからだ。原先生のサイン会には一体どんな服装が相応しいのか。自然体か。正装か。行徒姉妹のサイン会に修羅仮面を被っていったどこぞの猛者のように、持ちうるグッズを駆使して北斗に塗れるか。いや・・・これはあくまでいくさの子のサイン会。ならば和の装いが一番自然ではないか。とはいえ着物など持っていないので、甚平で勘弁してもらおう、といった思考の末のチョイスであった。私自身は納得の結果であったが、行動を共にする者の事を何一つ考慮してはいなかったのは誤算であった。許せい。
会場は、駅から徒歩2分のヨドバシカメラのビル。以前は近鉄百貨店だったところで、予備校生時代はよくここの屋上のショボい遊技場ではしゃぐ子供達を眺めていた。今から思えば相当アブない野郎だ。まさか十数年後にそのビルの中で神に謁見することになろうとは誰が想像できたであろうか。
サイン会開始の14時まではまだ2時開近くあるが、サイン会の整理券を貰わねばならないので、早速突入。6階へと上り、予約していたいくさの子7巻を購入して整理券を受け取った。
だがこの時、私は大きな違和感を抱いていた。
いや、建物に入ったときからそれは感じていたものだった。
ビルの正面入口から入ってエスカレーターに乗り、本屋まで歩くその過程の中で、私は
今回のサイン会を告知するものを一切発見することが出来なかったのだ。
いや、多分どこかにはあるのだろう。だがネームバリューを考えたら、もっと目立つ所に用意してくれても良いのではないか?入り口に吉法師の等身大パネルを置けとまでは言わない。だがせめて肝心の本屋だけにでもデカデカとした張り紙をしておくべなんじゃないのか。
いやまあ、それでも全く発見できなかったわけではない。
流石に当のいくさの子が置いてある棚にはちゃんと告知が用意されていた。
されていた……のだが……
こ……これだけ?
おい・・・・おまえら・・・・
"原哲夫"やぞ?
レジェンドもレジェンドの大レジェンドやぞ。
そこらへんの数多の絵描きさんとちゃうねんぞ。
本屋やったらそのへん一番わかってるとこちゃうんか。
なんやねんこれは。なんでこんなハガキサイズのポップ1枚だけやねん。
ていうか今日サイン会やる本の陳列スペースが1冊分っておかしいやろ。
つか横の
いちご4巻のポップのほうがでけえじゃねえか。
どうなってんだよマジでおい。
このあまりに手抜きな仕打ちには怒りを覚えずにいられなかったが、改めて周囲を見直すと、もしかしたら必然の事なのではないかとも思った。
サイン会の会場はこの本屋の横に造られていたのだが、これがもうどう見ても
突貫丸出しのしょぼ過ぎる出来栄え。そのへんのもんを無理矢理どかしてスペース確保しました!っていう感じの急造具合なのだ。サイン会は一応100人限定となってはいるが、もし原哲夫先生が来てはるってのが大々的に知れ渡ってしまうと、サインの関係無い野次馬までが押し寄せてしまう事になりかねない。この会場の周囲には普通にカフェやらなんやらの多くの店があるため、それが営業の妨げになってしまうわけだ。故に、今回のイベントはほぼ予約した100人のみが集まれば御の字と考え、あえて大きな広告を打たないことでそれ以上の集客を求めなかったのだろう。
・・・まあ御大の名に相応しい場を用意すればよかっただけの話なんだけどね。
開場までまだ1時間ほどあるので、同じ階にあるレストラン街で昼メシ。ベーやんの意向でとんかつ屋へと入り、二人揃ってとんかつ+ザル蕎麦のセットを喰らい、戦闘準備を整える。
そんな中、以前お世話になった御礼として、べーやんに「北斗の拳SPECIAL」をプレゼントした。1986年に発売された、北斗キャラの身長体重等が初めて記載されたブツである。これは10年以上前に私が愛忍者より譲り受けたものだが、(貰った頃から既に)ボロボロで、とうとう裏表紙を紛失するほどに破損してしまったため、比較的キレイなのをヤフオクで再入手したのだ。で、ダブって要らなくなった方をお譲りすると約束していたのである。新しい方でなくボロのほうを渡す辺りに私の人間の小ささが伺える。
あともう一つ、産廃に等しい北斗グッズ?もお渡ししたのだが、これは後にグッズレビューでいじると思うので、ここでは触れないでおく。
そうこうしている内に時刻は13時15分。そろそろ開場が迫ってきたので、店を出て会場の前へと移動するが、既にそこには結構な人数が集まり始めていた。ざっと30人以上はいるだろうか。サイン会は実質この並び順で行われるため、私達の順番も約30番目ということになる。これは良くない順番だ。100人を相手にする先生側の立場にしてみれば、おそらくこの辺りが丁度「飽き」がくる頃だからだ。もし時間が押していれば、巻きが入ってあまり時間を貰えない可能性も考えられる。やってしまった。こんなところで生まれて初めてのサイン会という経験不足が足をひっぱろうとは。何故俺はこんな一生に一度かも知れぬ大事な日にゆっくりと豚肉を食んでしまったのか。何故水を4杯もおわかりしてしまったのか。
あわてて列の最後尾に並ぶと、スタッフの姉ちゃんが、整理券の裏面に自分の名前を書くよう指示して来た。おそらくこれは、先生に「○○○さんへ」と書いてもらう際、名前の漢字が解らない等といったことで時間を食わぬための配慮であろう。ならば私が書く名前は決まっている。もちろん
「愛参謀」だ。長年、北斗の拳に携わるときはこの名を使用してきた。それなりに愛着もある。そう、この名前には愛着があるのだ。だがここで思いも寄らぬ試練が私に降りかかった。
「……あれ?「愛」ってどう書くんだっけ?」
極度の緊張によるものなのか、文字を書く機会が無いからか、突然脳が異常をきたしたのか、それとも私の人生に愛が足りないからなのか。長年自分がHNにしてきた文字というだけでなく、北斗の拳の究極のテーマでもあるその一文字を突然書くなくなってしまうという事態に陥り、激しく狼狽する私。苦笑いするベーやんの助けでなんとか危機を乗り越えたものの、そのしょーもない出来事での私のショックは思いのほか大きく、何か色々と自身が無くなった。
東北で兼続のレプリカ兜も見てきたのになぁ……
1時半になり、列が少しずつ進み始めた。物販コーナーが開放されたからだ。この百足の列は、まず物販コーナーを通って会計を済ませ、そのままサイン会会場へと続いていく仕組みとなっているのである。
ちなみに今回用意された商品は、
信長茶寮でも販売されているいくさの子グッズ各種のみであった。普通こういう時は、便乗して過去の作品やその関連グッズなんかも置くもんじゃないのか?実際置いたら凄まじい勢いで売れたと思うのだが。これもやはりスペース上の問題なのか、それとも今回はいくさの子一本のイベントと割り切っているからなのか。いずれにせよ、少々寂しい内容である事は否めなかった。
会計を終えた人たちは、衝立で仕切られたサイン会場のスペース内へと入っていく。どんどん入っていく。10畳もないんじゃないってくらいのスペースに30人以上の人間が詰め込まれていく。まるで車の中に十数人入っていくCMのやつみたいに吸い込まれていく。
えっ……ていうかぁ……
こんなスシ詰めの中でサイン会やるの?
男性率97%、平均年齢約37歳位のオッサンがひしめき合う中で?
いや待つよ、原先生にお会いできるならどんな過酷な環境下でも待ち続けるけどさ、そうじゃなきゃもう帰ってるよこれ。ラーメンとかクレープ辺りの順番待ちなら速攻で諦めてるレベルの苦行よ。つかこれは原先生にとっても好ましくないと思うよ。儂らはどんな扱いを受けてもいいけどせめて御大には気持ちよく帰っていただきたいよ。京都に悪印象持たれるのも嫌だし。色々自分を納得させようとしたけど、やっぱりこのイベントなんかおかしいよ。
そうこうしている内に私も物販コーナーの中へ。注目はなんといっても幅60センチ程のパネル8,000円也であったが、私の二つ前の人がお買上げした時点で売り切れとなった。悔しみながらも一寸安堵しつつ、残りのブツをチョイス。クリアファイル4種全てとトートバッグ、黒T一枚をお買上げ。
それをそそくさとカバンの中につめこんでいると、不意にその瞬間が訪れた。
神 光 臨
歩く神 笑う神 手をあげる神
拍手喝采を浴びながら堂々の入場を果たす神。
そんな神に無礼にもケツを向け、パンパンの鞄のチャックと格闘していた私は、この唯一無二の瞬間を逃し、咽び泣くのであった。
サイン会場の中まで入ることが出来ないギリギリの順番であった我々は、開会前の神の挨拶を殆ど聞くことはできなかったが、兎にも角にも遂に運命のサイン会が始まった。案の定、せまい会場内は凄まじい混み具合であり、立ち並ぶ肉の壁に阻まれて御大の様子は全く窺い知る事は出来ない。だがサインを拝受して出てきた者達の顔には、皆一様に満足の笑みが零れていた。私だけではない。原先生と話すことのできるその僅かな時間は、ここにいる全員にとって何物にも変えがたい特別な時間なのだ。
しかし思っていたよりもペースが遅い。一人出てくるのに平均1分半はかかっているだろうか。果たしてこのペースのままいくのか。それとも時間が押して後続が割りを食うのか。考えても埒が開かないような事にぐるぐる思考を巡らせている内に、ゆっくりと確実に自分の番が近付いてくる。
サイン会開始から約45分後、いよいよ御大の御尊顔が拝見できるほどの距離にまで迫ってきた。それに比例するかのように私の視界が狭くなっていく。喉が渇く。目が乾く。脳が乾く。緊張と言う名の毒が私の思考能力を奪っていく。
これはまずいと私の後ろに並ぶベーやんに順番のチェンジを打診するも、キッパリ断られてしまい万事休す。やばい。緊張はするとは思っていたが、まさかここまでとは。だってもうそこに、手ぇ伸ばしたら届く距離に御大が、御大がいらっしゃるんですよ!この状態でどうやって落ち着けと?心を整えろと?できるわけないじゃん。だって激振孔を止める秘孔は存在しないんですよ?ばっう!
そして次が私の番―――
となった時、スタッフの人が私に
「本!本!」と言ってきた。
そうだ、本だ。私はこの日の為にあの本を持ってきたのだ。
「北斗の拳 究極奥義は何だ!?」
昨年私が製作に携わらせて頂いたこの一冊。
「貴方の作品を追い続けた結果、このような本の原稿を任されるという貴重な体験をさせていただきました。」そんな感謝の思いを伝えるため、この場に持参したのだった。
……ん?いや、ちょっとまて。なんで私が本を持参したことをスタッフの人が知ってるんだ?
スタッフが言う「本」とは、先程購入した
いくさの子7巻を袋から出せという指示であった。当たり前だろバカ野郎。サイン会のテンポを考えたら事前に袋から出しとくなんて基本マナーだろうが。しかしこの時の私には、それすら理解できぬほどに思考力が停止していたのだった。私の前に並んでいた子連れ夫婦の持ち時間がやけに長く、呼吸を整える時間があったことがまだ救いだったと言えよう。やはり子供という名の武器は強い。こんなことならその辺を歩いているガキを甥っ子として3000円で雇えばよかった。
そして、遂に私の番が来た。
一歩踏み出し、神の前に立つ。
何か言ったような、言われたような気もするが思い出せない。
全く動けない。言葉が出ない。事前の脳内シミュレーションの内容も何一つ思い出せない。
そんな私をよそに、神はサラサラと私の本にサインを刻み、そしてスタッフから受け取った整理券の裏の名前を確認される。
原先生 「愛参謀……」
神の口からその言葉が出た。
そりゃ出るだろう。こんなとこに偽名もってくる奴なんか普通居ませんから。
しかしその一言は、私の秘孔縛を少しだけ氷解させた。
私 「先生、あの、こちらを(風呂敷を開く)」
原 「はい?」
私 「これ、こちらの本なんですけど、
多分先生も献本とかで持ってはるとは思うんですけど」
原 「ああ〜、はい、はい(知ってます的な頷き)」
私 「あの、自分北斗の拳のファンサイトを16年やらせてもらってまして、
それが縁で本の内容の執筆を依頼されたりすることがありまして」
原 「ほう」
私 「それで、去年書かせていただいたのがこちらの本なんです」
原「あ〜、本当ですか(笑顔)」
私 「この、巻末のとこにある、ほら、これ自分です」
原「おお、本当だ!」
(この時、横に居たスタッフの方が結構大きめのリアクションをとってくれていたらしいが絶賛テンパり中の私の視界には入らず)
私 「こういう体験が出来たのも全部先生のおかげですし、
宜しかったらこの本、貰っていただけないかなと」
原「あ、これ頂けるんですか?」
私 「はい!それはもう……はい!」
原「ああ〜ありがとうございます」
私 「いえいえ、そんな、勿体無いです」
「でも"愛参謀"……
うん、いい名前ですよね」
私 「!!!!!!!!!!!!」
原「はい(右手を差し出す)」
私「(恍惚)……へ?」
原「握手」
私「あ、ああ!はい!すいません!!」
原「ありがとうございます(ギュー」
私「はいっ!!はひっ!!(ギュー」
その時、次のべーやんの本の白地部分をスタッフが広げて待ち構えている姿が目に入り、早よ終われという無言のプレッシャーを受ける。
私「あの、もし機会がありましたら
自分のサイトのほうも御覧になってみてください。
北斗西斗って言います!」
原「え?なんて?」
私 「ホクトサイトです。
北斗に、西斗月拳の西斗でホクトサイトです。」
原「わかりました(笑顔」
私 「あのっ!それとあのっ!……(頭真っ白)」
原「?」
私 「……あ、いや大丈夫です
……ありがとうございました!」
原「ありがとうございました」
お わ っ た・・・・
間違いなく人生で一番濃密な1分であった。
そして余韻に浸りながら呆けること1分。
我に帰り、今しがた起こった事を振り返った時、私の中に湧き上がってきたのは満足感ではなく、後悔であった。
本当に俺は全力を出すことができたのか。言いたい事を言えたのか。声は出ていたのか。緊張したら早口になる癖が出てしまってたんじゃないか。体感的には前の子連れ夫婦の半分以下の時間だったように感じたが、もっと厚かましさを出して粘ってもよかったんじゃないか。質問だって何個か用意していたのに一つも言えなかったぞ。僕も円錐角膜なんです病気に負けず頑張ってくださいってエール送りたかったのに今頃思い出したぞ。
ああああああ・・・・
あああああああもおおおおおおおおおおおおお!!!!!!1
……いや、でもいいんだ。
「愛参謀、いい名前ですね」
そう言ってもらえただけで十分だ。十分すぎる。
この言葉だけで今後10年頑張れる。
別に自分で考えた名前じゃないけど。
程なく、私同様にふわふわ状態のべーやんと合流。
浮ついたオッサン二人がミーハーJKばりにキャアキャア騒ぐ様はおそらく傍からは大変見苦く見えたであろうが、夢見心地の我等にはそんな事は関係ない。意味も無くエスカレーターで下りてすぐまた戻るという謎行動をしながらクールダウンした我々は、一旦近くのカフェに腰を据えて互いの戦果を報告。さしたる情報も得られなかった私に対し、べーやんは既にアニメイチゴの最初の収録は終っているというレア情報を持ち帰っていた。おそらくあの御大とばんじょうくんとのツーショット写真が、第一話収録の時だったのではないだろうか。そして収録が始まっているという事は、既にキャストはほぼ全決まりだと思われるが、それでもべーやんは、イチゴの声には出来うる限りTV北斗オリジナルキャストをという思いを御大にぶつけたのだと語った。なんというか、流石だ。私なんかいくさの子のサイン会だからという理由で北斗の話を持ち出すことも若干気後れしていたというのに、まさか原先生の作品ですらないイチゴメインで攻めるとは。傾く傾く。
これにて我々のサイン会は終了となったが、全員分のサインが終了した後に、いくさの子の複製原画の抽選会が行われるというので、そのままカフェで待機。そしてサイン会開始から約2時間後、ようやく100人のファンとのふれあいを終えられた御大は、鳴り止まぬ拍手の中、颯爽と会場を後にされたのであった。本当に、本当に御疲れ様でした。むさ苦しい中でのイベントとなってしまったことを関係者に代わり御詫び申し上げます。そしてこれ以上ない素晴らしい時間を過ごせた事、心より感謝いたします。これからも北斗の拳をはじめとした先生の作品を全力で応援し、追い続けていくことを誓います。有難う御座いました。
その後、間髪入れずに複製原画の抽選会が開始。
用意された複製原画は10枚。当選確率は1/10だが、数年前にファミマの500円くじでロビンマスクのマスクを一発ツモした時に全ての運を使い切ったと思っている私は全く当たる気がせず、結果やはり私もべーやんもスカに終った。
サイン会の時に私の前に並んでいた子連れ夫婦が二人ともゲットして帰っていたのがなんとも印象的であった。ずるいぞ!ずるいぞ!先生とあんなに一杯おしゃべりした上にダブルとかずるいぞ!パネル買えなかったんですよーって言ってアクリル板のやつにもサインもらってたくせにずるいぞ!なんだよくそう!俺に子供がいないからか!?誰か俺と今直ぐ結婚しろ!背中に上等な女乗せた馬来い!
ちなみにこの抽選会で当選した者は、例の整理券の裏に書いた名前で呼ばれる事になるので、もし私が当選していたら「愛参謀様ー」と呼ばれていた事になる。twitterを見る限りでは私の事をご存知の方も何名か潜伏していたぽいので、ちょっと恥ずかしい事になっていただろう。
これにて全てのイベントは終了。地下道から駅の乗り口まで歩き、そこでべーやんとも解散となった。また何かあったときはよろしく御願いします。
その後、現地の友人と合流して
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を鑑賞。正直言って原先生と御逢いしたその日に映画なんか見ても全然内容頭に入らないだろうなと思っていたのだが、これがもうビックリするほど面白かった。このシリーズは、先の企画でもご紹介したとおり、北斗の拳好きにとっては特別な映画なのだが、そんな小賢しい要素など全く関係なく最高と呼べる代物であった。
更にパンフでは、
武論尊御大が北斗の拳をふんだんに交えたコメントを寄せておられ、先の原御大と合わせて抜けていたピースが全て埋まったかのような謎の感動を覚えたりしたのでした。
その後、晩飯を食いに入ったラーメン屋で「北の拳骨味噌ラーメン」という若干北斗を匂わせるメニューを発見し、ここまできたら北斗尽くしで行くかと思ったが、味噌の気分じゃないという理由で回避したところ、頼んだつけ麺がクソ不味いという失敗はあったものの、これにて史上最強の一日は終わりを迎えたのでした。
正直、これほどまでにエキサイトな一日と言うのは記憶に無い。そりゃあそうだ。北斗西斗を始めてから16年。学生時代から既にルーズリーフにアニメ北斗の概要を纏めたりしてたから期間としてはもっと長い間、北斗の拳を追い続けてきたのだ。その二十数年が、1分と言う時間に凝縮されて私の体内に流れ込んだのである。そりゃ耐えられるわけがない。自分が経てきた時間の濃縮が私自身を酔わせたのだ。これに勝る酒もドラッグもこの世には存在しない。そしてそれは、二度と味わうことは出来ない快感として永遠に私の中に刻まれていくのである。
しかし今回は、ただ私自身が核の炎に包まれただけ。こんなテンパった1分間を最後にしたくはない。もし、次の機会があるのなら、今度は強敵として・・・いや、男の顔になったと・・・・いやいや、それは余りにもおこがましい。ただ今回よりは緊張せずにお話しさえ出来れば十分です。そのためにも、私はこのサイトを続けていかねばならない。きっとその先に、また御大と交わる路がある筈なのだから。
おわり